世にも奇妙な物語 ブログの特別編

「世にも奇妙な物語 ファンサイトの特別編」管理人のブログです。

'18春の特別編 感想

さあ今回も無事『'18春の特別編』の放送が終わりました!

 

今回も初主演の大物俳優や人気アイドル、意外な大御所作家などに加え、「ががばば」の超大当たりを端に発したプロモーション企画第5弾もありと、色々とやらかしてくれそうな予感を感じさせるSPだったわけですが、それでもやっぱり肝心なのは「面白い!」と思うか否かですよね。

 

2010年代も後半戦真っ只中。30周年まで残りはや2年に迫った「世にも奇妙な物語」。

そろそろ意気込みだけでなく、クオリティもアクセル全開と行ってもらいたいところですが、果たして……!?

 

というわけで、今回も私の個人的な感想を簡単に。評価は★5つが最高となっています。

◆ 第1話「フォロワー」 ★★★

AKB48の公式ライバルである乃木坂46の中心メンバー白石麻衣主演によるSNSホラー。

放送当時の人気アイドル×ホラーというのは「世にも」に限らず業界では定番中の定番ですよね。

 

本作はTwitterという現代的なモチーフを扱いながら、本来なりたい自分を過剰に追求した末の悲劇という普遍的なテーマの一編。実際、Twitterの中だけでも注目を浴びたいあまりに主人公のようなことをやる方は多いらしいので、身につまされる人も多かったのでは。

 

内容としてはこの番組でもお馴染み「調子乗り系ホラー」の王道展開なので、テンポよく楽しめました。

ただ個人的には後半の瀕死(?)の主人公を通行人が次々に写真を撮ったり拡散する一連の流れがややクドいかなと。

 

91年の「大予言」のような番組を見ている視聴者を風刺する系のオチは大好物なんですけれども、あちらが短くスパッと終わらせているのに対し、本作の場合は若干冗長気味だったのも手伝って「風刺をしてしますよ」感を醸し出しているため、スマートさに欠けるかな…と思ってしまいました。ブラックジョークなんかも、上手なものは短くキレがあってこそですからね。

 

ほか、本編以外のところでは劇中に登場した『港区OLハル』のTwitterアカウント(@minatoku_haru)が番組を同時実況するという隠しネタが意外と楽しかったです。次の話に移行してもハイテンションでツイートしていたり、どう見てもおっさんが書いてる内容だったり、偽ミミ子アカウントが大量発生したせいで本物のミミ子アカウント審査を初めたり……と、公式アカウントじゃないのをいいことにふざけまくっていたのが特に印象的でしたね。

 

「世にも」らしい切り口で1本目に相応しい作品+隠し要素が楽しめたことで、★3つ。

◆ 第2話「不倫警察」 ★★

過去「いいかげん」「言葉の戦争」「ダジャレ禁止令」など、番組でお馴染みだった奇妙な管理社会ものの最新作。

今回のテーマは2016年の例の事件以降巷を大いに沸かした『不倫』。昨年「忖度」をテーマにした作品があったことを考えるとやや遅いような気もしますが、こういうとこは「世にも」らしいと言えるでしょうか(^^;)

 

さて結論から言いますと……私はまったく作品にハマれませんでした。

 

番組らしい設定といい、コメディから一気にシリアスに変わる様、ラストの落とし方といい、評価の声が一定数あるのも十分頷ける出来だと思うのですが、私の場合めんどくさいことに前述の「フォロワー」同様、『風刺をしていますよ感』が、ど~~~~~~~~しても鼻についてしまったんですよね。

 

というのも「世間が許してくれない」「一度道を踏み外せば社会から抹殺」といったあからさまな台詞や描写が多すぎるなぁと。訴えたいテーマは非常によくわかるんですが、私は作品中の風刺が露骨すぎると「だったらわざわざ物語にする必要があるのか?」と感じてしまうタイプでして……。物語というフィルターを通すからには、鋭い風刺ほどできる限り受け手の中に感じさせてほしいなと思ってしまうんですよね。

 

その辺は構成がよく似ている「ダジャレ禁止令」と比べてみても、あちらはコメディものと思わせてラストで一気にテーマを浮かび上がらせている反面、本作は序盤からグイグイ風刺色を押し出しているため、どうもスマートさに欠けるといいますか、「風刺のための台詞」「風刺のための描写」といった“ありき”の要素のみで成り立っているような印象を受けました。

 

そして『ゲス不倫』から2年経った今になってこの種のテーマを扱うにしては、既にさんざん世間で言われてきた内容に留まっているため今更感もやや感じたり……。これが2年前の秋に放送していたか、不倫騒動の根本的かつ普遍的な部分だけを取り出した別なモチーフによる作品であったならばまた評価も違ったのかなと。

 

ほか、序盤の明すぎる演技も『社会の異常さを浮かび上がらせるための過剰さ』とはいえ、やりすぎな感もありましたし、コメディチックなシーンも、演出の問題なのか正直見ていてやや辛いものが……。

 

周囲では好評価の声がよく聞かれているので決してダメな作品ではないと思うのですが、どうも私のツボからことごとく外れているわけで……これはもう個人的な好みの違いとしか言いようがないです。すみません!

 

今風かつ普遍的なテーマをストレートに打ち出した姿勢は買うものの、私向きの作品ではなかったということで★2つ。

◆ 第3話「明日へのワープ」 ★★★★

今回唯一の原作付き作品。この手の話は芥川龍之介の「杜子春」が有名かと思いますが、番組でも「呪いの紙人形」「結婚シミュレーター」などがありますね。

 

感想としては、正直あまりにも刺さりすぎて見ているのがなかなかキツかったです。

まるで若い頃は小馬鹿にしていた流行歌がこの年になって胸に染みるような……。

ただ一方で「あんなやさぐれた生活を続けていてそんな上手いこといくもんかな…」と思った天の邪鬼な自分も…(笑)

 

私も似たようなことを幾度も考えたことがあるんですよね。この瞬間だけ時間が飛んで欲しいなと。

ただ今になって振り返ってみるとそういったことも現在の自分を形作る礎になっているわけで、結局しっかり記憶して体験して生きていくしか無いんですよね…今後も頑張ります。

 

演出面ではなんといっても安定安心の植田監督ですから、しっかり「世にも」らしい世界観でグイグイ引き込まれてしまいました。面接会場に「BLACK」の文字があるお約束(?)の小ネタ(ハルTwitterも言及しているので恐らく偶然ではないでしょう)も、さりげなさ加減が◎。

 

ほか、ネットを見ていると「夢オチ」との批判もあるようですが、本作は夢オチ部分に主軸を置いていないので個人的には許容範囲内。見ていてあまりにヒリヒリするので、「むしろ夢オチであってくれ……!」との思いが脳裏によぎったことも正直に告白しておきます。

 

原作の良さを活かした脚本演出+琴線にバシバシ触れた一篇ということで★4つ。

◆ 第4話「少年」 ★★★

SMAP草なぎ剛主演で知られる「僕」シリーズを担当した橋部敦子による16年ぶりの奇妙復帰作。

とにかくタイトルがいいですよね。「少年」。導入のつかみもバッチリでした。

 

オチはそこそこのファンでなくとも読めるタイプではありましたが、部分部分の描写や伏線の回収方法がさすが定評のある脚本家さんといった感じでしょうか。勝手ながら「本来はベタでもこれくらいのクオリティの感動系が毎回あるのが理想形なんだな」と思ってしまいました。

 

唯一引っかかった所を挙げるとすれば、少年の姿がしっかり彼氏になっている所で「え~っ!?」と思ったくらいでしょうか。キラキラさせても、半透明にしても変になるのはわかるんですが、突然ガッツリ彼氏の姿になってる絵面をちょっと面白く感じてしまい…(^^;)抱きついた直後、その後姿が彼氏になっている…くらいに留めておいた方が良かったんじゃないかな~とも…ってそう思うのは私くらいですか。

 

ほか、前の話に引き続き本作も主人公が前向きに生きるタイプの話だったので、「またか」と思ってしまった自分も。ホラーやブラックは気にならなくとも、いい話が連続で来るとたいていの世にもファンは物足りないと思ってしまうのではないでしょうかね。もう少し構成を熟考する必要もあったと思いますが、この流れで見るからこそ感じるものもあるでしょうからそこは難しい所ですかね。

 

やや見え見えな部分はあれど最後の締めとしてはちょうどいい素敵な作品で、満足でした。★3つ。

◆ ショート奇妙「城後波駅」 ★★

『特別映像』『ショート・ショートストーリー』『短編』etc...

これまで「ががばば」「りんな」等、昨今プロモーション連動企画モノを表す言葉は数多くあったのですが、どれもしっくりこず…。私個人も違和感を覚えながらブログ等で『超短編』を使ってきましたが、ここへ来てやっと『ショート奇妙』と名前が付いてある意味ホッとしました…(笑)

 

さて、内容としてはネットでは超有名な都市伝説「きさらぎ駅」から着想を得たであろうシンプルなストーリー。ガチャピンとムックを出すために強引な部分がかなり見られましたが、そこは企画モノということを踏まえれば大目に見……いやでもやっぱり強引すぎる!(^^;)。ガチャムクの新声優さんにもまだ慣れていないせいか、居心地の悪さも若干。

 

評価点はこれまでのものと違って、消化不良を起こすことなくまとまっていること。そして駅員の存在感。こんな企画モノで使ってしまったのがあまりにももったいない気がしますね。

 

私としてはショート奇妙シリーズの継続は肯定しますけれど、やるからには本編以上に脚本演出に力を入れて欲しいもの。“所詮企画モノ”という考えは視聴者にモロに伝わっちゃいますし、目立つ分回全体の印象を大きく左右し、熱烈なマニアですら擁護のしようが無い結果を招きやすいというあまりにも危険な橋なので……。次回(あれば)に期待!

◆ 総評 ★★★

いやぁ~見終わった直後は前回とは別な意味でぐったり疲れました……(笑)

 

今回はすべてメッセージ性が強かったじゃないですか。本編4話の中にいわゆる箸休め的な作品が皆無だったように思います。そんなわけで本作の印象を一言で言い表すならば、ズバリ『メッセージ重視回』といったところでしょうか?前回の記事で予想していた通り、ここ数年のものとはだいぶ毛色の違ったSPになっており非常に新鮮でした。10年後くらいにはある程度定まった評価の声が出てきそうな予感がします。

 

不満点といえば、やっぱり4話は少ない…という思いがより強固に。4話編成になって以降どうしても間延びを感じる瞬間があるわけなので。フジの業績に付随した大人の事情であろうことは重々承知ですが、テンポの良さが番組の魅力の一つですから……。

 

あとは前述の通り「ショート奇妙」を続けるのならば、クオリティをもう少し上げて欲しいですよね。

プロモーションに注力することは悪いことではないですし、番組名物にもなってきているので続けることに異議はありませんが、いくら何でも毎回お手軽ホラーすぎるなと。

 

いや、わかるんですよ。この手のホラーにした方がWeb上で話題になりやすいし、広まりやすいのは。ただ、話題作としてハードルを上げるからには、せめてコアなファンが理屈をこねくり回して擁護できるくらいの余地は残しておいて欲しいんですよね。「あれガチャピンとムック出す意味あった?」と聞かれても、今の私は苦笑いでその場を取り繕うのが精一杯…(T_T)

 

裏を返せばショート奇妙がしっかりすれば毎回の印象もだいぶ変わってくると思うので、しばらくはその辺りを期待したいですね。細かい所ではまだ提供バックの煽り文や、新聞等でのSP回サブタイトル、EDの宣伝テロップ辺りもどうにかしてくれれば……!

 

ほか内容以外でいえば、今回の視聴率は10.0%と前回より1.6%アップしたニュースにはホッとしました。

10%というとかなり低い数字に見えますが、番組の放送週でフジが視聴率2ケタを記録した番組はサザエさん」と「世にも」の2つのみなので、まずまず健闘した方と言っていいでしょう。近年長寿番組をバッサバサ切っているフジテレビなので、数字が悪いよりは良いほうが安心できるというもんです。

 

2010年代も残りわずか、平成も終わりに差し掛かっている今日このごろ。進化し続ける奇妙な世界に今後も目が離せないのは間違いなさそうです。

 

スタッフ&キャストの皆さん、今回もお疲れ様でした&ありがとうございました! 次なる秋も楽しみにしています!

 

……そういえば例の港区OLハルさんは今なおツイートを継続中なので、ここまできたら秋の特別編もしれっと実況している意味不明っぷりを密かに期待しています…(笑)

'18春の特別編 みどころ紹介

長寿番組が続々終了、低視聴率連発、コストカット、制作費削減、士気の低下……。

 

フジのこうした暗いニュースが今年に入っても続いている最中、「世にもは大丈夫かな…」という考えが脳裏をよぎっていたファンは10人や20人ではないでしょう。……しかし、ご安心ください。

 

今年もちゃんと奇妙な世界はやってきます!

 

前回番組史上初となるヒトケタの視聴率を記録してしまった我らが世にも奇妙な物語

ここから巻き返しを図るべく(?)、選りすぐりの奇妙な物語を用意してくれた模様です!

 

では今回も毎度のように放送前の個人的な見所と今回のスタッフ情報を簡単に。

 

※ 5/ 5 時点で判明している情報に基づいており、実際の放送では放送順等が変更される場合があります。

◆ 第1話「明日へのワープ」

【 スタッフ & キャスト 】(名前横は番組参加回数)

原作:小出もと貴 《 初 》

【主な代表作】『AKATSUKI -朱憑-』『サイコろまんちか』など

 

脚本:安江渡 《 本編では初 》

【主な代表作】『日本ローカルヒーロー大決戦』『號哭のカタストロフ 』など

【主な奇妙作】『'14 春 ストーリーテラーパート』

 

演出:植田泰史 《 22 》

【主な代表作】『アンフェア』『LIAR GAME』『新宿セブン』など

【主な奇妙作】『声を聞かせて(2002)』『ネカマな男(2005)』『石油が出た(2013)』など

 

主演: 三浦春馬 《 2 》

【主な代表作】14才の母』『ブラッディ・マンデイ』『僕のいた時間』など

【主な奇妙作】『JANKEN(2011)』

【 注目ポイント 】

★ 原作は2014年に読者投票第1位を獲得したオムニバス漫画「アイリウム」

2014年に漫画アプリ『週刊Dモーニング』に読み切りとして掲載された後、読者投票1位&連載化が決定。

今回はその記念すべき第1話である『File001 映画監督志望』を映像化。

 

三浦春馬×植田泰史の「JANKEN」コンビが復活!

2011年の「JANKEN」で主演を努めた三浦春馬と植田泰史監督が7年ぶりに復活。

前回のようなシュールコメディから大きく変わったヒューマンSFとなる模様。

◆ 第2話「フォロワー」

【 スタッフ & キャスト 】(名前横は番組参加回数)

脚本:岡本貴也 《 3 》

【主な代表作】ケータイ刑事_銭形愛』『AKBホラーナイト アドレナリンの夜』など

【主な奇妙作】『自分カウンセラー(2004)』『空白の人(2004)』

 

演出:山内大典 《 2 》

【主な代表作】ゴーストライター』『新宿セブン』『海月姫』など

【主な奇妙作】『ラスト・シネマ(2014)』

 

主演: 白石麻衣 《 初 》

【主な代表作】『初森ベマーズ』『あさひなぐ』『やれたかも委員会』など

【 注目ポイント 】

乃木坂46メンバーが本編初出演!

今年写真集を約30万部売り上げた人気メンバー白石麻衣が世にも初出演!

超短編「ポニーテール」に主演した深川麻衣以来2人目の乃木坂メンバーになります。

 

★ 14年ぶりに番組復帰する岡本貴也によるSNSホラー!

3作目は自身初となるオリジナル脚本。ご本人曰く『かなりお気に入り』だとか。

◆ 第3話「少年」

【 スタッフ & キャスト 】(名前横は番組参加回数)

脚本:橋部敦子 《 3 》

【主な代表作】僕の生きる道』『フリーター、家を買う。』『フラジャイル』など

【主な奇妙作】『私に似た人(1997)』『夜汽車の男(2002)』

 

演出:城宝秀則 《 6 》

【主な代表作】マルモのおきて』『リーガルハイ』『フラジャイル』など

【主な奇妙作】『クイズ天国・クイズ地獄(2009)』『運命探知機(2017)』など

 

主演: 倉科カナ 《 2 》

【主な代表作】『ウェルかめ』『花のズボラ飯』『奪い愛、冬』など

【主な奇妙作】『相席の恋人(2012)』

【 注目ポイント 】

★ 「僕」シリーズで知られる橋部敦子が16年ぶりの番組復帰!

僕の生きる道」に始まる僕シリーズ等で知られる橋部敦子が久々に番組復帰。

「夜汽車の男」以降多数のヒット作を手がけ人気作家となった氏の復帰作に期待大!

 

倉科カナが「相席の恋人」以来6年ぶりに奇妙な世界へ!

近年の人気作の1つである「相席の恋人」に続き、今回は謎の少年との出会いによるヒューマンドラマ!

◆ 第4話「不倫警察」

【 スタッフ & キャスト 】(名前横は番組参加回数)

脚本:ブラジリィー・アン・山田 《 5 》

【主な代表作】『相棒』『トリハダ』『紙兎ロペ』『闇芝居』など

【主な奇妙作】『未来同窓会(2007)』『ワタ毛男(2012)』『石油が出た(2013)』など

 

演出:佐藤祐市 《 12 》

【主な代表作】『WATER BOYS』『ストロベリーナイト』『家族ゲーム』など

【主な奇妙作】『笑いの天才(1992)』『ブルギさん(1995)』『通いの軍隊(2016)』など

 

主演:唐沢寿明 《 初 》

【主な代表作】『ホームワーク』『白い巨塔』『ルーズヴェルト・ゲーム』など

【 注目ポイント 】

★「世にも」のお家芸“時事風刺ネタ”今回は『不倫問題』!

昨今巷を賑わせている“不倫”を扱うブラックコメディー作品になっているとのこと。

 

唐沢寿明が「世にも奇妙な物語」初出演!

これまで出そうで出ていなかった俳優の1人唐沢寿明が遂に奇妙な世界へ…!

超短編「城後波駅」

【 注目ポイント 】

★ 今春終了した「ポンキッキーズ」とのコラボ作品

シュール極まりない設定でありながら都市伝説をテーマにしたホラー作品になる模様。

 

★ 本作がガチャピン&ムックのテレビ復帰第1作目に!

番組終了と共に活動終了と思われていた人気キャラクターの復帰作に。

◆ 雑感

 

今回の中で私が特に注目しているのは……

・「僕」シリーズで知られる橋部敦子による21年ぶりのオリジナル脚本「少年」

唐沢寿明×不倫問題という「世にも」らしいブラックコメディー「不倫警察」

ポンキッキーズ×都市伝説ホラーという危険な香りのする「城後波駅」

以上3作品。

 

今回はシンプルなタイトルが多いので、こういったタイトルが好きな人間としましては期待もいつもより1.5割増。

スタッフも従来のメンバーから少しずらした布陣で固められていることもあり、ここ数年のものとはやや毛色の違った特別編になるのではないでしょうか。

 

そのせいか、どうしても浮いてしまいざるを得ないのが超短編「城後波駅」ですよね。

ガチャピンとムックが「世にも」に登場』というだけで、ネットがいろんな意味でざわざわするのが目に浮かぶようですが、私個人としては「こういう企画モノこそちゃんと作り込んでくれよ! 頼むよ!」というただこれのみでございます。

 

なにせ「ががばば」「りんな」とお手軽ドッキリホラー企画が続いてきた昨今……そろそろしっかり奇妙な世界を堪能させていただきたい! 古から伝わる『キャラゲーに名作無し』という警句を胸に、ここらでファンの不安を吹き飛ばしていただけることを願うばかりです。

 

他、注目ポイントとしては植田泰史監督が初めて番組のプロデューサーを兼任していることでしょうか。

近年様々な企画を打ち出してきた後藤庸介プロデューサーが共同テレビを退社し春からフリーになったこともあり、今回の特別編は一体どうなるのか密かにドキドキしていたのですが、ここに来て植田監督がプロデューサーとは実に予想外でした。2000年代のメインディレクターが加わったこれまでと少し違う(かもしれない)春の特別編になるのか期待ですね。

 

激動の2010年代もいよいよ後半戦真っ只中。

30周年に向けてさらに変化し続けていく奇妙な世界を、今年もしっかり見守ってみませんか?

 

'18春の特別編は、2018年5月12日 夜9時より放送です。お見逃しなく!

'17秋の特別編 感想

27周年目の「世にも奇妙な物語」最終章こと秋の特別編の放送が終了しました。

 

昨年辺りからなかなかブログの方の更新が前回の感想含めて思うように出来ずじまいだったので、今回こそはと、個人的な感想を簡単に。評価は★5つが最高となっています。

◆ 第1話「寺島」★★★★

かねてから映像化の計画があったものの、作者と連絡がつかず実現まで約10年を要したホラー作品。

 

まずは、なんといってもMVPは主演の吉岡里帆さんに尽きますね。

TBSの「カルテット」でもなかなかぞわぞわする役どころを見せていたので、ある程度期待していたんですが、ラストの狂気を全面に押し出したシーンにはやれてしまいました。

 

ストーリー自体は「世にも奇妙な物語」ファンにとって、そこまで目新しいわけでもなくシンプルな展開でしたが、必要以上の狂気と従来のように手を抜かないホラー演出の相乗効果で個人的にはかなり満足した一本です。

 

なんせ、ここ十年ほど過激な演出ができないからといって、あまりにも安易で不自然すぎるシーンが多々あったじゃないですか。ハサミの先で肩をちょっと刺されただけで人が死んだりですとか……(-_-;)

 

過激な演出ができなくても怖がらせる方法っていくらでもあるのにどうしてそうなっちゃうんだろう……ということを過去何度か書いてきましたが、今回は想像させる恐怖、コンプライアンスに触れるような過激さがなくても恐怖心を煽る手法がしっかり取られていて、「これこれ!こういう方向が見たかったんだよ!」と。何だか『ホラーのハードルが低いよ…』と言われてしまいそうですが、これまでの「世にも」ホラーの流れが流れだったので、ね。

 

さらに今後のホラーに大きな期待が持てるような気がしました。

後はもっと後味の悪さがあれば文句無し。★4つ。

◆ 第2話「フリースタイル母ちゃん」★★★

世にも奇妙な物語」×ラップという“ネットが荒れる”としか思えない組み合わせにあえて挑んだ一本。

 

近年はテレ朝の「フリースタイルダンジョン」などの影響でHIPHOPブームが巻き起こっておりますが、その波が「世にも」にもやってきたというのは、本当にブームになっているんだなぁという感がありますね。

 

前評判では「大丈夫なのか」という声も多数見受けられましたが、いざ蓋を開けてみると物語の根幹は「世にも」の超王道路線。奇妙なアイテムや状況を経ての相互理解……というのは定番なので、まず妙なことにはならないだろうと安心して見ることができました。途中まで「自分は一体何を見ているんだ……」と困惑している自分を客観的に見ているのも何だか楽しかったです。

 

ただ、その一方でお決まりの路線に落ち着くであろうことは早くから予想できていたので、もう少し突き抜けた物が欲しかったのも事実。そして中山美穂さんのラップがもう少し……! ところどころ聞いていて引っかかる部分もあったので。素人の主婦ということであえてなのかもですが。

 

突飛な題材を中途半端にせずやりきったところ、そしてまた奇妙な怪作が生まれたことを評価して★3つ。

◆ 第3話「運命探知機」★★★

「はいはい、みんなもうただの恋愛物で終わるわけないってわかってるでしょ?」という、ある種の開き直りを踏まえた上での暴走気味な月9風演出には、悔しいですが笑ってしまいました。

 

ここまでの前フリをしたからには、ラストはよくある感じで彼女に殺されでもするのかな……と思っていましたが、「仮婚」「幸せを運ぶ眼鏡」といった佳作があるので、ラストにはやや既視感。ただあの皮肉なラストは嫌いじゃなかったです。が、ラストのネタバラシがちょっと長すぎじゃないかなと。小説でも映画でも、そこがスマートじゃないとグダグダになっちゃいますからね。

 

あとはキメ台詞の「今は絶対だよ」も、一見いいことを言ってるようでわかりづらいので、もう少し違う言い回しがあったような気も。「今の気持ちは絶対だよ」とか。

 

笑っちゃうくらいのあざとい月9さに楽しませてもらったので、オマケして★3つ。

◆ 第4話「夜の声」★★★

「世にも」では3作目となる手塚治虫原作の一本。

 

ここまでの3話までの落差に揺さぶられて、疲れ切っていた私としては、落ち着いて見ることができて好印象でした(制作側もそういう配置を狙ったんだと思いますが)。こういう物悲しい話は大好きなんですよね。原作がしっかりしてるからこその佳作だと思います。ただ、やはり「世にも」で放送するにあたって新たに加えた“要素”がちょっとわかりにくいのかな~と。

 

原作は男女の悲しいすれ違いそのものなので、映像化にあたって何かしらの奇妙な要素を付け加えるだろうなとは思っていましたが、若干『“奇妙”というコンセプトを一応尊守しましたよ』という言い訳っぽくも感じてしまったり。たま~に「世にも」っぽくない内容の原作に少しだけSF要素を加えて放送するケースがありますが、本作も含めてなかなか脚色に苦労しているようで。

 

原作の物悲しさをより活かしたラストシーンに★3つ。

◆ 短編「写真」★★

これぞ世にもの超短編とも呼べる作品群。

 

ただ、個人的にはちょっと演出がポップすぎるかな~と思いました。

初期のアバンストーリーっぽくて良いという評価もチラホラ散見されましたし、その評価もよくわかるんですけどね。私としてはもう少し、クールな雰囲気が……!くだらないギャグでもそういう佇まいが欲しかったという……。はい、面倒くさいマニアの面倒くさいこだわりというやつですね。

 

サイコキネシス」「痛点」のような視聴者参加型の面白みの復活が嬉しかったので★2つ。

◆ 短編「交換」★

タイトルと予告編の時点で予想通りといった内容でした。

アバンストーリーにもこういうのはありましたしね。あと、合成のクオリティもう少しどうにかなったのでは…。

◆ 短編「ががばば新章」★★

「ががばば」の出演者がアナウンサーとして今年フジに入社したという奇妙な“棚ぼた”で復活(?)した新作。

 

世にも奇妙な物語では唯一のPOVシリーズであり、個人的にも好きなジャンルではあるんですが、やはり前作同様ただのホラーで「世にも奇妙な物語」とはちょっと違うかなぁ…というのが正直な所。

 

私の中で「世にも」はあくまでストーリーを楽しませるのが売りだと思っているので、

POVものということで仕方ない面はあるものの、単なるビックリ系は「世にも」でやる必要があるのかな?とも。贅沢を言えば「放送禁止」のようにガッツリ考察してゾッとできる楽しみも欲しいなと。

 

そして今回も「ががばば」の秘密が完全に明かされなかったわけで、やはり不完全燃焼感は否めません。もしかして今後も度々シリーズとして登場するのでしょうか。その辺にも注目していきたいですね。

◆ 短編「ポニーテール」★

最後どういうことなんですかね、これ……(-▽-;)

ポニーテールの反応に必死に逆らったためなのか、無理な相手から離れるための反応だったのか。いまいち釈然としません。

◆ 短編「女子力」★

Twitter上で活躍されている方の4コマが原作という、時代もここまで来たかという感じの作品。

後で原作の方も確認しましたが、映像同様にシュール極まりない内容で、なぜこれを採用しようと思ったのか。その点も実に奇妙。将来Twitter等で話題になった一般人の何気ないネタが映像化される日も近かったりして……。

◆ 総評 ★★★

いやー、こんなに忙しない特別編は無かったですね!(笑)

 

「寺島」からの「運命探知機」までの雰囲気の落差と、合間合間に挟まれる超短編群……まさにジェットコースター的な回だったように思います。各話単体で見ても大満足!…とまではいきませんが、配置の妙とホスピタリティ重視(?)な企画群を前に自分でも思っていなかったほど楽しめたので★3つ。

 

なんといっても、「深夜の特別編」「世にも奇妙な自販機」「3時間という異例の傑作選」「ががばば検索復活」と、攻めた企画を矢継ぎ早に出されると、長年「世にも奇妙な物語」に飢えていた私としては、目新しい企画についつい心躍らされてしまうんですよね。節操の無いマニアですみません…。

 

とはいえ、やっぱりもう少しどうにかなったんじゃないかなぁ~と思う部分もあったり。

例えば企業とのコラボによるシュールコメディだった「深夜の特別編」。フジ深夜だと「トリハダ」系のブラック作がどうしても期待されるでしょうし、宇宙人が主役という『番組NGルール』ギリギリな作りや、イレギュラーな企画なだけに企業コラボでないと放送が難しい大人の事情など…頑張ってくださっていることは重々承知の上でも、物足りない所がありました。ただ、試み自体は大歓迎&大絶賛という立場なので、これを足がかりに今後ホラーな展開にも大きく期待したいと思います。

 

そして既にご存知の方も多いように、その企画群が結果に結びつくかというとなかなか難しく、今回の視聴率は過去最低&史上初のヒトケタ台である8.4%となってしまいました。近年土曜プレミアム枠では視聴率ヒトケタが常態化していることや裏番組同士で食い合った故のこういう数字なわけですが、そこを理解した上でもやっぱりショックなものはショックですよね~(^^;)某PもTwitterで珍しく自虐的なツイートをされていますし。

 

一昨年、後藤プロデューサーがプロモーションの強化、再放送や特別枠等の新企画推しといった大きな新風を巻き起こした一方、去年に入って従来の5話から4話編成へ減少し、今年は2000年代の「世にも」を支えてきた主要メンバーであった植田泰史監督の14年連続参加記録がついに絶たれるなど、ほんの3年前まではまったく想像もつかなかった事態へと変貌しています。

 

さらにここへきてのフジテレビ不況があるわけですから、良くも悪くも「世にも」はこれから激動の時代に入るかもしれないんじゃないかな…と。それが怖くもあり、楽しみでもあり……。とにもかくにも、スタッフの皆さんには腐らないでいただきたいですね!

 

ネットで賛否両論巻き起こりながらも、あちこちで大人数がワイワイ視聴しているあの感じはやっぱりいくつになっても見ていて楽しいですし、過去何度も言っているように、最低限の番組様式さえちゃんと守ってくれれば(隙あらば文句を言いつつも)ついていくつもりの手遅れな奴なので。

 

そんなこんなで、以上今回の特別編の感想と雑感でした。今回はかなり派手め中心だったように思うので、次は落ち着いたビターな回も見てみたいですね。

 

スタッフ&キャストの皆さん、今回もお疲れ様でした&ありがとうございました! また来年の奇妙な世界を心待ちにしています!

 


 

最後に。世にもファンの方々の中には今回の視聴率を受けて「今後の世にもは大丈夫かな?」とご心配の方々もいらっしゃると思います。テレビドラマの場合、アニメ等と違ってソフト化やグッズでの大幅な収益が見込めないので、結局のところ(録画率・タイムシフト視聴率等があれど)視聴率ぐらいしかわかりやすい判断指標がありません。

 

「世にも」の場合でも、権利問題から公式配信が一切なく、ソフト化も打ち切りということで、やっぱりこの法則に従ってしまうことになりそうです。個人的な予想では30周年までは放送に問題ないと思いますが、その先がどうなるかは私もやっぱり心配です……(-▽-;)

 

「番組の歴史を汚さない方にもう終わった方がいい。過去の傑作を再放送してもらえばいいじゃないか」という方もたまにいらっしゃいますが、ただでさえ権利関係が複雑&全話再放送が絶望的な状況で、製作を終了し、新規ファンや知名度が大幅減少することがあれば、再放送もソフト化も余計遠のいてしまう可能性が高いわけですよ。

 

若い層にもアピールできず、制作が続いているわけでもない、版権整理が煩雑で版権使用料も普通のドラマより多くかかる番組を熱心に放送にこぎつけてくれる奇特な人間や企業がいるかどうかという。そもそも制作が続いているこの27年間ですら、ファン人気の高いレギュラーシリーズ247話中13話しかソフト化されてないんですからね。私が過去にハマってきた特定のジャンルや作品もあっという間に寂れたので、あり得ない話ではないんですよ…(T_T)

 

そんなわけで、今後の「世にも」を応援したいという方がいましたら、以下の方法をお勧めしておこうと思います。

 

それは《公式サイトにメッセージを送る( http://www.fujitv.co.jp/kimyo/message.html )》

 

理由としては、数字が悪くてもたくさんお便りが来るとスタッフ側が上層部への説得材料に利用できること(一度終了した番組が復活したケースもあるそうです)。そして存続云々は置いておいても、新作への賞賛も批判も直接ぶつけた方が今後に大きく活かされる可能性が高いことが挙げられます。過去作のリクエストでも「全5話に戻してくれ」でも「どれもこれもつまらないぞ」でも、番組への熱いコメントが番組の今後を大きく変えるかもしれません。

 

それでもまだ不安な方は、現在奇跡的にノベライズシリーズが発売されていますので、ぜひ一冊購入されてみては…!ノベライズシリーズが続けばそこからファンになる方も増えるでしょうし、何より貴重なグッズ枠ということで……(笑)

 

世にも奇妙な物語」のいままで&これからを応援したい方はぜひどうぞ!

'17秋の特別編&深夜の特別編 みどころ紹介

今回も「世にも」は色々やらかしてくれているようです!

 

『本編4話+超短編+リアル連動プロモーション』という定番の公式が確立されてきた感のある昨今の特別編。

 

当初1話減少が決まった時は「フジテレビも色々あるし…」「年間制作費が削られている報道も見るし…」などなど、非常に寂しいものを感じていましたが、ふと気がつけば『4話の方が5話の時より色々手間かかってない…!?』と思わずにはいられないほど、力の入れ具合は右肩上がり。「世にも」スタッフは逆境ほど燃えるのでしょうか…!?

 

そんなこんなで今年の秋の特別編。今回もバラエティに飛んだ4作品と超短編5本、さらに完全新作深夜帯ドラマ、世にも奇妙な自販機なるリアルプロモーションと、スタッフの方々は力いっぱいファンを楽しませる気マンマンのご様子ですよ!

 

ということで放送前の個人的な見所と一緒に今回のスタッフとキャストを簡単にご紹介。

◆ 深夜の特別編「SON-TAKU」

【 スタッフ & キャスト 】(名前横は番組参加回数)

脚本:伊達さん (大人のカフェ)

 

演出:後藤庸介

 

主演:志尊淳

【主な代表作】『烈車戦隊トッキュウジャー』『きみはペット』など

【 注目ポイント 】

★ 世にも史上初となる完全新作の深夜帯ドラマ!

「世にも」では初の試みとなる深夜五夜連続帯ドラマが実現。新時代の到来? (※一部地域のみ放送)

 

★ 渋谷にて本企画のカギを握る(?)自販機が設置中!

9月29日より本企画と関連しているらしき『世にも奇妙な自販機』が渋谷駅近くに設置中。体験した方には抽選番号付きの謎のレシートが…。詳しくは→( http://www.fujitv.co.jp/kimyo/jihanki/ )

◆ '17秋の特別編

◆ 第1話「運命探知機」

【 スタッフ & キャスト 】(名前横は番組参加回数)

脚本:三浦希紗 《 2 》

【主な代表作】高台家の人々』『華うつろ花は咲く』など

【主な奇妙作】『ずっとトモダチ(短編/2016)』

 

演出:城宝秀則 《 5 》

【主な代表作】フリーター、家を買う。』『リーガルハイ』『すべてがFになる』など

【主な奇妙作】『クイズ天国・クイズ地獄(2009)』『自分を信じた男(2015)』など

 

主演:岩田剛典 《 初 》

【主な代表作】『HiGH&LOW』『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』など

【 注目ポイント 】

EXILEグループからは史上初となる番組出演!

主演の岩田さんはEXILEだけでなく三代目J Soul Brothersとしても活躍中。

 

★ 脚本家デビュー前から構想されていたアイディアが実現

「普通のドラマじゃ無理だと。世にも~だからこそ実現できた思い入れの強い作品」とのこと。

 

★ 世にも』版 極上の恋愛ドラマが誕生……か?

スタッフからは『キラキラキュンキュン満載の恋愛ドラマを目指した』と語られている一方で『そこは「世にも~」です』『最後の最後まで見て』と、やはり何かを企んでいる様子…?

◆ 第2話「寺島」

【 スタッフ & キャスト 】(名前横は番組参加回数)

原作:カサギヒロシ 《 初 》

【主な代表作】『逃走鉄馬バイソン』『ナインハンドレッド』など

 

脚本:中村樹基 《 19 》

【主な代表作】木曜の怪談』など

【主な奇妙作】『壁の小説(1996)』『チェス(2000)』『迷路(2003)』など

 

演出:都築淳一 《 12 》

【主な代表作】整形美人。』『ロストデイズ』『犯罪症候群』など

【主な奇妙作】『誘い水(2004)』『密告ネット(2005)』『いじめられっこ(2011)』など

 

主演:吉岡里帆 《 初 》

【主な代表作】『ゆとりですがなにか』『カルテット』『ごめん、愛してる』など

【 注目ポイント 】

★ 約10年温め続けられ、遂に映像化が実現した《ヤバイ》サイコスリラー!

20年以上前の作品のため原作者と連絡が取れず、長くスタッフ間で申し送り事項とされていたところ、Twitterでの捜索の末に連絡先がようやく判明。

撮影中、思わず「ヤベェ…」とスタッフが漏らすほどの衝撃作だとか……!?

 

★ 90~00年代メインライター中村樹基が8年ぶりの番組復帰!

星護監督とのコンビで数々の名作を生み出し、数多の回でストーリーテラー構成も行ってきたメイン作家が2009年秋の特別編の「呪い裁判」以来8年ぶりの番組復帰ということで、その名手腕に期待するしかない!?

 

銀杏BOYZ峯田和伸が助演として奇妙初出演!

パンクロックバンド銀杏BOYZのボーカルであり、近年朝ドラ「ひよっこ」等で俳優としても活躍中の峯田和伸が出演。

◆ 第3話「フリースタイル母ちゃん」

【 スタッフ & キャスト 】(名前横は番組参加回数)

脚本: 森ハヤシ 《 7 》

【主な代表作】マジすか学園』『ショムニ2013』『咲-Saki-』など

【主な奇妙作】『理想のスキヤキ(2009)』『AIRドクター(2013)』『車中の出来事(2016)』など

 

演出: 後藤庸介 《 5 》 ※プロデューサー兼任

【主な代表作】『妄想彼女』『代償』『パンセ』など

【主な奇妙作】『未来ドロボウ(2012)』『ズンドコベロンチョ(2015)』『カメレオン俳優(2017)』など

 

主演:中山美穂 《 2 》

【主な代表作】毎度おさわがせします』『眠れる森』『貴族探偵』など

【主な奇妙作】『恐怖の手触り(1990)』

【 注目ポイント 】

中山美穂が第1話以来27年ぶりとなる番組出演!

記念すべき第1話「恐怖の手触り」の主演であった中山美穂が27年ぶりに奇妙な世界へ!

 

★ 本作のために有名ラッパーが大集結!

テレビ朝日フリースタイルダンジョン』でもお馴染みのラッパーACEがラップ監修を担当。さらに出演者にはスチャダラパーのANIやいとうせいこうなど、本格的な面々が集結!

◆ 第4話「夜の声」

【 スタッフ & キャスト 】(名前横は番組参加回数)

原作:手塚治虫 《 3 》

【主な代表作】鉄腕アトム』『リボンの騎士』『ブラック・ジャック』など

【主な奇妙作】『バイパスの夜(1991)』『影武者(2004)』

 

脚本:松井周 《 初 》

【主な代表作】『通過』『聖地』『自慢の息子』など

 

演出:河野圭太 《 13 》

【主な代表作】古畑任三郎』『王様のレストラン』『マルモのおきて』など

【主な奇妙作】『23分間の奇跡(1991)』『ボランティア降臨(2009)』『妻の記憶(2017)』など

 

主演:藤原竜也 《 初 》

【主な代表作】バトル・ロワイアル』『デスノート』『カイジ』など

【 注目ポイント 】

★ 13年ぶりとなる手塚治虫原作の奇妙作品が登場!

今回映像化されるのは、1968年に発表された連作短編シリーズ『空気の底』の中の同名作品。

 

★ 人気俳優 藤原竜也世にも奇妙な物語初登場!

かねてから出演するのではと噂されていた藤原竜也が27年目の奇妙にようやく出演決定!

超短編

【 注目ポイント 】

★ 2015年に話題騒然となった「ががばば」新章が前後編で登場!

当時女優として出演し、現フジアナウンサーになった久慈暁子が主演。

 

★ 男女アイドルが超短編にて競演!

乃木坂46深川麻衣Sexy Zone松島聡がそれぞれ出演。アイドルファンにも注目?

◆ 雑感

今回の中で私が特に注目しているのは……

・映像化実現まで10年を要したサイコホラーの秘蔵っ子「寺島」

手塚治虫×新進気鋭の劇作家×ベテラン演出家×藤原竜也の堅い布陣「夜の声」

・若干消化不良で謎の多かった『ががばば』の謎が明かされる(?)超短編「ががばば 新章」

以上の3本。

 

一応、世にも×HIPHOPという異色の組み合わせである「フリースタイル母ちゃん」も気になっていますが、思いっきり滑ってしまうか意外な珍作になるか、それとも案外無難な所に落ち着くんじゃないかハラハラするのでここはあえてハードルは少し下げることに。

 

さて、今年の秋SPはとにもかくにも番組を盛り上げようという意志の強いこと強いこと。

もはや説明不要の例の方がプロデューサーに就任してから、「世にも」に関わるアレコレが大きく変わっていった訳ですが、いくら何でも毎度毎度力を入れすぎて大丈夫なのか若干心配に(^^;)まさか深夜で帯ドラマまでやるとは思いませんでしたよ、本当に。

 

一方で、私が親しい世にもファンの一部からは「若者向けアピールに注力しすぎてちょっと…」と不安視する声もぽつぽつ聞こえ始めてきておりますが、私個人としてはとにかくドラマ離れの激しい昨今、ファンの裾野が広がってくれれば有り難いという考えが昔からあるので、個人的には許容範囲内だったりします。

 

20年以上マニアやってきて思うのは、とにかく新規流入を増やしつつ、お金を出したり、コメントを送るような熱いファン層を増やさないことには、過去作品のソフト化や再放送なんて絶対やってくれるわけないってことですからね。番組の過去のためにも未来のためにもやっぱりそこは見守りたいです。

 

とはいえそんな中でも、古参ファンも好きそうな渋い作品も毎回ちゃんと用意しているわけで、「とにかく若者にさえ受けりゃいい」という安易さも感じず、「幅広い層に見てもらいたい」という熱意を個人的には感じてもおります。まぁそもそも論として一番は本編が面白くないとダメですけどね。仮に安易な方に流れていっても、2時間ずっと砂嵐みたいなことにならない限りは文句タラタラ言いながらもついていくつもりです!

 

ただ、傑作選のラインナップはもうちょい頑張って欲しいな~とか、うまい具合に5話に戻して欲しいな~とか、深夜の面白そうな企画は全国でも放送してあげてほしいな~とか色々言いたいこともありますけれど…(小声)

 

それはともかくとして、今回もシュールなものから手堅いものまでしっかり揃えているようです!あの超話題作「ががばば」の新章を早くも投入してくる所から見ても、スタッフは勝負に出ていることでしょう。

 

傑作が出るか佳作が出るか、それともため息で終わってしまうのか…人それぞれ感じることが違うのは確かでしょうが、まずは今年も「奇妙な世界」が我々を楽しませるためにその扉を開いてくれることに感謝しつつ、大いに秋の奇妙を堪能しようではありませんか。

 

世にも奇妙な物語 '17秋の特別編は、2017年10月14日 夜9時より放送です。お見逃しなく!

'17春の特別編 みどころ紹介

我らが世にも奇妙な物語も今年4月でついに放送27周年!

 

昨年はこれまでほぼ5話編成が定番だったSPシリーズが4話編成に切り替わるという事態が発生。

これは昨今のフジ不況の煽りで番組予算が減らされてしまったための措置……なのかどうかはわかりませんが、大人の事情もなんのその、人工知能とのコラボ企画が話題を呼んだほか、「クイズのおっさん」のようなヒット作も生まれたのが記憶に新しい所ですね。

 

それを受けての今年。4話編成なのは相変わらずですが、今回も単に4話分の放送時間を水増ししてお茶を濁すような真似は致しません。4話のショートショート(超短編)に、意外なアレとのコラボレーションと、番組スタッフの意欲は今回も右肩上がり。もちろん奇妙ファンを唸らせるべく、大量のプロットから選りすぐった作品群もしっかり用意してくれている様ですよ!

 

ということで今回も例年同様、放送前の個人的な見どころなんかも添えて今回のスタッフとキャストを簡単にご紹介しましょう。

 

※ 4/ 28 時点で判明している情報に基づいており、実際の放送では放送順等が変更される場合があります。

◆ 第1話「カメレオン俳優」

【 スタッフ & キャスト 】(名前横は番組参加回数)

脚本:黒岩勉 《 3 》

【主な代表作】ストロベリーナイト』『僕のヤバイ妻』『貴族探偵』など

【主な奇妙作】『自殺者リサイクル法(2009)』『ヘイトウイルス(2012)』

 

演出:後藤庸介 《 4 》 ※プロデューサー兼任

【主な代表作】『鍵のない夢を見る』『妄想彼女』『代償』など

【主な奇妙作】『試着室(2012)』『未来ドロボウ(2014)』『ズンドコベロンチョ(2015)』

 

主演:菅田将暉 《 初 》

【主な代表作】仮面ライダーW』『民王』『ラヴソング』など

【 注目ポイント 】

若手俳優 菅田将暉のカメレオン俳優っぷりに注目!

様々な役柄になりきる難しい設定をこなす実力。

 

★ 放送当日公開のフジ映画「帝一の國」(菅田将暉主演)とのコラボシーンに注目!

映画と同じ小道具セットを使い、主人公の出演作の一つとして劇中に登場。

 

★ ラスト5分のアドリブ演技対決に注目!

台本には簡単な流れのみ。“ほぼドキュメンタリー”シーンとのこと。

◆ 第2話「一本足りない」

【 スタッフ & キャスト 】(名前横は番組参加回数)

脚本:蛭田直美 《 初 》

【主な代表作】『ワイルド・ヒーローズ』『ガードセンター24』など

 

演出:小林義則 《 6 》

【主な代表作】『アンフェア』『HEAT』『大貧乏』など

【主な奇妙作】『採用試験(2002)』『まる子に会える町(2010)』『スウィート・メモリー(2012)』など

 

主演:永作博美 《 8 》

【主な代表作】週末婚』『ダーティ・ママ!』など

【主な奇妙作】『罰ゲーム(1994)』『雰差値教育(2007)』『缶けり(2011)』など

【 注目ポイント 】

★ 番組歴代最多主演女優×サイコホラー!

永作さんは1991年の「テレフォンカード」に始まり今回で8作目の出演。

 

後藤庸介プロデューサーの自信作!

『奇妙らしいワンシチュエーション心理劇』『原点に返りたい我々にとって念願の作品』との言!

◆ 第3話「夢男」

【 スタッフ & キャスト 】(名前横は番組参加回数)

脚本:いながききよたか 《 初 》

【主な代表作】ネオ・ウルトラQ』『代償』など

 

演出:松木創 《 9 》

【主な代表作】ラーメン大好き小泉さん』『実況される男』など

【主な奇妙作】『未来同窓会(2007)』『墓友(2014)』『夢みる機械(2016)』など

 

主演:中条あやみ 《 初 》

【主な代表作】NTTドコモ (CM)』『チア☆ダン』など

【 注目ポイント 】

★ 今回も仕掛けてきたのホラーなネットプロモーション!

『ががばば』『りんな』に続き、今回もかなり凝っています! http://www.thisman-matome.jp

 

★ あの有名な都市伝説『This Man』がまさかの奇妙とコラボレーション!

都市伝説の映像化作品は2004年の「あけてくれ」以来13年ぶり。

 

★ 10年代のホラー担当である松木創監督による最新作!

2010年代のホラー係として定着している松木監督の9本目の作品。

◆ 第4話「妻の記憶」

【 スタッフ & キャスト 】(名前横は番組参加回数)

原作:Osd 《 初 》

【主な代表作】『奇々怪々』『小説家J』など

 

脚本:和田清人 《 4 》

【主な代表作】深夜食堂』『武道館』など

【主な奇妙作】『相席の恋人(2012)』『仮婚(2014)』など

 

演出:河野圭太 《 12 》

【主な代表作】古畑任三郎』『マルモのおきて』『ロストデイズ』など

【主な奇妙作】『23分間の奇跡(1991)』『和服の少女(1999)』『地縛者(2015)』など

 

主演:遠藤憲一 《 3 》

【主な代表作】ストロベリーナイト』『民王』など

【主な奇妙作】『行列のできる刑事(2008)』『はじめの一歩(2010)』

【 注目ポイント 】

★ 26年ぶりの外国人原作による感動作品!

原作は韓国人漫画家Osd(オ・ソンデ)さんが、2013年11月20日~12月25日に韓国Naverのマンガ部門にて週刊連載していたオムニバスシリーズ『奇々怪々』の一編。日本では昨年からLINEマンガにて日本語版が配信され、現在はマンガアプリXOYで再掲載中。(http://xoy.webtoons.com/ja/horror/tales-of-the-unusual/list?title_no=953 ) ※原作は#27以降。

 

★ 原作は過去に中国で話題を呼び、SNSにて55万人がシェア!

2014年頃に中国でも翻訳版が掲載され『泣けるマンガ』として拡散。中国のSNSでは55万人がシェアしたとか。

ショートショート

【 注目ポイント 】

★ 初の原作付き超短編「しりとり家族」「しりとり家族ふたたび」!

番組史上初となる原作付きの超短編が登場。『AIRドクター』の森ハヤシ脚色によるギャグ作品とのこと。

 

★ お笑い芸人脚本&主演による異色超短編「赤」!

脚本はお笑いコンビ“かもめんたる”の岩崎う大、主演は世にも好きの“メイプル超合金カズレーザー

 

★ 戦隊ヒーローがシュールな世界に迷い込む「ノック」!

動物戦隊ジュウオウジャー』に出演していた注目の若手俳優 渡邉剣が主演!

◆ 雑感

今回私が特に注目しているのは……

・有名な都市伝説をモチーフにホラーな世界を描く松木監督最新作の「夢男」

永作博美×ワンシチュエーション×サイコホラーと最高の要素だらけの「一本足りない」

以上の2本。

 

前情報を見る限り今回どれも一定水準のものを用意していきている印象ですが、やはり世にも好きとしては怖さやブラックなものに期待したい所もあり、この2作品に注目せざるを得ません。

 

特に『一本足りない』は、ここ10数年の宣伝で一切目にしていない“サイコホラー”を銘打っていますから、(地上波で可能な範囲であろうものの)最も期待できそうな予感が。

 

そして今回はあの後藤庸介プロデューサーが約1年ぶりの番組復帰というのが個人的注目ポイント。

後藤Pといえば、近年の『SNSを活用した意欲的な情報発信』『大々的なネットプロモーション』など、番組に対して大きなパラダイムシフトを迎えさせた方でもありますが、その一方で『超短編の復活』『真夜中の特別編の創設』『25周年の諸々』など、初期のカラーや魅力を再確認できるよう手厚いファンサービスにも心を砕かれる古参ファンから見て非常に理想的なスタッフのお一人。

 

そんな後藤Pにとって新作SPをプロデュースする上で意識されているであろうテーマはズバリ『原点回帰』

'14秋のテーマもズバリ『原点回帰』でしたし、SNS等でも初期作品の自由でぶっ飛んだ発想を今後に活かしたい旨を語られている他、今回のSPに関する発言でも『(「一本足りない」について)原点に帰りたい我々にとって念願の作品』と、そのテーマは全くブレていない模様。初期作品の魅力を踏まえつつ、現代特有のツールを取り入れて、若年層にもしっかり奇妙の魅力を伝えようというその心構えがどのように反映されているのか注目したいですね。

 

なお、スタッフの方々のSNSによれば、現在(4月28日7:00)まだ全然編集が完成していないそうです!(笑) 例年よりもかなり早めに撮影が終わったはずなのに……何故いつもいつも放送日ギリギリになるんだ世にもスタッフ!?(^^;)

 

というわけで、今回の内容はもちろんのこと無事スタッフが放送に間に合うのかにも注目しつつ、年に2回のお祭り第1回目を楽しんじゃいましょう。

 

世にも奇妙な物語 '17春の特別編は、2017年4月29日 夜9時より放送です。お見逃しなく!

'16秋の特別編 感想

25周年の記念イヤーも終わり、半世紀へ向かって進みだした2016年。

一体26周年目の奇妙な世界はどうなるのか、昨年からその動向に大注目していましたが、どうやら、26年目を迎えた「世にも」は、25周年に負けじと新たな試みが色々となされているようで…。

 

それでは以下、久々に今回の特別編についての個人的な感想を簡単に。

評価は★5つが最高となっています。

◆ 第1話「シンクロニシティ」 ★★★

新津きよみさんの同名小説が原作となった「シンクロニシティ」。

タイトル通り、シンクロニシティ=偶然の一致をテーマにした作品になっています。

 

さて内容ですが、数々の偶然に巻き込まれるという展開から始まり、次第に過去の同級生の自殺問題が絡み合い、最終的にタクシー内での密室劇へ……と、見終わってから改めて振り返ると、これらの要素を上手くまとめられたな~と感心してしまいました。

 

個人的に、落とし穴の伏線は読めたものの、ラスト3人の車内のシーンからラストへの「ケセラセラ」がゾッとする感を上手く高めていて、物語にとって一番の見せ場をしっかりと堪能できる演出になっていた気がします。いや~怖い怖い。オチが読めてもこういう見せ場をしっかり作ってくれる作品は好感を持てます。

 

ほかツッコミどころとしては、先生はなぜナイフを持っていたのかという所が挙げられると思いますが、「彼もこの後ナイフで自死するために持っていた=この日シンクロニシティにより登場人物が全員死亡へ』という解釈をされている方を見て、そういうことであるとすれば、作品全体の見方もまた変わっていくなと。もしかしたらあのトラックの運転手も……?

 

過去のタクシーものといえば「バイパスの夜」「地獄のタクシー」「推理タクシー」などがありますが、どれもこれも先に待つのは死ばかり……。奇妙な世界にとってタクシーとはかなり危険な乗り物なのかもしれませんね~(^^;)

 

ストーリーのブラックさを十分引き立てていた演出に★3つ。

◆ 第2話「貼られる!」 ★★★

HEROさんの漫画「レッテルのある教室」を原案とした「貼られる!」

原案となっているのはもともとWEBマンガだそうで、ついにこういう時代がやってきたかと非常に感慨深いものがあります。漫画版の設定を借りただけなので、ストーリーはほぼ別物なのですが、この設定だけで十分おもしろいアイディアですよね。

 

ストーリー展開としては実に王道なのですが、王道だからこそ奇妙な設定がより映えるということですんなり楽しめました。体中にレッテルが貼られているというビジュアルも面白い! こういう作品が1つあると「あぁ世にもらしい話だな」と安心できます。ラストのちょっとしたオチにもついついニヤッとしてしまいますね。前後がどちらもブラック作なので、とてもいい箸休めになっているのではないでしょうか。

 

世にも奇妙な物語」だからこそ映像化できるであろうアイディアに★3つ。

◆ 第3話「捨て魔の女」 ★★★★

今回唯一のオリジナルストーリーである「捨て魔の女」

番組ではブラック作の定番(?)キャストである深田恭子さんの主演作ということで、かなり期待していました。

 

世にもらしい、ちょっと強引な入り方(笑)ではありましたが、ストーリー展開がシンプルなのでとても見やすかったです。幸運を招くために身の回りの物を捨てまくるという内容から、私含めて大抵の方は序盤からオチが読めていたとは思うのですが、そこを踏まえた上でも、初期から番組に携わってきたベテラン、土方政人監督の演出でグイグイ惹きつけられてしまいました。土方監督でこのようなストーリーは2004年の佳作「Be Silent」がありますが、こちらも負けず劣らずの良作になった気がします。

 

気になったのは、なぜ最後までカーテンを捨てなかったのかという部分ですが、最後の演出のための措置でしょうからそこは目をつぶるのが一番ですね。マンションに初めから備え付けられていた説を出している方もいましたが、それはそれで何もかも狂っているわけではない冷静さが窺い知れるので結構怖い!(^^;)

 

1996年の「ザ・ニュース・キャスター」といい、2010年の「ニュースおじさん、ふたたび」といい、ニュース関係の主人公もろくな目にあってませんね。

 

シンプルな脚本だからこそ、演出の力量によってしっかりと奇妙さが活きた作品になったのでは。中だるみしそうな部分もあるにはありましたが、これぞ奇妙という世界観を見せてくれたことに★4つ。

◆ 第4話「車中の出来事」 ★★★

「殺戮に至る病」「かまいたちの夜」で知られる我孫子武丸さん原作の「車中の出来事」

ストーリーテラーでも語られていたとおり、まさに「藪の中」もの。ドラマ版では真相が明かされていましたが、原作ではその辺は曖昧なんだとか。

 

昭和初期を舞台にした密室物ということで、この手のジャンルが大好きな人にはたまらなかったんじゃないでしょうかね。世にも奇妙な物語26年の歴史で意外とこういう作品は出てこなかったので、私としても新鮮でした。まだまだ鉱脈はあるようで。

 

ほか印象的だったのは、仁義なき戦いのBGMや『KAWAUSO♪』といった謎の音楽など、ファンにはおなじみの植田演出が久々に炸裂していた所ですかね……(笑)

ただ、個人的に徐々に作品が進んでいくに連れてこれらのシュールな演出が作品全体から見て少々浮いてしまっている部分があったかなと。画的に地味になってしまうための配慮だったのかもしれませんが、改めて見返すとコミカルさよりもおふざけ感の方が目立つ形になった気がします。

 

番組では珍しいジャンルに挑戦したことに加え、独特の奇妙な空気を味わえた佳作ということで★3つ。

◆ ずっとトモダチ ★★★

日本マイクロソフトの女子高生人工知能「りんな」がドラマ初出演ということで話題になったショートストーリー。

 

内容的には昨年の「ががばば」+1991年の「テレフォンカード」といった感じの展開なので、正直あまり新鮮味は感じられなかったです。「ががばば」の時もそうでしたが、やはり『世にも奇妙な物語』という番組のカラーを考えた時、この種のストーリーには少々違和感を覚えてしまったりする部分もあるんですよね。

私のような「これぞ世にも!」というホラーを期待しているファンには物足りない部分がありました。

 

ただ、今回は映像作品だけではなくPC・スマホ上で恐怖演出が繰り広げられる「りんなブログ」や、放送中に番組とLINEが同期するリアルタイムシステムを併せて楽しむという一風変わった要素があったわけで、そこで意外と楽しまされたせいか、少しだけ印象が良くなっています。

 

ネットプロモーションは「ががばば」の時もあったので、「まぁ、こんなもんかな」という小賢しいファンのような感想を抱いていたものの、ほぼ同じタイミングで自分のスマホに連動メッセージが送られてくるという視聴の仕方にはちょっとやられてしまいました……(笑) こういう楽しみ方もあったんですね。

 

ネット上ではそこそこ評判も良いようなので、これをきっかけに奇妙な世界にハマる方が出れば悪い話じゃないかなと。これまでの番組にはなかった新しい奇妙な世界の楽しみ方を味あわせてくれた所に★3つ。

◆ 総評 ★★★

ストーリーはどれも優等生的な内容でありながらも、奇妙な世界観を十分に堪能できたという意味で今回は★3つ。当たりハズレが大きくない分、物足りなさも当然あるものの、演出や企画でそこをしっかりカバーしていたなという印象が強かったですね。

 

そして、今年はなんといっても、これまでの5話から1話減らした全4話編成となったのが印象的だったと思いますが、その分、ストーリーに割ける時間が増えてより感情移入ができる環境になった反面、間延びする危険性もあり、いまいち活かしきれてない部分もチラホラ見受けられたかなと。

 

もっと言えば、ファンとしては話数を減らすよりも増やす方向に持っていってもらいたいなという欲が…!(笑) 色々大人の事情もあるんだと思いますが、やっぱり……たくさん見たいですもんね。

 

というわけで、今回も奇妙な世界堪能させていただきました。

今年は個人的に色々ありましたが、これからの奇妙な世界も十分楽しめるようにしていきたいですね。

 

スタッフ&キャストの皆さん、今回もお疲れ様でした&ありがとうございました!

 

公式Twitterによると次回はいつも通り春らしいので、それまでは当サイトで行っている↓

 完全非公式企画 ~あなたが作る世にも奇妙な物語 (http://kimyofansite.g1.xrea.com/content/etc/ystory.htm)

こちらの企画の第1弾が近日公開予定ですので、そちらでお楽しみいただければと思います!

 

ハードルを上げすぎたせいか、集まりがあまりよろしくないので(^^;)まだまだ第1弾に間に合います。

過去作、習作、奇妙であれば内容は問いません。興味のある方の投稿お待ちしております!

'16秋の特別編 みどころ紹介

「ファンサイトの特別編」「ブログの特別編」管理人の白虎です。

 

急病により数ヶ月ほどサイト運営から離れておりましたが、この度無事回復し、運営に復帰致しました。代理を務めってくださった黒猫さん、本当に有難うございました。そして今後とも「ファンサイトの特別編」をよろしくお願い致します! m(_ _)m

 

さて、そんな私の瑣末な事情はここまでにしておいて……重要なのは、放送がもう間もなくという所まで差し迫った「'16 秋の特別編」ですよね!

秋は春同様に全4話構成ということで、少々物足りなさを感じてしまいそうになりますが、その分色々と面白い仕掛けをちゃんと用意しているようで……。

 

というわけで、今回も放送に先駆け「'16 秋の特別編」各話のスタッフやキャストに関する情報や個人的な注目ポイントを簡単に書き連ねていきたいと思います!今回は私の事情が事情だったので、ほんとに簡潔です。すみません!(^^;)

 

※ 10/6 時点で判明している情報に基づいており、実際の放送では放送順等が変更される場合があります。

◆ 第1話「捨て魔の女」

【 スタッフ & キャスト 】(名前横は番組参加回数)

脚本:吉井三奈子 《 2 》

【主な代表作】『いいオンナには運がある』『コントの劇場』など

【主な奇妙作】『墓友 (2014)』

 

演出:土方政人 《 20 》

【主な代表作】NIGHT HEAD』『ショムニ』『謎解きはディナーのあとで』『ゴーストライター』など

【主な奇妙作】『穴 (1992)』『罰ゲーム (1994)』『過去からの日記 (2004)』『推理タクシー (2008)』など

 

主演:深田恭子 《 4 》

【主な代表作】神様、もう少しだけ』『富豪刑事』『ダメな私に恋してください』など

【主な奇妙作】『友達登録 (2001)』『採用試験 (2002)』『死後婚 (2008)』

 

まず最初は、今回唯一のオリジナル脚本であり、2008年の「死後婚」以来8年ぶりの主演となる深田恭子さんの「捨て魔の女」。過去の出演作を振り返ってみると全てブラック作ということで、今回も十分期待できそうですね(笑)

 

さらに2年前に大きな話題となった「墓友」以来の登板となる若手作家吉井三奈子さんが脚本を担当。また、番組初期から携わっている土方政人監督ということで、十分奇妙な世界観を堪能できそうです。

◆ 第2話「貼られる!」

【 スタッフ & キャスト 】(名前横は番組参加回数)

原案:HERO 《 初 》

【主な代表作】『堀さんと宮村くん』『浅尾さんと倉田くん』『雨水リンダ』など

 

脚本:宇山佳佑 《 4 》

【主な代表作】主に泣いてます』『信長協奏曲』『それでも僕は君が好き』など

【主な奇妙作】『幸せを運ぶ眼鏡 (2015)』『嘘が生まれた日 (2015)』『クイズのおっさん (2016)』

 

演出:品田俊介 《 初 》

【主な代表作】失恋ショコラティエ』『信長協奏曲』『探偵の探偵』『ナオミとカナコ』など

 

主演:成宮寛貴 《 初 》

【主な代表作】『相棒』『逆転裁判』『クロユリ団地』『不機嫌な果実』など

 

第2話「貼られる!」は、漫画家のHEROさんがイラストサイトPixivで掲載していたWebマンガ「レッテルのある教室」が原案。もともとの作品では女子高生が主人公らしいのですが、今回は設定を換骨奪胎したストーリーということで原案扱いに。

 

脚本は今年の春に大好評を博した「クイズのおっさん」を担当した宇山佳佑さん。最近の起用率がすごいですね。演出は今回初参加の品田俊介監督、主演も番組初出演の成宮寛貴さんと、フレッシュな布陣でのストーリーになる模様。

◆ 第3話「車中の出来事」

【 スタッフ & キャスト 】(名前横は番組参加回数)

原作:我孫子武丸 《 初 》

【主な代表作】『殺戮にいたる病』『かまいたちの夜』『速水三兄妹シリーズ』など

 

脚本:森ハヤシ 《 6 》

【主な代表作】マジすか学園』『ショムニ2013』『ほっとけない魔女たち』など

【主な奇妙作】『カウントダウン (2007)』『理想のスキヤキ (2009)』『AIRドクター (2013)』など

 

演出:植田泰史 《 21 》

【主な代表作】『アンフェア』『LIAR GAME』『遅咲きのヒマワリ』『受験のシンデレラ』など

【主な奇妙作】ネカマな男 (2005)』『イマキヨさん (2006)』『JANKEN (2011)』『面 (2015)』など

 

主演:北村一輝 《 初 》

【主な代表作】ATARU』『猫侍』『テルマエ・ロマエ』『昼顔』など

 

第3話は、「殺戮に至る病」「かまいたちの夜」と、人気ミステリーシリーズを多数生み出した小説家、我孫子武丸さんの同名作品が原作。

 

さらに「理想のスキヤキ」「AIRドクター」といった人気作を手がけてきた森ハヤシさんと、2000年代以降のメインディレクターである植田泰史監督とのタッグということで、世にもファンにも安心のクオリティが期待できそうです。

 

ほか、マニア的な注目点としては、番組初主演の北村一輝さんとの競演となる優男役の古川雄輝さん。

「5→9 ~私に恋したお坊さん~」などで知られる古川さんですが、実は2014年にフジテレビと中国の制作会社が共同制作した世にも奇妙な物語の中国版「不可思議的夏天」のストーリーテラー役でもあるんですね。もう一つの奇妙な世界からやってきたストーリーテラーがついに本家初出演。世にもマニアは要注目です。

◆ 第4話「シンクロニシティ

【 スタッフ & キャスト 】(名前横は番組参加回数)

原作:新津きよみ 《 初 》

【主な代表作】『ふたたびの加奈子』『トライアングル』など

 

脚本:岡田道尚 《 初 》

【主な代表作】鍵のかかった部屋』『ビブリア古書堂の事件手帖』『信長協奏曲』など

 

演出:岩田和行 《 11 》

【主な代表作】嬢王』『メイちゃんの執事』『家族ゲーム』『福家警部補の挨拶』など

【主な奇妙作】『リプレイ (2006)』『来世不動産 (2012)』『走る取的 (2014)』など

 

主演:黒木メイサ 《 初 》

【主な代表作】任侠ヘルパー』『新参者』『悪貨』『拝啓、民泊様。』など

 

最後は小説家新津きよみさんの同名作品が原作となった「シンクロニシティ

ゼロ代中期から「リプレイ」「来世不動産」といった作品を手がけてきた岩田監督を除き、こちらもフレッシュな人選での作品に。

◆ 雑感

今回特に私が注目しているのは……

・墓友の脚本家×番組ではブラック作でおなじみの深田恭子主演という相乗効果が楽しみな「捨て魔の女」

・森ハヤシ脚本×植田監督×北村一輝という、期待せずにはいられない布陣の「車中の出来事」

以上の2本。

 

番組史上1、2を争う大イベントであった25周年イヤーも終了し、26年目の奇妙は一体どうなるのかと思っていましたが、今回は日本マイクロソフト開発の人工知能『女子高生AIりんな』とのコラボ企画まで登場し、まだまだ試行錯誤していこうという気概が感じられて非常に頼もしいですね。

 

さらに番組初期から携わってきた岩田プロデューサーが久々の復帰!というところも大きく期待が持てるところ。我々の前に現れてから四半世紀が経過した奇妙な世界……懐かしくも新しい奇妙な世界が見られそうです!

 

世にも奇妙な物語 秋の特別編は2016年10月8日夜9時より放送です。お見逃しなく!