世にも奇妙な物語 ブログの特別編

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'23秋の特別編 感想

現在当サイトでは、タイトルに『○○男』『○○女』が付く作品の人気投票企画を実施中(~12/31まで)。ファンの皆様の投票をお待ちしております! m(_ _)m

 

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奇妙なお祭りの後半戦『'23秋の特別編』の放送が、無事に放送を終えました。

 

今回は、数々の名作を生み出してきたレジェンド・星護監督5年ぶりの復帰に加え、2019年に大ヒットした「恋の記憶、止まらないで」を手掛けた岩田監督が2作品を引っ提げて帰ってくるなど、フリーク的にはかなり興奮する要素ばかり。

 

私としても放送前に行われた豪華な傑作選も手伝って、「ここ数年で最も注目に値する回だ!」と、放送の日を指折り数えて待っていました。果たして、その結果は──。

 

それでは以下、いつものように個人的な感想を。(評価は★5つが最高となっています)

◆ 永遠のふたり ★

深夜時代から番組に携わり、長年に渡って『世にも奇妙な物語』の礎を築いてきた演出家四天王の一人、星護監督5年ぶりの最新作。

 

星監督は、第1回「噂のマキオ」に始まり、「プリズナー」「女優」「サブリミナル」「恐竜はどこへ行ったのか?」「壁の小説」「パパラッチ」「エキストラ」「迷路」「越境」など数々の名作を多数手掛けてきた事から、フリークの間でも「雪山」の落合正幸監督と並び、非常に高い評価を得ている人気ディレクター。あの「古畑任三郎」のオープニングスタイルを発案したのも、実はこの方なんですね。

 

そんな星監督の5年ぶりの復帰作、しかも史上初となる監督自身の手によるオリジナル脚本とあっては期待度もMAXレベル。周りの友人知人にも「今度の特別編、特に『永遠のふたり』は絶対見るべき!」と、アツく勧めておいたくらいの期待作でございました。

 

 

そんな今回一番の目玉となった本作。開始早々「そうそう、この雰囲気こそ星護ワールドだよ~!」と大興奮。「(監督作品にはお馴染みの)ガーゴイルは今回出てくるのか?」と、画面の隅々に目を凝らしながら真剣に視聴していったのです……が!

 

作品の雰囲気に反して、やけにすっとぼけた演技の江口洋介に、(ん…?)となったかと思うと、物語が進むごとに(あれあれあれ…?)と不安がたびたび胸の中を過り、

 

終盤に至っては、(いや…ちょっと…これ…)と、私に勧められて番組を見ているであろう友人らの顔が脳裏を駆け巡る中、冷や汗が止まらなくなる始末。

 

……いくら何でも、これはまったく擁護できない……

 

本当にこれがあの星監督の作品なのかと、見終わった後もしばらく信じられませんでした。

 

 

最も気になったのは、何と言ってもシナリオと演出の極端な噛み合わなさ。『追い込まれた天才研究員の復讐譚』というストーリーでありながら、江口洋介パートは何故かコミカルな雰囲気。「一体どっちで見ればいいの?」と、見る側の軸足がいつまでたっても定まらないまま、最後まで置いていかれてしまった感が。

 

肝心のシナリオも、監督が初めて1人で書き下ろした脚本という要素を差し引いても、番組のツボがわかっているはずの監督にしては、あまりにもとっ散らかりすぎているだけでなく、練り込み不足で素材のままだしてきたという印象。これ新人が出してきたプロットなら、100%採用されてないと思うんですよね。

 

若手プロデューサー陣が日和ったのか、ネームバリューに甘えきってしまっていたのかはわかりませんが、『面白いプロットであれば大御所も新人も関係ない』という矜持でやってきたこの番組としては、かなり違和感を覚える仕上がりとなったのは確かかなと。ストレートに言えば、監督の手がけた作品の中では、桁外れのワースト作品だと思いました。

 

ファンにはお馴染みの映像美は文句無しに最高、キャスティングも申し分なし、本作のために17曲もBGMを書き下ろしてくださった蓜島邦明さんのカメオ出演も嬉しいサプライズ。何より、監督がお元気そうで本当に嬉しかった…(T_T)。でも、そんな絶大なレジェンドをリスペクトしているからこそ、評価はあえて忖度無しの★1つ。

 

偉大なディレクターが、別分野でも偉大な仕事が出来るかというと、なかなか難しいのも事実。もし長年の名コンビであった中村樹基さん辺りが脚本を担当されていたら、全然違った印象になったんじゃないかと思えてなりません。

 

今回は個人的に残念極まりない結果となってしまいましたが、それでも私は『ザ・世にも』な星監督の作品がやっぱり大好物。過去におっしゃられた「一生奇妙の監督だと思う」の発言通り、まだまだこれからも「さすが星監督!」と思える名作をどんどん生み出していってもらいたいです!

 


 

……以上が、放送直後に書いた感想。ただ、これを書いた後も私の中では『一体どうしてこんな事になってしまったのか…』という疑問がずっと渦巻き続けていました。

 

いくら久々の「世にも」とはいえ、あの大ベテランがこんなぎくしゃくした演出でGOサインを出すだろうか。これで良しとするからには、何らかの意味があったのでは。だとすれば、一体監督の狙いとは何だったのか──。

 

そこで、何度か本作を見返しながら、本作の構造を私なりに分析してみた結果、あるひとつの結論に至りました。それはズバリ『監督の演出は全くブレておらず、むしろ意図通りだったのではないか』ということ。

 

一体どういうことか。恐らく私含む大半の視聴者は、本作を『ある天才科学者の悲しい末路が、刑事の目を通して描かれていく復讐譚』として見ていたはずですよね。だからこそ、やけにコミカルな刑事や、破壊ロボなどの唐突さ、投げやりなラストなどに引っかかる方が多くなったはずなんです。

 

ただ、これをですよ。逆にへっぽこ刑事が、突然消えた天才科学者の残した謎を追う様を描いたSFミステリー風コメディ』として考えてみたら、色んな事にちゃんとした説明がつくようになるんです。

 

あらゆるコミカルさはコメディなのだから当然の演出に。唐突に登場する破壊ロボも主人公を追い詰めるギャグ的なシーンに。草彅くんのやや誇張気味の演技やシリアスな末路も、そのための前フリに早変わり。一見投げやりなラストも、コメディ物のオチとしてむしろ王道。恐らく続編があれば、彼は何事もなかったかのように別な事件を追っている事でしょう。

 

そう、本作は『永遠のふたり』というより、『へっぽこ刑事・二宮康孝の世にも奇妙な事件簿① ~VS 天才科学者編~』と言っても差し支えないコメディ作品として作られていたんですよ!!

 

 

……はい、ここまで読んで「何だそのふざけた解釈は!」と思われた方もいるかもしれません。ただ、これに気づいた瞬間、私の中にあった疑問が全て氷解したのも事実でして。

 

要するに、全ての原因は『本来、狂言回しでしかない研究員の方を、さも唯一の主人公であるかのように構成してしまっている脚本上のミスであり、そんな土台の不安定さに監督ご自身が気づかないまま、中途半端な形で作品が出来上がってしまったのが真相なのではないかと。

 

勿論、これらは私個人が一番納得できた解釈という事なので誤解のなきようお願いします。「いいや、これは誰が何と言おうとシリアスものだ!」という異論反論も大歓迎なので、ご意見のある方がいらっしゃいましたら、是非お聞かせ願えれば嬉しいです!

◆ 地獄で冤罪 ★★★

これまで「0.03フレームの女」「墓友」「サプライズ」「夢男」「視線」などを手掛け、番組の2代目ホラー担当として定評のある松木創監督 最新作。

 

本作は、通常5~6回で済む台本の改稿をなんと11回も行ったそうで、確かに細かい作り込みがなされている事は十分伝わってくる仕上がりに。松木監督の色も今回はかなり炸裂しており、『善悪の天秤の動きを現しているであろう、左右に傾く画面』は、非常に印象に残りました。劇中にもしっかり正義の女神テミスの像を映してましたしね。

 

他にも『ムンクの「殺人者」の絵画』、『ラーメン屋の壁に掛かっている緑の丸いリースや、垂れ下がった植物があるシーンで大量の髪の毛らしき物に変化している』など、松木監督がまたしても仕掛けてきた謎も実にマニア好みで、考察欲をそそられます。(SNSでは全然触れられてませんが…(T_T))

 

ただ一方で、やっぱり気になったのは主人公が地獄行きというオチ。SNSでもかなり指摘されていましたが、そこまで主人公が悪い事をしたように思えないんですよね……。必要以上に善良弁護士としてキャラ付けされていたのは勿論、殺される直前に、交番に向かおうとしてた訳ですから。

 

一応「人間の作った法律は、ここでは関係ない」というエクスキューズが添えられてはいましたが、納得できるかというと…。例えばこれが、怨霊によって地獄に引きずり込まれるという話ならまだしも、本作は"裁判"という、一見ちゃんとした形式に則っているせいで「いや、それでも情状酌量の余地はあるでしょ…」と、余計に釈然としない理不尽感を覚えてしまうのかなと。

 

また、若干こねくり回しすぎかな?と感じる部分もあり、例えば『男の首のタトゥー文字を並び替えると「YAMANE(山根) SIN(罪)」になる』といった隠し要素や、『三雲が発する4つの唸り声を並び替えたら「く~る~し~め~」になる』辺りのギミックも、アイデアとしては面白いですが、いかにも作り物然としすぎているきらいが。冷静に考えたら「順番をちょっと変えて一文字ずつ唸るって、何…?」と思わなくもないですしね…(^^;)

 

 

というわけで、ストーリーとしていくつか引っかかりがあるものの、松木監督の個性がちょうど良い具合にマッチしていた事もあり、評価は★3つ。最近の監督の安定っぷりには、今後もますます期待したいです。たまに苦手な時もありますけどね…(苦笑)

 

最後に。今回「夢男」以来、久々に裏テーマを潜ませてきたのには驚きました。「何もしない事は大きな罪です、あなたもわかってますよね」。……どれだけ気づいた方がいるかはわかりませんし、本筋がそれを活かしていたかというと難しいところですが、ドキュメンタリー畑出身である監督の気概は、しっかり伝わりました。

 


 

(※ 11/19追記)

 

脚本を担当された辻野正樹さんのFacebookによると『本来は気に入っている別なオチがあったが、フジのプロデューサーから去年の作品に似てるとの指摘を受け、放送されたオチの方向性に書き直すよう指示があった』のだとか。

 

 

いや~11回も台本が改稿された原因はこれだったんですねぇ。そう思って見返してみると、確かに苦労の跡が垣間見える気が…(^^;) そして、本来は一体どんなオチだったのか非常に気になる所。

 


 

(※ 11/29追記)

 

作品内に隠された様々な小ネタに関する情報を、常連のファンの方より頂きましたので、私の発見した物も含めて一度しっかりまとめてみました。

 

 

① 主人公の事務所にかけられている絵画、ムンクの「殺人者」。

はっきりと顔の見えない殺人者の姿を描いたこの絵は、沈黙する人間の罪を示唆するかのように様々なカットに登場。(後のラーメン屋のTVで流れる『あの絵を見てあなたが嘘とついているとわかりました』という台詞が指しているのはこのこと?)

 

 

② ラーメン屋の壁に掛かった植物が、途中で髪の毛に変化。三雲の怨念の為せる業か、もしくは主人公の世界が現実ではないことの隠喩か。

 

 

③ 男の首にある『SNYAAEIMN』のタトゥー。並び替えると『YAMANE(山根) SIN(罪)』に。

 

 

④ 主人公の事務所に飾られている夕顔の写真。夕顔の花言葉の中には「罪」「悪夢」といったものも。

 

 

⑤ 看板に書かれている電話番号が「259-19 (ジゴク イク)」とも読める。

 

 

⑥ 家族との回想シーンに、真実の口のオブジェ。この口に手を入れた際に、嘘をついている者は手首を切り落とされてしまう。主人公の罪を表す隠喩か。

 

 

いや~、わかりやすいものから、細かく見ないと気づかない物までこんなにあったんですね。

 

なお、松木監督のX (Twitter)では、これらの隠し要素を発見したファンの方のツイートを引用して『正解です』とコメントされているので、単なる深読みでない事は100%確実。そして、どうやら過去作品にも色々未発見の物があるようで、何だか深淵に入り込んでしまいそうな予感がしてきます。時間のある時にでも探してみましょう。

 

個人的には、ラーメン屋の謎のリースも気になっていましたが『我々の仕業ではありません』とあるので、全然関係なかった模様。でも、ここはあえて"円=永遠の地獄"を隠喩しているという事にしておきます(笑)

 

今後はこういった楽しみ方も、松木作品を視聴する上で押さえておくべきポイントになるかもしれませんね。こういう考察要素が大好きな方、監督の次回作はますます要チェックですよ!

◆ 走馬灯のセトリは考えておいて ★★★★

原作は、SF界で権威ある星雲賞の短編部門を2度受賞した事のある柴田勝家さんの同名小説。今回のドラマ化に際して冒頭試し読みも行われているので、興味のある方は是非ご覧ください。

 

さて、感想ですが……岩田監督って何撮らせても良い…!!!もうこの一言に尽きます。

 

以前から若いファンの方々に「岩田監督って良いですよね」「僕、岩田監督の作品好きなんですよ」と言われても、全然ピンと来てなかったんですが、ここ数年「クリスマスの怪物」「恋の記憶、止まらないで」などの良作メーカーっぷりを目の当たりにすると、否が応にも理解せざるを得なくなっちゃいますね。

 

そして、どう考えてもお涙頂戴のボーナスステージポイントだらけなストーリーを、あえてじっくり抑えたトーンで描きながら、その積み重ねでじーんと来させるスタッフの手腕もさすがの一言。

「最後のライブシーンで泣きに泣かせた後は、感動的にキエラが消えていくダメ押しで終わりだろうな…」なんて俗物丸出しの予想をしていた自分が、本当に情けなくて嫌になりますね!

 

加えて、今回キエラ役で出演された実在のVtuber 七海うららさんも全く浮く事なく、世界観に溶け込んでいて◎。本作の為に書き下ろされたという、番組史上初となるタイアップ曲「茜光」も実に良い歌でした! (絶賛配信中なので、興味のある方は是非)

 

www.youtube.com

 

近未来SF×バーチャルアイドル×奇妙という、一見イロモノ感漂う題材でありながら、スタッフのあまりに丁寧な仕事ぶりに、大いに満足…という事で評価は★4つ。

 

いやぁ~それにしても、VTuberが出演する時代が来るなんて、想像もつきませんでしたね。でも、ちゃんと番組のカラーに合ってるんだから不思議です。その時代その時代に生まれ落ちる全てを受け入れてしまう「世にも妙な物語」の懐の深さを、改めて思い知らされました。

トランジスタ技術の圧縮 ★★

原作は、SF作家 宮内悠介さんの同名小説。収録本「超動く家にて」の読者投票では全作品中第1位に輝き、続編も制作されたんだとか。なお原作は、現在全文無料公開中なので、読んでみたい方はこの機会に是非どうぞ。

 

感想としては、もはやこれは令和版「JANKEN」だなと…(笑)。第一報を見た時は、絶対植田監督作品だろうと思ってましたが、岩田監督も負けじとなかなかのオールマイティっぷりで、ハイテンションな世界観の波に乗って最後まで楽しませていただきました。

 

ただ何というか、この手の『シュールな設定×王道展開=ギャップの面白さ』タイプのコメディって、個人的にはもうお腹いっぱいというのが正直な所で……。

なんせ、ここ十数年のコメディ物の半数近くを、このタイプが占めてる訳じゃないですか。さすがに擦りすぎじゃないかなぁと思ったりもするんですよね。まあ、元々このタイプのコメディが嫌いではないけど、ツボでもないというのもあるんですが……。

 

という訳でニッチな題材を堂々と映像化した勇気を買いつつも、食傷気味な身には物足りなさもひとしおだったという事で評価は★2つ……ですが、小ネタはちょこちょこ面白かったので、0.5くらい+しても良いかもしれません。

◆ 総評 ★★

……はい。残念ながら今回はやって来ませんでした(^^;) 

 

いや~まさか「永遠のふたり」がこんな事になるとは……思いもよらぬ大誤算。ディープすぎる世界観で賛否両論に、という展開は一応予測していたんですけどね。う~む…。

 

良かった所としては、時間配分が前回よりも極端でなく、どれも20~30分程度に収められていた点。ここ数年感じていた間延び感も今回さほど感じず、良い傾向だったのでは。今にして思えば、劇中に出てきた「物語は短ければ短いほど良いものです」という台詞も、何かのメッセージだったような気がしてきます…(?)。まあでも、5話編成が一番良いんですけどね!(T_T)

 

他に細かい点でいえば、2002年から20年続いてきた植田泰史監督の連続演出記録が今年で途絶えてしまった事は残念でした。夏ドラマの「ばらかもん」と撮影時期が被っていたせいだと思うんですが、悔しい気持ちが未だ燻ってます。記録が全ては無いですが、もうちょっとどうにかならなかったかなぁと。

 

さて、SNSを覗いてみると、今回もやはり賛否両論という感じですが、概ね「走馬灯~」人気が目立っている印象。私自身も、この作品が全体を引っ張ってくれたおかげか、前回の夏よりかは好印象でした。とはいえ「永遠のふたり」の事を考えると、全体評価はガクッと下がって★2つ。期待値が高かった分、やや厳しめに。以上、総評でした。

 

 

……てなわけで、2023年の特別編もこれにてすべて終了。今年は「視線」と「走馬灯~」の2本が個人的ヒットでしたが、それでもやっぱり物足りない気持ちが。というのも、ここ数年は多くのファンが求めている「どんでん返しの驚き」「後味の悪いブラックもの」「ゾクッとくるホラー」を正攻法でぶつけて来る作品よりも、変化球の方にばかり重きを置かれているなと改めて思ったからでしょうか。

 

中村プロデューサー時代になってからの「世にも」の主な傾向として、話題になりそうな目玉作品を全体の中心にどーんと一本据える大黒柱路線と、人気声優やYoutuber、中村Pの趣味であるギャンブル、ゲーム実況、サッカーなどの関係者をやや職権乱用的に(笑)起用する…というミーハー路線とが一体になっていると思っているんですが、どちらの要素も、若者&ネット受けをあまりに優先的に考えすぎてないかなと。

 

確かに、放送中にトレンド入りはしますし、SNSでも話題になっています。ただ、そういったネタは瞬間的に消費されるのみで、満足度そのものに繋がってない雰囲気はここ最近のネットを見ていて強く感じています。2019年の「恋の記憶、止まらないで」が、そのクオリティの高さのおかげで、長期的にSNSの話題にのぼっていたのとは実に対照的。

 

これってどこか『ある程度楽しめるけど、みんなが聞きたい定番のヒット曲を全然歌ってくれないアーティストのライブ』に似てきているような気もして。SNSのトレンド入りや、若年層へのアプローチを狙おうとする新機軸の楽曲を作るのも勿論大事ですが、やっぱり皆が期待していて、ちゃんと盛り上がれる"定番ナンバー"も上手く織り込んでこその楽しいライブになるんじゃないかと思うんです。だって、特別編って"ファンみんなのお祭り"なんですからね。

 

来年はどうか、今年以上に最高に奇妙で楽しいライブのセトリを考えておいてくれる事を祈りつつ、いつもの一言で締めさせていただこうと思います。

 

スタッフ&キャストの皆さん。今年も本当にありがとうございました!

 

次回は、傑作選のますますの充実にも期待しています!

令和の地上波で「恐竜はどこへ行ったのか?」の首チョンパシーンを(その後の血がドボドボ流れ落ちるシーンはカットされたとはいえ)夕方枠で流せるなら、もう何だって放送できるでしょう!(笑)

'23秋の特別編 みどころ紹介

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夏の特別編から約5ヶ月。今年も、世にもファンにとってのお祭り"後半戦"となる『'23秋の特別編』の放送が決定致しました。

 

前回は「小林家ワンダーランド」「視線」などの意欲作があったものの、ネット上では賛否のうち"否"の方がやや多い印象であったため、そうなると残る"秋"での挽回を期待したくなるのは、ファンとして当然の心理。

 

さらに今回の放送に際し、公式サイトに掲載されているストーリーテラーのスチールが8年ぶりに撮り直されたとなれば、「この秋の『世にも』は、何かやってくれるのではないか!?」と、高まる期待にますます拍車がかかるというもの。

 

こうして見比べてみると、心なしか新撮されたテラーの表情が「期待して良いですよ」と言っている様な気がしてきませんか…? 私はしています。

 

 

そんな、我らがストーリーテラーも太鼓判を押している(?)待望の新作『'23秋の特別編』。早速今回も毎度のごとく、スタッフ&キャストデータや、個人的な見どころポイント等の紹介へと参りましょう。

 

放送前に気分を十分高めておきたい…そんな奇妙フリークな方々の一助になれば幸いです!

 

※ 11/4 時点で判明している情報に基づいており、今後も情報が追加され次第更新して行きます。

◆ 第1話「永遠のふたり」

【 スタッフ & キャスト 】(名前横は番組参加回数)

脚本&演出:星護《 35 》※単独脚本は初

【主な代表作】『警部補・古畑任三郎』『いいひと。』『僕の生きる道』『僕と妻の1778の物語』など

【主な奇妙作】『噂のマキオ(1990)』『女優(1991)』『サブリミナル(1992)』『壁の小説(1996)』『チェス(2000)』『エキストラ(2001)』『迷路(2003)』『越境(2005)』など

 

主演:草彅剛《 5 》

【主な代表作】『いいひと。』『任侠ヘルパー』『罠の戦争』など

【主な奇妙作】『無実の男(1997)』『銃男(2000)』『13番目の客(2001)』『ヘイトウイルス(2012)』

【 注目ポイント 】

★ 草彅剛が「ヘイトウイルス」以来、11年ぶりに奇妙な世界へ!

ご本人によると「『世にも奇妙な物語』の中でもすごく攻めている作品だと思います」とのこと。

 

★ 番組レジェンド・星護監督が「幽霊社員」以来5年ぶりに演出を担当!

「プリズナー」「大蒜」「恐竜はどこへ行ったのか?」など、初回から数々の名作を手掛け、ファンからの評価も非常に高い星監督が久々の再登板。自身初となるオリジナル脚本も執筆しています。

◆ 第2話「地獄で冤罪」

【 スタッフ & キャスト 】(名前横は番組参加回数)

脚本:辻野正樹《 初 》

【主な代表作】『ロスト・マイホーム』『河童の女』など

 

演出:松木創《 14 》

【主な代表作】ラーメン大好き小泉さん』『リカ』『吉祥寺ルーザーズ』など

【主な奇妙作】『未来同窓会(2007)』『墓友(2014)』『夢男(2017)』『視線(2023)』など

 

主演:北村一輝《 2 》

【主な代表作】ガリレオ』『猫侍』『天国と地獄~サイコな2人~』など

【主な奇妙作】『車中の出来事(2016)』

【 注目ポイント 】

北村一輝が、2016年の「車中の出来事」以来7年ぶりの番組出演!

ご本人によると「“世にも奇妙な物語”の醍醐味を味わえる作品」「世の中へのメッセージが含まれている、見終わったあと“ハッと”させられるような作品」とのこと。

 

★ 演出は2代目ホラー監督としてお馴染みの松木創監督!

監督によれば、通常は完成までに台本を5~6回の改稿で済ませる所を、本作はなんと11回も行ったとのこと。細部まで作り込んだストーリーに期待大!?

◆ 第3話「トランジスタ技術の圧縮」

【 スタッフ & キャスト 】(名前横は番組参加回数)

原作:宮内悠介《 初 》

【主な代表作】『盤上の夜』『カブールの園』など

 

脚本:相馬光《 3 》

【主な代表作】『教祖のムスメ』『リズム』など

【主な奇妙作】『成る(2021)』『何だかんだ銀座(2022)』

 

演出:岩田和行《 15 》

【主な代表作】絶対零度』『家族のうた』『ベイビーステップ』など

【主な奇妙作】『リプレイ(2006)』『真夜中の殺人者(2009)』『栞の恋(2010)』『来世不動産(2012)』『シンクロニシティ(2016)』『恋の記憶、止まらないで(2019)』など

 

主演:溝端淳平《 初 》

【主な代表作】ハチワンダイバー』『仮面同窓会』『どうする家康』など

【 注目ポイント 】

★ 今年創刊59周年となる実在の電子工学専門誌をテーマにした問題作!?

1964年創刊の雑誌『トランジスタ技術』の3cmという厚みをできる限り圧縮するというシュールな内容で、発行元のCQ出版社も全面協力。放送中のSNSトレンド入りは間違いなし…?

 

★ 原作は2012年に発表された、SF作家・宮内悠介による短編小説!

収録本「超動く家にて」の読者投票では全作品中第1位に輝き、続編も制作されているなど評価が高い短編である模様。ちなみに本編は、現在全文無料公開中

 

大河ドラマ『どうする家康』出演の溝端淳平が「世にも奇妙な物語」初主演!

「ツッコミどころ満載で老若男女どの方にもクスッと笑ってもらえるような作品になっていると思います。ぜひ、お楽しみください!」とのこと。

 

★ あの「恋の記憶、止まらないで」を手掛けた岩田和行監督が4年ぶりに再登板!

近年「走る取的」「クリスマスの怪物」「恋の記憶~」などのホラー・サスペンス系を主に手掛け、年々ファンからの評価が高まりつつある岩田監督。コミカルな作品の演出は、2012年の「来世不動産」以来11年ぶり。

◆ 第4話「走馬灯のセトリは考えておいて」

【 スタッフ & キャスト 】(名前横は番組参加回数)

脚本:柴田勝家《 初 》

【主な代表作】『ニルヤの島』『心霊科学捜査官シリーズ』『アメリカン・ブッダ』など

 

脚本:嶋田うれ葉《 2 》

【主な代表作】『リカ』『エール』『舞いあがれ!』など

【主な奇妙作】『人間の種(2019)』

 

演出:岩田和行《 16 》

 

主演:西野七瀬《 初 》

【主な代表作】電影少女』『あなたの番です』『ポケットに冒険をつめこんで』など

【 注目ポイント 】

星雲賞受賞のSF作家の手による近未来×バーチャルアイドルなSFストーリー!

原作は、SF界で権威ある星雲賞の短編部門を2度受賞したSF作家 柴田勝家さんの同名小説。今回のドラマ化に際し、冒頭の試し読みも実施中。

 

★ 現役Vチューバー・七海うららがバーチャルアイドル役として番組初出演!

音楽からイラストまで多岐に活動する登録者数39万人越えのVTuber七海うららが、本作の鍵を握る黄昏キエラ役として出演。VTuberの出演は番組史上初。

 

★ 元乃木坂46の人気メンバー・西野七瀬が番組初主演!

乃木坂出身者の主演は今回で4人目(超短編含む)。ご本人によると「“世にも”ならではのストーリーで面白く仕上がっていると思うので、最後まで見ていただけたらうれしいです」とのこと。

◆ プロデューサー陣

※ どのストーリーを映像化するか、誰をキャスティングするか、回全体のコンセプト・テーマ決めなど、担当者によって新作SPのクオリティが左右される超重要ポジションです ※

【 編成企画 (フジテレビ) 】(名前横は番組参加回数)

・渡辺恒也《 11 》

【主な代表作】『HERO (2014)』『逃走中(2018~)』『テッパチ!(2022)』など

【主な奇妙作】『'18秋』~『'23夏』

 

・長嶋大介《 2 》

【主な代表作】『ライオンのグータッチ』『ウワサのお客さま』など

【主な奇妙作】『'23夏』

 

・水戸祐介《 プロデューサーとしては初 》

【主な代表作】『ラジエーションハウスII』『わたしのお嫁くん』など (※演出)

【主な奇妙作】『元カレと三角関係(2022)』(※演出)

 

【 プロデュース (共同テレビ) 】(名前横は番組参加回数)

中村亮太《 13 》

【主な代表作】『ワケあって火星に住みました』など

【主な奇妙作】『'12秋(P補)』『'16秋(P補)『'18春~'19雨』『'20夏~'23夏』

 

◆ 雑感

今回の特別編で私が特に注目しているのは…… 

 

・レジェンド・星護監督が初のオリジナル脚本も手掛けた『永遠のふたり』

・近未来×SF×バーチャルアイドルという異色の組み合わせな『走馬灯のセトリは考えておいて』

 

以上2作品。

 

中でも「走馬灯~」は、今までの「世にも」にはあまり無かったタイプの作風であるため、どれくらい奇妙な世界の範囲を押し広げてくれるのかが非常に楽しみ。近未来SF×アイドルと聞くと「マクロス」シリーズしか思い浮かばない人間としては、今っぽいアイドルSFものを体験する良い機会になればいいかなと思ったりも。

 

他、これまでホラー中心だった松木監督によるサスペンスものである「地獄で冤罪」、今回二作品を担当する岩田監督久々のコメディ「トランジスタ技術の圧縮」など、これまでのディレクターのカラーから少し外した作品を取り揃えているのも、実に新鮮かつ興味をそそられまくり。

 

 

そして、何と言っても今回の特別編を語る上で一番の注目ポイントとなっている、星護監督の5年ぶりの復帰。これはアツすぎるでしょう…! 世にもフリークはみんな星監督大好きですもんね。深夜時代から「世にも」の世界観の創造に大きく貢献された方の一人ですし、手掛けた作品も傑作だらけですから。

 

「世にも」方面であまりピンと来ない方には、あの古畑任三郎』の初回を担当し、例のオープニングやエンディングの形式を発案をした人と言えば、氏の映像センスが類稀なる物である事をご理解いただけるのではないでしょうか。

 

そんな星監督の復帰だけでもかなりのビッグニュースなんですが、今回はそれだけに留まりません。なんと11月11日の夕方枠で『奇才・星護監督特集』なる傑作選企画を実施するとのこと! (関東&北海道のみ)

 

ラインナップは、23年ぶりの再放送となる「恐竜はどこへ行ったのか?(1994)」と、2000年代の人気作のひとつ「迷路(2003)」の2本。『ファンに贈る 手加減なしの傑作選』と明言されている通り、世にもファン垂涎の豪華な内容となっています。

 

一体、今年の世にもスタッフはどうしたんだ!?と思わずにはいられない嬉しいファンサービスですが、今春に行われた『フジテレビドラマプレイバック』の結果が、多少なりとも反映された結果だと、勝手に思い込む事にします! 頑張った甲斐がありました!

 

……いや~それにしても、まさか令和の時代に「恐竜はどこへ行ったのか?」が、しかも夕方枠で再放送されるなんて。誰も予想できなかったんじゃないですかね? 例の"超"グロシーンがオンエアに乗ってしまうのか、それとも上手く処理されてしまうのか、そういう意味でも楽しめそうです(?)。

 

 

というわけで、そんな傑作選に力を入れているスタッフの頑張りに加え、ジャンルのバランスの良さ、興味深いプロット、意外と新鮮なスタッフの座組み等を鑑み、今回の個人的な期待度は★★★★★で。

 

4話編成の続行がやっぱり不満ではあるものの、前情報を見る限りでは、久々に期待値の高い回になっているんじゃないかなと。ひょっとしたら今度こそ……来るかもしれません。遂に来てしまうのかもしれません!

 

はたして、今回新撮されたテラーが浮かべる微笑みは『神回への祝福』なのか、それとも『失望に対する憐れみ』なのか……その答えは、2023年11月11日 (土) 夜9時より放送される『'23秋の特別編』で確認する事に致しましょう!

 

奇妙な世界を愛する皆様、"今年最後の特別編"をどうぞお見逃しなく!

'23夏の特別編 感想

◆リクエストご協力のお願い

 

現在フジテレビでは、開局65周年を記念した特大リクエスト企画『フジテレビドラマ プレイバック!』を実施中!(6/30まで)

 

これまで放送された全フジテレビドラマの中からリクエストを募り、選ばれた作品は今夏新設される枠で再放送が実現! さらに、TVer&FODでの無料配信も行われる予定という、超太っ腹の内容となっています。

 

ただでさえ、再放送の機会が少ない『世にも』の名作を再び地上波で放送させる、またとないチャンスであり、仮に実現できなかったとしても、多くの票が集まれば今後の傑作選や有料配信等のラインナップに大きな影響を与えられるかもしれません

 

公式ページには『世にも奇妙な物語』はもちろん、関連番組の『大人は判ってくれない』や『ifもしも』のデータも掲載されており、それらへのリクエストも勿論大歓迎です!

 

奇妙な世界を愛する皆様、どうぞリクエストにご協力をお願い致します!!

 

詳細&リクエストの送り先は以下のリンクからどうぞ。

 

www.fujitv.co.jp

 


 

2023年一発目となる『'23夏の特別編』の放送も無事に終了。

前回の『'22秋』はハートウォーミング中心で物足りなかったですが、果たして今回は……?

 

以下、いつものように面倒くさいマニアの面倒くさい感想をダラダラと書き散らかせてもらいます。(評価は★5つが最高となっています)

◆ お姫様クラブ ★

原作は2008年に発表された曽祢まさこさんの同名作品。原作では『お姫様(プリンセス)クラブ』と、当て字が使われているようです。

 

さて、本作についての率直な印象としては……20年前ならともかく、2023年の「世にも」でこういった話を作る必然性があまり感じられなかったかなと。

 

主人公が特定の対象にのめり込み、やがて奇妙な世界へ…というのはこの番組での王道パターンではありますが、本作の場合は冒頭から展開が容易に読めてしまうだけでなく、あまりにわかりやすすぎる伏線も相まって、ただただ平坦な一本道を走っていた感がどうしても強くなってしまいました。既視感も強かったですし…。

 

スタッフの料理の仕方次第ではもうちょっと面白くなっても良さそうな題材だとは思うんですけどね。おっ!と思ったシーンもありましたし。久々に鈴木保奈美さんの出演が嬉しかったのを加味しても、厳しめに★1つ。

 

SNSでは原作の方が良いという声もあったので、追々確認してみたいと思います!

◆ 小林家ワンダーランド ★★

個人的に、今回の大本命として注目していたシュールな設定のコメディ作品。「BLACK ROOM」や「AIRドクター」など、バカバカしい設定の作品は大好物ですからね。今回最も多くの尺を取っている事から、スタッフとしても一番の意欲作だったのでは。

 

さて、そんな期待作であったものの、視聴後はどうもイマイチ微妙な印象が残る結果に。当初は「掴みは抜群。これは面白くなるぞ!」とワクワクしっぱなし、合間合間に挟まれる小ネタも(ややクドい物もあったとはいえ)わりと楽しめていたんですが、進んでいくうちに、徐々にその興奮がクールダウンしてしまったんですよね……。

 

そう感じてしまった原因としては、まず『尺の長さによる間延び』。

あれこれ捻りを加えて頑張っていたものの、この出オチ感のある設定を、CM含めて40分近くも勢いを持続させるのは、さすがに厳しすぎたのではないでしょうか。

 

そして、もうひとつの原因である『ラストに至る感情の流れの不自然さ』。

改めて本作を見返してみると、『幾度も出てくる"バラバラ"というフレーズ』『主人公1人だけ浮いている家族関係』『絶叫系が好きな先輩』など、オチのための伏線がしっかり張られている事がわかるのですが、一方で家族や先輩が『家族の1人をバラバラにしちゃおう!』『人間を本当にバラバラにするアトラクション楽しそう!』となってしまう極端な変化(又は元々そういう感情の持ち主であったこと)を納得させる前フリは、ほぼ存在していないんですよね。

 

これが例えば、一般家庭のテーマパーク乱立により、家族や客が「もっと刺激の強い物を…」となっていく展開であったり、主人公が孤立している原因が、他の家族の「家族の笑顔のためなら、多少の犠牲はやむを得ないでしょ!」という独善的な思想にあったり……といった要素が入ってくれば多少違ったのかなとも思うんですよ。ひょっとしたら、どんでん返しの強度を増すために、あえて省いた可能性もありますけれど、それにしても…という。

 

中には「いやいや、これは"奇妙な物語"だから」「"コメディ"、"ギャグ"だから」というツッコミもあるかと思いますが、どんな荒唐無稽なストーリーであろうと、感情の流れまで荒唐無稽な作品はまず無いと思うんですよね。そこを逸脱してしまえば、本作のように『あまりにも唐突で取ってつけたようなラスト』という印象はどうしても拭えないんじゃないかと、私個人としてはどうしても思ってしまいました…(-_-;)

 

……という訳で、掴みバッチリな設定やコンプライアンスギリギリのブラックさに挑戦した姿勢は大いに評価したいものの、どうにも納得のいかない部分を考慮し、大幅減点の★2つ。

 

最後に。本作でめちゃめちゃ笑ってしまったのが、主人公が家族から「新しいアトラクションの主役はお前だ」と説明されるシーンで流れるBGMの曲名が『have a good die(良い死を)』だったこと。

 

そんな高度すぎる小ネタ、一体誰がわかるっていうんですか!!!(笑)。

◆ 視線 ★★★★

「墓友」「サプライズ」「コンシェルジュ」など、世にもフリークの間では2代目ホラー担当として定評のある松木創監督の最新作。本回のテーマである『眼差し』をメインとして扱っています。

 

当初「う~ん、奇妙な現象をアイテムで理由付けしちゃうパターンかぁ…」と、やや不安に思っていたんですが、いざ見終わってみれば、作品の雰囲気と監督の個性がほどよくマッチした実に理想的な形になっているじゃないですか! 前回の「コンシェルジュ」よりも断然好きですね。

 

同時に思ったのが、こんなに狭い範囲の物語をよく成立させたなと。主人公がやっていることといえば、ほぼ目薬をさしているだけなんですからね。このシンプルさは、入り組んだ作品が多くなりがちな「世にも」の中ではなんとも新鮮。

 

さらに、ラストのメタな落とし方にも痺れてしまいました。これがあることで受ける印象も変わりますし、テーマもグッと深まりますからね。近年は昔と比べて、ラストカットのインパクトが弱い作品が多いように思っていたので、かなり嬉しい収穫。(贅沢をいうと、もう少し余韻を持たせておいて欲しかった気もしますが…)

 

それらのキラリと光った要素たちを大きく加点して、評価は★4つ。こういうブラック作もたまには良いなと思わされましたが、エンタメ的な派手さには欠けるため、物足りない人も多そうですよねぇ…難しいところ。

◆ 虹 ★★

毎回お馴染みの短編枠は、まさかの主人公が一切喋らないという実験的な作品。これまでたっぷり時間を取ってきた3本と比べると、テンポが早すぎて酔っちゃいそうでした…(笑)

 

ただ、ここまでやるならばいっそのこと全編台詞ゼロに挑戦して欲しかったかなと。さらに、この形式で進めておきながら、ラストにベタなメッセージをそのまま長々と喋らせてしまうのは、いくら何でも大きくマイナス評価せざるを得ません。肝心のメッセージ自体も何だかフワフワしてますしね…。

 

実験的精神は大きく買うものの、そこを省いてしまうとわざわざ「世にも」で映像化するほどの内容でもないかな…?という感想しか残らなかったため、評価は★2つ。よっぽど良いプロットが集まらなかったのか、プロデューサーか誰かの発案でやってみただけなのか…。冷静に振り返ってみると、非常に謎が残る作品です。

◆ 総評 ★★

今回はジャンルの配分も申し分なく、カラーのハッキリした物語が揃っている事にかなり期待を持っていましたが、実際は各話ともストーリーの面白さが十分に広がっておらず、率直に言えば"小さくまとまりがち"だったかなー……と。

 

そらに、今回は間延びをカバーするための"キャラクタードラマ"部分を(オチのための前フリとはいえ)『無難なハートウォーミング要素』で水増ししている箇所が多く見られ、一般的な「世にも」ファンが求めているブラックさや不気味さがより薄まっている印象を受ける人が(私自身含め)多かったのではないかなと思ったり。

 

後はやっぱり、実質3.5話編成の良さが何も見いだせない現状が、そろそろしんどくなってきたな…と。減量・減少なのは食品だけではないのが実に世知辛いです。「小林家」「視線」はテンポ良く見ればもっと印象が良くなったようにも思えますし、この間延び問題は今後長く引きずりそうですよ……。

 

また、中村Pの就任以降、ネット向けのノリにかなり特化してる節が強くなってますが、あんまり狙いすぎるのもどうなのかな~と思ってきたりも。若年層の取り込みも当然重要ですけど、そういう層もクオリティの高い作品や、ゾクッとくる雰囲気を一番に求めていると思うんですよね。『'19秋』が今なお、突出した人気を集めている理由もここにあるでしょうし。('19秋は植田&水田Pでしたが)

 

ネットでワイワイ騒がれているのを見るも嫌いじゃないですが、番組側から「さあ、どうぞネタにしてください!」と丸出しでこられてしまうと、引いてしまうのがファンの性というものですし……。やっぱりここ数年は、担当プロデューサーによって、如実に回の雰囲気が変わるんだなぁと思わされるばかりです。

 

前回の『'22秋』も物足りなさがありましたが、あれから7ヶ月経った今回をもってしても、まだまだカバーには不十分だったということもあり、全体評価は★2つということで。

SNSをざっと見ても、否の方が多い印象があるため、どうにか秋SPでぐっと盛り返してもらいたいもの。言うは易しではありますが、素人目に見ても、もう少しどうにか出来るんじゃないかと思う事が多いんですよね…。以上、総評でした。

 

 

いやぁ、毎度毎度「今度こそ褒めちぎりたい!」と思っていながらも、ついグチグチ言ってしまう面倒くさいマニアではありますが、今回も十分楽しい2時間を過ごせたのも事実ですし、まだまだ次回にも期待したい思いも事実なんです。

 

突然変異のように登場する傑作の出現するあの喜びを味わいたいのはもちろんのこと、これまで作られた560話以上の作品群を相手に闘う若手スタッフさんの物語も、じっくり見させていただきたいですからね。わざわざこのブログをご覧になるような方も、もう途中下車するつもりはないはずでしょうし…ね?(笑)

 

というわけで、スタッフ&キャストの皆さん。今回も本当にありがとうございました!

次回はもっと面白い物語を期待しています!!そして何とか5話編成の復活を!!

 

 

……さて、夏の特別編は終わってしまいましたが、フジテレビによる再放送リクエストはまだまだ受付中です。

「俺は新作よりも旧作を見たいんだよな…」というあなた、締切の6月30日まで毎日送っちゃいましょう。私も毎日送ります!

'23夏の特別編 みどころ紹介

◆リクエストご協力のお願い

 

現在フジテレビでは、開局65周年を記念した特大リクエスト企画『フジテレビドラマ プレイバック!』を実施中!(6/30まで)

 

これまで放送された全フジテレビドラマの中からリクエストを募り、選ばれた作品は今夏新設される枠で再放送が実現! さらに、TVer&FODでの無料配信も行われる予定という、超太っ腹の内容となっています。

 

ただでさえ、再放送の機会が少ない『世にも』の名作を再び地上波で放送させる、またとないチャンスであり、仮に実現できなかったとしても、多くの票が集まれば今後の傑作選や有料配信等のラインナップに大きな影響を与えられるかもしれません

 

公式ページには『世にも奇妙な物語』はもちろん、関連番組の『大人は判ってくれない』や『ifもしも』のデータも掲載されており、それらへのリクエストも勿論大歓迎です!

 

奇妙な世界を愛する皆様、どうぞリクエストにご協力をお願い致します!!

 

詳細&リクエストの送り先は以下のリンクからどうぞ。

 

www.fujitv.co.jp

 


 

さて、前回の『'22秋』から7ヶ月が経ち、今年も奇妙な世界から『'23夏の特別編』という名のお中元が届く季節となりました!

 

夏秋の放送スタイルが始まってから今年ではや3周年。すっかり夏の風物詩になりかけている我らが『世にも奇妙な物語』ですが、長年ライバルである『ほん怖』の主戦場であった季節だけに、恐怖の面でも、おもしろさの面でも、より一層磨きをかけた作品群の到来を期待したいもの。

 

というわけで今回も、そんな期待の新作『'23夏』の各話みどころ、スタッフ・キャストのデータを簡単にご紹介していきます!

 

※ 6/10時点で判明している情報に基づいており、今後も情報が追加され次第更新して行きます。

◆ 第1話「視線」

【 スタッフ & キャスト 】(名前横は番組参加回数)

脚本:エバラコウキ《 初 》

 

演出:松木創《 13 》

【主な代表作】ラーメン大好き小泉さん』『リカ』『吉祥寺ルーザーズ』など

【主な奇妙作】『未来同窓会(2007)』『墓友(2014)』『コンシェルジュ(2022)』など

 

主演:池田エライザ《 初 》

【主な代表作】『ぼくは麻理のなか』『貞子』『DORONJO/ドロンジョ』など

【 注目ポイント 】

★ モデル・監督としても活躍している池田エライザが番組初主演!

ご本人によると「“もし自分だったら…?”と考えながら見ていただけたら、より楽しんでいただけると思います」とのこと。

 

★ 二代目ホラー担当 松木創監督が、昨年の「コンシェルジュ」に続き演出を担当!

「まさに"奇妙な"現場で、なかなか大変でしたが、見たことの無い映像を実現できたと思います」とのこと。

◆ 第2話「お姫様クラブ」

【 スタッフ & キャスト 】(名前横は番組参加回数)

原作:曽祢まさこ《 初 》

【主な代表作】『呪いのシリーズ』『不思議の国の千一夜』など

 

脚本:荻安理紗《 初 》

 

演出:小林義則《 9 》

【主な代表作】『アンフェア』『HEAT』『駐在刑事』など

【主な奇妙作】『採用試験(2002)』『一本足りない(2017)』『タテモトマサコ(2020)』など

 

主演:鈴木保奈美《 2 》

【主な代表作】東京ラブストーリー』『愛という名のもとに』『恋人よ』など

【主な奇妙作】公園デビュー(1996)』

【 注目ポイント 】

鈴木保奈美が「公園デビュー」以来27年ぶりの番組出演!

ご本人によると「それぞれの立場で、それぞれの人たちが答えを見つける作品になっています」とのこと。

◆ 第3話「小林家ワンダーランド」

【 スタッフ & キャスト 】(名前横は番組参加回数)

脚本:大久保ともみ《 2 》

【主な代表作】『グッドライフ』『僕だけがいない街』など

【主な奇妙作】『ナデ様の指輪(2010)』

 

演出:淵上正人《 3 》

【主な代表作】『ゴシップ #彼女が知りたい本当の○○』『夕暮れに、手をつなぐ』など

【主な奇妙作】『配信者(2020)』『オトドケモノ(2022)』

 

主演:中川大志《 初 》

【主な代表作】虹色デイズ』『ボクの殺意が恋をした』『スクロール』など

【 注目ポイント 】

★ 『鎌倉殿の13人』『スクロール』の中川大志が番組初主演!

ご本人によると「奇妙な話なんですが、すごくポップで『世にも奇妙な物語』の中ではコミカルに描かれている方」とのこと。

 

★ 『セーラームーン』の三石琴乃、人気グラビアアイドルの篠崎愛など、多彩な顔ぶれが登場!

助演には『美少女戦士セーラームーン』『新世紀エヴァンゲリオン』などで知られる声優・三石琴乃や、アジア各国で大人気のグラビアアイドル篠崎愛など、世にもならではの珍しい顔ぶれが揃い踏みです。

◆ 第4話「虹」

【 スタッフ & キャスト 】(名前横は番組参加回数)

脚本:町田一則《 初 》

【主な代表作】『ママ・イン・ザ・ミラー』など

 

演出:土方政人《 21 》

【主な代表作】ショムニ』『謎解きはディナーのあとで』『SUITS/スーツ』など

【主な奇妙作】『罰ゲーム(1994)』『Be Silent(2004)』『捨て魔の女(2016)』など

 

主演:西畑大吾《 初 》

【主な代表作】ごちそうさん』『メンズ校』『忌怪島』など

【 注目ポイント 】

★ ジャニーズの人気グループ なにわ男子の西畑大吾が番組初主演!

ご本人によれば『一人の人を愛するってすごくステキなことだなって思えるような作品になっていると思います』とのこと。

 

★ 数々の名作を手掛けてきた土方政人監督が7年ぶりの登板!

1992年の「穴」を皮切りに90~00年代の番組を支えてきた土方監督が、2016年の「捨て魔の女」以来7年ぶりの参加となります。

◆ プロデューサー陣

※ どのストーリーを映像化するか、誰をキャスティングするか、回全体のコンセプト・テーマ決めなど、担当者によって新作SPのクオリティが左右される超重要ポジションです ※

【 編成企画 (フジテレビ) 】(名前横は番組参加回数)

・渡辺恒也《 10 》

【主な代表作】『HERO (2014)』『逃走中(2018~)』『テッパチ!(2022)』など

【主な奇妙作】『'18秋』~『'22秋』

 

・狩野雄太《 14 》

【主な代表作】『全力!脱力タイムズ』『デート ~恋とはどんなものかしら~』『スタンドUPスタート』など

【主な奇妙作】『人気番組競演編(協力P)』『'17春~'22秋』

 

・長嶋大介《 初 》

【主な代表作】『ライオンのグータッチ』『ウワサのお客さま』など

 

【 プロデュース (共同テレビ) 】(名前横は番組参加回数)

中村亮太《 12 》

【主な代表作】『ワケあって火星に住みました』など

【主な奇妙作】『'12秋(P補)』『'16秋(P補)『'18春~'19雨』『'20夏~'22秋』

 

・村木美砂《 2 》※初プロデュース

【主な代表作】『ぼくの推しは王子様(2021)』など

【主な奇妙作】『'19秋(アシスタントP)

 

◆ 雑感

今回の特別編で私が特に注目しているのは…… 

 

鈴木保奈美の26年ぶりの主演となるブラック(?)作『お姫様クラブ』

・シュールな設定で大いに楽しませてくれそうな『小林家ワンダーランド』

 

以上2作品。

 

残る「虹」と「視線」は真っ当な作りであることが窺えるものの、どう転ぶか予想がつかないので、ダークホース枠として期待したいですね。中でも「視線」は、癖が強いために、個人的に当たり外れの大きい松木監督の最新作になりますが、似たような題材を扱った傑作「大注目の男」と、どれだけ差別化できているかが肝かな…と。

 

一方、全体の印象としては、前回「'22秋」がハートウォーミング中心で構成されていたのに対し、今回はブラック、ホラー、感動、コメディと、それぞれのカラーが異なる作品群をバランスよく集めた"特別編の王道"といった構成で好感が持てます。

 

加えて、新人作家中心&珍しい座組のベテラン演出家勢という"読めなさ"もマニア的にそそられるものが。個人的には、大ベテラン土方監督久々の登板がアツいですね!

 

 

さらに、今回は久々に事前の傑作選に力を入れているのも注目ポイント。

6月12日から5日間、連日過去作品が放送されるのですが、驚くべきはそのラインナップ。(※関東と北海道(16日除く)のみ

 

  • 6/12 「スキップ」「しみ」
  • 6/13 「燃えない親父」「フォロワー」
  • 6/14 「トイレの落書」「公園デビュー
  • 6/15  '19秋の特別編
  • 6/16  '22秋の特別編

新旧ファンを唸らせた傑作「恋の記憶、止まらないで」を含む『’19秋』まで持ってくる力の入れようも勿論ですが、何と言っても14日のラインナップに腰を抜かした世にもフリークの方、多いのではないでしょうか!?

 

なんせ、キムタク主演の大傑作「トイレの落書」と、2014年に傑作選での放送予定が中止となった鈴木保奈美主演の名作「公園デビュー」の再来という、ファン垂涎の組み合わせ! これに興奮しない人はいないでしょう。

 

『とにかく旧作をやすやすと再放送させない』でお馴染み(笑)ジャニーズ事務所も、キムタク主演の月9を宣伝するためという名目で何とか許可を出したようで、実に約27~8年ぶりの再放送となります。これがいかに凄いことか! 世にもファンは、あの事務所に散々泣かされてきてますからね……(T_T)

 

恐らく上部にデカい宣伝テロップが出ちゃうと思いますが、キムタクファンも、高画質で名作を見たいというあなたも、今回ばかりは録画予約を絶対にお忘れなきよう! この機を逃したら、かなり甘く見積もっても今後十数年は録画するチャンスが無いと思いますのでね!!!『世にも』では、25年以上再放送されない…なんて事例がザラにありますから!!!

 

 

……というわけで、前宣伝から見るスタッフの本気度もプラスして、今回の期待度は★★★★と、少し高めに。前情報を見る限りでは、全体的に満足のいく特別編になってくれそうな空気も感じているので、前回の物足りなさを払拭してくれる出来であるよう祈りたいところです。

 

なんせ番組予算の問題とはいえ、近年は1話削減の現状がどうもハマってない感がありますからね。よっぽど豪胆なプロデューサーさんでもやってこない限りは当分この状況が続くと思うので、ここらで『4話編成も案外悪くないかもなぁ…』と思わせて欲しいなと。予感が当たってくれると良いのですが…(^^;)

 

 

さあ、そんなこんなで今年最初の奇妙なお祭りまでもう残りわずか。奇妙な世界に潜む新たな物語たちが手ぐすねを引いて、今か今かと待っています。全国の世にもファンの皆様、準備の方はよろしいですか?

 

'23夏の特別編は、2023年6月17日 (土) 夜9時より放送です。どうぞお見逃しなく!

 

'22秋の特別編 感想

今年最後の回となる『'22秋の特別編』が無事に放送を終えました。

 

前回は「何だかんだ銀座」「メロディに乗せて」などインパクト大の作品が勢揃いし、SNS上でも大きな話題となりましたが、その流れを受けた今回、番組スタッフは一体どのような仕掛けに打って出てくるのか、ドキドキしながら視聴致しました。

 

それでは以下、各話の感想をいつものようにダラダラと参ります。(評価は★5つが最高となっています)

◆ 元カレと三角関係 ★★★

原作は2019年にTwitter上にて発表され、当時大きな話題となったQuquさんによるWeb漫画。2020年には、本作を含む作品群をまとめた短編集『死んだ彼氏の脳味噌の話』として書籍化もされています。

 

 

さて、そんな第1話目はド直球の感動作。見る前は"泣けた"という評判が散見されたため「無理に泣かせに来る様な作品は好みじゃないからなぁ…」と不安な気持ちもありましたが、いざ見終わると結構グッと来ている自分が。

 

冷静になってみると、かなり自分勝手な彼氏ではあるんですが(笑)、上手くその辺を誤魔化してくれているジャイアン声のロボットの愛らしさはもちろんのこと、原作の良さを最大限に膨らませようとしている脚本・演出の仕事ぶりが垣間見えたのが印象的でした。

 

 

例を挙げるなら、ロボットのジュンが主人公の家にやって来た理由。

原作のジュンは、自分の都合を優先する自己中心的な素振りが強く見られ、主人公の元にも『別れてからも主人公のことが忘れられず、死ぬまでの時間を一緒に過ごしたくなった』と押しかけてきます。こういう所が別れた原因なんだろうなと察するものの、「よくこんな男のワガママを聞く気になるよなぁ…」という思いも浮かんで、物語にちょっと入り込みにくかったんですよね

 

一方の映像版では『大怪我によって動けない中、喧嘩別れしたまま死ねないと、治るまでの期間を主人公と過ごしたくなった』という、本当の事を隠しつつ、主人公の心情に配慮するアレンジに変更。ジュンの優しさや、主人公への想いを感じさせるセリフに改変することで、受ける印象も全く違っています。「ああ、こういう男ならワガママ聞いてやれるのかもな」と一応納得でき、この絶妙なさじ加減が上手いですよね~。

 

 

演出面でもお馴染み共同テレビの面々ではなく、久々にフジからディレクターを招いたこともあってか、いつもの感動モノとはちょっと違う仕上がりに。見せ場である湘南以降のシーンも、悔しながらちょっとウルッと来そうになっちゃいました。

 

そんな泣かせどころをしっかり押さえているのも良いですが、個人的には中盤、窓から漏れる光が十字架の形になっている隠喩に気づいた時はシビレました。マニアはみんなメタファー大好きですからね(?)。

 

逆にツッコミどころとしては、「いくら何でも未練タラタラすぎないか?」「主人公には新しい彼氏がいるのに、自分たちの結婚式の真似事をしたがるのはどうなのか?」「この元カレやけに発声が良すぎないか?」など、いくらでも挙げられるんですが、ここまでまっすぐなお話を見せられると、何を言っても無粋だな……という気も。う~ん、ズルい!

 

 

そんなズルさが悔しくもあり、時間配分もちょっと長いように思えたため、そこを差し引いて評価は★4つ寄りの3つで。もし私が脚本家だったら「死ぬ前のジュンが、主人公とアキラの結婚式のために奔走し、無事見届ける」くらいに大胆な脚色をしたくなっちゃいそうですが、原作の良さをより活かす事を優先したスタッフの判断がやっぱり正解なのでしょうね。良いお話でした!

 

なお、放送後から作者ご本人が描き下ろしたスピンオフ漫画『リスクマッチ』Twitterにて絶賛公開中です。原作では描かれなかったエピソードが読めるのはここだけ。本作の余韻が未だ忘れられない方、ぜひご覧ください。

コンシェルジュ ★★★

これまで「0.03フレームの女」「墓友」「サプライズ」「夢男」「スキップ」などを手掛け、フリークの間では10年代以降の2代目ホラー担当として知られる松木創監督の最新作。

 

 

松木作品はその個性の強さ故、個人的に当たり外れがデカい印象があるため、放送前には期待と不安が五分五分といった感じでしたが、本作は……当たりでした!

 

いや~普通の心霊や怪異ものより、奇妙な恐怖が題材になった時の松木監督は実にハマりますね。久しぶりに「そうそう、監督のこういう話を見たかったんだよ!」という気になれました。

 

ストーリーは基本的には世にもでの王道である怪しい人物がエスカレートして…の展開。そんな中、不気味な色をまぶしたコミカルシーンや、棺桶関連のちょっとシュールな(お馴染みの?)シーンも良いスパイスになっており、松木監督の手掛ける唯一無二の世界観を存分に堪能させてもらえたのではないかなと。

 

脚本にはなかったと言うゴヤの絵も要所要所でテーマを浮かび上がらせていて◎。全ては悪魔が手伝っただけなのか、それとも手の平の上だったのか……色々考察できる余白を大胆に作っているのも、(意図的なものであれば)近年の「わかりやすさ重視」に対抗しているようで、好感が持てます。

 

というわけで、評価は★4つにしたい所ですが、一方でゾクッと来るポイントがもう少し欲しかったな…という思いも。世にものホラーやブラックモノのレベルはまだまだこんなもんじゃないはず…という今後の期待を込め、評価は★3つ。これからの松木監督にますます注目ですね。

 

あと、本作を見て思ったんですが、監督にはシュールコメディ作品も意外と合うんじゃないかなと。いざやってみたら、ネットを騒がせる超怪作が出来上がるような気がするんですが……コンシェルジュの大神さん、どうかよろしくお願いします。

◆ わが様 ★★★

ドラマファンの間では「古畑任三郎」などの三谷幸喜作品の演出で知られ、世にもでも「23分間の奇跡」「和服の少女」「ボランティア降臨」など、初期から携わる大ベテラン河野圭太監督による、ハートウォーミングな1編。

 

 

世にもでの『中年男性』×『感動モノ』はテッパン中のテッパンであり、本作も例に漏れずしっかりヒットを出せたのでは。日常に近い奇妙にぴったりな題材、主人公の変化の振り幅、わが様が欲しがっていたもの、全ての要素が綺麗にまとまっていて、今回の中では最もクオリティの高い作品だったと思います。

 

ただ、「コンシェルジュ」を挟んでいるとはいえ、ハートウォーミング物が2度目となると若干食傷気味になってしまったのも事実。特別編って、放送順やジャンルのバランス配分もかなり重要な要素ですからね。

 

また、あまりに卒が無さすぎて、全体から見るとやや地味な印象もあったかなと。そういうわけで評価は★3つ。やっぱりハートウォーミング物は回に1本くらいがちょうどいいよな…という思いを新たにしました。

 

……あ、そうそう。中盤の「オトドケモノです」連呼って、あれ絶対狙ってますよね?(笑)

◆ ちょっと待った! ★

2002年の「声を聞かせて」から20年連続で番組の演出を務め、今作で史上3人目となる30作目の大台に乗った、メインディレクター植田泰史監督のコメディ作。

 

そんな記念すべき作品であるということや、私の好きな藤子F先生の「自分会議」のようなテーマが扱われているということもあり、期待作のひとつでもあったんですが……率直に言うと全く好みに合わない作品でございました…(-_-;)

 

アイディアそのものは面白いんですが、蓋を開ければ類型的な登場人物が入れ代わり立ち代わりワチャワチャとベタな喧嘩をするだけで、セリフや展開の面白さといったものが特に感じられず。視聴中も「画面の中だけはドタバタコメディの雰囲気になってるけど…」と、若干置いてけぼりにされてる気持ちに。途中「これまだ終わらないのかな…」と無意識に時計を見てしまったのに後から気づき、自分自身ちょっとショックでした(T_T)

 

そして今回も4話目はお手軽な短編として割り当てられているせいか、脚本の作り込みも他の3話と比べてかなり甘めな印象。ラストは「何で他の客は気にしてないんだ?」という疑問を打ち消すための捻りが若干効いていたものの、何だか綺麗に収めようとしすぎな着地となり、う~む……。

 

 

というわけで、とことんツボから外れていることもあり本作の評価は★1つ。お手軽な作風だったせいか、「世にも」らしさをあまり感じられなかったほか、植田監督の良さもほとんど出てなかったような…。次回作に期待です。

 

 

しかしホント、ここ数年の3.5話構成みたいな配分、一体何のためにやってるんでしょうね。ひょっとしたら、視聴率的な利点から割り出された事なのかもしれませんが、不必要な縛りや序列が発生してしまうため、それぞれのディレクターが自分の作品で勝負するというこれまでの図式が崩れてしまう訳で、番組の良さを大きく毀損することにしかなってないような気がするんですが…。何とか各話平等に扱って欲しいもの。

 

最後に。しいて良かったこと挙げれば、世にもを見たことがない若いジャニーズファンの方々が、番組に触れる良いキッカケになったこと。意外とこういうことがキッカケで「番組のファンになりました!」という方、国内外に結構多いんですよね。今回ここから1%でも奇妙な世界の虜になる方が出てくだされば、昔からのファンとして言う事無しです!

◆ 総評 ★★★

「'19雨」以来3年ぶりにハートウォーミング物を中心とした今回。取ってつけたようなどんでん返しや、派手な飛び道具の無い素直な作りの物語が揃っているためか、3年前と比べて視聴後の印象はだいぶ良いものでした。

 

一方で全体的に綺麗にまとまりすぎて、どこか小粒になってしまったような気も。ちゃんと見れば悪くないけれど、後々の記憶にはあまり残らない……そんな地味なタイプの回だったと言えるかもしれません。

 

こうなった理由は、前回の夏があまりにぶっ飛んだ作品ばかりだったせいで、続く秋でそのバランスを取ろうとしたのかもですが、やっぱりあれですね……

 

すっっっっっごく物足りないですね!!!(笑)

 

放送前にこうなるであろう空気は感じていたため、十分そこを理解した上で視聴していたものの、いざ見終わってみるとあまりに胸の中がこざっぱりしていて、妙な居心地の悪さが…(^^;)

 

やっぱり「世にも奇妙な物語」の花形といえば、ホラーやブラックなど後味の悪い作品であり、感動モノやコメディは合間合間に添えるぐらいの配分が理想的と思っているのは恐らく私だけではないはず。ネットの反応を見ても、賛否が二極化している印象でしたし。

 

 

ただ、今回は単に"感動モノばっかりの回"として見るのも、少し違うなと思っていまして。例えば、第1話目からストレートな感動モノを配置した点。これ実はすごいことやってるんですよ。

 

我らが「世にも」では、最初の掴みが大事ということもあり、ホラーやブラック、インパクトの強いコメディ……といったジャンルを1話目に持ってくるのが定石。

 

もちろん、過去には「ボディレンタル」(2008)、「未来同窓会」(2007)といった、ハートウォーミングオチを初手に持ってきた例がいくつかありますが、どれも序盤はブラック系の雰囲気を帯びているため、そこから外れている「元カレ~」を持ってくるのは、番組史上から見てかなり異例の事なんですね。普通なら3話目のはずですもん。

 

しかも、5話中3話が感動モノだった「'19雨」と違い、今回は4本中3本を感動オチが占める、史上最大の濃度の濃さ。昨今のウクライナ戦争や値上げラッシュなどによる暗い世相を意識しての判断なのかもしれませんが、ここまで来るとある意味、夏よりぶっ飛んだ事をやっていないか?と。そういう視点で見れば、史上稀に見る挑戦的な回だったのではとも思うわけです。

 

 

が、そんな新たなチャレンジ自体は評価したいものの、前述の通り小粒な回であり、ひどく物足りない印象はどうしても拭えないため、全体評価は★3つ。どうせなら、全話感動モノにするくらいの攻めっぷりを見せて、ネットがすごいことになるのもちょっと見てみたかった気もしますが…(笑) 以上、感想でした。

 

 

さて、この物足りなさを抱えたまま年を越すのはちょっと寂しくありますが、一方で来年への期待はみるみる急上昇していたり。というのも、同じくハートウォーミング中心で不評を買った「'19雨」の次にやってきたのはどんな回だったかということですよ。

 

……そう、数多くのホラーファンから好評を博し、当サイトで行った2010年代作品人気投票でもぶっちぎりの1位を記録した傑作「恋の記憶、止まらないで」を引っ提げた人気回「'19秋の特別編」!

 

今回SNS上では「感動モノだらけでガッカリ『世にも』見るのやめる」「コンプラのせいでホラーがもう作れなくなったんだ」という声が一部で散見されましたが、長年『世にも奇妙な物語』を見続けてきたマニアとしては、決して今回だけを見て早合点なさらぬように!!!ということを声を大にして叫ばせていただきたいと思います。3年前に同じパターンで'19秋をスルーして大後悔した方、ちょこちょこいらっしゃいますからね…。

 

 

色々語ったものの、今年の特別編もおおいに楽しませてもらったことには変わりありません。次回はここからの反動による大飛躍を期待して……また来年、奇妙な世界の扉の前に皆様ぜひ集まりましょう。もしサッパリな出来だった時は、またその次の回に期待するということで(笑)。

 

最後にスタッフ、キャストの皆さん。今年も本当にありがとうございました!

 

来年こそはどうか5話構成に戻っていますように…。

'22秋の特別編 みどころ紹介

さあ、今年も全国の世にもファンが待ちわびていた秋祭り『'22秋の特別編』の時期がやって参りました。

 

前回は、飛び道具的な1編「何だかんだ銀座」、衝撃のオチをぶつけてきた「メロディに乗せて」など、バラエティに富んだ内容でSNS上での評判も上々。続く秋編でも、この流れを受けてより一層楽しい奇妙を繰り広げてくれることを期待したいものです。

 

それでは、毎度おなじみ『'22秋』各話の見どころ、スタッフ・キャストのデータ紹介を。

 

※ 11/5時点で判明している情報に基づいており、今後も情報が追加され次第更新して行きます。

◆ 第1話「元カレと三角関係」

【 スタッフ & キャスト 】(名前横は番組参加回数)

原作:Ququ《 初 》

【主な代表作】『死んだ彼氏の脳味噌の話』など

 

脚本:いながわ亜美《 初 》

【主な代表作】『シンデレラゲーム』『いぶり暮らし』など

 

演出:水戸祐介《 初 》

【主な代表作】『ラジエーションハウスⅡ ~放射線科の診断レポート~』『やんごとなき一族』など

 

主演:土屋太鳳《 初 》

【主な代表作】『まれ』『累 -かさね-』『やんごとなき一族』など

【 注目ポイント 】

★ 「まれ」「やんごとなき一族」の土屋太鳳が番組初主演!

ご本人によると「本当に切なく温かくいとおしい物語」「大切な人と幸せを願いながら、秋の夜とともに見ていただけたらと思います」とのこと。

 

★ 原作は2019年にSNS上で発表され、3万RT、10万いいねを記録したWEB漫画!

本作は、先日SNS上で大きな話題を集めた『死んだ彼氏の脳味噌』と共に、2020年の書籍化に繋がるヒットを記録したハートウォーミングストーリーとなっています。

◆ 第2話「わが様」

【 スタッフ & キャスト 】(名前横は番組参加回数)

脚本:保木本佳子《 初 》

【主な代表作】未成年だけどコドモじゃない』など

 

演出:河野圭太《 16 》

【主な代表作】古畑任三郎』『マルモのおきて』『4分間のマリーゴールド』など

【主な奇妙作】『23分間の奇跡(1991)』『ボランティア降臨(2009)』『燃えない親父(2020)』など

 

主演:沢村一樹《 3 》

【主な代表作】浅見光彦シリーズ』『DOCTORS~最強の名医~』『刑事ゼロ』など

【主な奇妙作】『さとるの化物(2000)』『心臓の想い出(2001)』

【 注目ポイント 】

沢村一樹が2001年の「心臓の想い出」以来21年ぶりの番組出演!

ご本人によると「それぞれの立場で、それぞれの人たちが答えを見つける作品になっています」とのこと。

◆ 第3話「コンシェルジュ

【 スタッフ & キャスト 】(名前横は番組参加回数)

脚本:金子洋介《 初 》

【主な代表作】『本棚食堂』『わるふざけ』など

 

演出:松木創《 12 》

【主な代表作】ラーメン大好き小泉さん』『リカ』『吉祥寺ルーザーズ』など

【主な奇妙作】『未来同窓会(2007)』『墓友(2014)』『スキップ(2021)』など

 

主演:観月ありさ《 3 》

【主な代表作】『放課後』『ナースのお仕事』『斉藤さん』など

【主な奇妙作】『奇跡の女(2001)』『殺し屋ですのよ(2004)』

【 注目ポイント 】

観月ありさが「殺し屋ですのよ」以来18年ぶりの番組出演!

ご本人によると「ハートフルすぎず、切なさも残しながら、”最後にここへとつながるのか!”という、本当に奇妙な話」とのこと。

 

★ 番組の現ホラー担当としてお馴染み松木創監督1年ぶりの新作!

ホラー好きの間で人気の高い松木監督作がこの秋も登場。「指折りと言える“不穏シーン”が撮れたという手ごたえを得ることができました」とのこと。

◆ 第4話「ちょっと待った!」

【 スタッフ & キャスト 】(名前横は番組参加回数)

脚本:赤松新《 3 》

【主な代表作】『生理ちゃん』『ランチ合コン探偵』など

【主な奇妙作】『幽霊社員(2018)』『鍋蓋(2019)』

 

演出:植田泰史《 30 》

【主な代表作】キミ犯人じゃないよね?』『人生が楽しくなる幸せの法則』など

【主な奇妙作】イマキヨさん(2006)』『JANKEN(2011)』『何だかんだ銀座(2022)』など

 

主演:渡辺翔太《 初 》

【主な代表作】『簡単なお仕事です。に応募してみた』など

【 注目ポイント 】

★ 大人気ジャニーズグループSnow man渡辺翔太が番組初主演!

ご本人によると『台本を読んでいる最中から、奇妙さを味わいました。でも、すごくメッセージ性のある作品』とのこと。

 

★ 世にもフリークにはお馴染み、植田泰史監督の30回目の担当作品!

この秋で20年連続参加という記録を樹立した植田監督が、遂に30作目の大台へ。落合、星両監督に続く3人目の快挙です。

◆ プロデューサー陣

※ どのストーリーを映像化するか、誰をキャスティングするか、回全体のコンセプト・テーマ決めなど、担当者によって新作SPのクオリティが左右される超重要ポジションです ※

【 編成企画 (フジテレビ) 】(名前横は番組参加回数)

・渡辺恒也《 9 》

【主な代表作】『HERO (2014)』『逃走中(2018~)』『ゴシップ#彼女が知りたい本当の〇〇(2022)』など

【主な奇妙作】『'18秋』~『'22夏』

 

・狩野雄太《 13 》

【主な代表作】『全力!脱力タイムズ』『デート ~恋とはどんなものかしら~』『推しの王子様』など

【主な奇妙作】『人気番組競演編(協力P)』『'17春~'22夏』など

 

【 プロデュース (共同テレビ) 】(名前横は番組参加回数)

中村亮太《 11 》

【主な代表作】『ワケあって火星に住みました』など

【主な奇妙作】『'12秋(P補)』『'16秋(P補)『'18春~'19雨』『'20夏~'22夏』

 

◆ 雑感

今回の特別編で私が特に注目しているのは…… 

 

・これまでとまたちょっと違った趣の松木ホラー(?)最新作『コンシェルジュ

・メインディレクター植田監督の通算30作目となる『ちょっと待った!』

 

以上2作品。

 

今回のラインナップをパッと見た感じだと、ハートウォーミング、ほっこり系が中心かな?という印象を受けるため、『19雨』ぶりに、いまいちグッと来ていない自分がいるのが正直な所。

 

一方、前回に引き続き、中村Pを筆頭とした近年お馴染みのプロデューサー陣が揃っているということもあり、良い意味で予想を裏切ってくれることを期待したいですね。

 

その辺りの"裏切り待ち"を鑑みて、今回の期待度は★★★。仮に印象通りの作品ばかりになったとしても、無難に楽しめる出来になっているとは思うので、どれだけ加点ポイントがあるかが鍵じゃないかなと。今回はなかなか読めません。

 

 

というわけで、放送まで残り一週間を切った『'22秋の特別編』。名作、珍作、迷作、怪作……一体どんな物語が我々の目の前に現れるのでしょうか。既に待ちきれないファンの方も、初めて見る方も、奇妙な奇妙な秋の夜長をじっくりと満喫いたしましょう!

 

 

'22秋の特別編は、2022年11月12日 (土) 夜9時より放送です。どうぞお見逃しなく!

 

'22夏の特別編 感想

全国の世にもファンがTVやモニターの前に集まる年2回のお祭り、その前半戦となる『'22夏の特別編』が放送を終えました。

 

今回は、2015年秋から恒例となっていた事前プロモーション企画(「ががばば」「西野ン」等)を一切取り止め、公式Twitterを中心とした素朴なスタイルの番宣に。これはさらなる予算削減の結果なのか、それともマンネリ化や費用対効果を考えての英断だったのかは不明ですが、ただ穏やかに放送日を待つという過ごし方は久々で、逆に妙な新鮮味を帯びていたように思います。

 

その一方で『Kis-My-Ft2北山宏光や、元乃木坂46生田絵梨花といった若年層を意識したキャスティング』、『30年ぶりの一般公募の受賞作品が映像化』、『10年ぶりとなるお笑い芸人原作作品』など、PR企画休止の穴を埋めるような、世間的注目度の高い要素が充実した装いに。さらに今回からTVerでのリアルタイム配信もスタートし、視聴者にとってこの上ない万全の体制が整う形となりました。

 

そんな、またひとつ大きな節目を迎えることとなった(かもしれない)今回。一体どんな名作・珍作がお目見えするのか……いつも以上にじっくり鑑賞させていただきました。

では以下、毎度の如く感想をダラダラと。(評価は★5つが最高となっています)

◆ オトドケモノ ★★

原作は、昨年『少年ジャンプ+』とのコラボによって開催された『奇妙漫画賞』の準大賞作

私の方でも応募間もない頃から本作に注目しており、以前書いた記事の中でも『題材、展開、どんでん返し、風刺、どれを取っても世にもらしさを一番体現している!』と、大賞予想第1位に選んでいました。(結局大賞作無しになってしまいましたが…)

 

そんな、個人的にイチ推しの応募作でもあっただけでなく、完全な一般公募作の初映像化という番組史上初の偉業を打ち立てることとなった「オトドケモノ」。今回の特別編の中でも一番の期待作として注目しておりました。

 

 

……ところが、蓋を開けてみると、なんだか微妙な印象が残る結果に。

 

原作では『謎の空間に閉じ込められる』所がオチになっていたのですが、映像版ではそこからさらに二転三転の展開を追加。これは選考にあたって『さらにもう一展開、裏切りのあるラストがあれば…』という理由により大賞を逃してしまったことによる、必然的なアレンジなのでしょう。

 

その判断は大いに肯定できるのですが……個人的にはひねりを加え過ぎていて、逆にダラダラと続いているような印象を強く受けてしまいました。どんでん返しが起こる度に主人公が(CMが挟まるのも含め)いちいち仕切り直してるせいなんでしょうかね…どこかテンポも悪かったように思います。

 

 

引っかかった所としては、まず終盤の主人公が配達員になったシーン。

あのラストを持ってくることが判っておきながら、主人公が配達員になったことを先にガッツリ見せちゃうのは一体どういうことなんでしょう…? 

 

また、お姉さんが大量生産されたアンドロイド的存在であり、さらに彼女たちを監督する人間がいるなど、ストーリー上まったく機能していないどころか、ただアプリやキャラクターのミステリアスさをぶち壊すだけの余計なネタバラシには非常にガッカリしました。2010年の「ニュースおじさん、ふたたび」といい、こういう辻褄の合わせ方は好きじゃないですねぇ。無粋が過ぎる!

 

 

続くラストも、主人公が復讐として彼女の前に現れ続ける道を選んだのか、それとも脱出したさに奇妙な世界の一員として取り込まれてしまったのか…如何様にも取れる形での幕引きとなりましたが、イマイチ腑に落ちず。

 

仮に前者であったとして、妻側がアプリを使うのを止めてしまえば意味がない訳で 。何なら旦那やお手伝いに取りに行かせるという手もありますからね…大きな財力を手に入れた裏切り者への復讐としては効果が薄すぎることに。後者であっても、アプリ側に主人公を雇う意味が果たしてあるのかどうか、疑問に思う部分も。

 

 

イチオシの応募作品が映像化された嬉しさのある一方、程よく完成されていた料理に独自に加えた調味料がどうにもこうにも引っかかる……というわけで減点して★2つ。

 

こういったアレンジになってしまうのであれば、(多少ベタとはいえ)「プリズナー」的なオチにするか、原作通りにやってしまった方がスッキリして良かったんじゃないでしょうか。今後も準大賞作の映像化があるならば、どうか上手いアレンジをお願いしたいものです!

 

なお放送後から、本作のスピンオフ読み切り『オトドケモノアナザーズ』がジャンプ+で無料公開中。こちらも原作に負けず劣らず面白いストーリーになっているので、「オトドケモノ」の世界をさらに楽しみたい方は是非ご覧ください。

◆ 何だかんだ銀座 ★★★

記念すべき通算555話目は、村崎羯諦さんによる短編集『余命3000文字』に収録されている同名作品が原作。実はこれ、元々2019年に小説投稿サイト『小説家になろう』にて掲載されていたもの

近年投稿サイト発の映像化が増加傾向にありましたが、昨今の漫画・アニメ界を席捲している『なろう』作品まで世にもに登場とは……新たな時代の到来をまざまざと感じさせてくれます。

 

 

さて、本作は事前の公式コメントにもあった通り、どシュールな設定全開の問題作。一方でストーリー展開は少年とペットモノにありがちな王道路線となっており、その二つを組み合わせて生じる強烈な違和感を面白がらせるという、過去「どつきどつかれて生きるのさ」「JANKEN」「石油が出た」等でお馴染みの構造となっています。

 

正直この手のタイプの作品は、"ギャップの面白さ"という一本槍のみで勝負するため、そこからさらに派生した面白さを求めたいタイプの人間からすると、イマイチな印象になることが多かったんですよね。ところが、いざ本編が始まってみると……楽しく視聴している自分が

 

ここ最近のコメディ群は、演出側で過剰に面白さを盛ろうとする傾向が度々見られ、必要以上の悪ノリに思えてやや冷めてしまう部分があったんですが、今回はジュブナイル的な世界観に軸を置き、シュールな設定をくっきりと際立たせる落ち着いたトーンでの演出に。植田監督のコメディとしても、この雰囲気の作品は珍しく、笑いとハートウォーミングのバランスが絶妙な塩梅となっていたように思います。

 

フジの渡辺Pによると93年の映画『水の旅人 -侍KIDS-』(これまた懐かしい!)を意識したらしく、そこの影響も当然あるのでしょうが、結果的にこれまで私の中にくすぶっていた小さな不満点が一切無い出来となったことは、非常に嬉しい収穫でした。こういう植田コメディも悪くないなと。

 

 

続いて、賛否両論となったラストについて。原作では、会長がオカネモチだったと判明する所でエンドとなっていますが、ドラマ版での意外などんでん返しを受け、SNS上では「自分を捨てた主人公への復讐説」、「気に入った物に執着する習性により主人公を捕獲した説」、「会社に飼われる社会人のメタファー説」、「富裕層による搾取構造のメタファー説」、果ては「ボーイズラブオチ説」など、様々な解釈が飛び出す始末…(^^;) まあベタに考えると2番目でしょうね。

 

原作通りだと終盤の展開があまりにもミエミエすぎるため、アレンジを加えたかった判断は支持できるものの……個人的にはもうちょっと上手い見せ方があったような気がします。前フリが効いているので無理のあるオチではないんですけど、納得感がやや薄めで……本当に微妙なさじ加減なんですが…。

 

 

そして、もうひとつ不満点を挙げると……ちょ~っと番組コンセプトから逸脱してしまってないかな?と。

 

本来この番組は「現実から一歩踏み出した所にある奇妙」というのが基本コンセプト。どんなに奇妙な世界観であろうと、ファンタジー世界や宇宙を舞台にしたスペースオペラの様な物は取り扱わず、現実世界から奇妙へと迷い込んだり、その延長線上に生まれた奇妙な社会を生きる主人公を描く方針が昔から貫かれている訳ですよ。

 

一方、本作の場合は、昆虫のように徘徊しているお金持ちがいたり、子供がそれを飼うことが一般的になっていたり、ペット対象となっている存在が一般人より上の地位に就いているという不思議な構造など、法律や社会構造の変化では説明の付かない異様な世界観。それが主人公の日常であり、迷い込んだ訳ではありません。そのため、どこか次元の違う異世界の出来事を見せられているようで『片足が現実側に付いていない』印象をどうしても抱いてしまいました。

 

とはいえ、2001年の「ママ新発売!」くらいにぶっ飛びまくっていたら「ま、いっか!(笑)」という気持ちも無くはないんですが、あれもぶっ飛んでるのは表面の部分だけで、基本構成そのものは、ママに幻滅した女の子が新しいママを買うために不思議な店へ行くという、『現実から奇妙な世界へ』というコンセプト通りの作りになっていますからね。

 

本当に小さ~~~~いことなんですが、このラインを超えてしまうと悪い意味で"何でもあり"になってしまうので、ギリギリの所で踏みとどまってもらえたらなぁ…なんて、マニアとしては思うのでした。『蟻の穴から堤も…』なんて言葉もありますし。……面倒くさいですね。すみません。

 

…というわけで、十分楽ませてもらったものの、小さなモヤモヤ2個分を差し引いて評価は★3つ。何だかんだ言ったものの、ネット上での評判も上々でしたし、こういったしっかり楽しめるコメディは今後もどんどんチャレンジしていってもらいたいです!

◆ メロディに乗せて ★★★★

今回唯一のオリジナル作品。近年「燃えない親父」「優等生」など、視聴者にインパクトを残す作品を手掛けられた天本絵美さんが脚本を担当していることもあり、一番のダークホース候補として注目しておりました。

 

で、肝心の結果はというと……スタッフ、やりやがったなと(笑)

 

 

作中で煽りに煽っているので、とんでもないバカオチになるであろうことは薄々感づいていたんですよ。そんな最中「まさか?」と妙な想像が脳裏をよぎり、ドキドキしながら見届けた結果……しっかり笑わせていただきました(^^;) なんというメタなオチ!! 「今回のテラーパートは映画館が舞台か。久々だなぁ」なんて思ってたら、それすら伏線だったとは。まんまとやられてしまいました。

 

いやー、完全に読めてたとはいえ、期待を裏切らなかった所が実に良いです。最近全然なかったじゃないですか、こういう一発ネタに全力を賭けるタイプの作品。しかも、これまでの「世にも」で一度もやらなかった、ある意味で禁じ手のネタですよ。ちょっとした感動まで覚えちゃいましたね。

 

私の評価基準の中には、面白い脚本や雰囲気たっぷりの世界観に並び、"これまでの作品群を踏まえ、いかに新しい事にチャレンジしているか"という項目も入っているんですが、見事にこのアイディアを堂々とやりきった姿勢は、大いに評価するしか無いでしょう。

もう大体のパターンをやり尽くしてしまっていたと思いきや、まだまだ「世にも」にはやれることがあったし、それをやってしまおうという精神がちゃんと残っていたんですねぇ…(T_T) 良かった良かった。

 

 

もちろんオチのインパクトだけでなく、コメディ、サスペンス、ラブストーリーと、「優等生」同様にあらゆるジャンルを行ったり来たりする楽しさもバッチリでしたし、後半の3つのBGMが入り乱れるシーンもクスリと出来て、満足度も高め。

彼氏が主人公を刺すシーンなんかは、初見「ちょっとご都合的すぎるかな…」と思わなくもなかったですが、こちらは改めて見返すとしっかり前フリが存在しているため、ある程度納得できるものに。

 

 

一方、不満点。1つ目は、毎度のことながらもう少しコンパクトにしたらもっと良かったのになと。天本さんらしい丁寧な仕事ぶりではありましたが、やっぱり冗長さというのは隠しきれないというか何というか。

 

2つ目は、本当に贅沢な事を言うんですけど……あのままテラーの語りを経てEDに入ってくれてたら最高にエモかったんじゃないですか!?。 あのBGMが流れて終わるのは番組であって、作品そのものが終わるのは「プレゼント」「殺人者は後悔する」「ファナモ」の3例しかない…というのもありますしね。それで終わってくれたら、もう完全に心掴まれてたのに……ってやっぱり贅沢でしょうか。

 

というわけで(?)、チャレンジ精神を大いに買いつつもちょっぴり減点して評価は★4つ。こういうオチに大きく重点を置いた作品の登場に、今後も期待したいです!

 

 

その他、細々した所では、年始頃にSNSで大流行した『落ち着いて聞いてください』パロや、近年ニコニコ動画で火がついた「スネ夫が自慢する時のテーマ」など、ネットユーザー向けの小ネタが目立ったのも印象的でした。その辺に親しんでいる若い世代が番組の中核になっているんだなと改めて実感。いや~今後こういうネタにどこまで付いていけるんでしょう、ちょっぴり不安だなぁ…(^^;)

◆ 電話をしてるふり ★★★

原作は、吉本所属のピン芸人 バイク川崎バイク(BKB)さんによる同名のショートショート。元々2020年のコロナ自粛期間に書き始めた物だそうで、発表当時に『映像化してほしい。世にも奇妙な物語のいい話ブロックとかとかで』とおっしゃっていた所、2年後にまさかの実現となりました。

 

 

さて、率直な感想としては、割りとベタなハートウォーミング物といった感じ。ここまで直球に泣かせにかかるタイプの話を見ると「うっ…」となっちゃう質ではあるものの、掴みのあるキャッチーな入りに加え、テンポの良い短編だったこともあり、意外と好印象でした。

 

やっぱりこれくらいの時間配分であればこそ、短編の魅力も活きてきますし、これぞ「世にも」の真骨頂だなと思わされるばかり。ここまでハイカロリーな作品が続いていたこともあり、この爽やかな味わいは、私としても非常に有り難かったです!(笑)

 

 

ツッコミどころとしては『スピーカーにすれば良いのでは?』『何で主人公にだけ話をしないの?』『何で急に最後ってことになるの?』という所が挙げられますが、原作者によると『本人と喋ると通話自体ができなくなるという天国側の事情』があり、『主人公の嫁入り前のタイミングで最後に話をしようという思いがあった』という裏設定があるんだそう。

 

……とはいえ、見ていてその辺が引っかかる人が結構多いと思うので、裏設定に留めておくよりかは、もう少し上手くその辺の説明を処理できていれば良かったのではないかなぁ~と思ったりも。単なる説明不足・ご都合展開に見えちゃいますしね。

 

気になる部分やベタな所は多少あるものの、色んな意味で濃かった全体を最後にグッと締めてくれた丁寧な作りを加味し、評価は★3つ。今回久々にハートウォーミングが最後に来ることになりましたが、昔からのファンからすると、やっぱり感動物で締めてこそ古き良き特別編って感じがしますよね。

 

 

最後に、本作を語る上で触れないわけにはいかないラストシーンの解釈について。

放送後、SNSにて『ラストで主人公の写真が仏壇にあるってことは死んだの!?』と、視聴者の間で解釈が二分し、大きな話題となりました。

 

私としては「あそこで主人公の死を出すのは、(どんでん返しとしても)全体の流れやテーマから見ておかしすぎる」、「主人公が死んでいるなら位牌が2つあるはず(又は繰り出し型)だが、1個のまま」、「仮に遺影だとしても、置き場所や父の遺影を手にしている写真のチョイスが不自然すぎる」等の点から、『主人公が死んだとは全く読み取れないため、確実にハッピーエンド』という立場。

 

しかし、このシーンは原作には存在していないオリジナル要素であることに加え、テラーの語りが「あなたが見たのは他人とは全く異なる物語だったかも…」という内容であったため、「ひょっとしてスタッフが狙っている可能性もある…?」とじわじわ迷いが生じていた部分も。ここ最近は、唐突なブラックオチも多いですからね。

 

そんな風にモヤモヤしていた矢先の6月24日。原作者のBKBさんが自身のYoutubeチャンネルで、本作についての解説動画を公開し、制作側の意図が明かされました。

 

youtu.be

 

動画内の説明によると、あくまで『結婚式が無事に終わって、その時の写真を仏壇に飾ってあげた』というシーンであり、「制作サイドはそんなつもり(主人公が死んだ)で出してない」……とのことで、やはりハッピーエンド説が正解である模様。結局、誤解を招いた原因は『やや不気味な感じにも見える演出をしてしまった』ということみたいですね。

 

しかし、世の中には作者の意図よりも、作品それ自体を重視する"テクスト論"という考え方もありますし、BKBさんも「ブラック派を否定する気はなく、さすが世にもファンだと思った」「その人がそう思ったらそれが答え」「むしろ怪我の功名で、考察が繰り広げられて嬉しかった」とおっしゃられているため、結局はテラーの言葉通り『あなたの解釈次第』という所に落ち着いてしまうのかもしれません

 

これを読まれているあなたは、どう解釈しますか?

◆ 総評 ★★★

前回の記事にて、ジャンルごとのバランスが取れていることからいつもの世にも奇妙な物語を期待しているファンの方には、ホッとできる特別編になるでしょうねと書きましたが……ホッとできるどころか、あまりの乱高下に終始振り回されっぱなしでしたよ!(笑) 

 

とにもかくにも今回は「何だかんだ銀座」「メロディに乗せて」の2作に尽きるでしょう。これらの意欲作がしっかり結果を出した形になったかなと。SNSでもこの2作は特に好評の声を見かけることが多かったですしね。私としても、去年の特別編より満足度は高かったです。

 

 

ほか、マニア的な目線から言えば、2018年から若手スタッフとして携わり、昨年にメインプロデューサーとなった中村亮太氏が、今回自身初となる単独プロデュースをすることになったこともあってか、いつも以上に意欲作が揃っていたように思います。

 

かつて後藤Pが初めて単独で手掛けた『'14秋』以降、様々な新しい風を吹き込んでくれたように、中村Pも今後の「世にも」を背負って立つメインプロデューサーとして、20年代の番組を引っ張っていってくれること間違いないでしょう!

 

そんな訳で、今後の中村P主導による「世にも」に期待十分!……と手放しで言えたら良いんですが、実はここ最近の動向を見ていて、若干心配な気持ちがあったり。

 

 

というのも、著名なYouTuberで加藤純一さんという方がいらっしゃるそうなんですが、実は中村P…その加藤さんに関係している方を、毎回キャスティングするという謎のこだわりを持っているようなんですね。

 

全てSNS経由で知った物であるため、漏れがあるかもしれませんが、ざっと羅列してみると……

 

  • 20秋「アップデート家族」(加藤さんの飼い犬ハナちゃん)
  • 21夏「三途の川~」(加藤さんと親しいYoutuberの"もこう"さん)
  • 21秋「優等生」(加藤さんとラジオ番組をやっている"オーイシマサヨシ"さん)
  • 21秋「優等生」(BGMにオーイシマサヨシさんと加藤さんが歌う楽曲を使用)
  • 22夏「オトドケモノ」(加藤さんと親しいYoutuberの"みゃこ"さん&再び飼い犬のハナちゃん)

といった具合に、偶然と呼ぶにはあまりにも出来過ぎた流れ。(ほか「メロディに乗せて」で流れた「ザナルカンドにて」というBGMも、ファンの間で有名なネタに関係している模様)。

 

これらの開始時期や、公式Twitterでの発言などの状況証拠に加え、加藤さん周辺からも『番組プロデューサーが大ファンらしい』、『キャスティング権を持っているプロデューサーさんから直接オファーが来た』などの発言が目につき、中村Pの意向と見てほぼ間違いないでしょう。

 

加藤さん関係以外でも、近年パチスロライターの方など異業種のゲスト出演も目立っておりますが、これも『Pがファンだからオファーが来た』という話がチラホラ聞こえてきており、『好きな有名人をチョイ役でも良いから使いたい!』という思いが相当強いのが窺い知れます。

 

もちろん、プロデューサーにはそういう権限があるため、好きにキャスティングすること自体は問題ありません。聞いた話では『TVを見ない世代にもPRしたい』という説明があったそうですが……にしては、偏りすぎているような。

 

さらに、これがキッカケで(?)プロデューサーが昨年行われた加藤さんの結婚式に招待されたという関係者の話を耳にすると、『番組を利用して、好きな有名人とお近づきになりたいだけじゃ…?』という、ミーハーな職権乱用感をやや感じてしまい、面倒くさいマニアとしてはやや身構えてしまったりもするんですよねぇ…。

 

中村Pが加藤さん関連をよほど好きなのか、何が何でも加藤さんご本人を起用するために外堀を埋めようとしているのかはわかりませんが、明らかに個人的な事情が絡んでいるのはほぼ確実。「ちょっと番組を私物化してない?」という思いと「でもちゃんと一定のクオリティの物出してきてるし…」という思いの狭間で、去年辺りから何とも言えない気持ちになっていて…う~む…(^^;)

 

そんな私の心情は置いといても、加藤さん周りのファンの間で年々「媚びていて寒い」「ネットノリを出してきて恥ずかしい」「ズブズブじゃないか」等の否定的な声が増え始めており、変な方向での炎上を招くような事になったら怖いなぁとハラハラもしていたり。ジャンルは違えど、オタクやマニアってこういうやり口を嫌うものですからね…。

 

ひとまずの所は今後の展開次第ですが、前々任の後藤Pが世にもの可能性を広げる動きを見せてくれたように、中村Pも何かしら番組をさらに飛躍させてくれる様な進め方をしてくれることを祈るばかりです。

 

その辺りの不安と期待も加味して全体の評価は★3つ。「メロディに乗せて」の挑戦的姿勢を鑑みて★4でもよかったかもしれませんが、ここはあえて厳し目に。せめて「オトドケモノ」がもう少し納得の行く出来であれば…。

 

 

最後に、スタッフ、キャストの皆さん。本当にありがとうございました!

EDでは2年ぶりに次回予告がありませんでしたが、既に秋SPの放送も決定しているようですし、今回の好評に弾みを付けて、よりいっそう楽しい奇妙が見られることを楽しみにしています!