2015年に配信された幻のWeb特番『世にも奇妙なマニアトーク』特集。今回はその第4回「世にも奇妙な私のナンバー1作品」を、当時の書き起こしでお届け致します。
前回の『世にも奇妙な物語あるある!』に続き、今回扱われるテーマは、世にもファンならみんな大好き『マイベスト作品』語り。マニアックなものから、定番なものまで、様々な名作・珍作が登場。よりディープなマニアの世界をお楽しみ下さい。
※ ご注意 ※
掲載内容は全て2015年当時、管理人が独自に書き起こしした物となっています。そのため実際の内容・ニュアンスとは若干異なる部分が存在している可能性があります。ご理解の上、ご覧ください。
◆ 第4回「世にも奇妙な私のナンバー1作品!」(2015年10月9日配信)
ヒデ「続いてのテーマはこちら『世にも奇妙な私のナンバー1作品!』」
(拍手)
ヒデ「もう何度も出ましたけど…こちらですね(フリップを出す)」
横澤「ああ…」
ヒデ「三上博史さん出演…主演のですね、この『懲役30日』なんですけども。これ98年の秋の特別編だったんですけども、もっとも…まあ僕が見る限りの『よにきも』のコンセプトに合っている作品だったんじゃないかなと」
(「懲役30日」(1998年)の映像が流れる)
ヒデ「ちょっと人間ってやっぱり、いつかバチが当たるんじゃないかとか、あとそういうことが積み重なって、これくらいの…自分にしっぺ返しが来るんじゃないかとか。ちょっとそれぐらい考えさせられた作品でしたね」
小椋「とにかく三上さんの演技力、仰る通り助かりましたね。あとまだ当時そんなに有名ではなかったんですけど……」
ヒデ「ええ」
小椋「松重(豊)さんが、あの、虐める方で」
ヒデ「はい」
小椋「あと小日向(文世)さんが弁護士という」
ヒデ「はい!」
小椋「その辺の配役が奇妙も、その辺の……まあ実力派の」
ヒデ「はい」
小椋「役者さんで作るっていうのも奇妙の……まあちょっと連続ドラマとは違う作り方かもしれませんね」
ヒデ「ちなみに私が作品を見るときには、まずお酒を用意して、部屋を暗くして、ヘッドホンをつけて、その世界観に陶酔するというやり方です」
横澤「真っ暗な部屋でよく見れますよね。すごい怖そうな…怖くなっちゃう」
ヒデ「まあ、横にお前がいたらもっと怖いけど……」
横澤「何てこと言うの!(笑) 」
ヒデ「続いては横澤さん参りましょう」
横澤「はい! 私はこちらでーす。(フリップを出す) 『昨日の君は別の君 明日の私は別の私』」
ヒデ「うん」
横澤「藤原紀香さんの」
ヒデ「はい」
横澤「主演の作品なんですけども大好きで。藤原紀香さんが普通の主婦の、1人子供がいて、主婦のお話なんですね。で、ある日ピッって、パソコンの画面に扉が出てきて。ピッて押すんですよ」
(「昨日の君は別の君 明日の私は別の私」(2002年)の映像が流れる)
横澤「そしたら目の前に同じ自分がいて、話ができるんです。で、その話してたらどうも、今の結婚してる旦那のプロポーズを断って仕事に生きる自分なんですよ」
ヒデ「うん」
横澤「で、その自分と会話できるっていう楽しさと、またそれを見てお互いの悪い所は隠しながら自分のことを言う、ちょっと3割増しに良いことを言う」
ヒデ「なるほど」
横澤「自分を…何ていうんですかね、それも自分って言うか。最後、遊園地に行く藤原紀香さんと、仕事に生きる藤原紀香さんがちょうど同じ世界にいる感じで終わるんですね」
ヒデ「はい」
横澤「(興奮)もう同じ世界に私いるんじゃないの!?みたいな!」
小椋「まあ普遍的なテーマですよね。誰でも一度考えるじゃないですか」
ヒデ「はい」
小椋「もしあんとき自分があっちの選択をしてたらどんな人生が待ってるんだろう」
ヒデ「確かにそうですよねぇ…」
小椋「そんなみんなが、どの国の人もどの年代の人も一度は考える『ifもしも』っていうのが、奇妙の入り口かもしれません。だからみなさんちょっとあるある感とか、共感がえられるのかなと」
ヒデ「それで引っかかってるんでしょうね、やっぱりね」
横澤「ちなみに私『世にも』はですね」
ヒデ「ええ、どうやって見んの?」
横澤「クーラーガンガンの部屋でして見るっていうの決めてるんですよ。暖かい部屋で見ちゃうと逆に現実的じゃないですか」
ヒデ「う~ん」
横澤「冷たい部屋のほうがどこか何か…映画館じゃないですけど、集中して『寒いな』って言いながら見たほうが自分の感覚がなくなる感じがして」
ヒデ「みんなそれぞれあるんだねぇ~」
横澤「ちょっとそういう…ちょっと違う異空間に行った感じで」
ヒデ「なるほど。さあ、続きまして大我さん」
大我「はい。(フリップ出す) 『23分間の奇跡』ですね」
ヒデ「うん、1991年の作品」
大我「これはあの、賀来千香子さんがですね。ある小学校に新任教師として赴任してくるんですけど。なんか徐々にこう……子どもたちを洗脳していくみたいな感じの話なんですけど」
小椋「これはイギリスのね、短編小説なんですね、元ネタの。冷戦の頃に書かれたんです」
ヒデ「なるほど」
小椋「あのー何にも不条理とか不思議なことが起こらない、教室だけのワンシチュエーションなんですけど、本当によくこれは……本当によく出来た作品だと思います。奇妙って本当に懐が広くて。あのー『ズンドコベロンチョ』から、ここ(23分間の奇跡)まで」
ヒデ「本当ですよね!」
小椋「本当に懐が広いですよね」
ヒデ「さあ、いよいよです。(小椋に)お願いします!」
小椋「悩みましたこれは。まあ悩んだ末決めたのが、これですね。『女優』」
ヒデ「はい」
小椋「ジュディ・オングさんが主演なんですけども」
(「女優」(1991年)の映像が流れる)
小椋「まあ本当に奇妙の……何ていうんですかね、方程式がきっちり作られているストーリープロットと、あとジュディ・オングさんの演技が素晴らしかったですね。素晴らしい作品です」
ヒデ「うん」
小椋「あと、これと迷ったのが『ハイ・ヌーン』ですね」
ヒデ「『ハイ・ヌーン』」
小椋「主演は玉置浩二さんでしたけども、玉置さんが中華料理屋さんに入ってきて、メニューを頼んでるだけの話なんです」
ヒデ「はい」
(「ハイ・ヌーン」(1992年)の映像が流れる)
小椋「片っ端から」
横澤「ええ……」
小椋「最初ラーメンから始まって、チャーシューメン、タンメン、次に丼ものに行って、玉子丼、親子丼、カツ丼、次にオムライスとか全部食べるんです」
横澤「えー!」
ヒデ「まあとりあえず、視聴者はまあオチをどんどんどんどん膨らましてきますよね」
小椋「その場合はね」
ヒデ「ですよね? さあ、この『女優』と『ハイ・ヌーン』お選びになりましたけども、いかがですか大我さん」
大我「いやー、あの……言おうかどうか、ちょっと迷ったんですけど……」
ヒデ「えっ、はい」
大我「あのー、小椋さん、ラーメン(から始まる)っておっしゃったんですけど、実際は確か親子丼……」
ヒデ「こまけーな!(笑)」
(会場笑い)
ヒデ「やめろやめろやめろもう! 本当にもう!(笑)」
横澤「何てことを(笑)」
ヒデ「知らないわ!(笑)」
横澤「アハハハ(笑)」
ヒデ「さあ、逆にですよ。ここ、こうしてくれたらなぁ……みたいな。好きだからこそ思うこと、あると思うんですよね」
横澤「(ベル)よろしいですか」
ヒデ「はい、ありますか」
横澤「私もう基本的に…やっぱ怖いものをやっぱ見れないんですけども、松雪泰子さんが演じられてた『鍵』っていうのは未だに見れない…あの最後まで見れないというか、
いつも(目を隠し)こうやりながら、こうやって『あ~!』とかってやりながら見るんですけど、結局内容がもう入ってこない」
(会場笑い)
ヒデ「もったいなっ!」
横澤「やっぱりね、もう怖すぎるんですよ」
ヒデ「あー、まあ女の子はそうか」
小椋「最近ね、そういう意見多いんですよ。あんまり怖いの作るとお客さんが怖くて見れないから」
ヒデ「ちょっと今コンプライアンスとかもありますからねぇ…」
小椋「ちょっと緩めに作ってくださいとか。でもね、緩めに作るってわけにもいかないんですよ。寿司屋に行って炙ってくださいって言うわけにもいかないじゃないですか」
(会場笑い)
ヒデ「そりゃそうですよ」
小椋「怖いものを作る時は怖いものを、より怖くするために我々は作るわけで脚本も演出も。だからそれもなかなか、怖すぎて困るってなかなか困るんですよね」
ヒデ「確かにそうですよね…大我さんなんて、ありますか?」
大我「ちょっと書いてきたんですけど…(スケッチブックを出す)」
ヒデ「うわこれ本格的なクレーマーだなこれ」
(会場笑い)
ヒデ「書いてきた!?」
横澤「書いてきた?」
ヒデ「口頭ではなく。まあ、でも行きましょう!」
大我「ざっと思いついたのだと、ちょっとこんな感じですかね」
ヒデ「いや結構あるな……」
(ヒデ、フリップを見に近づく)
ヒデ「『ロッカー』?」
大我「これは織田裕二さんが産業スパイで、逃げる時にロッカーの中に逃げ込むんですけど、そのまま朝になっちゃって、警察が来て……みたいなことになるんですけど。警察の捜査中にですね、そのロッカーを廃棄処分にするからって言って、業者がやってきて運んでいくんですけど、なんで警察は黙ってるんだろうと思って……」
小椋「物語が進まないじゃないか!」
(会場笑い)
ヒデ「そうだー!」
小椋「なんかだんだん腹が立ってきた」
(会場笑い)
ヒデ「進まないじゃないか! ほんとに。(フリップを見て)『赤ちゃん養育ソフト』?」
大我「これ結構いい話なんですけど。パソコンの中で赤ちゃんを育てて、それが現実のものとして現れるっていう。いい話なんですけど……」
(「赤ちゃん養育ソフト」(1996年)の映像が流れる)
大我「途中でパソコンの中から赤ん坊が出てくるシーンがあるんですけど、この赤ちゃんのフィギュアの造形がものすごく怖くて、なんか素直に感動できない」
(会場笑い)
ヒデ「女子か! 怖すぎて?(笑)」
横澤「めっちゃ面白い(笑)」
大我「変にリアルなんです」
ヒデ「もうちょいあのーなんかね、柔らかく寄せてけばよかったのに」
大我「はい」
ヒデ「さあラスト行きましょう。『帰れない』」
大我「これはあのー(片岡)鶴太郎さんが主演で。名作なんですけど」
小椋「僕の監督作品ですね」
ヒデ「ああ」
大我「(主人公が)家に帰るのが嫌で、おでん屋の屋台から『帰るコール』ならぬ『帰らないコール』っていうのをするんですね」
ヒデ「うん」
(「帰れない」(1991年)の映像が流れる)
大我「それ以降、家に帰れなくなるっていう話なんですけど。僕これ初めて見た時ずっと、(最後に)家族の大切さに気づいて、屋台から『今から帰るぞ』っていう帰るコールをしたら帰れるんじゃないかな?って思って見てたんですけど、結局帰らないままだったんで。なんで帰るコールしないんだろう?って思いながら見てたんですけど……」
小椋「『帰らないコール』で始まったストーリーで、最後に『帰るコール』して元に戻ったら単純でしょそれ!」
(会場笑い)
小椋「主人公が帰らないまんま終わるから、深い物語になるんじゃないですか」
ヒデ「まとめると。途中ですけど、(大我に)もう帰ろう? 今日は」
(会場笑い)
ヒデ「大我さん帰ろ、今日は……」
横澤「(笑)」
ヒデ「さあ、色々率直な意見聞いて、小椋さんいかがでしたか」
小椋「いやー、ホントに大我さん詳しくてね」
(会場笑い)
小椋「次回上京された時は、ぜひ奇妙の本の打ち合わせに出て来てもらいたい」
ヒデ「いや本当ね、そうですよ」
大我「いやーもう、ほんとに有り難いことです、もうほんとに……」
ヒデ「まんざらでもねーな!(笑) お前ほんとに……」
(会場笑い)
ヒデ「わかりました。ということで以上、大好きな作品・イマイチ作品でした!」
◆ 次回予告 ◆ (次回のダイジェストが流れる)
横澤「それ……マイクじゃないですよね?(笑)」
ヒデ「すげー興奮してる!」
横澤「(笑)」
大我「蛍原さん」
ヒデ・横澤「えーっ!?」
大我「雨上がりの……」
大我「ずっとモミアゲを触ってるっていう変な役で」
(会場笑い)
ヒデ「これは盗んだな?」
ヒデ「だってこれ画鋲の…」
小椋「そうだね」
ヒデ「やったな!?」
(会場笑い)
大我「いや違います(笑)」
横澤「盗ったんですか?」
ヒデ「だからマスクか!」
大我「ファンの間では、もうほんとに幻って呼ばれてる回が……」
小椋「実はここに台本を持ってきました」
小椋「(大我に)これあげませんよ?」
大我「(笑)」
ヒデ「もらおうとしたのかまた!」
(会場笑い)
~次回もお楽しみに!!~
◆ マニアトークこぼれ話 ④
① 大我さんの本来のナンバー1作品?
番組中、大我さんがナンバー1作品に選出した「23分間の奇跡」は、元々出演する予定だった私のイチオシ作品として事前アンケート内で挙げていたもの。
この選出の裏には『せめて出演予定だった管理人さんの想いをここで…』という大我さんのお気遣いに加え、『ひょっとしたら奇跡的に映像を流してもらえるかも』というお互いの下心(笑)が存在していたのですが、実は大我さんの中で、最後まで自分のイチオシとして選出するか迷ったお気に入り作品があったんです。
その作品とは、'99秋の特別編で放送された『私は、女優』。当時小学生だった大我さんが初めて見た回かつ、初めて奇妙な世界の魅力に取り憑かれてしまった非常に思い入れの深い作品なのだとか。
そんな作品の思いを抑え込んで、あえて私のベスト1をチョイスしてくださった大我さんに、この場で改めて感謝の意を伝えたいと思います。本当にありがとうございました。m(_ _)m
② カットされたイマイチ?2作品
後半に設けられた『イマイチ作品』コーナー。掲載している画像に映るフリップには、惜しくもカットされてしまった2作品がある事にお気づきの方も多いかと思います。……そう、「耳鳴り」と「ど忘れ」です。
そのツッコミ内容は至ってシンプルで、前者は「耳鳴り様の目的がさっぱりわからない」。そして、後者は「奇妙というより、単に病気なのではないか」というもの。
大我さんの話によれば、スタッフさんから「フリップには、できるだけ多く書いて欲しい」とお願いされていたそうで、思いつく限りのツッコミポイントのある作品を何とか捻り出し、付け加えたんだとか。しかもこの2作品はご本人の中でもかなり苦しいと思っていただけに、カットされた際は「やっぱりなぁ…」と思ったとのこと。
ちなみに「帰れない」に関するツッコミは、私が放送当時から思っていた疑問でして、事前アンケートにも記入していたもの。わかりやすいツッコミだったせいか、想像していたより盛り上がったようで本当に何より。(もちろん、あの展開だからこそ名作なのは十分理解した上でですよ!)
そんなツッコミに堂々と反論していた小椋監督も、コーナー前には「『帰れない』のとこ、忘れずお願いしますね!」と大我さんに伝えてきたくらい、このパートには前のめりだったそう。なので、本当に怒っている訳ではありません、どうぞご安心ください(^^;)。
以上「復刻!世にも奇妙なマニアートーク④」でした。
次回パート5は、10月15日に公開予定。お楽しみに。