世にも奇妙な物語 ブログの特別編

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ほんとは泣ける世にも奇妙な物語 前編

世にも奇妙な物語ファンから、いまいち評価される機会の少ないのが「感動物」と呼ばれるジャンル。多くのファンから「感動物はいらない」という声も強く、私としても感動物は少しノりにくかったりします。

 

実際、ホラーやコメディと違ってパターンが決まりがちなので、面白味に欠けがちなのもあるのでしょうが、それでも私の愛する「世にも奇妙な物語」作品には違いありません!

 

前回の記事でちょっとゴタゴタしたのもあり、今回はネットでも語られる事の少ない"感動物"というジャンルを、ここらで一旦再評価してみようじゃないかというわけで、世間じゃ第5回AKB48選抜総選挙の興奮が冷めやらぬ中、当ブログではワタクシ白虎の独断と偏見により選び抜かれた「感動作品ベスト10」をご紹介しようと思います!

 

「感動物ってどうも湿っぽくて苦手」という方も、「なんか泣ける話が見たい」という方も、「コイツこんなんで感動するのかよ」と他人の趣向を覗きたい好奇心旺盛な方も、皆様何かしらの参考になれば幸いです!

 

感動物と見せかけてブラックだったり、ホラーと見せかけて感動だったりと色々な作品がありますが、私個人の定義としては「ラストのロゴが出た時に感動できていれば感動物」という単純な定義づけをしてます。なので人によっては「これって感動?」と思う物もあるかもしれませんが、そこはご了承ください。

 

そしてなるべくネタバレにならないように解説していきますが、それでも「ラストは感動」という事はわかってしまう訳なので、そういったネタバレ苦手な方はご注意ください。

 

それでは早速。前編として第10位から6位までをご紹介。

◆ 第10位「ホーム、スィートホーム」 (1998年 秋の特別編)

主人公は今ではすっかり犬猫探し専門になっている探偵。

そんな主人公のもとにある日「私の身代わりに父親になってくれ」という依頼者がやってくる。おかしな依頼と思いつつ、家に向かうと、妻や子供は自分をすんなりと迎え入れてくれた……。

 

俳優であり劇作家の長塚圭史さんが脚本を担当ということで、話題になったこの作品。

なんといっても作品全体に漂う世界観がハマりすぎていて、短編映画を見た様な感覚になります。この作品が初演出となる西谷監督は「世にもを撮りたい」と熱望していたらしく、念願かなった1本です。

 

ストーリーは、顔も声も違うのに自分を父親だと思い込んでいる……という奇妙なテイストの話ではありますが、よーく見ていくと「本当は奇妙な現象が起きたからじゃなくて…」とも読めるなんとも"ニクイ"作品になっています。こういうどちらとも取れて、行間の想像を膨らませられる脚本は、大好物なんですよね。

 

孤独な男が突然巻き込まれる偽りの家族生活。情を深め合いつつ、父親としての自覚が芽生え始めたところでの切ない別れ。こんなの男だったら泣けないわけがないじゃないですか!

 

決して泣かそう泣かそうとしていないのに、画面や台詞のあちらこちらに伺える各人物の感情の機微……その点がまた別の点と結び、線となっていった先に浮かび上がる"何か"。それに気づけば、もうあなたもボロ泣き間違いなし。クオリティの高い脚本というのはまさにこういうことなのかと、そっちの意味でも感動させられます。

 

普通の世にもとは違う世にもを見たいあなた、色々想像するのが好きなあなた、そして美男美女の軟弱なお涙頂戴が嫌いという「漢」なあなた。見ておいて損は無いかもしれませんよ!?

◆ 第9位「過去からの日記」 (2004年 秋の特別編)

主人公の山岡貴志は小説家。しかし、3年前にデビューして以来一向に新作が書けずにいた。彼は、ある日古本屋でまとめ売りされている自分の本を購入する。と、中に誰かの日記が紛れ込んでいた。「何もいいことがなかった」と書かれたページについ「俺も」と書く山岡。すると下に文字が浮かび上がり…。

 

2000年代の感動作品で一番の大ヒットと言っても過言ではない程、絶大な人気を博した王道路線の感動作品。

 

サイト誕生すぐに放送された回だったのもあり、当時はうちのBBSでも絶賛の嵐だったのを覚えています。このヒットを受け、同じスタッフで2006年に「命火」が作られるものの、不発に終わってしまったという苦いエピソードも(^^;)

 

『余命僅かな少女との時をこえた交換日記』という題材は、どうしてもベタ的な路線になってしまうものですが、ベタや王道というのは、それが確実だからこそ幾度も使われてきた事の証左なわけですから、やっぱりハマればその分デカイものです。さらに全編を通して流れる透明な空気感、西島秀俊蒼井優いったハマリ役のキャストが揃えば、これはもう勝ったも同然。

 

日記というアイテムを間に挟んで、二人のやりとりを間接的に表現するアイディアのおかげで、生み出される二人の心の動き。そして行き過ぎになりがちな感動物でありながら、シラけすぎないギリギリの位置まで高めて高めて、それを保った末の爽やかなラスト。

 

私も初見の際は「これはまた王道路線な話を持ってきたな」を経て最終的に「これは久々に良い作品を見たぞ」となったほどです。感動物に否定的になりがちな男性達からは「感動物は嫌いだけど良かった」という声もあるほどでした。

 

王道物にとにかく弱いあなたも、「感動物とか嫌いなんだよな~」となりがちな男性も、一度ご覧になってみてはいかがでしょうか!?

◆ 第8位「いじめられる女」 (1993年 真夏の特別編)

 時代は昭和初期。佐野寛一は、書生としてある大学教授のお屋敷に住み込むこととなる。そこで寛一は教授の一人娘である宮子に一目惚れするが、彼女は皆から冷たい扱いを受け続けていた。

ある日、怪我をした宮子を寛一が手当すると、彼女は発作を起こして倒れてしまう。

宮子は、なんと他人から優しくされると死んでしまう"愛情アレルギー"の持ち主だったのだ……。

 

原作は村田基さんの小説「愛の衝撃」。

とある作家さんの「嘘の台詞だけで物語を作るのは難しいが、それが究極である」という趣旨の発言を読んだことがありますが、これはまさに、その究極的なストーリーテーリングをもってして制作された作品と言っても良いでしょう。

 

「愛してる」「ありがとう」そんな言葉だけでなく、優しくする事自体が愛する人を殺す武器になってしまいます。愛する言葉の代わりに罵り。抱擁の代わりに手を上げる……この歪んだ愛し方が、切なくも哀しい訳です。

 

当人達だけしかわからない狭い世界に閉じ込められた密かでありながらも、深く純粋な愛情。男は弱いんです、こういうのに!

 

人の愛し方そのものに疑問を投げかける哲学的な香りも漂わせる切ないお話。

ちょっとひねくれた所のあるあなたも、このひねくれたお話を前に、ついつい真人間になってしまうかもしれませんよ……!

◆ 第7位「にぎやかな食卓」 (1994年 冬の特別編)

主人公は姉、父、母、祖父の5人家族。大学受験に合格し大喜びだったのも束の間、翌日姉の姿が見えない。尋ねると、フランスへ留学に行く話になっていたじゃないかと言われる。その後も祖父が入院し、父親も北海道へ転勤が決まり次々と家から家族の姿が消えていく。

 

しかし、連絡を取ろうと父親の会社に行くと「そんな人はいない」と言われ、戸惑う主人公。さらに姉も祖父も存在が確認されない。そんな時ユートピアサービスと名乗る男が現れて……。

 

「家族の大切さ」なんて言うと、どこか胡散臭くて嘘っぽく聞こえてしまうわけですが、だからといって、家族が大切でないと思っている人ばかりではないでしょう。

 

この話の肝は、最後に残った母親と過ごす最後の一夜。

一つ一つのシーンや台詞の切なさですよ。こういうのに男は弱いんですよ!!!!(3回目)

 

そして家族を失った最初の一日目、晴れやかな表情で迎えるラストシーンに差し掛かった時、きっとあなたの目からも熱い物がこぼれることでしょう。切なく哀しいようで、前向きな気分にさせられる、秀逸な作品。さすが根強い人気があるだけあります!

◆ 第6位「ユリコちゃん」 (1991年 第2シリーズ)

ある家の朝食風景。母と長男が準備をする傍らに長女のユリコが泣いている。そこへ起きてきた父親に、驚く家族たち。怪訝に思いながらも朝食を始める家族4人。

 

しかし、皆は食事中の父親の様子をちらちらと盗み見ては、何かを隠している素振りを見せ……

 

原作は筒井康隆さんの同名作品。原作はかなり短いですが、それでも心に残る1本。

シンプルでありながら、TVシリーズでここまでしっかりした感動作品を作れたのはかなり稀じゃないかなと。

 

子供の目を通したある一日の奇妙という題材がツボなのもありますが、作中を貫いている切ない「秘密」。これがなんとも哀しいです。あれぐらいの年頃の子ですもん、父親がああいう事になって、秘密を隠し続けようとするこの健気さ。絶対2回見てください。男はこういうのに(以下略)

 

ラストは若干仰々しい感じにはなっていますが、「日常に近い奇妙」のお手本と言っても良い完成度の高さ。これを読んでピンと来た方には是非一度ご覧いただければと思います。

 


 

というわけでまずは第10位から第6位までご紹介致しました。

本当は1位まで紹介しても良かったのですが、時間的な問題があるので一旦ここで休憩しまして、ベスト5はまた次回に掲載しようかなと。

 

文章の拙さのせいで想いの半分も皆さんに紹介できてる気がしませんが、未視聴なファンの方々にオススメなのは間違いないので、もし何かしら視聴できる機会がありましたら、是非一度ご覧いただきたいなと思います! あくまで私の趣味全開のラインナップなので、苦情はご勘弁を。

 

次回「ほんとは泣ける世にも奇妙な物語 後編」は今月中には掲載予定です、お楽しみに。