世にも奇妙な物語 ブログの特別編

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'12春の特別編 感想

例年の4月上旬より少し遅れて放送された「世にも奇妙な物語 '12春の特別編」。

ご覧になった世にもファンの皆さんはいかがだったでしょうか。

 

さて今回も、以下に「春の特別編」の個人的な感想を。

今回も、ちょっと厳しめに付けてみました。

 

(評価基準は、★5つで満点となっています)

◆ 第1話「スウィート・メモリー」★

16年ぶりに出演する仲間由紀恵さんの初主演作。

 

事件が起こってから、何があったのかを回想してゆく形式は興味を引きますが、概ねこのパターンだと「実は自分が犯人でした」オチになるのは最早定番すぎてある意味タブーみたいなものですし、中盤の段階で早くもその話題が出ていたので、「よしよし、それがオチじゃないな」と安心して見ていたのですが……。

 

「えっ、まさかそれが例の“衝撃のラスト1分”じゃないよなぁ……」という心配がそのまま現実に……。

 

誰もがわかるであろう『実は自分がストーカーされていて、殺人犯だった』というオチの上に、『その顔も妄想でした』というオチが加えられて、ある意味ひねりは効いているんですが、

 

私としては、両者のオチの“大きさ”があまりにも違いすぎて……なんでしょうね。

無理やり例えるならば、最初にいきなり「お前の家、火事で全焼したよ」と聞かされた後、最後になって「実は犬小屋も燃えてたんだ」と聞かされた様なものでしょうか。

 

普通ならば『全部妄想だった』という大枠に入る部分から、『顔も妄想』という部分を

無理に小分けして後から出した事に過ぎないわけで、そこまで衝撃にはならないというか。率直に言えば、「そうなんだ……」で終わってしまいましたね(- -;)

 

アイディアとしては「姿まで妄想だったんだ!」という驚かせ方をさせたかったんでしょうが、もう少し構成の方で見せ方を工夫すればその辺りの印象はだいぶ違ったのではないかと思うので、昨年の「憑かれる」に引き続き、今回も「惜しい」1話目になってしまったという印象です。

 

あと、主人公の本当の顔が映った時「え、男!?」と一瞬戸惑ってしまいました(笑)

芸人さんなんですね、失礼しました……(^^;)

◆ 第2話「7歳になったら」★★

世にも奇妙な物語」最年少主演記録を大幅に更新した鈴木福くんの初主演作品。

 

ストーリーとしては、勘の良い人ならば序盤の体育館のシーン読めるタイプですが、子供を中心に置いたブラックな作品としてはちゃんとした作りとなっており、悪い印象はありません。

 

同じ作家さんの手掛けた「通算」「JANKEN」といい、脚本のふじきみつ彦さんは王道タイプを用いて、しっかりと見せるという作品が多いですね。全体としてもそつなくまとまっていたのでは。

 

ただ、贅沢を言わせて貰えば、もう少しブラックにも出来たのではないかなと(笑) 同じく入れ替わるネタで、子役が主演していた「替え玉」と比べると、まだちょっと物足りないですね(^^;)

 

というわけで、まだまだブラックに行けるはず! という今後への期待を込めて★2つ。

◆ 第3話「家族(仮)」★

原案は2009年3月に文化放送にて放送された「世にも奇妙な物語 ラジオの特別編」の第1話「逆誘拐犯」。ラジオドラマとして制作された「世にも奇妙な物語」の作品が映像作品としてリメイクされた珍しい例となります。

 

当時の感想を見ると、一番評価が低いので「だ、大丈夫だろうか…」と心配になってはいたのですが、スタッフによると『世にもくだらない奇妙』とのことなので、結構改変されているのだろうと見ていると、中盤の逆誘拐犯の電話まで原作そのまま……。後は成長した妻と娘に嫌気が刺して、主人公が逆誘拐犯に大金を支払ってエンド……

 

と、思いきや逆誘拐犯登場から一気に話がおかしな方向へ(笑)

このカオスっぷりは同じ脚本家の怪作「クイズ天国・クイズ地獄」を思い出しますが、いくらなんでも訳がわからなすぎですね(^^;) 笑い所がよくわかりません。

 

個人的には「いきいきデー」や「JANKEN」のように、こういう制作側の「面白いだろ!」感が前面に出てるタイプのコメディは苦手なのでちょっと受付けなかったです(- -;)「BLACK ROOM」や「ママ新発売」「行列のできる刑事」みたいに真剣に馬鹿やってくれるタイプの方が世にも奇妙な物語には合う気がします。

 

ストーリーも、家族の良さを実感しつつも、嫌気が差してゆく過程を描いていった原作と比べ、TVスタッフを動員しての台本による家族の成長を見せてゆくドタバタさを前面に押し出しているせいか、主人公が代金を払うまでの心理過程の描き方が荒くなっているので、変に改悪してしまっていますね。

 

これは、家族を持つことの難しさを描いたブラックものなのか、家族なんて持っても無意味というシニカル物なのか、それともそんなことは関係なくて、単なるシュールなドタバタを見せたい作品だったのか……わからないままです。

 

変に原作の印象が強いために、シュールな脚色をされているせいで、自分の中で処理できてない……という気持ちもあるかもしれないので、また後々見直してみたいと思います。

◆ 第4話「試着室」★★★

共同テレビの若手演出家では「世にも奇妙な物語」初参加となる後藤庸介さんの初監督作品。画作りがポップで開始早々、一気に引き込まれてしまいました。

 

ストーリーとしては、近年では割と珍しい爽やかなハートウォーミング物。一貫して女の子女の子した内容なのですが、脚本も演出も男性というのがまた凄いですね(笑)

 

「カラーボールの塗料はそう簡単に落ちないだろ~」などと、突っ込みどころは無きにしも非ずですが、世にも奇妙な物語のこのタイプの作品としては、及第点以上は確実に取れているのではないでしょうか。

 

ベタな展開も、ポップな世界観で上手い具合に中和しており、そこは演出のおかげでしょう。好き嫌いは結構分かれるでしょうが、現代ファンタジー的で今回の作品群では割と好きな方です。

◆ 第5話「ワタ毛男」★★★★

原作は小田扉さんによるコミック「前夜祭」(講談社)に収録されている同名作品。

 

「耳かき」のようにおもいっきりシュール系で来るのかと思えば、案外真っ当なお話。

派手などんでん返しは無いわけですが独特の作風で最後まで一気に見てしまいました。

こういう話好きなんですよ~。シュール系かつ、ちょっと暖かさと切なさが残る話。

視聴後の感じは今回の5本の中で一番良かったです。早速、原作本もチェックしたいと思います。

 

それにしても、植田泰史さんの演出作はなんか安心して見れますね。タイトルバックなど、細かい所を楽しみながら作ってるのが伝わってきて、今は去ってしまった世にも奇妙な物語の黄金期スタッフに近いものを感じます。今回特に「これからの世にも奇妙な物語」に必要なスタッフさんだと確信しましたね。

 

最初から最後までこれぞ「世にも奇妙な物語」として作ってあるのが好印象。惜しむべくは、今回唯一の原作付き作品でそう思えた事でしょうか。オリジナルも頑張って欲しいところ!

◆ 総評

さて、総評として色々言いたい事はありますが、今回はこの一言。

 

“CM明け、CM入りの度に『世にも奇妙な物語』のロゴはいりません!”

 

ほんとにもう、一体何を考えているんですか、これを入れることを決めた人は!(--;)

途中からでも判りやすく「世にも奇妙な物語」だという事を気づいてもらうように挿入しているのでしょうが、その話が終わったのかわかりにくいだけでなく、ラストに出るロゴの効果まで台無しじゃないですか!!!

 

これまでストーリーの最後に出る「世にも奇妙な物語」のロゴって、ただ物語の完結を知らせるピリオドの役目を越えて、各物語のラストに大きな印象を与える効果の一つになっているわけですよ。「悪魔のゲームソフト」や「美女缶」のラスト、のように、余韻をより強く印象付けるだけでなく、「黄色がこわい」のように、遊び心を加えるなど、これまで色んなスタッフが表示の仕方にこだわってきた、番組に欠かせない重要な形式の一つなんですよ。あんまりロゴを安売りしないでもらいたいもんです。こういう所まで変えられたらさすがに腹立たしいです。

 

本当にほぼ若手スタッフに入れ替わった2010年から、番組が色々おかしなことになってるんですけど…。ストーリーや演出、企画で新しい事なら、それが成功でも失敗でもどんどんやってもらって大歓迎ですが、長年守ってきた最低限の形式があってこその「世にも奇妙な物語」じゃないですか。どうしてそう変える必要のない部分をいじくりまわすことばっかやってんですかね~……はぁ……。

 

DVDではこのCM前後のロゴ表示は消えるんでしょうが、大事なTV放送でこれはもう……溜息しか出ません。ファン歴の浅い方とかはピンと来ないでしょうが、長いファンからしてみれば結構、一大事なんですよ……。

 

そういうわけで今回、全体の評価としては大幅にマイナスして★1つ。その点が一番残念でした。

 

 

後、全体的に思ったことは、やっぱりもうちょっと脚本作りに力を入れてもらいたいですね~。

 

そんなに傑作をポコポコ作れないのは重々承知なんですが、いかんせん「…え?」という作品の比率が増えてきている印象を受けます。原作付き作品でも「どうしてこれを映像化するのか」と首をかしげてしまうような物も出てきているわけで、これは、作品を選ぶスタッフの問題が大きいんじゃないかな~と思わずにはいられません。人材不足というのも一因なんでしょうか。

 

そろそろ、1991年にポシャってしまった「シナリオ一般募集」を、復活でもさせるなり一度大きな事をやってみないと、動脈硬化が悪化していきそうな気がしてちょっと心配です。

 

20年以上、賛否言いながらも結局楽しんでた自分が、ここ1、2年で急激な不安を感じてるだけに単なる杞憂ではないとは思いますが、それもこれも「世にも奇妙な物語」を愛する“奇妙馬鹿”だからこそのこと。やっぱりまだまだ続いて欲しいものですしね。

 

とりあえずは、秋SPでCM前&後のロゴ表示が無くなっている事を祈りつつ、次回にも期待したいと思います! 番組スタッフ&キャストの皆さん、今回もお疲れ様でした&ありがとうございました m(_ _)m