世にも奇妙な物語 ブログの特別編

「世にも奇妙な物語 ファンサイトの特別編」管理人のブログです。

'09秋の特別編 感想

2009年最後の世にも奇妙な物語、皆さんは如何だったでしょうか。

毎年同様、以下個人的な感想をカンタンに。

◆「検索する女」★★

『自分の近くにいる人が殺人者かも…』と言う題材は古くは89年の「奇妙な出来事」の「閉ざされた空間」や、第1話「恐怖の手触り」94年の「心の声が聞こえる」などがあり、ストーリーの方も、同じような感じで進んでいきましたね。

 

このパターンだとオチは「実は別人でした」しかないので、わざわざセリフルリメイクさせておいてまさかそんなありきたりなオチにはならないよなぁ…と思っていましたが、あぁ、「心の声が聞こえる」と同じようなオチ(^^;)と思いきや……最後の最後で「?」。別人の写真が出るかと言う所で主人公の写真になり、色々と曖昧なまま終わるので、作品の焦点は犯人の正体云々では無く、奇妙な検索サイトのせいで破滅に導かれた主人公。って事で良いんでしょうか……?ベタなオチにならなかったらならなかったで、なんだか肩透かしを食らったような気分になります。

 

原作は、NHKの番組「パフォー!」で紹介され好評を得た吉田直樹さんのショートムービー「合コン 彼の名は三宅亮」。「美女缶」「行列のできる刑事」に続く、自主制作映画セルフリメイク企画第3弾になります。

 

原作・脚本・監督を務めた吉田直樹さんはこの「検索する女」で演出家デビューを果たしました。恐らくスタッフがNHKを見て、オファーをかけたか、それをキッカケに世にもスタッフに紹介されたかは判りませんが、番組の題材探しもずいぶんと広くなっていきますね。そのうち、無名のネット小説・ネット漫画なんかも映像化されたりして。

 

今後もフジテレビは新進気鋭の若手映像作家をどんどんデビューさせていく予定なのでしょうか。こういった、視聴者にもクリエイターにもあり難い番組はなかなか無いので、好感が持てますね。

 

ちなみに、原作となったショートムービーは監督の公式サイトで無料公開されていますので、見比べたい方は必見です。(http://www.ceres.dti.ne.jp/~ua2/yoshida/naoki.html

◆「自殺者リサイクル法」★★★★

「ボディレンタル」と同様で、このタイプの話は最後には主人公が生きる希望を見出すと言うオチになるのが王道なのですが、ブラックなラストで閉めてくれました。今回一番期待してなかった分、やられてしまいました。

 

あまりにも不条理な世界でのループ物は世にも奇妙な物語ではよくある展開ですが、テンポの良い展開であまりパターンを感じませんでした。オチを短くまとめてくれるとビシッと決まる良い例ですね。

◆「理想のスキヤキ」★★★

迷作「夜汽車の男」から7年経ち、同じ原作者と監督で挑んだB級テイストの本作。最近またB級コメディ枠が復活してきたようです。

いやー、くだらない。日本でこんなバカな話をゴールデンでやらせてくれるのはもう世にも奇妙な物語しかないのでは。「いや~くだらない(笑)」と何度も思いながら楽しく見る事が出来ました。

 

ストーリー的には、シチュエーションの面白さのみと言った所でしょうか。ハマれない人にはスキヤキの御託を並べるだけのつまんない話としか映らないでしょうね。

 

オチは原作と違うらしいですが、個人的には〇。最初スッポンゼリーかと思いました(笑) あの種のオチは「ズンドコベロンチョ」や「行列」など、多数の類似作がありますが、『目に見えるタイプの謎の存在』は、恐らくこの作品が初めて。

 

見ただけで「なんだこれ」と思わせる物を用意するのは、かなり大変だったのでは。「ズンドコベロンチョ」を知らない若い子達にとって、第2の「ズンベロ」になることでしょう。

 

原作者の方からすると、「夜汽車の男」より原作の面白さに近いと言う事でしたので原作の方も拝見したい所。

◆「呪い裁判」★★★★

旬な「裁判員制度」を取り入れた、時代性を好む「世にも奇妙な物語」らしい作品。呪いの裁判は確か、以前アンビリバボーで見ましたが、そこから着想を得たんでしょうか。

 

冒頭の幼稚園のシーンですぐにオチは読めたのですが、「復讐クラブ」にも似たテーマは良かったのではないでしょうか。少々ラストは急ぎ足でしたが、十分及第点。ただ、裁判はあまり関係がないような。

 

また、かなりショッキングなシーンを取り入れていた事にビックリ。規制の問題かここ最近の世にも奇妙な物語では、血がまったく出ない不自然な場面がよく見られていたんですが、「苦情どんとこい」とばかりに今回はチャレンジしてくれたようですね。それだけでなく、地獄絵図の様な裁判シーンからラストまで、ストーリーをグイグイ引っ張った演出を評価して★4つ。

◆「夢の検閲官」★★★

時をかける少女」で最近、また有名になった筒井康隆さんの同名作品が原作。原作を大昔に読んだはずなのですが、ストーリーをすっかり忘れていたので、今回は新鮮な気持ちで視聴。

 

前半のコミカルさから感動のラストまで、非常によくまとまっていたのはやっぱり原作付き作品ならではですね。確か、定年云々の話は原作にはなかったと思いますが、ストーリーを盛り上げる要素としてはベタながらも良い判断だったのでは。

 

視聴してなんとなく思い出せましたが、見比べたい気持ちが強いので、もう一度、原作を探して読むことにします。

◆ 総評

今秋は「奇妙な出来事」放送20周年だったので何かあるのかと思いましたが特に触れず……。前回がブラックでまとめてきましたが、今回は非常にバランス良くジャンルを取り揃えた印象。ここ最近の回では非常に良くまとまっていたような気がします。全体的な評価は★★★★。大プロローグと各ストーリーテラーが関連付けられていると言うのも趣向が効いていて良かったです。

 

毎回、「つまらなくなった」と言われる新作ですが、皆さんは今回溜息でしたか? 満足でしたか……?

 

 

さて、いよいよ来年の春には世にも奇妙な物語放送20周年が控えています。ファンの方々は20周年記念でやってもらいたい事がたくさんあるでしょうが、私は是非とも幻の「雨の特別編」のお蔵出し(物凄い贅沢を言えば雨の日に)をお願いしたいところ。

 

10周年の時は「映画の特別編」「傑作選」「関連書籍続々発売」と、ファンにはたまらない1年でした。まさか来年は「20周年の特別編」のような特番だけでお茶を濁す様な事はないと思いたいですが、是非とも旧いファンも日の浅いファンも皆「奇妙ワールド」にどっぷりとハマれるような1年にしてもらいたいですね。

 

現在、CSで毎月昔のスペシャルが絶賛放送中なので、例年とは違い新作までの半年は楽しく待つことが出来そうです。今月30日には「90秋の特別編」が放送予定。新旧ファンどちらも必見です。

≪10/6追記≫

視聴率は12.7%との事でした。他局の番組が7時・8時開始でどれも9時を跨ぐので、非常に不利だなと思っていましたが案の定、同時間帯3位。裏番組が終わった後に世にもに気づいた方もいたのでは。

 

12%台は2002年春の12.3%以来7年ぶり。皮肉な事に「夜汽車の男」の回ですね。今後、過去最低視聴率の11.0%(1990年7月12日)を下回らないことを祈ります。