世にも奇妙な物語 ブログの特別編

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奇妙漫画賞マイベスト&大予想!

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6月25日より募集を開始した『奇妙漫画賞』が、先月末を持って締め切られました。

 

これは『世にも』とWEBコミックサイト『少年ジャンプ+』がタッグを組み、開催されることとなった賞で、プロアマ不問、WEBや同人誌の掲載作品でも応募可能、さらに大賞には賞金100万円と番組での映像化が約束されるという超太っ腹な大型企画。

 

私としても、1991年の『ザ・テレビジョン』誌上企画以来、30年ぶりの一般公募ということで「これは見逃せない!」と、発表時から大注目。前回の公募は映像化は叶わず、失敗に終わってしまいましたからね。こういうチャレンジは大歓迎です。

 

そして、本企画は普通の公募とはちょっと違う要素が含まれているのをご存知でしょうか。実は通常の応募以外に、漫画投稿サイト『ジャンプルーキー!』での公開応募も用意されているため、なんと後者の作品はすべてWEB上で閲覧することが出来るのです!(応募一覧ページは7月30日より公開)

 

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実験作、意欲作はもちろん、思いっきり映像化を狙いに行ったものから『ダメ元で応募してみるか』という冒険の香りがムンムンと漂う作品まで、約3ヶ月間で集まった公開応募作品は全602作品!(うち、本人による応募取り消しが2作)。

 

そんなわけで、日頃から奇妙な世界に飢えている私としては、「世にもっぽい作品がたくさん読めるぞ!」と、ワクワクしつつ600作全てに目を通していった訳なのですが……

 

あれ…世にもの作風って、意外と理解されていない…?

 

と、思わせられる作品が結構あったんですよね。

 

世にも~は何でもありな世界観ではありつつも、『舞台はあくまで日常』『幽霊・妖怪・宇宙人モノは基本NG』『ちゃんとオチがあること』などの最低限のルールが(一部例外がありつつ)存在しているわけですが、それを知らずとも『ほん怖やJホラー映画とは違うよね?』くらいの概念は十分浸透しているものだと思っていたんですよ。ところが、蓋を開けてみると、意外とその辺が一緒くたにされているんだな…と。

 

例えば、応募されたホラー作品で(体感)半数近くを占めていたのが『幽霊や怪物の異様なビジュアルで怖がらせる系作品』。中でも『主人公の身に起こった奇妙な現象の正体(or 原因)は、こんな不気味な姿の化け物でしたオチ』はかなり目立ちました。昨今のホラー漫画では定番の構成ではあるので、そこからの流れだと思うのですが……本当に多かったです。そこのみを恐怖の軸に据える作品は基本この番組に無いですからね。

 

そのほかにも、『よくある怪談話や都市伝説もの』『ファンタジー世界や宇宙を舞台にした話』『主人公が死神、魔物、悪魔などのバトル物』『単なるデスゲーム物』など、番組の作風から離れすぎている作品や、不幸にも過去に番組でやったネタと丸かぶりしてしまっている作品も多数存在し、30年前に行われた一般公募が失敗に終わってしまった理由が、なんとな~く感じられたりも……

 

まあ、番組初期には、いくら説明しても「要は『本当にあった怖い話』を書けば良いってことですよね?」と作家さんの側から言われることも多かったらしいので、番組自体が難しいラインを目指しているせいもあるかもしれませんが……。

 

 

しかし。しかしです! 公開されている応募作品中に良いものがひとつも無かったのかと聞かれれば、明確にNO!と断言できます。

番組のテイストをしっかり理解したものから、世にもマニアを思わずニヤリとさせるようなものまで、未来の『奇妙な世界』を彩るに相応しいアイディアや魅力を持った作品も、多数存在しているのです。

 

そんなわけで今回は、ワタクシ白虎が独断と偏見で勝手に選んだ『ベスト応募作品』を部門別にまとめつつ、最後に大賞に輝く(かもしれない)作品をこれまた勝手に大予想してみよう!……という記事でございます!!!

 

では早速、各部門ごとのベスト作品からご紹介。

 

◆ アイディア部門

この部門では『展開やオチがやや物足りないものの、発想そのものは面白い!』と思った作品をご紹介。

★ 足を洗う (作:河野別荘地さん)

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『足洗い』という仕事をしている男を主人公にした、ややトボケた味わいのある作品。

『足を洗う』『手を染める』などの言葉遊びをそのまま漫画的に表現する発想が、世にものシュールコメディ枠にピッタリと合いそうな気がします。

★ 奇怪仕掛けの紙~デウス・エクス・ペーパー~ (作:亀井ルビコさん)

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ホームで電車を待つ主人公の目の前で飛び込み自殺が発生。するとホームの向こうに『飛び込め』のカンペを持った謎の男を目撃し……という、初手から一気に引き込まれる設定の面白さ。こういう日常を半歩踏み出してしまった感のある導入大好きです。

 

ファンにはお馴染みの某作品とややネタが被っていたり、ラスト近辺が全体のテイストからするとチグハグな部分があるものの、アレンジ次第ではかなり良い物が出来るのではないかな~と。

嘘発見器マスター (作:フクシマタカヲさん)

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刑事である主人公が、どこからどう見ても嘘を付いてるとしか思えない、汚い身なりの男を嘘発見器にかけるものの、全く反応せず「本当なのか!?」と悶々とする……という、シュールな設定のシチュエーションコメディ。

 

展開としてはもう一声、二声という感じですが、コメディの得意なスタッフが上手くアレンジすると『AIRドクター』のような傑作コメディに大化けしそうな気も。その伸びしろ高めのアイディアを個人的に評価しました。

ピクトグラムクラブ (作:ミミメヲさん)

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題名を見た時点で『これは絶対面白い!』と確信した一本。タイトルだけで120点じゃないでしょうか。簡単に狙えそうだけど、意外と思いつかない、まさにオリジナリティのあるアイディアと呼べるのでは。

 

簡略化することで様々な情報が削ぎ落とされてしまうという盲点を使ったブラックさも◎。映像としての奇妙さ、面白さを活かしてアレンジすれば、ブラック作にもコメディ作にもなれる振り幅の大きさを秘めた作品だと思います。

◆ 世界観部門

この部門では『番組の中でもこの世界観を味わいたい!』と思った、奇妙な雰囲気たっぷりの作品群をご紹介。

★ 深淵 (作:溝口さん)

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朝の通勤時間。駅のホーム。何故か電車とホームの隙間から線路に落ちてしまった主人公。上に上がろうにもあがれない。そんな時、ホーム下の空間に住む怪しい男と出会い──。

 

これですよ、これ!!! こういう空気感を私は最近の「世にも」に求めてるんですよ。

現代のお伽話のような、どこまでもドライで硬質な味しかしない一貫性も最高。大勢の人間と、孤独な主人公(とその周辺人物)の対比も最高。私の大好きな諸星大二郎の「不安の立像」も駅での奇妙物なので、こういう題材自体が好みなのかもしれないです。

★ ドアの隙間から お・い・で (作:ibukabuiさん)

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年季の入った世にもファンならばすぐにわかるであろう、90年代の某ホラー作品とまんまネタが被ってしまっている惜しい作品。

 

しかし、視覚的な見せ方の上手さ、余韻の演出の巧さによって、ネタ被りの粋を超えて十分奇妙な一本になっている所に、私の心は掴まれてしまいました。こういう上手い余韻が出せるスタッフさん、最近減ってきているような気がしますよ。素敵でした。

大麻泥棒 (作:洗井ツライさん)

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タイトルを見るなり「映像化できるか!(^^;)」と突っ込んだ一本。

しかし、なかなかどうして……状況設定、キャラクター、展開、情報、コマの見せ方、どれを取っても奇妙な雰囲気作りに寄与している、絶妙なバランスの作品になっています。

 

洋画っぽくもあり、無駄に情報を出さない潔さといい、こういうドライなテイストのホラー作品が今の「世にも」に増えて欲しいなと思わされました。出来ることなら、映像でじっくり見てみたいですね。

★冷静な彼女 (作:眼鏡野鼠さん)

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友人の家に遊びに行った主人公が、ベッドの下に潜む不審な男を発見。男を刺激せず、どのように友人と自然に部屋から逃げ出すかを一人冷静に思案する……というブラックテイストなコメディ作品。

 

作者本人が『世にも~のコメディ回を想定して描いた』と言ってるのも納得の奇妙な世界観。『友子シリーズ』『夜汽車の男』系作品はファン人気が高い一方で、意外とフォロワーとなる作品が少ないため、狙い目でもありますしね。コメディテイストをもう少し増やせば、より楽しい映像化になりそうです。

◆ ちょっと気になる…部門

続いては私自身が『何とな~く気になった』作品紹介を。私と同じくこれらオリジナリティー溢れる作品が気になったあなた……是非"オトモダチ"になりましょう。

★ 不眠 (作:柏村バンコクさん)

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アバンストーリー的な掌編。真夜中の不快な眠れぬ夜を一気に吹き飛ばすようなラストに、応募作品中、最大のカタルシスを感じさせられました。

★ 奇音 (作:四つ折りさん)

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内容としては、よくある不気味系ホラーという印象の作品ですが、まずは一読してみてください。

 

……さて、お気づきになられたでしょうか。私はラストの電話番号で「あれっ?」と思いました。

 

そう、実はこの漫画、様々な場所に『世にも奇妙な物語の過去作モチーフを散りばめた』マニア向けの隠し要素を含んでいるのです! 作者さんのSNSによれば、その数7個。あなたは全て見つけられますか?

★ ドミノ (作:ミミメヲさん)

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寓話的なお話ですが、私が特に気になったのは、劇中にストーリーテラーを起用した最初の投稿作といった部分。意外とこのパターンをやる方がいなかったので、実に新鮮でした(^^;)

★ 3.4% (作:ぺこ り太郎)

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『日常に潜む奇妙』というコンセプトに近くありながら、唯一無二の世界観を醸し出している一本。とにかく、見せ方、余韻の作り方が非常に私好みでした。同じ作者さんの『めくって食べろ』といい、画の力で引き込ませる漫画の力を実感させられました。

★なにをやってもダメな日 (作:SZAMUELさん)

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公開応募作品中、最後の投稿作。多くは語りません。最後の最後にとんでもない作品を生み出してくれました(笑)。

◆ マイベスト3

最後は、全公開応募作602作品から私が選んだマイベスト3作品を。

★ 蝉男 (作:いがぐりuさん)

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変わらぬ日常に退屈している主人公。そんな彼が働く会社にやってきたのは、昨日土から出てきたばかりという、余命一週間の蝉男だった……!という、シュールなコメディ作品。

 

ストーリー、テーマ、メッセージ……どれも王道中の王道路線。そんなベタの足場を持ちながら、最後まで高いテンションを持ってグイグイ読ませてしまう『蝉男』のインパクト大のビジュアルと、死ぬまでにやるべきことを全てこなす使命を負った彼の豪快なキャラクター性が最高に◎。漫画としても、映像化想定作品としても、実に理想的な方向を目指せているのではないでしょうか。

 

強引な設定も、めちゃくちゃな展開もまるっと奇妙なコメディとして楽しませてしまうこの筆力は、最近お手軽オマケコメディばかりになっている今の世にもに是非とも欲しい要素だと思いますね!

★ オトドケモノ (作:オクスツネハルさん)

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希望する物を何でも配達してくれる宅配アプリ『オトドケモノ』を使い始めた主人公夫婦に、奇妙な出来事が降りかかる……という、世にもの王道中の王道の入りから一気に読ませる一本。

 

この夏、数百作を読み進めていた私が『やっと世にもらしい漫画が現れた!』と、安心できた最初の作品でありました。本当にありがとう!(?)

★ 誰かが呼んでる (作:あさかわさん)

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ある日、主人公は踏切の向こうで「おーい」と手をふる謎の影を目撃し……という、チャールズ・ディケンズの名作短編『信号手』を思わせるような、日常系ホラー。

 

もう設定からしてとんでもない怖さ。生理的嫌悪を催すようなビジュアル勝負ではない、明日本当に出くわしてしまいそうな、世にも的なイヤ~な怖さがしっかり出ていて、私の好みにもバチッとハマる秀逸さ。

 

そして、衝撃のラストに向けて、しっかり組み立てられた構成も◎。やっぱりラストの見せ方が良いと、作品全体の印象がグッと引き締まりますよね。こういうセンスの良いホラーを最近の世にもでもいっぱい見たいものです。今回、一番映像で見たいと思った作品なので、どうにか映像化が実現してくれれば嬉しいんですが…!

◆ 大賞作品予想

ということで、最後は公開応募作の中から大賞に輝く(かもしれない)作品をズバリ大予想してみたいと思います。

 

ここまでは私の好みを中心にご紹介してきましたが、予想する上で外してならないのは、あくまで『世にも奇妙な物語での映像化』を前提にした賞であること。となると、面白さは当然のこと、『世にもらしさ』も受賞のキーポイントになるのは間違いないでしょう。

 

では、世にもらしさとは一体何か。この辺りはファンの間でも意見が分かれる部分でありますが、今回は歴代スタッフのインタビュー記事や、関連書籍などから伺える以下の方針を参考にしていくことにします。

 

  • 基本的に舞台は現代社会。(その延長線上の近未来社会もあり)
  • 単なる幽霊、宇宙人、怪談モノでないこと。(物語のキッカケとして使うのはアリ)
  • 奇妙な現象のみに焦点を当てず、主人公たちのドラマも描かれているか
  • 現代社会への風刺が含まれているか
  • 鮮やかなどんでん返しがあるか

これらを踏まえた上で、大賞に相応しいと私が太鼓判を押せる作品は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オクスツネハルさんの『オトドケモノ』です!!!

 

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コロナ禍でより一般的となった在宅ワークと、配達アプリという現代性。

普段の日常から奇妙な世界へスムーズに半歩踏み出している物語展開の安定さ。

奇妙なアプリを使う主人公についてのドラマも忘れず描けています。

より利便性を追い求めようとする、昨今の人間へのアイロニーもバッチリ。

そして、しっかりしたどんでん返しと、後味を残すブラックなラスト。

 

もうこれは、お手本中のお手本と言っても良いのでは!

 

面倒くさいマニアの私でも納得の完成度。初見で「もうこれで決まりだろう…!!」と思わされたのはもちろん、『ジャンプ+』では9月期のルーキ賞を受賞していることもあり、読者からの評判も上々。

 

もちろん、非公開応募作品にとんでもない傑作がある可能性も十分ありますが、少なくとも公開応募作の中ではダントツの受賞候補作であると思います! (しいて言えば、ソツが無さすぎるのがちょっと物足りなくもありますが(笑))

 

気になる結果発表は来月11月中を予定。さらに大賞作品は2022年の特別編で放送されます。番組史上初の一般公募からの映像化作品は、果たしてどれになるのでしょうか。

 

私の予想が当たるか、それともここをご覧のあなたの予想が当たるのか、それともとんでもないダークホースが現れるのか……。

番組の新たな歴史の1ページが刻まれる瞬間を、どうぞお見逃しなく!