世にも奇妙な物語 ブログの特別編

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人気番組競演編 感想

1990年4月19日より放送をスタートした世にも奇妙な物語。今年2010年は放送20周年と言う記念すべき年であり、前々からファンの間で期待が高まっていた矢先、突如発表されたフジの番組とのコラボ企画に驚かれた方も多い事でしょう。

 

番宣やスタッフを見る限りでは、世にも奇妙な物語のカラーは一応守ろうとしているのが垣間見えて、安心するもののやはり不安が大。ネット上でも批判が数多く散見され、どうなることやらと何時に無い妙なドキドキを感じながら放送日を迎えました。

 

それでは、以下、今回放送された20周年企画の第一弾「人気番組競演編」の個人的な感想を。

◆「ニュースおじさん、ふたたび」★

めざましテレビとコラボした第1話は、1991年秋の特別編で放送された「ニュースおじさん」の番組オリジナル続編として制作。原作付きの作品で番組オリジナルの続編を制作するのは今回が初。今回の企画の中では一番楽しみにしていました。なんと言っても前作「ニュースおじさん」でもおじさん役を演じた唐十郎さんの再登場は嬉しいですね。

 

ストーリーとして気になったのは主人公の執着振りが動機が弱いというか曖昧なので、勝手に興奮して行っている感じがしちゃうんですよね。スクープを欲しがり、おじさんに執着する理由と言うか背景が見えてこない。なんでそんな狂気じみてまでおじさんに執着するのか見ていて全くわからないんですよ。

 

「ザ・ニュースキャスター」みたいに、若手に地位を取られる、なんとかしてスクープを取れれば留まることが出来る、もっと凄いスクープを取らなければと、そこからどんどんおかしな方向へ進んでしまうと、そんな感じの動機付けが見えないんですよね。一応、新人の子が現れるシーンはありましたがそれっきりになってしまっていますし。

 

他、ニュースおじさんの登場のさせ方も、怨霊じゃないんですから……バス内に入れなくても。野次馬に紛れ込ませずに一人だけポツンとカメラの前に立たせるなんて…。不自然極まりないじゃないですか。

 

うーん。前作がかなりお気に入り作品だったせいもあり、不満が大きかったですねぇ。なんか違うんですよ。

 

あと、今回の作品を見る前に決めていたことがありまして。ニュースおじさんを喋らせたら評価を低くしようと思ってたんですね。恐らく喋らせるんじゃないかと思ってた所、やっぱり喋らせてしまいましたね……。個人的にはそこが一番残念でした。ただ、今回の中で最も20周年らしい企画だったと思いますね。

 

ラスト、ニュースおばさんは可哀相な気が(笑) でも、ニュースお姉さんだと色っぽ過ぎますか。

◆「ナデ様の指輪」★

はねるのトびらとコラボした第2話は、人気キャラクターが勢ぞろいの賑やかさとは打って変わってブラックな作品。はねトびは深夜時代から見ていますが、こう言うコラボしてますと言う感じのシーンを出されると興ざめしてしまいます……。

 

ストーリーに関しては……これ、完全に95冬の「ブルギさん」ですよねえ。周りがチヤホヤしてくれる意味がオチになってるかならないかの違いだけで。若手さんばかりを入れちゃうのでどうしても被りを防げないんでしょうか。チェックする側も若い人ばかりになってるんですかねぇ。

 

ストーリー的には、人気キャラや有名人を出すので話を取られてしまった感が強かったですね。ラスト、ロゴが出た瞬間「えぇーっ!?」と声を挙げてしまいました。手垢の付いたオチまんまではないですか…ひねりがなさすぎませんか…。

◆「もうひとりの私」★★

爆笑レッドカーペット」とコラボした本作。これだけ大量の芸人さんが出るのは凄いんじゃないでしょうか(笑)こちらもあくまで舞台として番組を使っているので、すんなりと見る事が出来ました。

 

ストーリーとしては、過去「贈り物」「もうひとり」などでも使われた“もうひとりの自分”物ですね。

 

うーん。詰めが甘すぎないですかねぇ……これ。この展開なら、新人に抜かれてお笑いをくじけそうになった自分が、もうひとりの自分と出会うことによって立ち直る展開となってこそ、あのラストでのブラックさが引き立つのでは?全体的に見た感じだと、自分と出会うことで前向きに頑張ろうとしている辺が弱いなぁと言う感じなんですよねえ……。

 

ただ、コラボ物としては世にも奇妙な物語らしさをそれなりに守っていた作品だと思います。

◆「まる子に会える町」★★★

世にも奇妙な物語と同じ今年20周年を迎える「ちびまる子」ちゃんとのコラボ作。初期は本当に面白かったですねえ。実写+アニメは、厳密に言えば「ママ新発売」が最初かと思いますが、本格的なアニメーションのコラボはこの作品が初めて。タイトルがいかにもコラボしてますと言う感じでどうも鼻についてしまっていたのですが、試みとしては面白いと思います。

 

やっぱり「世にも」で哀愁漂うサラリーマン物はハズさないですね。さすが西田さん、上手いです。

 

ストーリー的には、何故かさくら家にあがりこんでしまったり、まるちゃんが妙に大人びていたりと、ちょっと無理のある感じもありましたが、思っていたより普通に楽しむことが出来ました。今回の中では一番コラボが上手く行っている方だと思います。……今夜のアニメ版より絵の出来が良い気が(笑)

◆「台詞の神様」★

TVシリーズでは19年ぶりに番組に帰ってきた三谷幸喜さんの脚本&ご本人主演によるの最終話。

まだ当時TVでは「やっぱり猫が好き」や「たほいや」で僅かに名が知られている程度の作家さんでしたが、19年の月日を経て舞い戻ってきました。

 

ストーリーとしては「笑の大学」ぽいですね。二人で良いシナリオを作っていくという展開ですし。でも、これ世にも奇妙な物語じゃないですよねぇ……。ちょっと違和感が。

 

番宣ありきの作品なので、番宣臭さが鼻についてしまうのではないかと不安だったのですが……

 

こ、これ……完全に番宣そのものじゃないですか……。

 

キャストが同じで、番組名はぼかすのかと思ってましたが「フジテレビ開局50周年記念~」って台詞が出てきた時点でこの評価。こんな作り方を「世にも」でしてしまっては、興ざめも良い所です……。

 

こう言う作品はリアルタイムだとまだ番宣感があるので良いのですが、何年後かに見返すと非常にしらけるんですよね。世にもはCMじゃないんですよ。後々残っていく作品であることを考えていただきたいんですよ。これならば番宣ドラマとして別に作った方が良かったのではないのかなぁ…。

 

オチは予想外で笑ってしまいましたし、三谷さんのドラマや映画は、ほとんど全て見ているくらい大好きなのですが、そこがどうしてもダメでした。

◆ 総評

ストーリーに関しては★。企画内容に関しては★。総合評価は★でした。

 

今回の特別編は企画。企画がとにかく苦言を呈しても呈しきれないんですよね…。

キャラゲーに名作なし」なんて言葉がゲームファンの間にあるそうですが、今回はまさにそれで、コラボありきで脚本を作った結果、ストーリー面がおざなりになってしまうのではと言う懸念が的中した形になってました。番組を絡めなければならない以上、かなりの制約がかかるわけで。

 

大大大好きな番組なので心苦しいのですが言わせてください……今回は完全に大失敗です

 

世にも奇妙な物語を悪く言うのが嫌いな私ですが、さすがに無理でした。見終わって爽快感を微塵も感じなかった回は20年間で初めてです。過去最低と言われても、私は否定する事が出来ないです。20周年なのに……20周年なのにっ……!(T_T)

 

コラボ企画は「笑っていいとも」とのコラボから実に18年ぶりになるわけですが、前回では出演者のみがいいともレギュラーで、劇中には「いいとも」のイの字すら出て来てはいません。

 

一方今回はコラボを前面に押し出した内容、20周年=お祭りと言うことで、あえてこのような賑やかで豪華な企画を出されたそうですが、第一報を聞いた時、私にはどうもズレているとしか思えませんでした。

 

世にも奇妙な物語はキャスト先行の近年のドラマとは違い、あくまでもストーリー作りを優先している番組です。評判が悪かろうが、マンネリだと言われようが、この20年間、基本的には毎回若手作家らに書かせた何百ものシナリオから一番良い5本を採用していく作り方をしているんですよ。今回もイマイチだなぁ…と思っても、私はそのように良い物を作ろうとしている番組のストイックな姿勢も大好きだからこそ「世にも」を愛して止まない訳で。

 

そこで今回の企画。「番組コラボ」を持ってきた時点ではまだ構いません、前例がないわけではないですから。ただ、今回は出演者が本人役で出演するのに加え、一部の作品では番宣も絡んでいます…コラボがメインになってしまっているじゃないですか! この段階で既に番組らしさが半減してしまっているとしか言えません。(一応付け加えておきますと、今回コラボした番組はどれも好きでよく見てます&わが家の歴史も制作発表時から心待ちにしてます)

 

現在の『ほん怖』の様にバラエティパートを入れたり、旬の人気芸人を出して除霊させたりするような安易になってしまった作りにガッカリしている中で、世にも奇妙な物語だけは世にも奇妙な物語として、守るべき所は守ってわが道を貫いて欲しかったですねぇ。残念残念…。

 

第1回から一度も欠かさず企画で参加してきた石原隆さんが今回に限っていないので不安だったのですが、運悪く的中してしまった感じでしょうか。今回の番組企画のメンバーを見ると、2008年~2009年辺りから番組に参加し始めた方だけで構成されています。全員の中で多い人でも2回しか担当されてないんですよね…。若いスタッフの感性を頼られているはずが、安易に最近のバラエティの方法論をそのまま個性的な番組に持ってきた感が否めません。もう少しコラボの仕方を考えて欲しかったなぁと言うのが本音。

 

他、20年前からの慣習である『○○の特別編』の名称&特番サブタイトルの廃止など「20周年なのにわざわざなんで…」と不満な点もいくつか。ストーリー、演出面での斬新さは大歓迎なんですが、番組の根本的な外枠の部分は変えて欲しくないんですよね……。そこも今回非常に残念でした。

 

20周年企画は今回の春の特別編(あえてこの名称で言います)だけではなく、秋にも別な特別企画を行うそうですが、企画される方々には、もう少しだけで良いので世にも奇妙な物語らしさと言うものを考えていただき、20周年に相応しい企画を期待したいと思います!

 

他、DVD方面でも20周年に向けてフジテレビ内で動きがあるそうなので、秋頃までには内容が明らかになるのではないでしょうか。また来週からはフジテレビTWOでも毎週日曜日に過去の特番が再放送が始まりますので、昔の回を懐かしみたい方もまだ見た事が無い方もCS契約をお早めに。

 

今回落ち込んだ方も楽しめた方も、2010年は世にも奇妙な物語から目が離せない事には変わりありません。私は今回、当分立ち直れないくらいがっかりしちゃいましたが、これはこれとして、今後出てくる新たな20周年に関する情報を心待ちにしたいと思います。

 

 

最後に「世にも奇妙な物語」放送20周年おめでとうございます。あっという間でしたが実に奇妙な20年間でした。スタッフ&キャストの方々には感謝の言葉もありません。今後も全力で応援して行きますので、これからも楽しい番組作りをよろしくお願いします。