世にも奇妙な物語 ブログの特別編

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人気作家競演編 感想

世にも奇妙な物語 放送20周年企画第2弾「人気作家競演編」。皆さんはいかがだったでしょうか。

 

前回の「人気番組競演編」は、とにかく番組のカラーを無視した作りに批判が多く、当サイトの掲示板でもかなりの失望の声があった他、フジにも相当な数の批判が寄せられたのか「新週刊フジテレビ批評」では苦情が取り上げられるなど、ファン達にかなりの衝撃をもたらした回でした。私自身も、「秋は番組コラボ第2弾!」なんて悪夢をリアルに何十回も見てしまった程のトラウマに……(^^;)

 

今回は、日本を代表する人気作家5人を原作に迎えたコラボ企画を実施。しかも、5人中4人が直木賞作家。

番組用に書き下ろされた第2話以外は、全て有り物の小説を映像化したにすぎませんが、今回は「面白い作品を選ぶ」と言うこれまでのやり方から、ある程度制限された特定の作家の作品の中から選ぶと言う方法になっているので、どの程度番組らしい作品選びがなされたのかと言う懸念、そして前回の失望からの不安、今回に対する期待が複雑に入り混じりながら、じっくりと拝見させていただきました。

 

それでは以下、今回の個人的な感想を。

◆「オープニング」★★★★

いきなり笑ってしまいました(笑) プロローグの外国人シリーズは多分95冬以来ではないでしょうか。「お、これはなかなかマニアックな事をやってくれるな」と思っているとまさかの隕石(笑) そして空地にそびえる「世にも奇妙な物語」のロゴ。これは91冬にもありましたね。あれは実際に建てたものですが。

 

そしてやっぱり注目すべきはオープニング。18年ぶりくらいに新しい物が制作されたわけですが、やっぱり、過去の3種のOPが部屋→洋館に入る→洋館の中を進んで1の部屋に。と、全てリンクしていたので今回のOPでも何かしら関連して欲しかったのが本音。蝶かぁ……(^^;)

 

今後の回でも使われるんでしょうか、出来は非常に良いのですが、前述の点もあって何だか違和感のある感じでした。

◆「厭な扉」★★★

原作は「姑獲鳥の夏」「嗤う伊右衛門」などで知られる京極夏彦さんの同名小説から。

01年に本番組で映像化された「厭な子供」に引き続き、厭シリーズ第2弾として再び番組にて映像化された本作。

 

非常にテンポの良い展開なのですが、主人公へのもったいぶった説明で、ピンと来てしまいますね。シンプルかつ王道的なオチですが、その分これまでの展開から考えると効果的なラストだったと思います。

 

ここ数年の第1話では、一番良く出来ているのではないでしょうか。

◆「はじめの一歩」★★★

鹿男あをによし」等で知られる万城目学さんの書き下ろし小説が原作。ハードスケジュールの中書き上げてくださったそうです。あの人気ボクシング漫画と同名なので、最初勘違いされた方も結構いるのでは。私も最初「何でこれだけ漫画?」と勘違いした一人です(笑)

 

万城目さんによると番組サイドから「原作を書きませんか?」と打診され、良いアイディアも浮かび、番組の大ファンだったので快諾したとのこと。(ちなみに、万城目さんは91年放送の「大蒜」がお気に入りだそうで。“にんにーくにんにーく”に魅了された人がここにも……(^^;))後にフジからのご褒美(?)として、ストーリーテラーの撮影見学や、エキストラとしての出演までされたそうです。実に羨ましいですね~。

 

さて、内容としては「○○男」シリーズっぽいノリで進んでいっていたので非常に番組らしい印象の作品でした。奇妙な境遇の男、その彼女と不仲、仲直り……。あぁ、このパターンは「世にも」の王道パターン(笑)

 

神様を出さなくても「逆男」のように、自分の意思で辞めてから進めていく方が良かったのではないかな……?なんて、思っていましたがラスト、そういうわけだったんですね(笑)

 

コミカルかつハートウォーミングで、視聴後としては妙に心地よい印象。何だか第2シリーズ辺りの感動物の香りがして、懐かしい気分になりました。さすが世にも奇妙な物語ファン。と言うことで★3つ。今回の中ではキチンとツボを押さえている、一番「世にも奇妙な物語」な作品だったと思います。

 

原作小説が掲載されている「yomyom vol.17」も既に購入済みなのでさっそくこれから読みたいと思います。

◆「栞の恋」★★★

2005年に「花まんま」で直木賞を受賞された朱川湊人さんの同名小説が原作。2006年に番組内で映像化された「昨日公園」に続く2作目になります。この間まで、前述の「昨日公園」が収録された「都市伝説セピア」を読んでいた所だったので個人的には旬な登用になるのでしょうか(^^;)

 

東京ラブストーリー」「西遊記「Mother」坂元裕二さんが番組初脚本と言うのもなかなか珍しい点。ハートウォーミング物は得意でしたよね。

 

小説を読んでいてとにかくノスタルジーを巧みに織り込んでいるな~とを感じていたのですが本作でもその作風は健在です。朱川さんはその時代、その時代を思わせる物を持ってくるのが絶妙。「ブルーシャトウ」の替え歌。ありましたね~。

 

内容で「過去からの日記」が思い浮かんだ方もいると思いますが、こちらは栞に伝言と言う発想が良いです。ラストは切なくも淡く、ちょっとした奇妙で良かったです。でも、突然泣き出して栞をに文字を書き出す主人公を見てる本屋の主人の姿がフッと頭を過ぎってしまい、入り込みにくかったのが残念。ダメな脳みそしてますね私(^^;)

◆「殺意取扱説明書」★★★

原作は「ガリレオシリーズ」「流星の絆」「新参者」等々、今をときめく人気作家 東野圭吾さんの同名小説から。1999年の「マニュアル警察」、2003年の「超税金対策殺人事件」に続き、番組では3度目の映像化になります。

 

今回の5作の中では唯一読んでいる作品。東野さんはミステリーだけじゃなくてブラックユーモアな作品も上手いんですよね。原作では、説明書にある語句に混乱してやめてしまうと言うオチなので映像ではどうなるか、気になっていたのですが……。やっぱりこういうオチになってしまうのは仕方ないですね~(^^;) 私が脚本家でもそうしてしまいそうなので。無難にまとめた感じでしょうか。

 

ほか、「不審者に注意」「分別記念日」には笑わせてもらいました。過去の「ピザ小僧」といい、演出の植田泰史さんは小ネタがかなりお好きなようですね。私もこういうどうでも良い小ネタは大好きです(笑)

◆「燔祭」★★★

模倣犯」「ブレイブ・ストーリー」等で知られる宮部みゆきさんの同名小説が原作。

またこの回は、共同テレビでは古参でありながら新人・近年に移籍して来た方を除いて唯一番組に不参加だった若松節朗さんが演出を初担当。監督された映画「沈まぬ太陽」も見に行きましたし、フジテレビの番組には欠かせない演出家さんだったので、かなり期待を寄せて視聴しました。

 

何だか世にも奇妙な物語っぽくない?とは思いつつも、綺麗にまとめていて非常に好印象でした。演出の一つ一つがやっぱり素敵ですねぇ。先日CSで放送していた「3番テーブルの客」でも若松さんの回は結構良かったですし。2000年に映画化もされた「クロスファイア」はこの作品が原型なのだとか。まだ見た事が無いので後々チェックしてみたいと思います。

◆ 総評

ネットなどを見ていると「こんな豪華な人たちがオリジナル脚本を書いてくれている!」と勘違いしている光景を結構な数お見かけしましたが、確かにあの宣伝じゃ勘違いするのも無理はないですよね……(^^;)

 

スタッフとしても全て書き下ろしでいきたかったのかもしれませんが、お願いしてしまった以上、従来の様に書き直しや没をお願いすることも難しいですし、気を使って無理に映像化するよりはこれでよかったのかもですね。

 

世にも奇妙な物語の20周年企画第2弾、正直ネームバリュー頼みだけにならないかと心配していましたが、やっぱりネームバリューのある方々の中から番組に合いそうな作品を選ぶと言う方法を取ったためか、これまでの90点以上を目指そうとして成功・失敗する様な野心的な作品郡とは違い、初めから60点くらいを狙った作品が揃ったという印象。そこまで良くもなく、悪くも無く……。ということで全体的な評価は★★★。

 

なんだか皆地味で小粒かつパンチの弱めな作品で、もうちょっとどうにかならなかったのかなぁと。「小説だからこそ面白い」作品って、結構あるんですよねぇ……(^^;) 小説の要である心理描写が出来ませんから。いくら悲しい気持ちを描写をしても、映像では悲しげな顔が映るだけですし。

 

5人の作家さんの作品で私が読んだことのある作品を思い返すだけでも、もっと他に良さそうな作品は結構あるんじゃないかと思うんですけども。制作会議で相当揉めたんじゃないでしょうか。

 

あと、EDも蝶々とガラス。逆戻しも踏襲してます。SPのEDで椅子が出てこないのは19年ぶりですね。OPもEDも色々違っているせいか、何か「世にも奇妙な物語」を見たと言う感じがしません(笑)

 

個人的には、星監督にプロローグだけでも担当して欲しかった!初期スタッフの方々は「世にも奇妙な物語」が大好きと言う気持ちが凄く伝わってくるんですよね~。うーん。期待してはいたんですが……。来年公開の映画を担当されているとの事なので仕方ないですかね。

 

20周年企画もいよいよ終了(?)したわけですが、次回からはやっぱり通常通りのスタイルでお願いしたいところ。スタッフもずいぶんと変わっているので、視聴率を狙っただけのような露骨な企画ばかりを乱発されるのだけは避けて欲しい所です。前回の春から第1回からの古株だった企画の石原さんがいなくなって、過去にサブで2、3回担当された方が企画職のメインになったのが地味に怖いので(--;)

 

さて、20周年企画のフィナーレを飾ると言う事ですが、今の所いつもの年二回の特番を特別企画にしただけ。あの回や、DVDや、本など、他に20周年らしい事がまだまだ出来ると思いますし、21周年までまだ半年あるので、どうかフジテレビさん、小さな花火で良いのでポツポツあげてくれませんでしょうか、是非ともお願い致します(^^;)

◆ 10/5追記

視聴率が発表されました。視聴率は13.6%で同時間帯2位。

 

1位は日本テレビのしゃべくり007で18.8%。かなり差をつけられてしまいました。人気作家と言うネームバリューで15%は超えるだろうとは思っていたのですが……残念(^^;) 比較的秋は視聴率が春より低い傾向がありますが、何とか持ちこたえて欲しいものです。