世にも奇妙な物語 ブログの特別編

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'18春の特別編 感想

さあ今回も無事『'18春の特別編』の放送が終わりました!

 

今回も初主演の大物俳優や人気アイドル、意外な大御所作家などに加え、「ががばば」の超大当たりを端に発したプロモーション企画第5弾もありと、色々とやらかしてくれそうな予感を感じさせるSPだったわけですが、それでもやっぱり肝心なのは「面白い!」と思うか否かですよね。

 

2010年代も後半戦真っ只中。30周年まで残りはや2年に迫った「世にも奇妙な物語」。

そろそろ意気込みだけでなく、クオリティもアクセル全開と行ってもらいたいところですが、果たして……!?

 

というわけで、今回も私の個人的な感想を簡単に。評価は★5つが最高となっています。

◆ 第1話「フォロワー」 ★★★

AKB48の公式ライバルである乃木坂46の中心メンバー白石麻衣主演によるSNSホラー。

放送当時の人気アイドル×ホラーというのは「世にも」に限らず業界では定番中の定番ですよね。

 

本作はTwitterという現代的なモチーフを扱いながら、本来なりたい自分を過剰に追求した末の悲劇という普遍的なテーマの一編。実際、Twitterの中だけでも注目を浴びたいあまりに主人公のようなことをやる方は多いらしいので、身につまされる人も多かったのでは。

 

内容としてはこの番組でもお馴染み「調子乗り系ホラー」の王道展開なので、テンポよく楽しめました。

ただ個人的には後半の瀕死(?)の主人公を通行人が次々に写真を撮ったり拡散する一連の流れがややクドいかなと。

 

91年の「大予言」のような番組を見ている視聴者を風刺する系のオチは大好物なんですけれども、あちらが短くスパッと終わらせているのに対し、本作の場合は若干冗長気味だったのも手伝って「風刺をしてしますよ」感を醸し出しているため、スマートさに欠けるかな…と思ってしまいました。ブラックジョークなんかも、上手なものは短くキレがあってこそですからね。

 

ほか、本編以外のところでは劇中に登場した『港区OLハル』のTwitterアカウント(@minatoku_haru)が番組を同時実況するという隠しネタが意外と楽しかったです。次の話に移行してもハイテンションでツイートしていたり、どう見てもおっさんが書いてる内容だったり、偽ミミ子アカウントが大量発生したせいで本物のミミ子アカウント審査を初めたり……と、公式アカウントじゃないのをいいことにふざけまくっていたのが特に印象的でしたね。

 

「世にも」らしい切り口で1本目に相応しい作品+隠し要素が楽しめたことで、★3つ。

◆ 第2話「不倫警察」 ★★

過去「いいかげん」「言葉の戦争」「ダジャレ禁止令」など、番組でお馴染みだった奇妙な管理社会ものの最新作。

今回のテーマは2016年の例の事件以降巷を大いに沸かした『不倫』。昨年「忖度」をテーマにした作品があったことを考えるとやや遅いような気もしますが、こういうとこは「世にも」らしいと言えるでしょうか(^^;)

 

さて結論から言いますと……私はまったく作品にハマれませんでした。

 

番組らしい設定といい、コメディから一気にシリアスに変わる様、ラストの落とし方といい、評価の声が一定数あるのも十分頷ける出来だと思うのですが、私の場合めんどくさいことに前述の「フォロワー」同様、『風刺をしていますよ感』が、ど~~~~~~~~しても鼻についてしまったんですよね。

 

というのも「世間が許してくれない」「一度道を踏み外せば社会から抹殺」といったあからさまな台詞や描写が多すぎるなぁと。訴えたいテーマは非常によくわかるんですが、私は作品中の風刺が露骨すぎると「だったらわざわざ物語にする必要があるのか?」と感じてしまうタイプでして……。物語というフィルターを通すからには、鋭い風刺ほどできる限り受け手の中に感じさせてほしいなと思ってしまうんですよね。

 

その辺は構成がよく似ている「ダジャレ禁止令」と比べてみても、あちらはコメディものと思わせてラストで一気にテーマを浮かび上がらせている反面、本作は序盤からグイグイ風刺色を押し出しているため、どうもスマートさに欠けるといいますか、「風刺のための台詞」「風刺のための描写」といった“ありき”の要素のみで成り立っているような印象を受けました。

 

そして『ゲス不倫』から2年経った今になってこの種のテーマを扱うにしては、既にさんざん世間で言われてきた内容に留まっているため今更感もやや感じたり……。これが2年前の秋に放送していたか、不倫騒動の根本的かつ普遍的な部分だけを取り出した別なモチーフによる作品であったならばまた評価も違ったのかなと。

 

ほか、序盤の明すぎる演技も『社会の異常さを浮かび上がらせるための過剰さ』とはいえ、やりすぎな感もありましたし、コメディチックなシーンも、演出の問題なのか正直見ていてやや辛いものが……。

 

周囲では好評価の声がよく聞かれているので決してダメな作品ではないと思うのですが、どうも私のツボからことごとく外れているわけで……これはもう個人的な好みの違いとしか言いようがないです。すみません!

 

今風かつ普遍的なテーマをストレートに打ち出した姿勢は買うものの、私向きの作品ではなかったということで★2つ。

◆ 第3話「明日へのワープ」 ★★★★

今回唯一の原作付き作品。この手の話は芥川龍之介の「杜子春」が有名かと思いますが、番組でも「呪いの紙人形」「結婚シミュレーター」などがありますね。

 

感想としては、正直あまりにも刺さりすぎて見ているのがなかなかキツかったです。

まるで若い頃は小馬鹿にしていた流行歌がこの年になって胸に染みるような……。

ただ一方で「あんなやさぐれた生活を続けていてそんな上手いこといくもんかな…」と思った天の邪鬼な自分も…(笑)

 

私も似たようなことを幾度も考えたことがあるんですよね。この瞬間だけ時間が飛んで欲しいなと。

ただ今になって振り返ってみるとそういったことも現在の自分を形作る礎になっているわけで、結局しっかり記憶して体験して生きていくしか無いんですよね…今後も頑張ります。

 

演出面ではなんといっても安定安心の植田監督ですから、しっかり「世にも」らしい世界観でグイグイ引き込まれてしまいました。面接会場に「BLACK」の文字があるお約束(?)の小ネタ(ハルTwitterも言及しているので恐らく偶然ではないでしょう)も、さりげなさ加減が◎。

 

ほか、ネットを見ていると「夢オチ」との批判もあるようですが、本作は夢オチ部分に主軸を置いていないので個人的には許容範囲内。見ていてあまりにヒリヒリするので、「むしろ夢オチであってくれ……!」との思いが脳裏によぎったことも正直に告白しておきます。

 

原作の良さを活かした脚本演出+琴線にバシバシ触れた一篇ということで★4つ。

◆ 第4話「少年」 ★★★

SMAP草なぎ剛主演で知られる「僕」シリーズを担当した橋部敦子による16年ぶりの奇妙復帰作。

とにかくタイトルがいいですよね。「少年」。導入のつかみもバッチリでした。

 

オチはそこそこのファンでなくとも読めるタイプではありましたが、部分部分の描写や伏線の回収方法がさすが定評のある脚本家さんといった感じでしょうか。勝手ながら「本来はベタでもこれくらいのクオリティの感動系が毎回あるのが理想形なんだな」と思ってしまいました。

 

唯一引っかかった所を挙げるとすれば、少年の姿がしっかり彼氏になっている所で「え~っ!?」と思ったくらいでしょうか。キラキラさせても、半透明にしても変になるのはわかるんですが、突然ガッツリ彼氏の姿になってる絵面をちょっと面白く感じてしまい…(^^;)抱きついた直後、その後姿が彼氏になっている…くらいに留めておいた方が良かったんじゃないかな~とも…ってそう思うのは私くらいですか。

 

ほか、前の話に引き続き本作も主人公が前向きに生きるタイプの話だったので、「またか」と思ってしまった自分も。ホラーやブラックは気にならなくとも、いい話が連続で来るとたいていの世にもファンは物足りないと思ってしまうのではないでしょうかね。もう少し構成を熟考する必要もあったと思いますが、この流れで見るからこそ感じるものもあるでしょうからそこは難しい所ですかね。

 

やや見え見えな部分はあれど最後の締めとしてはちょうどいい素敵な作品で、満足でした。★3つ。

◆ ショート奇妙「城後波駅」 ★★

『特別映像』『ショート・ショートストーリー』『短編』etc...

これまで「ががばば」「りんな」等、昨今プロモーション連動企画モノを表す言葉は数多くあったのですが、どれもしっくりこず…。私個人も違和感を覚えながらブログ等で『超短編』を使ってきましたが、ここへ来てやっと『ショート奇妙』と名前が付いてある意味ホッとしました…(笑)

 

さて、内容としてはネットでは超有名な都市伝説「きさらぎ駅」から着想を得たであろうシンプルなストーリー。ガチャピンとムックを出すために強引な部分がかなり見られましたが、そこは企画モノということを踏まえれば大目に見……いやでもやっぱり強引すぎる!(^^;)。ガチャムクの新声優さんにもまだ慣れていないせいか、居心地の悪さも若干。

 

評価点はこれまでのものと違って、消化不良を起こすことなくまとまっていること。そして駅員の存在感。こんな企画モノで使ってしまったのがあまりにももったいない気がしますね。

 

私としてはショート奇妙シリーズの継続は肯定しますけれど、やるからには本編以上に脚本演出に力を入れて欲しいもの。“所詮企画モノ”という考えは視聴者にモロに伝わっちゃいますし、目立つ分回全体の印象を大きく左右し、熱烈なマニアですら擁護のしようが無い結果を招きやすいというあまりにも危険な橋なので……。次回(あれば)に期待!

◆ 総評 ★★★

いやぁ~見終わった直後は前回とは別な意味でぐったり疲れました……(笑)

 

今回はすべてメッセージ性が強かったじゃないですか。本編4話の中にいわゆる箸休め的な作品が皆無だったように思います。そんなわけで本作の印象を一言で言い表すならば、ズバリ『メッセージ重視回』といったところでしょうか?前回の記事で予想していた通り、ここ数年のものとはだいぶ毛色の違ったSPになっており非常に新鮮でした。10年後くらいにはある程度定まった評価の声が出てきそうな予感がします。

 

不満点といえば、やっぱり4話は少ない…という思いがより強固に。4話編成になって以降どうしても間延びを感じる瞬間があるわけなので。フジの業績に付随した大人の事情であろうことは重々承知ですが、テンポの良さが番組の魅力の一つですから……。

 

あとは前述の通り「ショート奇妙」を続けるのならば、クオリティをもう少し上げて欲しいですよね。

プロモーションに注力することは悪いことではないですし、番組名物にもなってきているので続けることに異議はありませんが、いくら何でも毎回お手軽ホラーすぎるなと。

 

いや、わかるんですよ。この手のホラーにした方がWeb上で話題になりやすいし、広まりやすいのは。ただ、話題作としてハードルを上げるからには、せめてコアなファンが理屈をこねくり回して擁護できるくらいの余地は残しておいて欲しいんですよね。「あれガチャピンとムック出す意味あった?」と聞かれても、今の私は苦笑いでその場を取り繕うのが精一杯…(T_T)

 

裏を返せばショート奇妙がしっかりすれば毎回の印象もだいぶ変わってくると思うので、しばらくはその辺りを期待したいですね。細かい所ではまだ提供バックの煽り文や、新聞等でのSP回サブタイトル、EDの宣伝テロップ辺りもどうにかしてくれれば……!

 

ほか内容以外でいえば、今回の視聴率は10.0%と前回より1.6%アップしたニュースにはホッとしました。

10%というとかなり低い数字に見えますが、番組の放送週でフジが視聴率2ケタを記録した番組はサザエさん」と「世にも」の2つのみなので、まずまず健闘した方と言っていいでしょう。近年長寿番組をバッサバサ切っているフジテレビなので、数字が悪いよりは良いほうが安心できるというもんです。

 

2010年代も残りわずか、平成も終わりに差し掛かっている今日このごろ。進化し続ける奇妙な世界に今後も目が離せないのは間違いなさそうです。

 

スタッフ&キャストの皆さん、今回もお疲れ様でした&ありがとうございました! 次なる秋も楽しみにしています!

 

……そういえば例の港区OLハルさんは今なおツイートを継続中なので、ここまできたら秋の特別編もしれっと実況している意味不明っぷりを密かに期待しています…(笑)