世にも奇妙な物語 ブログの特別編

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傑作復活編&映画監督編 感想

お台場での上映会、スピンオフ企画、人気投票企画、公式サイトの大リニューアル、CSでの再放送スタート…。「ひょっとして番組終了なのでは?」と不安になってしまうほど、番組史上最大のお祭り騒ぎとなった25周年。

 

そのメインイベントである2週連続SP「傑作復活編」「映画監督編」が無事に放送を終了いたしました。

 

最近はリアルでバタバタしていて「映画監督編」のみどころ紹介が書けずじまいだった上、25周年記念のアレコレに関して感慨深いものがあったりしたため、感想記事も書けないまま途方に暮れていたのですが、このままだとほったらかしにしてしまいそうなので、今更ではありますが、今回の「傑作復活編」「映画監督編」の個人的な感想と雑感を簡単に。

◆ 傑作復活編 ★★★

いきなり過去映像が流されたプロローグにはかなりハートを鷲掴みにされました(笑)

 

ほとんど共同テレビ回の映像ばかりでしたが、わざわざ東映や日活から映像を借りてきて旧作の映像も流してくれるなど、手間のかかるファンサービスを行ってくれたのはただただ感謝感謝!

◆ 「昨日公園」 ★★★

2006年に制作されたオリジナル版でのブラックなラストが印象深い作品でありますが、実はあれは番組側によって脚色されたラストでして、今回のリメイク版では原作寄りのラストにされた模様。

 

まだ日の明るいうちに、強盗が店じまい中の食堂の窓ガラスを割って入ろうとしているなど、所々気になった部分もありましたが、フルート、雨といった原作にもオリジナルにも無い要素を織り交ぜ、原作ともオリジナルとも異なる新しくも美しい「昨日公園」が誕生したのではないかと思います。

◆ 「イマキヨさん」 ★★

今回の中では最もオリジナルに忠実な作品だと思いますし、手堅い作りだったと思います。

ただ、他の4作品がどれも新しいアプローチでリメイクしているのを見てしまうと、あまりに正攻法すぎて物足りない面も正直ありました。

 

リメイクに際して新たに付けられた主人公の鼻をすする癖も、いかにも伏線ですという感じで少々クドかったかな…と。一方で、オリジナルから9年経ち、映像技術の進歩を最も感じた作品でもありました。地味にTV業界も進化してますね…!

 

オリジナルを尊重した内容に好感が持てましたが、今回のラインナップの中ではもう少し冒険心が欲しかったので★2つ。

◆ 「ハイ・ヌーン」 ★★★

和田アキ子が男役という部分で大きな話題を集めた本作。

悪ノリにも近い問題作ということで、オリジナルファンからもかなり批判の声が出ていたのが印象深いですね。

 

リメイク版には、オリジナル版にあったジャズのBGMも、玉置浩二さんの見事な変人演技も、あの独特の空気も一切存在していません。これらの要素がまるごと抜けてしまっていることを批判するファンの方も多数いらっしゃったようですが、それは無理もないことで、本作はスタッフの発言にもあるように、『主人公=商店街に現れたヒーローである』と捉えた新解釈版として制作されているんですね。

 

私としては「オリジナルの持ち味を忠実に再現しました」と言われてこれを出されていたら「なんでそうなるんだ…」とひどくガッカリしただろうと思いますが、この大胆な新解釈に基づいた、端々に力強い演出が光る「新ハイ・ヌーン」は、そういう側面から見れば意外とアリじゃないか?と思ったりも。和田さんの演技も、当初「あれやっぱり違和感あるかも…」と思っていましたが、終盤には見入ってしまって気にならなくなっていましたし。

 

まぁ、どちらが好きかと聞かれれば圧倒的にオリジナル版なんですけど(笑)、このチャレンジ自体は非常に面白い試みであったなと。……ただ、ラストにギャラリーが発する「え~っ」はさすがに不要だったような気がします…(-▽-;)

 

旧作もなかなかの珍作でありましたが、リメイク版もかなりの珍作になったということで、その大胆さに★3つ。

◆ 「ズンドコベロンチョ」 ★★★★

結論から言うと、最高すぎました。

 

この作品をリメイクするために復活傑作編が作られたんじゃないかと思うほど、理想的なリメイクになったんじゃないでしょうか。大胆にアレンジをくわえつつも、オリジナルへのリスペクトもしっかり。そして様々に散りばめられた小ネタも楽しかったです。

 

例えば、美容院に置かれた「25(周年)」のカップ

 

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そして、作者の北川悦吏子さんご本人の登場(笑)

 

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さらにストーリーテラーもオリジナルへのリスペクトが。

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特に衝撃だったのが、三上の描いたズンドコベロンチョのイラスト。

 

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この絵は元々中川いさみさんの漫画「クマのプー太郎」内に登場するキャラクターのイラストでして、ネットでも「なんでこのキャラが?」と疑問に思われている方も多かったようですが、実はこれ相当マニアックなネタだったんです。(もちろん劇中使用にあたって中川さんご本人の許可も得ています)

 

オリジナル版にも主人公がズンベロの想像図を描くシーンがありますが、そこでは上の画像にあるような黄色いキャラクターになっていました。が、どうやら24年前のオリジナル版撮影当時、一部スタッフ間で『だいたいこんな感じの絵』という例として使われていたのが、中川いさみさんのイラストだった様で、91年にズンドコベロンチョのシナリオが特集された雑誌「月刊ドラマ」内でも、その絵を確認することができます。

 

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日本で多くても1~2人くらいしか判らないであろう超マニアックすぎる楽屋ネタに、後藤監督、マジなのかと(笑)。他にもオリジナルのラストで印象的だった都庁付近でもロケを敢行していたり、マニア向けの小ネタが本当に豊富だったなと。

 

ラストも「大蒜」のように、北川さんのナンセンスっぷりがおもいっきり発揮されていて、思わずニヤリとしてしまったり。

 

ほか、ズンベロの定義的なものを見せちゃったのは、意味がわからないとはいえ、それでもイメージがある程度方向づけられてしまうので、できればもう少しボカして欲しかったな~と思ったりもしましたが、オリジナルを踏まえた上で面白い新ズンベロを作ろうという熱意はしっかり伝わりました。

 

本当はこの倍以上語りたいくらいなんですけども、ひとまずこれくらいで(笑) 

老いも若きもズンドコベロンチョであった11月21日、忘れません……!

◆ 「思い出を売る男」 ★★★

いやー、ラストがとてつもなくズルかったですね…(笑)

思わずテレビの前で「これはズルいぞ!」と口に出しちゃったくらいなので。

今回はそのあざとさが見事にハマったおかげで、オリジナルとは違った印象のリメイク版になったのではないでしょうか。

 

「雨の西麻布」なる日本酒や、「熱意と根性だったら誰にも負けません」といった、とんねるずファンにはニヤリとする小ネタもありましたし、丁寧な作りだったかなと。

 

ドラマ「お金がない」のオマージュであったオネェの借金取りのキャラが好きだったので、今回普通の借金取りになってしまったのはちょっと残念…(^^;)

◆ 特別映像 (ががばば) ★★★

Yahooとのコラボ企画として、ネット上で大変話題になった「ががばば」

阿鼻叫喚する方々のつぶやきが多数散見され、想像以上の話題っぷりに私も大変驚きました。

 

ただ、個人的に世にも奇妙な物語の作風とは相反するタイプの話だな~と思ったりも。

ネットムービーも含めてみれば、映像に見切れる影や思わせぶりな小道具、曖昧なぼかし方…と、POVホラーものの定番を抑えてはいますが、こういったストレートなものは心霊映像や放送禁止系のホラーDVDの棚に腐るほどあるわけなので、内容的にもストーリーにも新鮮味を感じられず…。

 

今回のED後に流れたががばば続編も、引掛け要素はありつつも結局単なるビックリものということで、例えば「放送禁止」シリーズのように、一部不可解な部分がありつつも、そのストーリーの裏を深く考察したくなるような要素も無く…。率直に言ってしまうと、あまりにもベッタベタすぎてまったく怖がれなかったです…(-▽-;)

 

とまぁ、内容に関しては正直★1つの評価ではありますが、今回のこの番組史上初の試み自体は★5つ級の大絶賛をしたいです! ネットと実際のドラマとのリンクというのはたいして目新しくありませんが、それを「世にも」でやってしまおうと考えた現スタッフの意欲は非常に頼もしいなと。こういう新しいことをやろうとするのは、やっぱり大事ですからね。

 

本編終了後に再び「ががばば」で検索すると出てくる内容が変化するという、まさかの2段構えという細かさにも、その片鱗が伺えて非常に好感を持てました。そういう凝り方は大好きなもんで。

 

今回の「ががばば」は、現スタッフが慣れないことを四苦八苦しつつやってみた印象を受けましたが、その凸凹感が深夜時代の試行錯誤感とリンクしているような気がして、これは今後の世にもが何とも楽しみだなと。

 

この調子で行けば『専用アプリとドラマの内容が連動』『CSやネット配信といった規制の緩い場所での新作』『ニコ生のようなサイトでの一挙放送』といった面白い展開にも繋がっていきそうで、“世にも新時代”の幕開けを見せつけられたような気がします。

 

……で、結局「ががばば」って何だったんですかね? (^^;)

◆ 映画監督編 ★★★★

NASAの映像を借りてくるという大胆っぷりも笑っちゃいましたが(笑)、今後の25年に向けての第一歩を踏み出すという粋な作りのテラーパートだったと思います。ED直前、地球から飛び立ち分裂していくUFO…という植田監督らしい仕込まれた小ネタにも思わずニヤリ。

 

ただ、それぞれのスタッフが異なっているとはいえ、「傑作復活編」と番組タイトル表記やED仕様、CM明けのロゴ等がまったく統一されてなかったのはちょっとモヤモヤしてしまったり。せっかくの2週編成ということで、統一してくれると嬉しかったんですけど…!

◆ 「箱」 ★★★★

今年の夏にワンシチュエーションスリラー映画にハマっていまして、いくつか似たタイプの映画を見ていたため、放送前の早い段階から「はは~ん。これは映画『リミット』をヒントにしたな」と思ってたんですが、ネットを見ていると「リミット」以外にも、「ブレーキだ」「CSIタランティーノ監督回だ」「ポーの早すぎた埋葬(これは劇中で触れられていましたが)だ」と、色々と挙がっていたようで、それらの方も色々と見てみたいなと…(笑)

 

放送ではこういった設定の映画にありがちなラストにならない事だけを祈っていたものの、予想外の結末と厭な後味が大変ツボでした。ちょっと主人公がヒステリー気味になりすぎていたり、中盤やネタバラシが冗長気味だったりと、いくつか思う所もありましたが、ラストシーンの物悲しさにやられたので★4つ。近年ではかなりおもいきった第1話目だったと思います。

◆ 「幸せを運ぶ眼鏡」 ★★★

踊る大捜査線」で知られる本広克行監督による一本。実は本広監督、深夜の「奇妙な出来事」からADとして携わり、監督デビューも92年の「見たら最期」だったという世にも出身者のお一人だったりします。

 

この手のオチはどちらかというと定番のどんでん返しではありますが、2013年の「仮婚」を思わせちょっぴり社会風刺っぽさも感じられて好印象でした。そして、やっぱり妻夫木さんがCMで演じられているのび太くんにしか見えない…!(^^;)確実にそこを狙ったキャスティングだと思いますが。

 

また、本作は音楽や声優等、人気テレビアニメ「PSYCHO-PASS」のスタッフが結集したということで、ファンも賑わっていましたし、「面白いから見て」と周りから勧められてもなかなか上がらなかった重い腰を、ここらでそろそろ上げてみようかと思います。

◆ 「事故物件」 ★★

放送話数では記念すべき通算500話目。現在公開中の映画「劇場霊」のスタッフが集結して制作されたということで、番組では珍しい直球Jホラーを期待していたものの、蓋をあけてみると、なかなか良いお話で、ちょっと肩透かしを食らってしまった部分もありました…(笑)

 

ストーリーの内容的に隙も無駄も無いストーリーだと思うんですが、個人的には綺麗に舗装されすぎていて、いささか面白みに欠ける部分があったかなと。どんでん返しも「逆探知」といった類似の事例がありますし、ネタバラシ以降も若干冗長気味だったので「まだ何か来るか!?」と変に身構えてしまったりも。

 

とはいえ、監督による「世にもはストレートホラーでは終われないため、泣きに振ろう」との判断は、番組のコンセプトから見て正しかったかなと思いますし、普段の仕事で作れないドラマを作ろうというのが番組の成り立ちの一つでもあったので、普段のカラーをあえて外した所も好感が持てたので★2つ。

◆ 「×(バツ)」★★★★

このタイプの設定は92年の「顔色」にもありましたが、番組では初の真面目な(笑)阿部サダヲさんの演技も相まって楽しく見られました。予告を見る限りでは、『死を控えた人間に付くマークかと思いきや、実は……。』という内容かなと思って、期待していたのですが、アバル出血熱関連のニュースが流れていた時点で、「あ、やっぱりそっちの展開だったのか」と……(^^;)

 

とはいえ、全体的に見せ方も上手く、特にダレることなく最後までストーリーを楽しめたのでかなり好感を持ちました。ここ数年は、どんでん返しに注力しすぎて、オチが読めてしまうと残り時間が単なる消化試合になってしまう作品が多いなと思っていたので、シンプルながらも、しっかり奇妙さを押し出していた所は、見習うべきポイントの一つかなと思ったりします

◆ 「嘘が生まれた日」 ★★★

原作はWEBサイト「少年ジャンプ+」に掲載された渡辺雄平さんのマンガ「ウソキヅキ」。今年の春大学を卒業したばかりの新人さんだそうです。2009年にネットムービーを原作として映像化された作品が登場した際、将来WEBマンガ原作なんてのも出てくるのではと予想していましたが、まさか本当にWEBマンガ(とはいえ少年ジャンプのWEB版ですが)から出てきてしまうとは……(笑) スタッフはどこまで手を広げているんでしょうね。

 

呪怨」を手がけた清水崇監督が手掛ける感動作との触れ込みで、一体どんな作品になるのかとおもいきや、実に手堅い作りで楽しめました。所々、おかしな部分に突っ込めないこともありませんでしたが、嘘という同一テーマを用いて、原作とも違ったストーリーを構築していて◎。

 

「媚びない」「わかりやすくするつもりはない」と、スタッフに対して攻めの姿勢を見せていた清水監督でしたが、個人的にはもう少し冒険しても良かった気はします! 最近は「わかりやすさ」のレベルが過度になりすぎていると思っているので、一度そこのハードルをぶっ壊して欲しい気持ちもあったりしました。

◆ 2週連続SP 総評 ★★★★

今回の2回分の総合評価は★4つ。

といっても、作品の出来不出来というよりも試みや意気込み面での評価といった方がいいでしょうか。

 

「映画監督編」では、羽生選手が世界最高得点を記録したNHK中継の真裏だったということで、視聴率は他の番組同様大幅に下がってしまい、歴代ワーストを25年ぶりに更新してしまうという残念な部分もありましたが、過去の奇妙と新しい奇妙の2つを提示することで、これからの25年へ向かう意思を強く感じられたのは、非常に嬉しかったです。この25周年企画に対する盛り上げっぷりも、サイト開設以来のお祭り騒ぎで、連日嬉しい悲鳴でありました(T_T)

 

個人的に2010年の「人気番組競演編」からの2年ほどは、番組史上最大の暗黒期だと思っていたので、当時言い方は悪いですが向こう10年間は“捨て年”になるのではと覚悟してました。作品の出来だけでなく、番組の扱われ方にもガッカリしてしまう事例が続いたこともあり、「これ本当に番組終わるかも…」と思ったこともありましたが、ここ2年からは、新たに番組のメインスタッフに加わった後藤プロデューサー率いるスタッフの方々のご尽力もあって、復調の兆しが見えてきて、安心している自分がいます。

 

少なくとも今回のSPはここ5年間では最も満足した回であったことは間違いないないですね。

ガツンと来るタイプの話がもう少し欲しかったり、リメイク選出作にもう少し冒険が欲しかったり、EDの煽り文や、CM明けの度にロゴを出すのはやっぱり違和感があったりと、細かい不満を挙げればキリがないですが、何より、近年まっっっっったく感じられなかったスタッフの意欲を想像以上に見せつけられたことが非常に嬉しく、そして頼もしかったです。

 

もちろん、意欲があれば必ずしも面白いものができあがるわけではありませんが、立ち上げスタッフの大半が番組から離れてしまった現在であっても、ドラマや「奇妙」を愛しているスタッフさんがいてくれることは、今後の番組、テレビドラマ全体としても、一切意味をなさないことはないだろうと思いたいものです。

 

昨今は「世にも」だけでなく、テレビドラマというものはとにもかくにも厳しい現状が続いていますが、放送終了後の公式Twitterでのこれらのコメントを見ると、そこまで未来は真っ暗ではないかなと思ったりもして。

 

キャスト、スタッフ、その他関係者の皆様、この度はお疲れ様でした&ありがとうございました。

 

今後の番組を支える現スタッフからの熱い公式コメントを見てしまった以上、これからもいつもの通り、時折文句と賞賛を呟きながら、細々と、でも芯は熱く!番組を応援して行くのみです!(´▽`)