世にも奇妙な物語 ブログの特別編

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ほんとは泣ける世にも奇妙な物語 後編

前回に引き続き、ワタクシ白虎が独断と偏見で選んだ「感動作品ベスト10」。

予定より少々遅れてしまいましたが、後編である今回は、いよいよ残りの5位~第1位をご紹介します。

 

(出来るだけネタバレにならない程度に解説しますが、苦手な方はご注意ください)

◆ 第5位「怪我」 (1996年 春の特別編)

ある夫婦に念願の赤ちゃんが誕生した。そんなある日、妻が体中に怪我をして帰ってきた。夫の心配をよそに妻の傷は翌日には消えてしまうが、その後も妻の体に傷が現れたり消えたりするようになっていった。

 

(「世にも奇妙な本」より)

 

原作は「死神のいる街角」に収録されている中井紀夫さんの同名作品。

 

この「怪我」は、恐怖という、感動から最も遠いジャンルを用いて、感情の振り幅を最大限まで広げた作品です。

 

何といっても、この作品は誰が見てもインパクトたっぷりの特殊メイクの怪我の不気味さに尽きます。今見ると多少チープな感はありますが、安易なCGと違うリアル寄りのチープさが生み出す良い意味でのキモチワルイ違和感が最高です。そこからとことん不気味な空気を煽ってからのあのラスト。"母"の強さを前にして、きっとあなたも胸のどこかがじんと熱くなっているかも…。

 

ラストはもう感動感動の嵐になっていますが、そこまで胸焼けする感じがしないのは、やっぱり「恐怖からの大きな振り幅」のお陰でしょう。今回挙げている10作品では唯一のソフト化作品ですので、興味のある方は是非ご覧いただきたいと思います!

◆ 第4位「嘘八百屋」 (1991年 第2シリーズ)

ある日、圭子は「嘘八百屋」という店を見つける。表には"嘘のセリフ"の文字が書かれていた。

恋に悩む圭子が店の老人に「別れましょうというセリフがほしい」と告げると、その老人は不思議な水を一緒に古びた一個の受話器を差し出す。

 

(「世にも奇妙な本」より)

 

原作は少女漫画家のよしまさこさんの同名作品が原作。

 

……はい、これは完全に私の趣味です(^^;)。

「名作」で検索しても、全くと言って言いほど名前が挙がらない、というかファン層がほぼ限られている作品には違いありませんが、個人的にTVシリーズの感動物では一番好きでして。

 

正直この作品の好きな所を挙げればキリが無いんですが、「世界観」と作品中に流れる「空気感」が好きです。

 

まず「世界観」。不思議な商品を取り扱うお店を見つけ…というのは、世にもだけでなく、よくあるタイプのストーリーではありますが、本作は"不思議な商品"自体に焦点を当てていない所が、あくまでちょっとだけ主人公の背中を押す程度の効力に留めている所がすごく良いんですね。

 

もう少し詳しく言うとその「嘘」を売るお店の商品が、本当に効力を発揮したのか、曖昧な感じになっているのがたまらないんですよ。オマケでもらった電話を通して話すある人物との会話も、果たして本当なのか、夢か何かだったのか……。そんな事まで考えてしまいそうなこの「嘘」が起こす小さな物語。

こういう小さい範囲の限られた人数だけの現代ファンタジーっぽい作品、本当に大好きなんです。これぞ日常に一番近い奇妙だなと!

 

そしてもう一つ劇中の象徴的なアイテムとなっている「雨」。演出と相まっていちいち良いんですよ雨のシーンが。雨上がりの空の下を歩くラストシーンを見るだけで、見ているこちらも雨上がりの様な清らかな気分になってしまいます。

 

涙を流すというよりも、胸の中に溜まったもやもやを綺麗に洗い流してくれるような爽やかな作品。作品の世界観にハマれるか否かで、好き嫌いがか・な・り激しく分かれる作品だと思うんですが、上記の文を読んで、少しでも興味を持たれた方は是非一度ご覧頂きたいと思います。

 

そして、好きになったら私と一緒に声を上げてください!(?)

◆ 第3位「美女缶」 (2005年 春の特別編)

 フリーターの雄太は、同棲中の彼女・春子が急に出張に行くことになり、しばしの一人暮らしを始める。

が、隣に引っ越してきた怪しいオジサンが気になって仕方がない。

その風貌に似合わず、いつも美女が部屋に出入りしていて、しかも、その人数が半端ではないのだ。ふとした出来心で、隣の部屋に侵入する雄太。そこで、彼は「美女缶」なるものを発見した…

 

(フジテレビ広報部「パブペパNo.05-084」より」)

 

2003年に公開された自主制作映画のリメイク作品。原作はゆうばり国際ファンタスティック映画祭オフシアター部門グランプリ、そしてみちのく国際ミステリー映画祭オフシアター・コンペティション部門グランプリという実に華やかな経歴を持つ作品ですが、一体どのような経緯で本作が世にもに採用されたのか気になることです。

 

巷では、別れの切なさという物がメインに語られている様ですが、私としてはその背景に潜む切なさがこの作品の魅力だと思っています。

 

美女缶を使う主人公はフリーター。バイトも決まらず、彼女も出張でしばらくいない。だけど実は…。美女缶を大量に開けて、ハーレム生活を満喫する隣人の富田。そんな彼も女性にモテるタイプだとは言いにくい。美女缶から生み出され、本人はいたって普通の人間だと思っているサキ。そして、作中で孤独には見えかったはずである主人公の彼女ハル。

 

これらの人々にまつわる物語の背景にあるのは、孤独とそれをどうにかして埋めようとする人間の哀しさ。しかも、誰もが理解できてしまうのがまた哀しいわけですよ。

 

このリメイク版美女缶。終わりよければ全て良しというように、あのラストシーンが評価を大きく分ける原因になったのは間違いありません。もしも、あのラストが違ったものになっていれば、私の評価もガラッと変わっていたはず。悲哀と悲哀が触れ合った末の物哀しいラスト……。そこへ想像力を巡らしてからが、この「美女缶」の真の魅力が発揮される時かもしれません。

◆ 第2位「時の女神」 (1994年 七夕の特別編)

沢田は小学生時代、七夕の夜に白い服の女性を見かけた。高校生、社会人になっても偶然彼女に出会う。

しかし、こちらは成長しているのに、いつ見ても女は昔のままの姿でいた。やがてふたりは結婚をするが…。

 

(「世にも奇妙な本」より)

 

はい出ました。世にも奇妙な物語の感動作品の中でも1,2を争う名作「時の女神」です。正直、第1位と第2位の間でかなり悩みましたが、1位との僅差でこの位置に来させていただきました。

 

原作は筒井康隆さんの同名作品。こちらもかなり短い作品になっており、後から原作を読んでそのシンプルな内容に呆気にとられたのを覚えています。

 

本作はもう会えないはずの人との再会というモチーフを少しSFチックに料理し、時を超えての愛の物語に昇華した超名作です。余計な言葉や描写を削ぎ、原作同様にシンプルでありながら、深い感動を巻き起こす、感動作品のお手本といっても過言ではないでしょう。二人の最後の再会であるとともに、全てのピースがはまるラストを見れば、きっとあなたのベスト作品になること間違いなし。男なら絶対に(略)

 

演出は落合正幸監督。ホラーの名手として名高い落合監督ですが、実はこういった叙情的な演出も得意な方だったりします。「さよなら6年2組」「ハッピーバースデー・ツー・マイホーム」「私の赤ちゃん」の他、ifもしもの「"別れましょう"か"結婚しよう"か」など、落合監督の手がけたハートウォーミング作って意外に傑作が多いんですよね。「おばあちゃん」も、前半だけ見ればよくできた感動物ですし(笑)

 

ホラーも感動も、共に観客の心を動かすジャンルに違いないので、その辺も関係しているんでしょう。監督は2000年頃のインタビューで「時の女神」の映画化を考えているという話をされていましたが、是非いつか実現して欲しいところです。

 

今後、これを超えるほどの感動作が出てこないんじゃないかと不安になってしまうほどの完成度の高さ。「世にも奇妙な物語」ファンを名乗るならば、絶対に見ておくべき作品。何はともあれ、まずは一度見てみてください。かなりオススメです!

◆ 第1位「冷やす女」 (2000年 春の特別編)

アパートの一室でキョウコは冷房をガンガンにかけ、バケツに氷をためて部屋を冷やそうとしていた。登山服姿で部屋の片隅にうずくまるケンジに「我慢してね」と優しく声をかけ、キョウコは次から次へとコンビニへ氷を買いに走る。

 

(「世にも奇妙な本」より)

 

私の選ぶ第1位は、豊川悦司脚本演出にて制作された「冷やす女」です。

泣けるというより、とにかく切なさ溢れる作品ですが、私のツボをとことん刺激してくれる良作でございます。

 

冷ややかでありながら、どこか奇妙感のある映像と、作品全体に溢れる透明の氷の様に澄んだ空気感。まるで短編映画の様な味わいの一本。美しいラストシーンを経ての胸に湧き上がる切ない感情は、しばらく忘れられない事でしょう。

 

小さなアパートの部屋の中で繰り広げられる、小さいながらも素敵な奇妙。好きな人ならばとことん好きになることは間違いなし。滅多に名前の出ない作品ではありますが、私としてはもう少し評価されても良いんじゃないかと、声を大にして言いたいものですね!今後こういう素敵な作品が出るのを、私は密かに待っています。

 


 

以上が、ワタクシ白虎の選んだ「世にも奇妙な物語」感動作品のベスト10となります。

中には「どうして○○がないんだ!」と不服に思われる方もいるとは思いますが、あくまで私個人のチョイスなので、そこは舌打ち程度でご勘弁いただければ(^^;)

 

とはいえ、これ以外にも「夢を買う男」や「思い出を売る男」「2040年のメリークリスマス」「僕は旅をする」などなど、他にも名作が存在するので、感動物があまりお好きでない方も、ホラーやコメディー作品にばかり比重をおきがちになってしまいがちというそんな方々も、「なーんだ、感動物か」と見るのを辞めようとする手をちょっと止めて、一度、ハートウォーミングな奇妙の世界を覗いてみていただきたいと思います。

 

きっと、あなたの名作が一つは見つかることでしょう。それが「世にも奇妙な物語」の醍醐味というものです! 感動作品シリーズの再評価の時は今だ!

 

次回の「本当に○○な世にも奇妙な物語」第2弾はまだ未定ですが、こういうジャンル・モチーフを取り上げて欲しいという物がありましたら、是非参考にしたいと思いますので、コメント欄・BBSなどへご意見をいただければと思います。今年はもう少しブログの更新率を増やせるよう頑張ります、はい(--;)