世にも奇妙な物語 ブログの特別編

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'23夏の特別編 感想

◆リクエストご協力のお願い

 

現在フジテレビでは、開局65周年を記念した特大リクエスト企画『フジテレビドラマ プレイバック!』を実施中!(6/30まで)

 

これまで放送された全フジテレビドラマの中からリクエストを募り、選ばれた作品は今夏新設される枠で再放送が実現! さらに、TVer&FODでの無料配信も行われる予定という、超太っ腹の内容となっています。

 

ただでさえ、再放送の機会が少ない『世にも』の名作を再び地上波で放送させる、またとないチャンスであり、仮に実現できなかったとしても、多くの票が集まれば今後の傑作選や有料配信等のラインナップに大きな影響を与えられるかもしれません

 

公式ページには『世にも奇妙な物語』はもちろん、関連番組の『大人は判ってくれない』や『ifもしも』のデータも掲載されており、それらへのリクエストも勿論大歓迎です!

 

奇妙な世界を愛する皆様、どうぞリクエストにご協力をお願い致します!!

 

詳細&リクエストの送り先は以下のリンクからどうぞ。

 

www.fujitv.co.jp

 


 

2023年一発目となる『'23夏の特別編』の放送も無事に終了。

前回の『'22秋』はハートウォーミング中心で物足りなかったですが、果たして今回は……?

 

以下、いつものように面倒くさいマニアの面倒くさい感想をダラダラと書き散らかせてもらいます。(評価は★5つが最高となっています)

◆ お姫様クラブ ★

原作は2008年に発表された曽祢まさこさんの同名作品。原作では『お姫様(プリンセス)クラブ』と、当て字が使われているようです。

 

さて、本作についての率直な印象としては……20年前ならともかく、2023年の「世にも」でこういった話を作る必然性があまり感じられなかったかなと。

 

主人公が特定の対象にのめり込み、やがて奇妙な世界へ…というのはこの番組での王道パターンではありますが、本作の場合は冒頭から展開が容易に読めてしまうだけでなく、あまりにわかりやすすぎる伏線も相まって、ただただ平坦な一本道を走っていた感がどうしても強くなってしまいました。既視感も強かったですし…。

 

スタッフの料理の仕方次第ではもうちょっと面白くなっても良さそうな題材だとは思うんですけどね。おっ!と思ったシーンもありましたし。久々に鈴木保奈美さんの出演が嬉しかったのを加味しても、厳しめに★1つ。

 

SNSでは原作の方が良いという声もあったので、追々確認してみたいと思います!

◆ 小林家ワンダーランド ★★

個人的に、今回の大本命として注目していたシュールな設定のコメディ作品。「BLACK ROOM」や「AIRドクター」など、バカバカしい設定の作品は大好物ですからね。今回最も多くの尺を取っている事から、スタッフとしても一番の意欲作だったのでは。

 

さて、そんな期待作であったものの、視聴後はどうもイマイチ微妙な印象が残る結果に。当初は「掴みは抜群。これは面白くなるぞ!」とワクワクしっぱなし、合間合間に挟まれる小ネタも(ややクドい物もあったとはいえ)わりと楽しめていたんですが、進んでいくうちに、徐々にその興奮がクールダウンしてしまったんですよね……。

 

そう感じてしまった原因としては、まず『尺の長さによる間延び』。

あれこれ捻りを加えて頑張っていたものの、この出オチ感のある設定を、CM含めて40分近くも勢いを持続させるのは、さすがに厳しすぎたのではないでしょうか。

 

そして、もうひとつの原因である『ラストに至る感情の流れの不自然さ』。

改めて本作を見返してみると、『幾度も出てくる"バラバラ"というフレーズ』『主人公1人だけ浮いている家族関係』『絶叫系が好きな先輩』など、オチのための伏線がしっかり張られている事がわかるのですが、一方で家族や先輩が『家族の1人をバラバラにしちゃおう!』『人間を本当にバラバラにするアトラクション楽しそう!』となってしまう極端な変化(又は元々そういう感情の持ち主であったこと)を納得させる前フリは、ほぼ存在していないんですよね。

 

これが例えば、一般家庭のテーマパーク乱立により、家族や客が「もっと刺激の強い物を…」となっていく展開であったり、主人公が孤立している原因が、他の家族の「家族の笑顔のためなら、多少の犠牲はやむを得ないでしょ!」という独善的な思想にあったり……といった要素が入ってくれば多少違ったのかなとも思うんですよ。ひょっとしたら、どんでん返しの強度を増すために、あえて省いた可能性もありますけれど、それにしても…という。

 

中には「いやいや、これは"奇妙な物語"だから」「"コメディ"、"ギャグ"だから」というツッコミもあるかと思いますが、どんな荒唐無稽なストーリーであろうと、感情の流れまで荒唐無稽な作品はまず無いと思うんですよね。そこを逸脱してしまえば、本作のように『あまりにも唐突で取ってつけたようなラスト』という印象はどうしても拭えないんじゃないかと、私個人としてはどうしても思ってしまいました…(-_-;)

 

……という訳で、掴みバッチリな設定やコンプライアンスギリギリのブラックさに挑戦した姿勢は大いに評価したいものの、どうにも納得のいかない部分を考慮し、大幅減点の★2つ。

 

最後に。本作でめちゃめちゃ笑ってしまったのが、主人公が家族から「新しいアトラクションの主役はお前だ」と説明されるシーンで流れるBGMの曲名が『have a good die(良い死を)』だったこと。

 

そんな高度すぎる小ネタ、一体誰がわかるっていうんですか!!!(笑)。

◆ 視線 ★★★★

「墓友」「サプライズ」「コンシェルジュ」など、世にもフリークの間では2代目ホラー担当として定評のある松木創監督の最新作。本回のテーマである『眼差し』をメインとして扱っています。

 

当初「う~ん、奇妙な現象をアイテムで理由付けしちゃうパターンかぁ…」と、やや不安に思っていたんですが、いざ見終わってみれば、作品の雰囲気と監督の個性がほどよくマッチした実に理想的な形になっているじゃないですか! 前回の「コンシェルジュ」よりも断然好きですね。

 

同時に思ったのが、こんなに狭い範囲の物語をよく成立させたなと。主人公がやっていることといえば、ほぼ目薬をさしているだけなんですからね。このシンプルさは、入り組んだ作品が多くなりがちな「世にも」の中ではなんとも新鮮。

 

さらに、ラストのメタな落とし方にも痺れてしまいました。これがあることで受ける印象も変わりますし、テーマもグッと深まりますからね。近年は昔と比べて、ラストカットのインパクトが弱い作品が多いように思っていたので、かなり嬉しい収穫。(贅沢をいうと、もう少し余韻を持たせておいて欲しかった気もしますが…)

 

それらのキラリと光った要素たちを大きく加点して、評価は★4つ。こういうブラック作もたまには良いなと思わされましたが、エンタメ的な派手さには欠けるため、物足りない人も多そうですよねぇ…難しいところ。

◆ 虹 ★★

毎回お馴染みの短編枠は、まさかの主人公が一切喋らないという実験的な作品。これまでたっぷり時間を取ってきた3本と比べると、テンポが早すぎて酔っちゃいそうでした…(笑)

 

ただ、ここまでやるならばいっそのこと全編台詞ゼロに挑戦して欲しかったかなと。さらに、この形式で進めておきながら、ラストにベタなメッセージをそのまま長々と喋らせてしまうのは、いくら何でも大きくマイナス評価せざるを得ません。肝心のメッセージ自体も何だかフワフワしてますしね…。

 

実験的精神は大きく買うものの、そこを省いてしまうとわざわざ「世にも」で映像化するほどの内容でもないかな…?という感想しか残らなかったため、評価は★2つ。よっぽど良いプロットが集まらなかったのか、プロデューサーか誰かの発案でやってみただけなのか…。冷静に振り返ってみると、非常に謎が残る作品です。

◆ 総評 ★★

今回はジャンルの配分も申し分なく、カラーのハッキリした物語が揃っている事にかなり期待を持っていましたが、実際は各話ともストーリーの面白さが十分に広がっておらず、率直に言えば"小さくまとまりがち"だったかなー……と。

 

そらに、今回は間延びをカバーするための"キャラクタードラマ"部分を(オチのための前フリとはいえ)『無難なハートウォーミング要素』で水増ししている箇所が多く見られ、一般的な「世にも」ファンが求めているブラックさや不気味さがより薄まっている印象を受ける人が(私自身含め)多かったのではないかなと思ったり。

 

後はやっぱり、実質3.5話編成の良さが何も見いだせない現状が、そろそろしんどくなってきたな…と。減量・減少なのは食品だけではないのが実に世知辛いです。「小林家」「視線」はテンポ良く見ればもっと印象が良くなったようにも思えますし、この間延び問題は今後長く引きずりそうですよ……。

 

また、中村Pの就任以降、ネット向けのノリにかなり特化してる節が強くなってますが、あんまり狙いすぎるのもどうなのかな~と思ってきたりも。若年層の取り込みも当然重要ですけど、そういう層もクオリティの高い作品や、ゾクッとくる雰囲気を一番に求めていると思うんですよね。『'19秋』が今なお、突出した人気を集めている理由もここにあるでしょうし。('19秋は植田&水田Pでしたが)

 

ネットでワイワイ騒がれているのを見るも嫌いじゃないですが、番組側から「さあ、どうぞネタにしてください!」と丸出しでこられてしまうと、引いてしまうのがファンの性というものですし……。やっぱりここ数年は、担当プロデューサーによって、如実に回の雰囲気が変わるんだなぁと思わされるばかりです。

 

前回の『'22秋』も物足りなさがありましたが、あれから7ヶ月経った今回をもってしても、まだまだカバーには不十分だったということもあり、全体評価は★2つということで。

SNSをざっと見ても、否の方が多い印象があるため、どうにか秋SPでぐっと盛り返してもらいたいもの。言うは易しではありますが、素人目に見ても、もう少しどうにか出来るんじゃないかと思う事が多いんですよね…。以上、総評でした。

 

 

いやぁ、毎度毎度「今度こそ褒めちぎりたい!」と思っていながらも、ついグチグチ言ってしまう面倒くさいマニアではありますが、今回も十分楽しい2時間を過ごせたのも事実ですし、まだまだ次回にも期待したい思いも事実なんです。

 

突然変異のように登場する傑作の出現するあの喜びを味わいたいのはもちろんのこと、これまで作られた560話以上の作品群を相手に闘う若手スタッフさんの物語も、じっくり見させていただきたいですからね。わざわざこのブログをご覧になるような方も、もう途中下車するつもりはないはずでしょうし…ね?(笑)

 

というわけで、スタッフ&キャストの皆さん。今回も本当にありがとうございました!

次回はもっと面白い物語を期待しています!!そして何とか5話編成の復活を!!

 

 

……さて、夏の特別編は終わってしまいましたが、フジテレビによる再放送リクエストはまだまだ受付中です。

「俺は新作よりも旧作を見たいんだよな…」というあなた、締切の6月30日まで毎日送っちゃいましょう。私も毎日送ります!