世にも奇妙な物語 ブログの特別編

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人気マンガ家競演編 感想

『25周年スペシャル・春 ~人気マンガ家競演編~』、無事に放送が終了いたしました。

良くも悪くも話題性抜群のワンピースコラボや、伊藤潤二原作というツボを抑えた選出と、記念イヤーの幕開けを飾るに相応しい豪華企画だったと思います。

 

「世にも」と漫画の歴史は意外と古く、過去に放送された「ハイ・ヌーン」「バイパスの夜」「言葉のない部屋」「夜汽車の男」なども実は全て漫画が原作。1991年1月の「復讐クラブ」から約24年、漫画家による奇妙作品はこれまで40作以上が制作されています。

 

以前も書きましたが、昔から漫画原作作品が多数存在していることを知らない人が結構いるようで、今回ネットを見ていても「漫画を映像化する時点で終わりだ」「遂にネタ切れで漫画に手を出すのか」「小説ならまだしも漫画なんて合うわけがない」と言う類の事をおっしゃっている方を多数発見。

 

中には「それに比べて昔の作品は良かった」と、漫画が原作になっている過去作品を褒めている方がいたりなんかして、『これはいわゆるツッコミ待ちという奴なのか……!?(-▽-;)』と思わされたりも。まぁ、いちいちスタッフを気にしない人もいるでしょうから、今回はそういう意味でもやってみる価値があったのではないかなとも思います。

 

が、試みとしては面白くても肝心の内容がダメダメだったならば話になりませんよね。

25周年一発目のスペシャルですから、いつも以上の面白さを期待するのは当然の成り行き。

しかも、有名漫画家の皆さんとコラボしている以上、生半可な出来では番組の威信にも関わる……ってのはさすがに大袈裟ですか。

 

「ワンピース」とのコラボという不安要素がある一方で、以前からファンから期待の声があがっていた伊藤潤二さん原作のストーリーなど、両極端なラインナップとなっている今回。果たしてどのような奇妙を繰り広げてくれるのか、じっくり鑑賞させていただきました。

 

では以下、今回の特別編についての個人的な感想を。毎年長文になりすぎて我ながら鬱陶しくなってきたので今年はできるだけ簡潔に。ちなみに、評価は★5つが最高となっています。

◆ 第1話「面」★★★

怪談風なテイストではじまったので、まさかSF的なお話だったとは……そっちの意味でしてやられました。

 

種明かしで「あーそういう感じかぁ……」と思いきや……ラストの何とも言えない物悲しさが良いですね。近年はどんでん返しで終わりではなく、その後の終わらせ方をどう持っていくかのセンスが大事だなと常々。

◆ 第2話「地縛者」★★

原作者の伊藤潤二さんもインタビューで触れられていましたが、筒井康隆さんの某作品っぽいなというのが第一印象です。以前から筒井さんの作品の方を映像化してほしいと思っていたので、先を越されてちょっと悔しい気持ちもありつつ……(笑) 放送後に原作本も読んでみましたが、主人公の家族に関するエピソードが一切無く地縛者にもならないので、思ってたより脚色されていたんだなと。

 

それにしても、なんなんでしょうね、あえてオチを読みやすくしても、誰も救われない嫌な後味だけが残るこの感じ。あと思ってた以上に前田敦子さんが良かったです。もし次出るならば是非妖しい病んだ女性の役で!(笑)

◆ 第3話「ゴムゴムの男」★+0.5

尾田栄一郎さんの大人気漫画「ワンピース」とのスペシャルコラボ作。

厳密に言えば尾田栄一郎さんは本作にノータッチであり、漫画のキャラ&設定を使った番組オリジナルの作品であります。

 

当初想像してたよりかは、幾分まともな展開ではありましたけれども、やっぱり違和感は拭えず……(^^;) どうしてもルフィを登場させなきゃいけなかったんだろうかと。この番組でCGを駆使した演出は鬼門すぎます。

 

『ゴムゴムの実が現実に登場して、それを食べてしまった男の話』というアイディアは十分面白いと思うんですよ。

 

単純に『偶然謎の実を食べてゴムゴムの能力を身につけた男の成長譚』でも十分良かったと思うんですよね。なのにどうしてこうなってしてしまうのか。こういう所に制作側の問題点が浮かび上がってきている気がします。

 

阿部寛がゴム人間になるだけでなく、ルフィをガッツリ登場させて、バトルもして、一緒に競演させて……などなど、欲張りすぎたのが原因だろうと。とにもかくにも、どっちつかずなんですよね。どちらも立たせようとして、どちらも立たなくなってしまったという印象が強いです。

 

ルフィが現実世界にやって来た理由が「面白そうだから遊びにきた」だったり、組長自らダイナマイトを取り出して主人公らを殺そうとしたり、TVから出てきたはずなのに何故か登場した海賊船でルフィが去って行くなど、見せ場を作りたいが為にこしらえた雑な部分が多々あったのが余計に残念でした。

 

あんまり強引な展開が多いので、夢オチか幻覚オチだろうと思って見ていたくらいなので……。シュール系だし、細かい所はどうでもいいじゃないかという気持ちにもあまりなれなかったですね。

 

個人的には、パーマンコピーロボットが送られてくるというとんでもない設定を、ぼかして視聴者に伝えた「贈り物」みたいな路線(藤子プロに怒られないギリギリのラインで作った結果だとは思いますが)が良かったなぁと。

 

とにかく「ワンピースを使った事」でもなく「アニメキャラを出した事」でもなく、全て「料理のセンスが悪い」の一言に尽きます。絶対ルフィを出さなくてはならなかったとしても、料理次第でもっと熱い物語にだって出来たはずなんですよ。こういう物はもっと本気で取り組まないと。ただ後味は予想より悪くなかったので0.5プラス。

◆ 第4話「蟲たちの家」★★★★

──どうした、松木監督!

 

いやもうまずそこですよ。半年前に「サプライズ」を撮った人と同一人物だとはとても思えないです。

よく見ると松木監督の演出だなと判るんですが、これまで引っ掛かっていた演出も今回鼻につかず、映像も丁寧で好印象でした。

 

ストーリー的にも、どんでん返しあり、不気味さあり、大人の物語で楽しめました。

ちょっと板尾さんの演技がやりすぎかなと思う所もありましたが、十分作品にマッチしていたように思います。原作も読んでみましたが、映像化の際に原作の良さをしっかり活かそうと苦心したであろう点にも気付き、100点とはいかずとも、十分納得できる仕上がりではないかという印象です。

 

初の楳図作品×2代目ホラー監督によるコラボはまぁ成功といった所かなと。作品はもちろん今後への期待も込めて★4つ。ド直球も良いですが、監督にはこういう幻想的な要素を含む作品も手がけてもらいたいなと思ってしまいましたね。

◆ 第5話「自分を信じた男」★★★

誰からも存在を気付かれなくなる主人公の話としては、92年の「気づかれない男」なんてのがありましたが、本作は、途中から「あ、どんでん返しなくてもこのまま終わってくれていいや」と思える楽しさがありました。

 

92年の「奇遇」みたいにさらーっと終わりつつも、その登場人物がいる世界自体が楽しい作品って結構好きなんですよ。今振り返ってみれば、逃げるチャンスはいくらでもあっただろうと突っ込めたりしますが、不思議と納得できる自分がいます。当初の予想以上に楽しめたのは本作かもしれません。古きよき「世にも」作品が復活って感じですね。★3つ。

◆ 総評 ★★★

初見の総合的な印象としては、口当たりが良くて、どれも非常にさらっとしているという感じです。

 

ハードルを下げていたせいか、どれもそれなりに楽しめましたし、どんでん返しに重点を置いた作品が少ない割に、演出や演者の力で引っ張っていたので「ゴムゴムの男」を除いて引っかかりも特に無く。

 

ただ、言ってしまえばごくごく無難に小さくまとまっていますかね。酷評とまではいかないものの、そこまで印象にも残らない当たり障りのない感じというか。恐らくどんでん返し・オチ重視派なファンにとっては、今回もあまり楽しめなかっただろうな~とは思います。

 

これまで過去3回見てきた感じでは、コラボ回はどうしても可もなく不可もなくに落ち着いてしまうのかなと。

特定の作品群の中から、下手なものを選ばず、映像化に向いていそうな物……というチョイスの仕方だと、無難な物揃いになってしまうのは自然の成り行きでしょうしね。

 

また、個人的な心情としては「有名漫画家の原作」という縛りを設ける事に若干抵抗があるのも事実なんです。

 

漫画がダメだとかそういうことではなく、「人気番組」や「人気作家」といったネームバリューを優先するよりも、ストーリーを優先してもらいたいなという気持ちがやっぱりあって、「石油が出た」「ファナモ」のような、ダダ滑りするかもしれないけど、絶大にウケるかもしれない作品のような物は出てきにくかったりするじゃないですか。やはり「世にも」は、ネームバリューありきの脚本や原作ではなく、その時その時のチョイスで選んで言って欲しいなぁと贅沢な意見を……。

 

なので、どんなにつまらないストーリーしか揃わなかったとしても、プロットありきの姿勢は崩して欲しくないなと。(厳密に言えば例外も多少ありますがあくまで建前として)……あ、キャスト面に関するネームバリューは、初期からアイドル、ジャニーズ、文化人、芸人、意外な俳優など大量に起用してきた番組なので、特定の出演作を必要以上に押し出したりしなければウェルカムです。

 

そんな訳で私の気持ちとしてはコラボ回はもう良いんじゃないかなと思ったりもします。この次もコラボを続けて言っても、先細りしていきそうですしね……。作風やジャンルに縛りを設けない企画(劇場版2・レギュラー復活等)であれば大歓迎なのですけど! ま、ここはマニア特有の“めんどくさいこだわり”という奴で……(笑)

 

とはいえ、文句はいいつつも半年ぶりの新作です。楽しかったかと言われれば楽しかったです。

が、まだまだ……やれるはずですよね(笑)、次回にも期待です。

 

本当に、本当に、2010年の「人気番組競演編」とは何だったんでしょうか!

◆ 秋のリメイク企画に向けて

最後は、秋の目玉企画の1つである「ファン投票によるリメイク企画」について。

https://s1.fujitv.co.jp/safe/kimyo/ranking/index.html

 

4月8日に発表され、私もリスト制作の為に作品データの提供をさせていただきましたこの企画ですが、やはり賛否両論激しく、ファンの間でも大きく意見がわかれている所が実際の所のようです。

 

ざっとネットを見た限りでは、肯定派は「好きな作品が蘇るのは良い」「新作よりもリメイクの方がマシ」「なかなか見られない作品がまた見られる」、否定派は「名作を汚すに決まっている」「今のスタッフで大丈夫か」「オリジナルの再放送で十分」「安易なリメイクは単なる逃げだ」などなど……。

 

私としても、不安はかなり大きい! いや不安がほとんどかもしれません。

オリジナルスタッフ&最新のSFX&莫大な予算を使っても、ガッカリな出来になったリメイク映画もあります。良くなる可能性もありますが、悪くなる可能性も同じだけあるので、やはり「大丈夫だろうか」と言う想いが脳裏をよるのは仕方のないこと。

 

ただ、スタッフがリメイク企画をやると決めたのならば、それに賭けてみようという気持ちも他方であったりします。昨年からスタッフのツイート等を見てきた限り、ネタ切れや手を抜きたい、数字が取りやすい…といったような、安易だったり生半可な気持ちで企画した訳ではないだろうとは思っているんですよ。

 

とはいえ、今のスタッフなら100%安心!と胸を張って言えないのも事実なんですが…(笑) そこまでデメリットばかりの企画でも無いのかなと。

 

第2世代中心の現スタッフに「これぞファンが求める奇妙」という物を制作させるのは、各々得るものがあると思いますし、同時に『現スタッフ間で番組のイメージが統一されていないのでは?』という思いが多々あったので、そのキッカケになるのではとも。

 

また、どうしても濃いファンは濃い視点でものを見がちですが、サイトを運営している身としては新規のファンへの視点というのも大事だと思ってます。私が約11年たくさんのファンの方と交流してきて一番感じたのが、番組が大好きだというファンの間で『知っている作品』の差が大きすぎることなんです。

 

既にご存知の方も多いように、これまで「世にも」に関わった脚本家&演出家の数:約350人以上、出演者数:約4000人以上、さらにフジテレビ以外に「世にも」の著作権保有している制作会社が十数社と、非常に版権の問題で再放送やソフト化が困難な番組なんです。何度か行われたCSの再放送でも抜けだらけ、2000年以前のものでソフト化されている話数も30本にも満たないという有り様。

 

以前、動画サイトにてチェックしましたが、違法アップロードであっても200話程度しか動画が公開されていないらしく『有名な作品は知っているけど…』という若い方も結構いらっしゃるようで、全話を見て知識を深めたくともそれができないとなれば、開きが大きくなるのは当然だと。

 

そういう現状があるわけですから、新規・若いファン、もしくは今後ファンになるであろう方々に『過去の名作へ触れる機会を作る』というまたとない機会になるのではないか。また、ファン投票によって人気の高い作品群が明確にされることで、リメイク作以外の上位作への興味を持たせる事もできる他、上位になればニーズが高い作品であることをアピールできるので、後々それらの再放送・ソフト化等に繋げやすくさせて、よりファンが名作を視聴しやすい環境が整う副次的効果も生まれるのではないかと。

 

そう考えれば『損して得取る』というと語弊がありますが、どんな結果であっても番組・ファン共に何もたらさない事にはならないのではないか、なんて。あくまで希望的観測ではありますが。

 

あと、私は第2世代中心の現スタッフの成長譚という側面でも番組を楽しんでいるので、25周年目という節目に、新たに今後の番組を支えていくという覚悟をまざまざと見せてもらいたいなと! また番組に対して非常に意欲的な後藤Pが加わった事も大きいですね。あのモチベーションの高さは絶対に番組にプラスになるはずだと。これが暗黒期に企画されてたらもっと批判的だったと思います。

 

まぁでも……信じられないくらい酷い出来だった時は、普通に怒りますけどね!(-▽-;)

 

25周年最初の特別企画は無難な始まりとなりましたが、今年はまだまだ特大企画が待っている(らしい)ので、そちらの方にも期待したいですね。はたして、後藤Pの希望であるレギュラーシリーズが本当に復活してしまうのか。25周年という記念イヤーを堪能できる年になることを祈りつつ、注視していきたいなと。

 

今年はCSでの再放送や、ネット配信が行われているので、次回まで楽しく待てそうです。

それでは最後に、今回携わったスタッフ・キャスト・関係者の皆様、ありがとうございましたm(_ _)m