番組25周年のお祝い企画の一環として“世にも奇妙な物語の源流となった、又は後に影響を与えたであろうオムニバス作品”を紹介して行く不定期シリーズ「世にも奇妙な物語の源流と影響」。前回のオリジナルビデオ編に続く第2弾では「世にも」の誕生前後に生み出されたオムニバス邦画作品を大特集!
日本で最初に制作されたホラー映画は、明治31年(1898年)頃に制作された浅野四郎監督の短編「死人の蘇生」「化け地蔵」(共に非現存)と言われています。しかも、これらは日本で最初に撮影された映画作品でして、つまり日本映画の歴史はホラーから始まった事になります(厳密にはコメディ要素が多めだそうですが)。
そして、明治43年(1910年)の「牡丹灯篭」を皮切りに、定番の四谷怪談、番町皿屋敷などをモチーフにしたホラー映画が続々と公開されていく事となりますが、オムニバス形式の映画が登場するまでには、そこからさらに20年も待たなければなりません。そして、時代が昭和に入った1930年、邦画初(?)のオムニバス物となった作品こそが「天保時代」「明治時代」と3シリーズ同時上映として封切られた「学生三代記 昭和時代」です。
以降も「四つの恋の物語」(1947)、「石中先生行状記」(1950)、「にごりえ」(1953)、「くちづけ」(1955)、「日本ロマンス旅行」(1959)、「女経」(1960)、「私のベレット」(1964)、「怪談」(1965)、「明治大正昭和 猟奇女犯罪史」(1969)、「戦後猟奇犯罪史」(1976)、といったオムニバス形式の映画が制作されていきますが、ホラーよりも文芸・恋愛物が多いほか、各作品の制作期間の空き具合を見る限り、興行面から見てオムニバス形式にそれほどの旨味が無かった事が伺えます。
過去に「世にも」のスタッフも語っていましたが、オムニバス形式は短編ということで楽そうに思えるものの、手間も費用も話数の分増えていくのが難しいところなんですね。前述の「怪談」なども、多額の制作費をかけたにも関わらずあまりヒットせずに、制作会社が倒産するという事態を引き起こしてしまったんだとか。
そんな訳で1970年代末からオムニバス形式の邦画はほぼ完全に作られなくなっていきますが、その傾向がガラリと変わりだしたのが1988年のこと。この時期はバブル景気真っ只中、オカルト・都市伝説ブームにじわじわと火がつきだし、後述の「バカヤロー」シリーズの成功によって、新人監督によるオムニバス映画ブームが発生。
「世にも」関連でも「フローズンナイト」「奇妙な出来事」誕生の前年なので、後に到来するオムニバスドラマブームへの足場が固められていった年とも言えるでしょう。
それではここからは、そんな1988年から世にもの特番シリーズが一般化した1994年までに制作されたオムニバス邦画の世界を一挙ご紹介。オリジナルビデオ編ではオムニバスホラーのみに絞っての紹介でしたが、今回思ってたよりオムニバスホラー映画が少なかったので、対象時期のオムニバス映画を出来るだけ網羅してみました。
オムニバスな映画の世界も、なかなかディープです!
◆ 不可思議物語 FANTASTIC COLLECTION (1988年2月27日 - パル企画)
──ミラクルワールドへようこそ。
《作品データ》
第1話「すいか」(原作:ベン・ワイアット、脚本:藤田一朗、監督:今関あきよし、主演:森尾由美)
第2話「都死生活カタログ」(脚本&監督:中田新一郎、主演:柴田義之)
第3話「優しくって少しばか」(原作&脚本:原田宗典、監督:伊島薫、主演:武見龍麿 )
第4話「ワン・ステップ・ビヨンド 」(脚本&監督:山川直人 、主演:OTO)
第5話「TV」(脚本:藤田一朗、監督:今関あきよし、主演:土家里織)
第7話「波に消える」(原作&脚本:原田宗典、監督:伊島薫、主演:佐藤ゆきお)
後に「奇妙」シリーズにも携わる今関あきよし、山川直人など4人の監督が2話ずつ担当したオムニバス映画。
本作を制作したパル企画は、後に「ほんとにあった呪いのビデオ」シリーズで大ヒットを飛ばすこととなります。
SF・ミステリー・コメディ・実験作ありと、若手監督によるごちゃまぜ感が後の「世にも」に通じるのかもしれません。
◆ 「バカヤロー!」シリーズ (1988年~1991年 - 松竹)
──衝撃の4打席4ホーマー作品
《作品データ》
《バカヤロー!私、怒ってます》 (1988年10月15日公開)
第1話「食べてどこがいけないの?」(脚本:森田芳光、監督:渡辺えり子、主演:相楽晴子)
第2話「遠くてフラれるなんて」(脚本:森田芳光、監督:中島哲也、主演:安田成美)
第3話「運転する身になれ!」(脚本:森田芳光、監督:原隆仁、主演:大地康雄)
第4話「英語がなんだ」(脚本:森田芳光、監督:堤ユキヒコ、主演:小林薫)
《バカヤロー!2 幸せになりたい。》 (1989年7月8日公開)
第1話「パパの立場もわかれ」(脚本:森田芳光、監督:本田昌広、主演:小林稔侍)
第2話「こわいお客様がイヤだ」(脚本:森田芳光、監督:鈴木元、主演:堤真一)
第3話「新しさについていけない」(脚本:森田芳光、監督:岩松了、主演:藤井郁弥)
第4話「女だけトシとるなんて」(脚本:森田芳光、監督:成田裕介、主演:山田邦子)
《バカヤロー!3 へんな奴ら》 (1990年10月20日公開)
第1話「こんな混んでどうするの」(脚本:森田芳光、監督:鹿島勤、主演:平田満)
第2話「過ぎた甘えは許さない 」(脚本:森田芳光、監督:長谷川康雄、主演:清水美砂)
第3話「会社をナメるな」(脚本:森田芳光、監督:黒田秀樹、主演:中村雅俊)
第4話「クリスマスなんか大嫌い」(脚本:森田芳光、監督:山川直人、主演:永瀬正敏)
《バカヤロー!4 YOU!お前のことだよ》 (1991年9月14日公開)
第1話「泊ったら最後」(脚本:森田芳光、監督:太田光、主演:春風亭小朝)
第2話「カラダだけの男」(脚本:森田芳光、監督:加藤良一、主演:沢田研二)
第3話「サギるなジャパン」(脚本:森田芳光、監督:明石知幸、主演:ユン・ピョウ)
「失楽園」「間宮兄弟」等で知られる森田芳光監督が総指揮&脚本を務めたオムニバス映画シリーズ。
コンセプトは、普段ムカつく上司や客への怒りを我慢していた主人公たちが最後にブチギレ、問題が解決するまでを描くというもので、現在フジで放送中の「痛快TV スカッとジャパン」みたく『最後にスカッとする映像作品』と言えば判りやすいでしょうか。
後に「奇妙」シリーズに携わるスタッフも多く、「ママ新発売」の中島哲也、「城」の堤幸彦、「不眠症」の成田裕介、「替え玉」の鹿島勤、「BE MY BABY」の山川直人など、今見ると錚々たる顔ぶれが。
公開後に大ヒットしたこともあり、後に3つの続編シリーズだけでなく各2本のオリジナルビデオやSPドラマまで制作され、以降、雨後の筍の如く『新人監督によるオムニバス映画』が続々と登場していくことになり、オムニバスブームの生みの親とも言える作品となりました。
翌年、恐らくこのブームの流れを受けて「世にも」の雛形と呼べる「フローズンナイト」が制作された他、作品の紹介文にも「バカヤロー」の名前が引用されているなど、番組に与えた影響は意外と大きく、本作がなければ「世にも」は生まれなかったかも……!?
◆ 危ない話 (1989年7月8日 - CBSソニー)
──ヤバイ!アブナイ!!あなたならどうする!?
今もっとも危険な3監督競作によるファンタスティック・オムニバス!
《作品データ》
第1話「ツタンカーメン王の呪い」(脚本:阪本順治、監督:井筒和幸、主演:竹中直人)
第2話「奴らは今夜もやってきた」(脚本:及川中、黒沢清、監督:黒沢清、主演:石橋蓮司)
第3話「あの日にかえりたい」(脚本:武井法政、監督:高橋伴明、主演:永島敏行)
日常に潜む“危うさ”をテーマにしたオムニバス映画。
井筒和幸、黒沢清、高橋伴明といった人気監督が手がけており、後に番組で「告白パーティ」「聞こえる」等を執筆した及川中さんの名前も。コメディあり、ホラーあり、シュールありの3話構成ということで、「世にも」ファンにはかなり取っ付き易い作品なのではないでしょうか。
◆ 夢 (1990年5月25日 - ワーナー・ブラザーズ)
──不思議な…恐ろしい…そして素晴しい夢。底知れぬ驚きに溢れた世界が、いま開く。
映画監督、黒澤明が実際に見た夢を元にした8つの物語を映画化した黒澤版「夢十夜」と呼べる作品。
そんな異質な内容であるためか、日本では出資者が見つからず、スピルバーグ監督がワーナーに働きかけをして何とか制作が実現したんだとか。
第6話「赤冨士」は、原子力発電所が爆発し、色がついて可視化された放射性物質の霧が街に迫ってくるという内容で、現在でも「世にも」のエピソードと勘違いされている方がいる作品なだけあり、なかなか怖くてオススメです。
◆ ボクが病気になった理由 (1990年8月11日 - アルゴプロジェクト)
──というわけで十八歳未満もOKの成人病映画です。
《作品データ》
第1話「マイ・スウィート・リトル・キャンサー」(脚本:永井明&鴻上尚史、監督:鴻上尚史、主演:鷲尾いさ子)
第2話「ランゲルハンス・コネクション」(脚本:大森一樹、監督:大森一樹、主演:名取裕子)
第3話「ハイパーテンション・ロード」(脚本:渡邊孝好、監督:渡邊孝好、主演:中川安奈)
「癌」「糖尿病」「高血圧」という三大成人病をテーマにしたオムニバス形式のコメディ映画。
前年に6人の映画プロデューサーが立ち上げた『アルゴプロジェクト(現アルゴ・ピクチャーズ)』の第5回配給作品として公開されました。(ちなみに第3話を手がけた渡邊孝好監督は、この半年後『世にも』の「シンデレラ」を演出することになります)。
この4年後には、香川照之主演の『病院なんか怖くない。-ボクが病気になった理由2-』という続編も制作されましたが、既にオムニバス映画のブームが去っていたため、通常の映画になってしまいました。
◆ 新・同棲時代 (1991年9月14日 - 松竹)
──少女の恋に戻れなくても、愛は必ず待っていてくれる。
《作品データ》
原作:柴門ふみ
脚本:水橋文美江
監督:高原秀和
第1話「空に星のある限り」(主演:富田靖子)
第2話「いつか見たあなた」(主演:相楽晴子)
第3話「もう一度ウェディングベル」(主演:松下由樹)
「同・級・生」「東京ラブストーリー」の原作者である柴門ふみの短篇集を初の映画化。
本作はおそらくこの年の1~3月に放送された「東京~」のヒットにより企画されたもので、フジテレビもしっかり制作に携わっています。
◆ ご挨拶 (1991年11月23日 - 東映アストロフィルム)
──イロイロ、ありまして…疲れません?
《作品データ》
第1話「イロイロ、ありまして」(脚本&監督:寺田敏雄、主演:蟹江敬三)
第2話「佳世さん」(脚本&監督:市川準、主演:米山曼舞子)
第3話「NOW IT'S THE MOMENT IN OUR LIFE!!」(脚本:寺田敏雄、監督:モモイ・カオリ、主演:桃井かおり)
“ふとした挨拶に見え隠れする現代人の本音と本質”をテーマに描く3話形式のオムニバス映画。
番組で「見たら最期」「心霊アプリ」を手がけた寺田敏雄さんが脚本だけでなく、監督としても参加されている他、第3話は女優の桃井かおりさんも主演と監督とをこなしているなど、オムニバス映画らしい自由度の高さが存分に発揮されています。
◆ 結婚 (1993年4月24日 - 松竹)
──1人で観るか、2人で観るか、3本立。
「世にも」のメインスポンサーであったセシール制作によるセシール映画第1弾。
豪華キャスト、各話ドラマあり、感動、コメディありとバラエティに富んだ内容、それぞれに主題歌を用意という非常にバブリーな構成になっています。
CMが結構流れていた記憶がありますが、確か第3話の「俺はお前の子供を妊娠したい!」という台詞がインパクト絶大で、当時「さすが浦沢義雄…」と思った事も(^^;)
後にビデオ化もされましたが、各話それぞれを3本に分けるという商魂逞しい販売方式となりました。
◆ ゲンセンカン主人 (1993年7月24日 - キノシタ映画)
──捨てたはずのわたしが、今夜わたしをたずねてくるのです。
「李さん一家」「紅い花」「ゲンセンカン主人」「池袋百点会」の4話でつづるノスタルジィとエロスの映像奇譚。
コアなファンを持つ漫画家、つげ義春の作品を映像化した4話オムニバス作品。
様々な漫画でパロディ化された「李さん一家」や、幻想的な雰囲気の「ゲンセンカン主人」など、通常のオムニバス映画とは一風違った奇妙な世界が楽しめます。
◆ 欽ちゃんのシネマジャックシリーズ (1993~1994年 - 東宝)
──1杯のコーヒーより、300円の映画。
──選んで見る。これが欽ちゃんルールです。ロク(6本立て)・サン(300円)・サン(参加決議)で、逢いましょう。
《作品データ》
《第1回 欽ちゃんのシネマジャック》 (1993年4月17日封切)
第1話「探偵 ~ハーレム・ノクターン~」(脚本:阿久悠、監督:黒沢直輔、主演:橋爪功)
第2話「ドリーム・ライダー」(原作:ジェームス・ガッタス、デビット・フィールズ、脚本:ジェームス・ボーグル、ジェームス・ガッタス、監督:ジェームス・ボーグル、主演:ハロルド・ホプキンス)
第3話「港」(脚本:君塚良一、監督:萩本欽一、主演:渡哲也)
第4話「生きる ある臨死」(原案:倉本和比人、山本晋也、脚本:岩城未知男、監督:山本晋也、主演:イッセー尾形)
第5話「なんかヘン?」(脚本:萩本欽一、大岩賞介、植竹英次、監督&主演:萩本欽一)
第6話「大激走」(脚本:萩本欽一、大岩賞介、植竹英次監督:三宅恵介、主演:萩本欽一)
※ 5/22 追加作品
第7話「元禄女太陽伝」(脚本:金子成人、監督:渡辺寿、主演:高橋ひとみ)
第8話「ダライラマの母」(脚本&監督:陳汗、主演: ユン・ピョウ )
※ 10/8 追加作品
第9話「きっと、来るさ」(脚本&監督:市川準、主演: 萩本欽一 )
第10話「女とおんな」(監督:スタンリー・クワン、主演:マギー・チャン)
《第2回 欽ちゃんのシネマジャック》 (1993年9月23日封切)
第1話「蛍の光」(脚本:萩本欽一、君塚良一、マキノノゾミ、監督:萩本欽一、主演:渡哲也)
第2話「やさしい風」(原案:安部譲二、脚本:君塚良一、監督:萩本欽一、主演:柳葉敏郎)
第3話「なんかへん? PART2」(脚本:詩村博史、鈴木しゅんじ、永井準、鶴間政行、監督&主演:萩本欽一)
第4話「食べる」(脚本:岩城未知男、監督:山本晋也、主演:三木のり平)
第5話「さだおばさん(アニメ)」(原作:原田泰治、脚本:さだまさし、監督:さだまさし、声の出演:吉田日出子 )
第6話「邦ちゃんの一家ランラン(アニメ)」(原作:山田邦子、脚本:宮崎晃、監督:石黒昇、声の出演:山田邦子)
おまけ「1分映画『新人監督 丹野マサシ』」(第1回時に一般公募した作品を集めた9話オムニバス)
1993年~1994年にかけて制作された、萩本欽一製作総指揮によるオムニバス映画シリーズ。
本作は「1本15分の映画を6本立て」&「1本につき300円」&「先に見たい分だけお金を払い、さらに見たくなれば見た分を後払い」という斬新なスタイルを取り入れ、日本だけでなく香港やオーストラリアといった海外の制作会社までが携わっているなど、かなり挑戦的な映画作品となっています。
制作費2億円はすべて萩本企画が用意し、配給の東宝も採算度外視なのは承知の上という、やりたい放題の企画でしたが、当初の60館以上で上映するという目標も叶わず、たった数館での上映に留まるのみとなった模様。
後にソフト化も行われましたが、ジャンルごとに別けた傑作選12話分に留まっており、完全版を見る事は幻となっています。「映画の特別編」もそうでしたが、やはりオムニバス映画は興行的に難しいものがあるようですね。
◆ 怖がる人々 (1994年4月23日 - ワーナー・ブラザーズ)
──悪夢がいっぱい。ご用心。
《作品データ》
第1話「箱の中」(原作:椎名誠、脚本&監督:和田誠、主演:真田広之)
第2話「吉備津の釜」(原作:日影丈吉、脚本&監督:和田誠、主演:熊谷真実)
第3話「乗越駅の刑罰」(原作:筒井康隆、脚本&監督:和田誠、主演:斎藤晴彦)
和田誠脚本監督による“恐怖”をテーマにした5話オムニバス作品。
以前ブログで少しだけご紹介したことがありますが、番組でお馴染みの筒井康隆さんの不条理かつスラップティックな作品のほか、「世にも」でも映像化された「箱の中」(オチが違いますが)など、世にもファンに馴染みやすいストーリーが揃っています。
◆ 1995年以降の主なオムニバス邦画
ひとまず11本をご紹介しましたが、88年から93年までほぼ毎年2~3本制作されていたオムニバス映画は、1994年に入ると「怖がる人々」1本のみに。「バカヤロー」シリーズ開始から5年以上が経過し、ヒット作が全く出ないオムニバス映画形式に見切りが付けられ始め、冬の時期が到来することになります。
ところが、2000年辺りから、若手監督によるオムニバス映画再燃の兆しが……!?
◆MEMORIES (1995年12月23日 - 松竹)
大友克洋原作・監修による3話オムニバスのアニメ映画。
◆「心霊」シリーズ (1996年~1997年 - 松竹)
稲川淳二企画・原案による2話編成のオムニバスホラー。翌年には続編「心霊2」が公開された。
◆しずかなあやしい午後に (1997年1月25日 - シネセゾン)
太田和彦、和田誠、椎名誠らの監督による3話編成のファンタジーオムニバス映画。
◆ポッキー坂恋物語 かわいいひと (1998年10月17日 - グリコ)
ポッキーCM「ポッキー坂物語」をまとめた3話オムニバス。元々懸賞品映画だったが、後に劇場公開。
◆短編映画集「Kino」 (1998年 - シネマトピックス)
「ピタゴラスイッチ」等を手がけた佐藤雅彦によるルーマニアを舞台とした6話オムニバス作品。
◆TAMPEN 短篇 (2000年 - ビターズ・エンド)
『もしも映画に監督がいなかったら?』をテーマに制作された4話オムニバス作品。
◆東京★ざんすっ (2001年2月10日 - つんくタウンFILMS')
フジの深夜番組「つんくタウン」から誕生した7話オムニバス作品。東京の乗り物をテーマにしている。
◆マネーざんす (2001年11月24日 - つんくタウンFILMS)
「東京★ざんすっ」に続く「つんくタウン」オムニバス映画第2弾。お金をテーマにした6話編成。
◆パルコ・フィクション (2002年7月20日 - パルコ)
矢口史靖・鈴木卓爾の2人がパルコをテーマに描く5話オムニバス作品。
◆「Jam Films」シリーズ (2002年~2005年 - アミューズ)
飯田譲治、岩井俊二、行定勲らの映画監督によるオムニバス映画シリーズ。第3弾まで制作された。
◆KILLERS キラーズ (2003年6月14日 - 東宝)
押井守、きうちかずひろら5人の監督による「殺し屋」をテーマとした5話オムニバス作品。
◆アイノカラダ (2003年9月27日 - スペースシャワーピクチャーズ)
5人の女性主人公が迷いながらも新たな人生を踏み出していくまでを描く5話オムニバス作品。
◆DEAD END RUN (2003年10月18日 - 東北新社)
石井聰互監督による、逃げ続ける3人の男を主人公にした3話のオムニバス作品。
◆監督感染 (2003年11月29日 - ギャガ・コミュニケーションズ)
品川祐、鈴木一真ら5人の監督によるオムニバスショートフィルム集。
◆「刑事(デカ)まつり」シリーズ (2003年~2005年 - コムテッグ)
「刑事が主人公」「時間は10分以内」「1分に1回はギャグを入れる」という条件の下制作された映画シリーズ。
第3弾で上映された小泉徳宏監督の「行列のできる刑事」は、2008年の秋SPにてセルフリメイクされた。
◆トーリ (2004年5月8日 - IMAGICAエンタテインメント)
浅野忠信が初監督を務めた5話オムニバスのアート作品。
◆穴 (2004年7月10日 - ケイエスエス)
4人の監督が“穴”をテーマに制作した4話のオムニバス作品。
◆日野日出志のザ・ホラー怪奇劇場 (2004年10月2日&12月4日 - パル企画)
ホラー漫画家の日野日出志作品を映像化した3話オムニバス作品。同年12月には第2弾も公開。
◆「Movie Box-ing」シリーズ (2004年~2005年 - オメガ・プロジェクト)
函館港イルミナシオン映画祭の優秀作品を映像化。翌年には第2弾「ノーパンツ・ガールズ」が公開。
……ひとまず2004年分で終了します。本当は2015年まで掲載したかったのですが、想像以上にオムニバス映画が大量に制作されており、収まりきれなかったもので……。
しかし、こうして見ると、2002年頃からぐーっとオムニバス系邦画が急増しているのが判りますね。そう考えれば、真のオムニバス映画ブームと言えたのは2000年代なのかもしれません。
なぜ突然オムニバス形式が最熱したのかが謎ですが、ひょっとすると「映画の特別編」の公開により映画業界人の間でオムニバス形式の再評価が……というのは、こじつけとしても苦しいですかね(^^;)
ですが、80年代後半~90年代前半の頃とくらべてホラーやミステリージャンルが増加傾向にあり、「世にも」ファン的には嬉しい方向へと成長しつつあるようです。
他業種同様にコンテンツ不足が叫ばれている映画業界。実力のある若手を発掘する為には、やはり自由度が高く、スタッフの責任も分散され、脚本重視のオムニバス形式というのは、今後もさらに重宝されていくのかもしれません。それらの才能たちがいつか「世にも」にもやってきて、素晴らしい作品を生み出してくれるようなことがあれば良いのですが……!
というわけで、以上「世にも奇妙な物語の源流と影響 その2 邦画編」でした。
次回第3弾では、いよいよ「世にも」の源流のさらに源流である「海外ドラマ編」を取り上げます。オムニバスドラマは「トワイライト・ゾーン」や「ヒッチコック劇場」だけが全てじゃない!海外こそがミステリー・ホラー系オムニバスの宝庫だった……!? お楽しみに。