世にも奇妙な物語 ブログの特別編

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'16秋の特別編 感想

25周年の記念イヤーも終わり、半世紀へ向かって進みだした2016年。

一体26周年目の奇妙な世界はどうなるのか、昨年からその動向に大注目していましたが、どうやら、26年目を迎えた「世にも」は、25周年に負けじと新たな試みが色々となされているようで…。

 

それでは以下、久々に今回の特別編についての個人的な感想を簡単に。

評価は★5つが最高となっています。

◆ 第1話「シンクロニシティ」 ★★★

新津きよみさんの同名小説が原作となった「シンクロニシティ」。

タイトル通り、シンクロニシティ=偶然の一致をテーマにした作品になっています。

 

さて内容ですが、数々の偶然に巻き込まれるという展開から始まり、次第に過去の同級生の自殺問題が絡み合い、最終的にタクシー内での密室劇へ……と、見終わってから改めて振り返ると、これらの要素を上手くまとめられたな~と感心してしまいました。

 

個人的に、落とし穴の伏線は読めたものの、ラスト3人の車内のシーンからラストへの「ケセラセラ」がゾッとする感を上手く高めていて、物語にとって一番の見せ場をしっかりと堪能できる演出になっていた気がします。いや~怖い怖い。オチが読めてもこういう見せ場をしっかり作ってくれる作品は好感を持てます。

 

ほかツッコミどころとしては、先生はなぜナイフを持っていたのかという所が挙げられると思いますが、「彼もこの後ナイフで自死するために持っていた=この日シンクロニシティにより登場人物が全員死亡へ』という解釈をされている方を見て、そういうことであるとすれば、作品全体の見方もまた変わっていくなと。もしかしたらあのトラックの運転手も……?

 

過去のタクシーものといえば「バイパスの夜」「地獄のタクシー」「推理タクシー」などがありますが、どれもこれも先に待つのは死ばかり……。奇妙な世界にとってタクシーとはかなり危険な乗り物なのかもしれませんね~(^^;)

 

ストーリーのブラックさを十分引き立てていた演出に★3つ。

◆ 第2話「貼られる!」 ★★★

HEROさんの漫画「レッテルのある教室」を原案とした「貼られる!」

原案となっているのはもともとWEBマンガだそうで、ついにこういう時代がやってきたかと非常に感慨深いものがあります。漫画版の設定を借りただけなので、ストーリーはほぼ別物なのですが、この設定だけで十分おもしろいアイディアですよね。

 

ストーリー展開としては実に王道なのですが、王道だからこそ奇妙な設定がより映えるということですんなり楽しめました。体中にレッテルが貼られているというビジュアルも面白い! こういう作品が1つあると「あぁ世にもらしい話だな」と安心できます。ラストのちょっとしたオチにもついついニヤッとしてしまいますね。前後がどちらもブラック作なので、とてもいい箸休めになっているのではないでしょうか。

 

世にも奇妙な物語」だからこそ映像化できるであろうアイディアに★3つ。

◆ 第3話「捨て魔の女」 ★★★★

今回唯一のオリジナルストーリーである「捨て魔の女」

番組ではブラック作の定番(?)キャストである深田恭子さんの主演作ということで、かなり期待していました。

 

世にもらしい、ちょっと強引な入り方(笑)ではありましたが、ストーリー展開がシンプルなのでとても見やすかったです。幸運を招くために身の回りの物を捨てまくるという内容から、私含めて大抵の方は序盤からオチが読めていたとは思うのですが、そこを踏まえた上でも、初期から番組に携わってきたベテラン、土方政人監督の演出でグイグイ惹きつけられてしまいました。土方監督でこのようなストーリーは2004年の佳作「Be Silent」がありますが、こちらも負けず劣らずの良作になった気がします。

 

気になったのは、なぜ最後までカーテンを捨てなかったのかという部分ですが、最後の演出のための措置でしょうからそこは目をつぶるのが一番ですね。マンションに初めから備え付けられていた説を出している方もいましたが、それはそれで何もかも狂っているわけではない冷静さが窺い知れるので結構怖い!(^^;)

 

1996年の「ザ・ニュース・キャスター」といい、2010年の「ニュースおじさん、ふたたび」といい、ニュース関係の主人公もろくな目にあってませんね。

 

シンプルな脚本だからこそ、演出の力量によってしっかりと奇妙さが活きた作品になったのでは。中だるみしそうな部分もあるにはありましたが、これぞ奇妙という世界観を見せてくれたことに★4つ。

◆ 第4話「車中の出来事」 ★★★

「殺戮に至る病」「かまいたちの夜」で知られる我孫子武丸さん原作の「車中の出来事」

ストーリーテラーでも語られていたとおり、まさに「藪の中」もの。ドラマ版では真相が明かされていましたが、原作ではその辺は曖昧なんだとか。

 

昭和初期を舞台にした密室物ということで、この手のジャンルが大好きな人にはたまらなかったんじゃないでしょうかね。世にも奇妙な物語26年の歴史で意外とこういう作品は出てこなかったので、私としても新鮮でした。まだまだ鉱脈はあるようで。

 

ほか印象的だったのは、仁義なき戦いのBGMや『KAWAUSO♪』といった謎の音楽など、ファンにはおなじみの植田演出が久々に炸裂していた所ですかね……(笑)

ただ、個人的に徐々に作品が進んでいくに連れてこれらのシュールな演出が作品全体から見て少々浮いてしまっている部分があったかなと。画的に地味になってしまうための配慮だったのかもしれませんが、改めて見返すとコミカルさよりもおふざけ感の方が目立つ形になった気がします。

 

番組では珍しいジャンルに挑戦したことに加え、独特の奇妙な空気を味わえた佳作ということで★3つ。

◆ ずっとトモダチ ★★★

日本マイクロソフトの女子高生人工知能「りんな」がドラマ初出演ということで話題になったショートストーリー。

 

内容的には昨年の「ががばば」+1991年の「テレフォンカード」といった感じの展開なので、正直あまり新鮮味は感じられなかったです。「ががばば」の時もそうでしたが、やはり『世にも奇妙な物語』という番組のカラーを考えた時、この種のストーリーには少々違和感を覚えてしまったりする部分もあるんですよね。

私のような「これぞ世にも!」というホラーを期待しているファンには物足りない部分がありました。

 

ただ、今回は映像作品だけではなくPC・スマホ上で恐怖演出が繰り広げられる「りんなブログ」や、放送中に番組とLINEが同期するリアルタイムシステムを併せて楽しむという一風変わった要素があったわけで、そこで意外と楽しまされたせいか、少しだけ印象が良くなっています。

 

ネットプロモーションは「ががばば」の時もあったので、「まぁ、こんなもんかな」という小賢しいファンのような感想を抱いていたものの、ほぼ同じタイミングで自分のスマホに連動メッセージが送られてくるという視聴の仕方にはちょっとやられてしまいました……(笑) こういう楽しみ方もあったんですね。

 

ネット上ではそこそこ評判も良いようなので、これをきっかけに奇妙な世界にハマる方が出れば悪い話じゃないかなと。これまでの番組にはなかった新しい奇妙な世界の楽しみ方を味あわせてくれた所に★3つ。

◆ 総評 ★★★

ストーリーはどれも優等生的な内容でありながらも、奇妙な世界観を十分に堪能できたという意味で今回は★3つ。当たりハズレが大きくない分、物足りなさも当然あるものの、演出や企画でそこをしっかりカバーしていたなという印象が強かったですね。

 

そして、今年はなんといっても、これまでの5話から1話減らした全4話編成となったのが印象的だったと思いますが、その分、ストーリーに割ける時間が増えてより感情移入ができる環境になった反面、間延びする危険性もあり、いまいち活かしきれてない部分もチラホラ見受けられたかなと。

 

もっと言えば、ファンとしては話数を減らすよりも増やす方向に持っていってもらいたいなという欲が…!(笑) 色々大人の事情もあるんだと思いますが、やっぱり……たくさん見たいですもんね。

 

というわけで、今回も奇妙な世界堪能させていただきました。

今年は個人的に色々ありましたが、これからの奇妙な世界も十分楽しめるようにしていきたいですね。

 

スタッフ&キャストの皆さん、今回もお疲れ様でした&ありがとうございました!

 

公式Twitterによると次回はいつも通り春らしいので、それまでは当サイトで行っている↓

 完全非公式企画 ~あなたが作る世にも奇妙な物語 (http://kimyofansite.g1.xrea.com/content/etc/ystory.htm)

こちらの企画の第1弾が近日公開予定ですので、そちらでお楽しみいただければと思います!

 

ハードルを上げすぎたせいか、集まりがあまりよろしくないので(^^;)まだまだ第1弾に間に合います。

過去作、習作、奇妙であれば内容は問いません。興味のある方の投稿お待ちしております!