世にも奇妙な物語 ブログの特別編

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'11秋の特別編 感想

3月11日の震災による春SPの遅れにより、今年は秋も例年より1ヶ月遅れての放送に。

また今回は2009年秋以来の『全ての主役が番組初出演』という、フレッシュな顔ぶれとなっています。

 

私も世にも奇妙な物語と、新たなキャスト陣による相乗効果の程を期待しながら、じっくり鑑賞しました。

というわけで、今回も「世にも奇妙な物語 11'秋の特別編」の個人的な感想を。

◆「憑かれる」★

原作は貫井徳郎さんの同名作品より。

 

印象としては、女性の書いたホラー系短編集によくある地味めな作品……という感じでしょうか。そういう短編集の一つとして読むには面白いものの、世にも奇妙な物語と言う枠組みで見ると…………。

 

特に目新しい内容でもありませんし、意表をつくどんでん返しがあるわけでもなし、留守番電話のメッセージや、出会った人は既に死んでいた等、結構ベタな展開でしたね(^^;)

 

ホラーな雰囲気を醸し出しつつも、まったく怖くないのは難点でしょうか……。

原稿用紙の竜巻等、なんだか怖がらそうとしているのか、よくわからない演出が残念でした。見せ方次第ではもうちょっと怖くなりそうな気はするんですけどねぇ……うーん。

◆「JANKEN」★

脚本は、今年春の「通算」を手掛けたふじきみつ彦さん。続けて参加されたみたいですね。演出は、世にも奇妙な物語のコミカル作品と言えばこの方、植田泰史監督。

 

正直な所、予告を見た時から嫌な予感がしていました(^^;)

個人的には、こういうシュールな話は変に凝らずクソ真面目に取り組む方が面白いと思っているタチなので、「ほら、これ面白いでしょう!」と変に狙っているタイプの物はものすご~く白けてしまうんですよねぇ…。

2008年の「日の出通り商店街いきいきデー」と同じで、個人的には趣味ではないタイプの作品でした。シチュエーションにハマれる人が見たらしっかり面白いんでしょうけども、私はちょっと無理でした。

 

内容は、これ、もう「世にも奇妙な物語」じゃないですね(笑)

 

結局、少年漫画や格闘映画的王道展開のパロディをジャンケンでやってるだけというか、ホントそれだけですよね……。うーん……個人的には、こういうのは『違う』気がします。

 

一見突飛すぎているように見える「ママ新発売」や「PETS」などとは違い、基本コンセプトからあまりにも逸脱しているといいますか……突飛な設定を見せるだけで終わってしまっているというか、物語の面白さの追求を放棄した形になっているというか……今後こういうのは、もう辞めてほしいなぁというのが正直な所です。

 

個人的には「逆男」などのように、ジャンケンで勝ち上がっていく新入社員みたいに抑えた方が面白い見せ方があったのではないかなぁと。前回の「通算」以上に、突飛な設定だけという作品になっちゃった感じでしょうか。なんだか惜しい感じがあります。

 

最後に、植田泰史監督といえばやっぱり小ネタ。

モンタージュシーンの挿入歌には、今回も笑わせてもらいました。うーん、悔しい(^^;)

◆「ベビートークA錠」★★

脚本は2008年にテレビ朝日21世紀新人シナリオ大賞にて優秀賞を獲得した小峰裕之さんが担当。どこかで名前を見た事があるなぁと思っていたのですが、受賞作の「シャカイの時間」を読んだ事がありました。世にも奇妙な物語研究のために収集していたシナリオ雑誌と、こういう所で繋がるとは感慨深い物がありますね。

 

内容としては、最近の世にも奇妙な物語ではややタブーになっているらしい『不思議なアイテム』もの。とはいえ、内容としては前の2作よりかなり世にも奇妙な物語らしい展開でかなり好印象でした。

 

しかし……な、なんだかよくわからないまま終わってしまったような印象が……。

ベビートークA錠を飲んで、幼児化して、赤ん坊に責められて、実は夢オチで、薬に頼らず赤ちゃんを大事にする決意をする、っていう感じだったのですが、あまり感情移入できなかったといいますか、幼児退行や、夢オチなど唐突な展開がポンポン続いたので、理解が追いつく前にあっと言う間に終わってしまったような……。後で、もう一度見直してみたいと思います。

◆「耳かき」★★★★

原作はファン人気の根強い「夜汽車の男」「理想のスキヤキ」の泉昌之さん。

さらに今回は上に挙げた2作と同じ、世にも奇妙な物語四天王の一人、鈴木雅之監督が演出を担当し、脚本には前作「理想のスキヤキ」を手掛け原作者からも絶賛された小島よしおの元相方、森ハヤシさんが担当

 

原作のオチは、耳掃除好きのダンディな男が、ようやく手に入れた金の耳かき棒で耳掃除していたら、かなり奥まで入って抜けなくなってしまい、押してみたら棒が鼻から出て来たというダンディにあるまじき状況に落胆するというもの。なので、かなり脚色されているといっても過言ではありません。ちなみに、原作は結構好きな短編でした(笑)

 

見所はなんといってもドラマには滅多に出てくれない浅野忠信さんのコミカルな演技、そして原作の長所をさらに良い方向へ脚色している脚本。原作を知っている者としては「あんなシンプルな話を…」と感心しきりでした。

 

やっぱり第1話から関わってきた番組の色をよくわかっている監督だけあって「これだよこれ!」とかなり感激。「ショムニ」等、コミカルなドラマも得意の鈴木監督なので、たっぷり笑わせてもらいました。オチは単純ながらも、許せてしまう全体の雰囲気はさすが。「理想のスキヤキ」より面白かったです。文句無し!

 

が、さすがに同じ本から3つも映像化してしまうとさすがに食傷気味な感は否めないですね……(^^;)

◆「いじめられっこ」★★★

原作は永山驢馬さんのデビュー作「時計じかけの天使」。

 

オチは多分ほとんどの方が読めていただろうと思いますし、私も読めていました。

とはいえ、この作品はそれだけが主軸というわけではなく、ハートウォーミング物としては、ちょっぴりの切なさも含め、なかなか後味が良かったと思います。

多分これが3話目ぐらいに来てたらもうちょっと評価は下がったかもしれないので、最後に持ってきたのは正解でしょうね。

 

原作も雰囲気が良さそうな感じがしたのでちょっと興味が出ました。

後々、購入して読んでみようと思います。

◆ 総評

全体的な評価は、★★。ちょっと物足りなかったですね。

 

さて、今年最後の世にも奇妙な物語も無事放送を終えたわけですが、見終わると同時に、番組に対して危機感を抱いたのも正直な所です。

 

今年、初めて世にも奇妙な物語を担当する方がプロデューサーに就いたり、かつてのゴールデンメンバーもいなくなり、新人の方が大量にやってくる中で、これまでの『世にも奇妙な物語』のカラーやスタイルをちゃんと理解している人がいなくなった感じがするんですよね。

 

これまでセンスのあった各特番のサブタイトルが、単なる番組紹介になってしまったり、番組らしくない脚本を通したり、演出をしてしまったりと『仕事でやってる』感じが多く出てきた印象があります。初期からのスタッフがやっていた2000年初期の頃と比べて、近年は色んな雰囲気がライトになっているんですよね。

 

放送前に絶対コケると局内で言われながらも、気合を入れて人気番組に育て上げた初期スタッフが2003年を境にほぼいなくなり、一部作品を除いて、現スタッフは惰性で作っている感覚がどうしても感じられてしまいます。特に今年の春と秋はそれが顕著でした。

 

無論、現スタッフの方々は手を抜いて作ったわけではないでしょうし、それなりにちゃんと作り上げてこられたとは思うのですが、『世にも奇妙な物語』という『色』の認識が各人バラバラで、今はその統制を取れる人さえいないという現状が確実にあると私は思います。このまま世にも奇妙な物語というブランドだけを食い尽くすばかりでは、10年代の番組の未来はちょっと怖いな…という気がします。

 

とはいえ、やっぱりこんなファンサイトを作っている人間ですから全く楽しめなかったというわけではありません世にも奇妙な物語が今年も見れたという事実で、それなりに満足はしました。……ただ……まぁ……もう少し頑張って欲しいです、ね(笑)

 

何はともあれ、震災等のトラブルもありましたが無事年2回放送してくださった番組スタッフの方々には感謝感謝です。来年、22年目の世にも奇妙な物語も楽しみにしています。お疲れ様でした!