世にも奇妙な物語 ブログの特別編

「世にも奇妙な物語 ファンサイトの特別編」管理人のブログです。

幻の「ドラマ缶」

当時はたいして価値が無いもののように思えても、後になってから「しまった!残しておけばよかった!」となる事ってありませんか。後から慌てて取り戻そうにも不可能なケースが多いですよね。

 

特にインターネットの世界はそれが顕著で、今では普通に存在する公式サイトや動画・画像も、それらが消えてしまえば、当時の面影を知る術は一部を除きほぼありません。恐らく企業側もそれらのサイトデータを保存してはいないでしょう。当サイト開設から10年経ち、今になってこの「しまった!」に直面するケースが跡を絶ちません。

 

なので、今ではすっかり「世にも」の放送時期になれば、公式サイトのデータだけでなく、各ニュースサイトの記事や、携わったスタッフのブログ記事、ツイート記事を時系列順にまとめておくという、とんでもない作業を行うことにしています。でもこういうのって消えたらそれまでですからね…。

 

もしも目の前にタイムマシンがあったら、私は真っ先にブルーレイHDDを抱えて「世にも」の各回を番宣込みで録画する事でしょう。そして、各年代にパソコンを持ち込んで、歴代の番組関連ウェブページの保存作業に勤しむでしょう。宝くじやら競馬やら、そういったちっぽけな事はそのあとそのあと……。

しかし、今の所まだそういったモノが出来る気配も無いようですので、まだまだ番組データの保存作業は欠かせません。

 

さて、そんな私が最近になってその存在を思い出し「しまったー!もっとちゃんと見ておけばよかった」と思ってしまったとあるドラマがあります。「世にも奇妙な物語」のスタッフたちが携わったネットショートムービー集。その名も……

 

『DRAMA BROADWAY ドラマ缶』

 

……はい。恐らくここをご覧の皆様は誰一人このタイトルを聞いてピンと来ないかと思います。当の私もこのタイトルを失念しており、探しだすのにかなり苦労しました……情報がほぼ消えているもので(^^;)

 

概要を簡単に説明すると、今から12年前の2002年3月14日、共同テレビソニーの子会社サイバージーンドットコムが共同でBROADWAY CHANNELという動画配信サイトを開設しました。このサイトは自動販売機という世界観だったため、各映像コンテンツは「癒やし缶」「モデル缶」「マニア缶」といった名前で分けられ、そのドラマ部門こそが今回ご紹介する「ドラマ缶」という訳です。

 

本作は、都市伝説をテーマにほしのあきMEGUMIらを初めとした10名の女性アイドル…その名も「10カラット・ガールズ」を起用した3分間ドラマで、各話100円で8日間視聴出来るというシステムを取り入れた、今の映像配信番組の先駆けとも言える内容。

 

本作で重要な役である菊川怜さんはオープニングムービーだけでなく、各話にカメオ出演しているというストーリーテラー的なポジションで、当時それらの各出演シーンをチェックしてハガキを送ると、彼女が育てたAIBOを抽選で1名にプレゼントというキャンペーンも行われていたんだとか。時代を感じますね。

 

後に第2シリーズとして「女子寮の5つの扉」(全5編)「OLの怪談」(全5編)といった続編も公開されましたが、ここは「世にも奇妙な物語」のサイトなので、今回は最も番組に近い1stシリーズに絞って取り上げてみようかと思います。

 

以下、当時のサイトに掲載されていた各話のあらすじとスタッフデータをまとめてみました。

「雪おかま」

<あらすじ>

弘美がグラビア撮影に向かったスキー場は、実は「雪おかま」が出るといういわく付きのスキー場だった。

仲間にスキーが出来ないと言えない弘美は一人練習のため人気のない場所へ、山道から転んだ弘美を助けてくれたのは・・・?

<キャスト・スタッフ>

主演北川弘美

脚本三上幸四郎

プロデューサー:松村俊二

演出:小野原和宏

 

富士見パノラマスキー場(撮影協力先)

オスカープロモーション(所属事務所)

「賞味期限」

<あらすじ>

パーティーまでに同伴してくれる彼氏を作ろうと必死になっている美樹。時間は迫るが彼氏は出来ない、悩んでいると不思議な自販機を発見。なんと「美少年」の缶詰を売っていた。自棄になってその缶を買うと中からみずみずしい美少年が。喜び勇んでパーティーの準備を始めるが、自販機で買っただけに美少年には賞味期限があったのだ。美樹の末路は・・・。

<キャスト・スタッフ>

主演松本まりか

脚本三上幸四郎

プロデューサー:松村俊二

演出:小野原和宏

 

ITOH CompanyGroup(所属事務所)

オノマトペ

<あらすじ>

会社に出社したOLの淳子は他の社員の会話が変なことに気づく。「ニコニコ」「ズンズン」「ペコペコ」と訳の分からぬ会話をしている。自分がいじめに遭っているのかとも思ったが“オノマトペ”という擬態語、擬音語で会話しているのだった。それなら自分もと辞書を買い徹夜で勉強して翌朝出社し“オノマトペ”で話し出すと、他の社員は全く普通の会話だった。変な会話をしている淳子は・・・。

<キャスト・スタッフ>

主演ほしのあき

脚本三上幸四郎

プロデューサー:松村俊二

演出:福本義人

 

A-Team(所属事務所)

「焼売」

<あらすじ>

不安な気持ちで夜道を急ぐOLの洋子。誰かにつけられているのではと怖くなり目の前に見つけた「焼売売り」のスタンドに飛び込む。勢いで「焼売」を買い家路に急ぐ。部屋の前でも変な事が。やっとの思いで部屋に入り「焼売」を食べようと蓋を開けると一個足りない。何かの見間違えかとまた見ると今度は二個足りない。不安になる洋子だったが、実は蓋の裏側にくっついていただけで安心する。しかし・・・。

<キャスト・スタッフ>

主演:加賀野泉

脚本三上幸四郎

プロデューサー:松村俊二

演出:福本義人

 

dep(所属事務所)

「スピード写真」

<あらすじ>

真美が通う写真学校では備品を壊すと罰で外国に売り飛ばされるという噂があった。

友人が次々いなくなる中、真美も備品を壊してしまう。怖くなり逃げ込んだ街角のスピード写真機。

何とその中からいなくなったはずの友人の声が・・・。もしや、ハイテクの機械の中身は・・・。

<キャスト・スタッフ>

主演:神谷涼

脚本:吉田裕一 

プロデューサー:松村俊二 

演出佐藤祐市

 

東京綜合写真専門学校(撮影協力先HP)

株式会社芸映(所属事務所)

「キリバン」

<あらすじ>

ホームページの入場者数のカウントのキリの良い数字を「キリバン」という。

そのキリバンをゲットした真理はそのサイトから素敵なプレゼントが貰えることになる。大して気にもしていなかったが、次々不思議な事が。あげくの果てには自分が嫌っていたバイトの上司が殺されたニュースが。

まさかこんな事になるとはと怖くなる真理だったが実はそれ以上の恐怖が・・・。いったいプレゼントとは・・・。

<キャスト・スタッフ>

主演楊原京子

脚本:武井彩 

プロデューサー:松村俊二

演出:小林義則

 

Staff-up(所属事務所)

「メールの答え」

<あらすじ>

親友を亡くした絵美。その親友からメールが届く。しかし、親友の携帯はお棺に入れて焼いた筈。

何故?実は絵美が送ったメールを読んでいて事故に遭って死んだのだった。今度は直接その友人から電話が入る。そんなことはあり得ないと恐怖に怯えながら歩いていると、絵美の目の前に死んだ筈の友人が現れた。それも事故のあった交差点。動けない絵美に向かって、車のブレーキ音が・・・。

<キャスト・スタッフ>

主演:春花

脚本三上幸四郎 

プロデューサー:松村俊二 

演出:星田良子

 

株式会社ヒューマンスカイ(所属事務所)

「下心」

<あらすじ>

高校生の涼子は父と母との3人暮らし。ある朝突然、母親が姿を消してしまう。

父と2人の生活が続くが、何か父の様子がおかしい。気持ちが悪いほど涼子に気を遣ってばかり。

実は、父が母を殺してしまっていたのだ。父は何とか涼子に母親がいなくなって心配だと言わせたいのだが、涼子には母を心配をしている様子が一向に見受けられない。ついに父は涼子にどうして母のことが気にならないのかと質問をした。しかし、涼子の口からは意外な言葉が・・・。

<キャスト・スタッフ>

主演栗田梨子

脚本:吉田裕一 

プロデューサー:松村俊二 

演出佐藤祐市

 

Sweet Power(所属事務所)

「熱湯3分」

<あらすじ>

OLの有香は昼休みカップラーメンを食べようとお湯を入れ準備万端。後は3分待つばかり。

しかし、そのカップに次々穴が開く。同僚の持つ箸、ボールペンの穴。果てはサボテンの棘がカップに刺さる。

両手の指で何とか苦境の3分間を乗り切れるのか。

<キャスト・スタッフ>

主演MEGUMI

脚本:高山直也 

プロデューサー:松村俊二 

演出星護

 

YellowCab CO.(所属事務所)

「エレベーター」

<あらすじ>

薄暗いエレベーターに乗ったありさは壁に付いている赤いボタンが気になった。操作盤とは違う所にあるボタンを押したくてしょうがない。途中から乗り合わせた人たちもボタンに興味を持ちながらも「押しちゃ駄目だ」といって降りていく。我慢仕切れずボタンを押すと突然真っ暗な空間へ。

いったいこのボタンは何を意味するのか・・・。

<キャスト・スタッフ>

主演大塚ちひろ

脚本:中村樹基 

プロデューサー:松村俊二 

演出星護

 

東宝芸能株式会社(所属事務所)

 


 

三上幸四郎、小野原和宏、福本義人、武井彩、星田良子、佐藤祐市、小林義則、高山直也、中村樹基、星護……と、世にもファンならば思わず「おぉっ!」と声をあげてしまいそうな、3分のショートムービ企画とは思えない超豪華メンバーです。

 

プロデューサーによれば「世にも」のアナザーバージョンを狙っていたそうで、その流れからこういった布陣になったのかと思いきや……実は新人脚本家らを集めたものの、良い物が出なかったために馴染みのスタッフに安いギャラでお願いした結果、「世にも」メンバーが集結する形になったんだとか。

 

このDRAMA BROADWAYは2003年までに運営を終了し、同時にドラマ缶も第2期で幕を下ろします。

その後、2006年10月17日より「むーびーふる(FOMA向け動画サービス)」で、2006年12月7日~2007年3月3日にはYahoo!動画で、2007年12月15日からはDoCoMoの「ケータイムービーコーナー」にて本作の再配信が実現したものの、それ以降配信やソフト化が行われる事はなく、現在では幻のドラマとなっています。

 

私は2006年のYahoo動画で初めて本作を視聴したのですが、「下心」以外完全に内容を忘れてしまいました。

一方、あんまり面白くなかったという記憶だけはあるので……そういう事なのでしょうか(^^;)

 

今見ると第2話の「賞味期限」はどう見ても設定が2005年の「美女缶」そのまんまな印象を受けますが、前者の公開は2002年、後者はもとになった映画が2003年の公開ということで、どうやら偶然の産物の模様。

まさか美女缶はこれにインスパイアされたみたいなオチは無いと思いますが、こういう所も「奇妙」スタッフのなし得る業ではないでしょうか……と無理やりこじつけた所で、以上「ドラマ缶」の紹介を終わります。

 

当時とは打って変わって現在は動画サイト全盛で、中でもショートムービーは定番のコンテンツ。

私ももう一度見返したいと思っているので、「世にも」の歴史の影に隠れていた本作が、再び陽の目を見る時を期待したいと思います……!