◆ CS『25周年記念!世にも奇妙な物語』放送終了?
昨年の4月から12ヶ月間行われてきた「25周年記念!世にも奇妙な物語」が今月をもって新規回の登場が終了することになる模様。
ローカル局ではおなじみの回から、22~3年ぶりの再放送になる超レア回まで幅広く取り扱った史上最長の再放送となりましたが、残念ながら大人の事情で全てのレギュラー回の放送は実現しませんでした。
特別企画の「あなたが選ぶ30選」内で放送された回をプラスすると、レギュラー放送回全69回中、今回再放送されたのは49回分。全体の約70%を占める数を揃えることができたわけで、新規ファンの方には非常に有り難い機会になったのではないでしょうか。
しかし、一方で気になるのが再放送企画から外されてしまった20回分ですよね。
では、一体どの回が放送されなかったのか、気になる方のために以下にまとめてみました。
《何らかの事情(版権問題?)で今回放送されなかったもの》
- 第08回「追いかけた男」「超・能・力!」「遅すぎた恋人」 (2002~2003年にCSで放送済)
- 第11回「整形手術」「大注目の男」「仰げば尊し」
- 第24回「コインランドリー」「受験生」「石田部長代理の災難」
- 第25回のアバンストーリー (ロウソクの火)
- 第20回「バカばっかりだ!」「こけし谷」「さよなら蔵町キネマ」
- 第42回「ま・ば・た・き」「告白パーティー」「パパは犯罪者」
- 第48回「聞こえる」「死にたくない」「ボクの好きな先生」
- 第50回「未来の思い出」「ボールペン」「みどり紙」
- 第53回「シガレット・ボム!」「悲鳴」「行列」
- 第59回「けむり男」「デンデラ野」「血も涙もない」
- 第75回「被害者の顔」「サムライが斬る!」「蟹缶」 (「蟹缶」のみ別のCS局で放送済)
《ジャニーズ事務所に関する肖像権問題でNGとなったであろうもの》
- 第07回「喪服の少女」「禁じられた遊び」「時のないホテル」
- 第17回「時間よ止まれ」「あの日に帰りたい」「視線の町」 (ローカル局では近年でも放送)
- 第19回「U.F.O.」「テレフォンカード」「プリズナー」 (ネット配信のみOK)
- 第26回「真夜中」「鏡」「ど忘れ」 (ローカル局では近年でも放送)
- 第35回「ともだち」「心霊写真」「ベビーシッター」 (ローカル局では近年でも放送)
- 第47回「赤い雲」「耳鳴り」「真夜中のディスクジョッキー」
- 第52回「前世の恐怖」「三日間だけのエース」「そこでは、お静かに」 (ローカル局では近年でも放送)
- 第67回「水を飲む男」「ラッキー小泉」「言葉のない部屋」 (ローカル局では近年でも放送)
- 第68回「似顔絵の女」「赤と黒」「マジシャンのポケット」
《放送禁止扱いになっているのもの》
- 第63回「タガタガの島」「声が聞こえる」「もれパス係長」
予想通り、肖像権が異様に厳しいジャニーズ在籍(出演当時在籍者も含)者の出演回は今回もほぼNG。
一方「運命の赤い糸」と「愛車物語」に関してはCS放送が、「プリズナー」はCS放送NGだったもののネット配信のみ許可が出たようで、今後この辺りの姿勢がさらに軟化することに期待したいですね。
そして制作会社でみてみると、22~3年以上再放送されていない『オフィス・トゥー・ワン』『ギャラクシーワン』『ザ・ドラマチック・カンパニー』の3社が制作した回は全滅。後半2社にいたっては現在会社が解散しているのでテープの所在が不明だったのか、権利関係が不明なのかはわかりませんが、内心期待していたので残念です(T_T)
非常に嬉しい再放送となった一方、全話のDVD化はおろか、再放送でコンプリートすら不可能な現状であることをまざまざと見せつけられることになった今回。この残酷な現実から目を逸らしたくなる自分がいつつも、いずれ時間とお金がそれらの問題を解決してくれることを願って、近々やってくるであろう節目の年に、再びこのような豪華な再放送企画の再来を期待したいと思います!
◆ 「美女缶」の中国リメイク化が決定!?
続いて昨年12月に飛び込んできたこのニュース。
2005年春の特別編で放送された人気作「美女缶」が、中国映画としてリメイクされることになったそうです。管理人の素人翻訳でその記事をご紹介。
《「世にも奇妙な物語」から妻夫木聡主演「美女缶」、中国でリメークし映画化》
( http://www.recordchina.co.jp/a124387.html )
2015年12月2日、オムニバスドラマ「世にも奇妙な物語」で05年に放送された「美女缶」が、中国で映画化に向けて動き始めた。 (中略) 映画「東京審判」や「風声」のガオ・チュンシュー(高群書)監督が中国版ツイッター上で、「美女缶」のリメーク権を取得したと明らかにした。
筧昌也監督の03年の映画「美女缶」は、05年4月放送の「世にも奇妙な物語」でセルフリメークされ、俳優の妻夫木聡が主演している。これが中国で映画化されることになったものだ。
とはいえ、上記の報道記事にもあるように「美女缶」はもともと同名の自主制作映画をセルフリメイクしたものなので、厳密に言えば「世にも」のオリジナル作品がリメイクされるということではありません。
この辺のことは、「美女缶」の原作者である筧昌也監督もTwitterでこのようにおっしゃっています。
中国でリメイクし、映画化。原作は映画版【美女缶】となっております。この記事だとテレビ版が原作のような書かれ方なのですが、念のため。…………「世にも奇妙な物語」から「美女缶」中国でリメークし映画化―中国 https://t.co/2Ok45NSwVO
— 筧昌也 (@kakehi_maxxxaya) 2016年1月7日
これまで「世にも」作品が海外で映画リメイクされる計画はいくつか存在していまして、2007年には劇場版の「結婚シミュレーター」が韓国で、2009年には91年の「急患」をリメイクした映画「感染」がハリウッドで……と大々的に制作が進められていたようですが、どちらも諸事情により企画自体が消滅してしまった模様。となれば、この中国版「美女缶」計画が頓挫しなければ、「世にも」の(関連)作品が海外で映画リメイクされる初のケースになってしまうわけですね。
一体、どのようなリメイクがなされるのか、果たして日本で見られる日がやってくるのか、期待して続報を待ちたいものです!
◆ 朝井リョウ版「世にも奇妙な物語」秘話!?
以前から度々ご紹介していた「桐島、部活やめるってよ」「武道館」などで知られる小説家朝井リョウさんによって、「世にも奇妙な物語」での映像化を目指して書かれたという著作「世にも奇妙な君物語」。
R25などでのインタビューにてその制作秘話や、作品に関する狙いなどがご本人より語られていたのでちょっとご紹介。
《朝井リョウ ロングインタビュー「朝井リョウ、次作はバレーボールの4部作?」》
( http://r25.yahoo.co.jp/interview/detail/?id=20151217-00046487-r25 )
――ちなみに『小説現代』連載時のタイトルは『いつか、世にも奇妙な物語』。
「僕の書いたもののなかではもっとも現代の社会風刺が入っていますし、どんでん返しを意識した起承転結になっている。それだけじゃなくて、ここまで、いわゆる物語の質みたいなところから外れたほうに寄せる書き方をした作品はなかったですね。『世にも奇妙な物語』って、全体の構成にもある程度傾向があるんです。1話目にストレートに怖い話が来て、2話目と3話目には日本に変な法律ができた、みたいなハチャメチャ物語が来て、最後にはコントみたいな何でもありな話が来ることが多い。そのセオリーに則って、2時間の放送枠を意識して書きました。そうやって、物語の質みたいなところとは関係のないパッケージに寄せて書いたのも初めてでしたね」
(中略)
――今回、この作品を書いてみていかがでした?
「結構引っ張られちゃいました。他の作品も『世にも』っぽくなっちゃって、とくに全部書き終えた後に文藝春秋の『オール讀物』に書いた短編が、今回掲載分の5編も含めたなかでいちばん『世にも』っぽい話になっちゃったんです(笑)。執筆中に身についた『世にも』のセオリーがそこでいちばん発揮されちゃいました。ただ、すごくデトックスになったので、『君物語』の『君』の部分を変えてシリーズのようにしたら、新たな読者の開拓になりますし、また自分も息抜きできると思うので、そういう場所になるといいなあと思っています」
《小説家・朝井リョウさんインタビュー~新作『世にも奇妙な君物語』のキーワードは「イライラ」》
( http://gendai.ismedia.jp/articles/premium01/46754 )
――「現代を描く作家」として注目されてきた朝井さんが新作として選んだ題材は、90年より放送が開始され、タモリがストーリーテラーを務めるオムニバスドラマ『世にも奇妙な物語』。同ドラマに心酔する朝井さんだからこそ書けるオマージュ作品となっています。
『世にも奇妙な物語』は、小学校高学年の頃から、物を書くことが好きな友達とよく見ていた番組でした。
短いながら起承転結がしっかりあって、スタンダードに怖い話もあれば、最後までまったく意味がわからない話もある。その自由さが好きだったんです。ドラマを観て、自分たちでも物語を考えて遊んでいました。
今の私は、とくに直木賞をいただいた後は、就活とかSNSの話とか、「現代社会を切り取る作家」のようなイメージで見られることが多かった。何かに縛られず自由に書きたいという気持ちが沸々と出てきた時期でもあり、個人的にはデトックスにもなって凄く楽しかったですね。
――楽しんで書いたと言っても、人物設定や構成などドラマさながらにこだわり、実際にドラマのプロデューサーともお会いしているそうですね。
はい。執筆前にプロデューサーにお会いする機会がありました。ドラマでは、2時間で5編を放映します。主人公の性別を偏らせない、年齢もバランスを考えているというお話を聞いて、私も全5話の構成にして、主人公も、5話のうち3人を女性に設定しました。また、フォーマットとして重要なのが、現代的な要素があることと、どんでん返しがあるということ。現代的という部分に嫌気がさしてはいましたが、今作の目標を実際のドラマに採用されることにしようと決めた途端、子供の時のように夢中になっていました。
《朝井リョウ ロングインタビュー「リア充はエライと思ってます」》
( http://r25.yahoo.co.jp/interview/detail/?id=20151210-00046353-r25 )
朝井リョウ、1年7カ月ぶりのR25インタビュー登場である。前回の記事の終盤、彼はこう言った。
「今、息抜きに『世にも奇妙な物語』を書きたいなと思ってるんです」
どうやらこれを『世にも奇妙な物語』プロデューサーが見たらしい。
そして今回の、朝井リョウ版『世にも奇妙な物語』である新作『世にも奇妙な君物語』の刊行へとつながったという。
――フジテレビの方から「書きませんか」って言われたんですか。
「いえ、お誘いを受けたわけではないんですよ。記事を喜んでいただいて、お会いすることになって。手ぶらというわけにもいかないので、プロットを4つ持って行ったんです。今回、本になったのでいうと『リア充裁判』と『脇役バトルロワイヤル』が好感触で、見せた4本の中には『シェアハウさない』がありました。あとは万引き犯の話も書いていたんですが、それはボツにしました」
――何か言われたんですか?
「現代風刺とどんでん返し…この2つがしっかり利いている話を求めていると。それでまず、『リア充裁判』を脚本にして、直近の『世にも特別編』でやるかという流れになったんです。でもこのときすでに若い女性が主人公の話が決定していて。本家の『世にも』って主人公の性別と年齢をバラけさせてるんですよね。『リア充裁判』も若い女性が主人公なので、ならば登場事物の性別を逆転させようと。逆転版の脚本もいただいたんですけど、どうもニュアンスが変わるので、結局ダメになったんです」
なんと著作の中の一編である「リア充裁判」を映像化する計画があったとは驚き。しかも恐らく2014年の後半頃の話でしょうからまだ小説版連載前の時期。世にも風の小説を書き上げてから映像化してもらう狙いだったのかと思いきや、番組に提出した没プロットを含めて小説化したというのが実際の順序だったわけですね。
ということで、幻(?)の没作品「リア充裁判」が収録された朝井リョウさんの「世にも奇妙な君物語」は、講談社より絶賛発売中です! 朝井さんのファンだけではなく、世にもファンで興味のある方もぜひお買い求めください……と勝手に宣伝を。
◆ 中国版「世にも」情報 その16
最後は「世にも」の中国リメイク版「不思議な夏」に関する情報第16弾。
昨年11月13日にフジテレビの英語版公式Facebookの内容を管理人の素人翻訳でご紹介。
今年のアジア・テレビジョン・アワードのノミネート作が昨日発表され、
その最終候補ノミネートリストに我が社の五番組が挙げられたことをお知らせいたします!
・「HERO 2014」 (最優秀作品賞)
・「不思議な夏」 (最優秀デジタルフィクション&ノンフィクション作品賞)
・「PSYCHO-PASS 2」「信長協奏曲」「残響のテロル」 (最優秀2Dアニメーション作品賞)
ということで、今度はシンガポールで開催されるテレビアワードにノミネートされた本作ですが、翌月の発表によれば、残念ながら今回も受賞ならずという結果になった模様。
「不思議な夏」が中国での制作をスタートしてから早くも2年が経過していますが、配信前は各媒体で第2シリーズや映画化の夢を熱弁していたものの、当初の目標であった再生数3億回に対し、現時点では9880万再生。群雄割拠の中国映像配信事業の中では、苦戦を強いられている模様で、現時点では第2期の発表は無し。今後の展開に期待したいと思います。