世にも奇妙な物語 ブログの特別編

「世にも奇妙な物語 ファンサイトの特別編」管理人のブログです。

'17秋の特別編 感想

27周年目の「世にも奇妙な物語」最終章こと秋の特別編の放送が終了しました。

 

昨年辺りからなかなかブログの方の更新が前回の感想含めて思うように出来ずじまいだったので、今回こそはと、個人的な感想を簡単に。評価は★5つが最高となっています。

◆ 第1話「寺島」★★★★

かねてから映像化の計画があったものの、作者と連絡がつかず実現まで約10年を要したホラー作品。

 

まずは、なんといってもMVPは主演の吉岡里帆さんに尽きますね。

TBSの「カルテット」でもなかなかぞわぞわする役どころを見せていたので、ある程度期待していたんですが、ラストの狂気を全面に押し出したシーンにはやれてしまいました。

 

ストーリー自体は「世にも奇妙な物語」ファンにとって、そこまで目新しいわけでもなくシンプルな展開でしたが、必要以上の狂気と従来のように手を抜かないホラー演出の相乗効果で個人的にはかなり満足した一本です。

 

なんせ、ここ十年ほど過激な演出ができないからといって、あまりにも安易で不自然すぎるシーンが多々あったじゃないですか。ハサミの先で肩をちょっと刺されただけで人が死んだりですとか……(-_-;)

 

過激な演出ができなくても怖がらせる方法っていくらでもあるのにどうしてそうなっちゃうんだろう……ということを過去何度か書いてきましたが、今回は想像させる恐怖、コンプライアンスに触れるような過激さがなくても恐怖心を煽る手法がしっかり取られていて、「これこれ!こういう方向が見たかったんだよ!」と。何だか『ホラーのハードルが低いよ…』と言われてしまいそうですが、これまでの「世にも」ホラーの流れが流れだったので、ね。

 

さらに今後のホラーに大きな期待が持てるような気がしました。

後はもっと後味の悪さがあれば文句無し。★4つ。

◆ 第2話「フリースタイル母ちゃん」★★★

世にも奇妙な物語」×ラップという“ネットが荒れる”としか思えない組み合わせにあえて挑んだ一本。

 

近年はテレ朝の「フリースタイルダンジョン」などの影響でHIPHOPブームが巻き起こっておりますが、その波が「世にも」にもやってきたというのは、本当にブームになっているんだなぁという感がありますね。

 

前評判では「大丈夫なのか」という声も多数見受けられましたが、いざ蓋を開けてみると物語の根幹は「世にも」の超王道路線。奇妙なアイテムや状況を経ての相互理解……というのは定番なので、まず妙なことにはならないだろうと安心して見ることができました。途中まで「自分は一体何を見ているんだ……」と困惑している自分を客観的に見ているのも何だか楽しかったです。

 

ただ、その一方でお決まりの路線に落ち着くであろうことは早くから予想できていたので、もう少し突き抜けた物が欲しかったのも事実。そして中山美穂さんのラップがもう少し……! ところどころ聞いていて引っかかる部分もあったので。素人の主婦ということであえてなのかもですが。

 

突飛な題材を中途半端にせずやりきったところ、そしてまた奇妙な怪作が生まれたことを評価して★3つ。

◆ 第3話「運命探知機」★★★

「はいはい、みんなもうただの恋愛物で終わるわけないってわかってるでしょ?」という、ある種の開き直りを踏まえた上での暴走気味な月9風演出には、悔しいですが笑ってしまいました。

 

ここまでの前フリをしたからには、ラストはよくある感じで彼女に殺されでもするのかな……と思っていましたが、「仮婚」「幸せを運ぶ眼鏡」といった佳作があるので、ラストにはやや既視感。ただあの皮肉なラストは嫌いじゃなかったです。が、ラストのネタバラシがちょっと長すぎじゃないかなと。小説でも映画でも、そこがスマートじゃないとグダグダになっちゃいますからね。

 

あとはキメ台詞の「今は絶対だよ」も、一見いいことを言ってるようでわかりづらいので、もう少し違う言い回しがあったような気も。「今の気持ちは絶対だよ」とか。

 

笑っちゃうくらいのあざとい月9さに楽しませてもらったので、オマケして★3つ。

◆ 第4話「夜の声」★★★

「世にも」では3作目となる手塚治虫原作の一本。

 

ここまでの3話までの落差に揺さぶられて、疲れ切っていた私としては、落ち着いて見ることができて好印象でした(制作側もそういう配置を狙ったんだと思いますが)。こういう物悲しい話は大好きなんですよね。原作がしっかりしてるからこその佳作だと思います。ただ、やはり「世にも」で放送するにあたって新たに加えた“要素”がちょっとわかりにくいのかな~と。

 

原作は男女の悲しいすれ違いそのものなので、映像化にあたって何かしらの奇妙な要素を付け加えるだろうなとは思っていましたが、若干『“奇妙”というコンセプトを一応尊守しましたよ』という言い訳っぽくも感じてしまったり。たま~に「世にも」っぽくない内容の原作に少しだけSF要素を加えて放送するケースがありますが、本作も含めてなかなか脚色に苦労しているようで。

 

原作の物悲しさをより活かしたラストシーンに★3つ。

◆ 短編「写真」★★

これぞ世にもの超短編とも呼べる作品群。

 

ただ、個人的にはちょっと演出がポップすぎるかな~と思いました。

初期のアバンストーリーっぽくて良いという評価もチラホラ散見されましたし、その評価もよくわかるんですけどね。私としてはもう少し、クールな雰囲気が……!くだらないギャグでもそういう佇まいが欲しかったという……。はい、面倒くさいマニアの面倒くさいこだわりというやつですね。

 

サイコキネシス」「痛点」のような視聴者参加型の面白みの復活が嬉しかったので★2つ。

◆ 短編「交換」★

タイトルと予告編の時点で予想通りといった内容でした。

アバンストーリーにもこういうのはありましたしね。あと、合成のクオリティもう少しどうにかなったのでは…。

◆ 短編「ががばば新章」★★

「ががばば」の出演者がアナウンサーとして今年フジに入社したという奇妙な“棚ぼた”で復活(?)した新作。

 

世にも奇妙な物語では唯一のPOVシリーズであり、個人的にも好きなジャンルではあるんですが、やはり前作同様ただのホラーで「世にも奇妙な物語」とはちょっと違うかなぁ…というのが正直な所。

 

私の中で「世にも」はあくまでストーリーを楽しませるのが売りだと思っているので、

POVものということで仕方ない面はあるものの、単なるビックリ系は「世にも」でやる必要があるのかな?とも。贅沢を言えば「放送禁止」のようにガッツリ考察してゾッとできる楽しみも欲しいなと。

 

そして今回も「ががばば」の秘密が完全に明かされなかったわけで、やはり不完全燃焼感は否めません。もしかして今後も度々シリーズとして登場するのでしょうか。その辺にも注目していきたいですね。

◆ 短編「ポニーテール」★

最後どういうことなんですかね、これ……(-▽-;)

ポニーテールの反応に必死に逆らったためなのか、無理な相手から離れるための反応だったのか。いまいち釈然としません。

◆ 短編「女子力」★

Twitter上で活躍されている方の4コマが原作という、時代もここまで来たかという感じの作品。

後で原作の方も確認しましたが、映像同様にシュール極まりない内容で、なぜこれを採用しようと思ったのか。その点も実に奇妙。将来Twitter等で話題になった一般人の何気ないネタが映像化される日も近かったりして……。

◆ 総評 ★★★

いやー、こんなに忙しない特別編は無かったですね!(笑)

 

「寺島」からの「運命探知機」までの雰囲気の落差と、合間合間に挟まれる超短編群……まさにジェットコースター的な回だったように思います。各話単体で見ても大満足!…とまではいきませんが、配置の妙とホスピタリティ重視(?)な企画群を前に自分でも思っていなかったほど楽しめたので★3つ。

 

なんといっても、「深夜の特別編」「世にも奇妙な自販機」「3時間という異例の傑作選」「ががばば検索復活」と、攻めた企画を矢継ぎ早に出されると、長年「世にも奇妙な物語」に飢えていた私としては、目新しい企画についつい心躍らされてしまうんですよね。節操の無いマニアですみません…。

 

とはいえ、やっぱりもう少しどうにかなったんじゃないかなぁ~と思う部分もあったり。

例えば企業とのコラボによるシュールコメディだった「深夜の特別編」。フジ深夜だと「トリハダ」系のブラック作がどうしても期待されるでしょうし、宇宙人が主役という『番組NGルール』ギリギリな作りや、イレギュラーな企画なだけに企業コラボでないと放送が難しい大人の事情など…頑張ってくださっていることは重々承知の上でも、物足りない所がありました。ただ、試み自体は大歓迎&大絶賛という立場なので、これを足がかりに今後ホラーな展開にも大きく期待したいと思います。

 

そして既にご存知の方も多いように、その企画群が結果に結びつくかというとなかなか難しく、今回の視聴率は過去最低&史上初のヒトケタ台である8.4%となってしまいました。近年土曜プレミアム枠では視聴率ヒトケタが常態化していることや裏番組同士で食い合った故のこういう数字なわけですが、そこを理解した上でもやっぱりショックなものはショックですよね~(^^;)某PもTwitterで珍しく自虐的なツイートをされていますし。

 

一昨年、後藤プロデューサーがプロモーションの強化、再放送や特別枠等の新企画推しといった大きな新風を巻き起こした一方、去年に入って従来の5話から4話編成へ減少し、今年は2000年代の「世にも」を支えてきた主要メンバーであった植田泰史監督の14年連続参加記録がついに絶たれるなど、ほんの3年前まではまったく想像もつかなかった事態へと変貌しています。

 

さらにここへきてのフジテレビ不況があるわけですから、良くも悪くも「世にも」はこれから激動の時代に入るかもしれないんじゃないかな…と。それが怖くもあり、楽しみでもあり……。とにもかくにも、スタッフの皆さんには腐らないでいただきたいですね!

 

ネットで賛否両論巻き起こりながらも、あちこちで大人数がワイワイ視聴しているあの感じはやっぱりいくつになっても見ていて楽しいですし、過去何度も言っているように、最低限の番組様式さえちゃんと守ってくれれば(隙あらば文句を言いつつも)ついていくつもりの手遅れな奴なので。

 

そんなこんなで、以上今回の特別編の感想と雑感でした。今回はかなり派手め中心だったように思うので、次は落ち着いたビターな回も見てみたいですね。

 

スタッフ&キャストの皆さん、今回もお疲れ様でした&ありがとうございました! また来年の奇妙な世界を心待ちにしています!

 


 

最後に。世にもファンの方々の中には今回の視聴率を受けて「今後の世にもは大丈夫かな?」とご心配の方々もいらっしゃると思います。テレビドラマの場合、アニメ等と違ってソフト化やグッズでの大幅な収益が見込めないので、結局のところ(録画率・タイムシフト視聴率等があれど)視聴率ぐらいしかわかりやすい判断指標がありません。

 

「世にも」の場合でも、権利問題から公式配信が一切なく、ソフト化も打ち切りということで、やっぱりこの法則に従ってしまうことになりそうです。個人的な予想では30周年までは放送に問題ないと思いますが、その先がどうなるかは私もやっぱり心配です……(-▽-;)

 

「番組の歴史を汚さない方にもう終わった方がいい。過去の傑作を再放送してもらえばいいじゃないか」という方もたまにいらっしゃいますが、ただでさえ権利関係が複雑&全話再放送が絶望的な状況で、製作を終了し、新規ファンや知名度が大幅減少することがあれば、再放送もソフト化も余計遠のいてしまう可能性が高いわけですよ。

 

若い層にもアピールできず、制作が続いているわけでもない、版権整理が煩雑で版権使用料も普通のドラマより多くかかる番組を熱心に放送にこぎつけてくれる奇特な人間や企業がいるかどうかという。そもそも制作が続いているこの27年間ですら、ファン人気の高いレギュラーシリーズ247話中13話しかソフト化されてないんですからね。私が過去にハマってきた特定のジャンルや作品もあっという間に寂れたので、あり得ない話ではないんですよ…(T_T)

 

そんなわけで、今後の「世にも」を応援したいという方がいましたら、以下の方法をお勧めしておこうと思います。

 

それは《公式サイトにメッセージを送る( http://www.fujitv.co.jp/kimyo/message.html )》

 

理由としては、数字が悪くてもたくさんお便りが来るとスタッフ側が上層部への説得材料に利用できること(一度終了した番組が復活したケースもあるそうです)。そして存続云々は置いておいても、新作への賞賛も批判も直接ぶつけた方が今後に大きく活かされる可能性が高いことが挙げられます。過去作のリクエストでも「全5話に戻してくれ」でも「どれもこれもつまらないぞ」でも、番組への熱いコメントが番組の今後を大きく変えるかもしれません。

 

それでもまだ不安な方は、現在奇跡的にノベライズシリーズが発売されていますので、ぜひ一冊購入されてみては…!ノベライズシリーズが続けばそこからファンになる方も増えるでしょうし、何より貴重なグッズ枠ということで……(笑)

 

世にも奇妙な物語」のいままで&これからを応援したい方はぜひどうぞ!