世にも奇妙な物語 ブログの特別編

「世にも奇妙な物語 ファンサイトの特別編」管理人のブログです。

'18秋の特別編 感想

というわけで、平成最後(?)になるかもしれない今回のスペシャルが放送を終えました。

 

今回もレジェンド星護監督の11年ぶりの復帰作や人気Youtuberのゲスト出演など、あらゆる層にサプライズを用意するホスピタリティ満載といった装いではありますが、それでもやっぱり肝心なのは面白いかどうか。これです。

 

というわけで、今回も番組を愛するがゆえの不満やべた褒めや贔屓などを織り交ぜつつ、私の個人的な感想を。評価は★5つが最高となっています。

◆ 第1話「脱出不可」 ★

俳優業の傍ら小説や舞台脚本なども手掛けているコヤナギシン(小柳心)さん原作の脱出もの。
この手の作品は映画「CUBE」や「SAW」などでも知られる鉄板ジャンルではありますが、しょっぱいものも数多く存在するジャンルだったりしますよね。「CUBE」なんて類似タイトルが一体いくつあるんだという…。

 

さて、そんなジャンルに果敢に挑戦した本作ですが……なんだか微妙な後味が。
やりたいことはよーくわかるんです。テーマとそれを表現するための構成も理解できるんです。風刺も効いています。

 

故意ではないとはいえ火災被害者から復讐対象に選ばれ、脱出までの間に個人情報を暴露されネット上で叩かれ、脱出後もライターが同じというだけで放火魔扱いされ、脱出不可なのは実は世間の目からだった……と筋も通っています。

 

そこに不確かな情報に踊らされ、私刑に走る極端なネットユーザーへの批判が乗っかるという、非常に優等生的な作り。ただ、それを踏まえて見直してもどこかスッキリしないんですよね。

 

自分なりに考えてみた理由は2つあって、まずネット描写がリアリティに欠けているからかなというのがひとつ。テレビや映画に出てくるネット描写って、妙に古いスラングを使ってたり、一枚岩すぎたり、妙にヘンテコなことが多いじゃないですか。そこの違和感も自分の中で結構あったように思います。あの速さで個人が特定されるのはさすがに早すぎじゃ…とも思いましたが、これは扇動役がいると考えれば一応納得。

 

もうひとつは、復讐モノと思わせてネット風刺モノだったという最後の切り替えが上手く行ってないのかなと。
特にPCモニターの「逃げられると思うなよ」が出てくる非現実的な演出。現実寄りの話だと思った所でああいう表現を出されるとと若干困惑。ネット上の悪意が蠢き始めたわかりやすい表現だとしても、怖さより「あれは何だったの?」という不完全燃焼感の方が強かったです。また「主人公が真犯人ではないか?」という余地を作ってしまったのもあまりよろしくないかなと。そういう解釈もありにすると訳がわからなくなりますし。

 

うちのBBSやネットを見ていても、ラストの部分で評価を下げる方が多いようなので、やはりこの部分の問題が大きいのかなと。というわけでプロットのみだと★3。ダメにしてしまった後半で大きくマイナスし、★1つ。

 

最後に、こうだったら私が好きだなと思うラストの修正案を考えてみました。

 

脱出成功→扉の向こうは同じ作りの別室→床に自分のスマホが置かれている→電話で彼女に助けを求めるも拒否→冤罪を知る→モニターに放火現場の映像表示→「違う!俺じゃない!」→モニターに「逃げられると思うなよ」のコメント群→開けたままの扉が閉まっていく→コメントに埋め尽くされる主人公→鍵のかかる音と同時に暗転→タイトル『脱出不可』→END

 

……どうでしょう?

◆ 第2話「あしたのあたし」 ★★

ミュージックビデオ界で活躍されている高橋栄樹監督による奇妙作品。

 

『自分の次回予告』というアイディアは良いの思いついたなという感じですね。「あなたの物語」とも少し違う切り口で。なにより予告BGMが「東京ラブストーリー」の「赤名リカのテーマ」なのもニクい! この曲大好きなんですよ。

 

内容的にはシンプルな奇妙作品ということで概ね不満なし。ただ、ラストのターミネーター風のアレはさすがにちょっと滑っ…突飛すぎた様な気がしますね。そこからの死亡ENDも若干置いていかれてしまった感がありますが、とある方が唱えていた「看護師だから的確に主人公の急所を狙えた」説で納得したいと思います。

 

アイディアは面白いものの、多少の物足りなさがあるということで★2つ。

◆ 第3話「幽霊社員」 ★★★★

佐野史郎×星護という「地獄のタクシー」以来のコンビが復活した一本。
やっぱりこの番組で中年男性モノは鉄板ですね。単なるいい話で終わらなかった所もクスリと出来て◎。

 

ただ、どうしても本作は演出家四天王の一人、星護監督が11年ぶりの番組復帰作という部分が非常に大きい!SNSなどを見ても、世にもフリークな方々の間では大ニュース。いやぁ、もう参加はされないのかと思ってました。

 

もうこれだけで無条件に★×5をあげてしまいたくなるんですが……! なかなか冷静に判断するのが難しい!ハンバーグ美味しいですよね? カレー美味しいですよね? そこへハンバーグカレー出されたら抗えますかって話なんですよ(?)

 

というわけで、マニアの欲目部分として★を1つ引いて、★4つで手を打たせてください!

 

四天王のうち、共同テレビに在籍している唯一のメンバーになってしまった星監督……。
「70歳くらいまで一生奇妙(の監督)だと思う」…以前おっしゃっていたこの言葉、まだまだ信じていますよ!

◆ 第4話「クリスマスの怪物」 ★★★★

初見での感想は、いじめ問題などを織り交ぜた意外とリアル寄りな話だったなというのが正直なところ。
放送前にあらすじをあまり読まない派なので、謎の存在に追い回されるようなストーリーを想像していたんですよね。

 

彼氏の正体が黒サンタ(悪い子に罰を与えるサンタ)というファンタジー路線も賛否分かれそうなところ。
いじめられていた子の兄弟もしくは親類がサンタを騙っただけという解釈もできると思いますが、劇中の非現実的な描写から考えるとまず無いでしょうしね。

 

とはいえ、なかなかブラックな話でしたし、川栄さんの豹変っぷりも好感触。
さらに近年珍しいクリスマスものという新鮮さに加え、勧善懲悪展開のおかげかそこまで後味も悪くなかったので★4つ。

◆ 第5話「マスマティックな夕暮れ」 ★★★

劇団ヨーロッパ企画の自主制作映画を原作にしたコミカルな一本。

 

何でも、原作の未成年飲酒・喫煙・無免許運転シーンがスポンサー関係で引っかかるため、そこの修正を巡って「それだったらできない」と原作側と揉めたそうなんですが「何度も留年を繰り返したため全員成人済み」という離れ業で何とか制作にこぎつけたんだとか。現代ドラマの不良もなかなか大変です。

 

内容としては「行列のできる刑事」のようなヘンテココメディ枠が大好きなので、かなり満足。
ただ、前後編に分けたのは判断をミスったんじゃないかなと。1話分も挟まったせいで大幅にテンションが下がってしまったので、コメディに必要な勢いが削がれてしまったように思います。ネットを見ていても「分けないほうがよかった」という声もかなり多いみたいですしね。やっぱり特番はEDでキッチリ締めて欲しいです。

 

個人的には★4つ相当。しかし無理のある前後編仕様で減点し★3つ。

◆ 総評 ★★★

一般、ファン向け、それぞれのサプライズを用意するなど意欲的な作りで満足した反面、必要性の感じられない前後編など、ところどころ引っかかる部分もあったため、総合評価は★3つとさせてもらいます。

 

それにしても、やっぱり5話構成っていいもんですねぇ…(´▽`)

 

ショート奇妙枠があれど、やっぱり「世にも」は5話はないと調子が狂っちゃいます。まずは復活してくれたスタッフさんに感謝。次回からまた5話でガンガン行ってもらいたいですが、はてさて……(^^;)

 

他、今回のエピソード以外の部分で印象に残ったのはYoutuber「水溜りボンド」とのコラボ企画。
元々都市伝説の検証企画などで知られていた方々らしいのですが、コラボするキッカケの大元になったのは水溜りボンドファンの勝手な勘違い

 

昨年彼らが「深夜の特別編」の自販機企画を実際に体験してみるという動画を配信したのと同じ頃、志尊淳さん演じる役名が、メンバーの一人である富永知義さんのあだ名と同じ『トミー』であったこと、さらに同時期にお台場方面での仕事があることを知ったファンたちが「世にもとコラボするに違いない!」と情報を拡散し、番組の公式Twitterへもリプライが寄せられる事態に。当然何もなかったわけですが、恐らくその事件を機にスタッフが彼らを知り今回に繋がった模様。

 

失礼ながら「ヒカキンなら知ってるけど、知名度低くない?大丈夫?」と思ってたんですが、発表後にSNSで話題沸騰からの一気にトレンド入りというのはジェネレーションギャップをまざまざと感じさせてくれましたね(笑) 水溜りボンドのお二人すみません!

 

もちろん、だからといってそこをゴリ押ししすぎることなく、診断企画も知ってる人だけ関連ワードを打ち込んで楽しませるというバランスは好感。変にクドすぎることなく、テレビメインでない層への効果的なプロモーション方法で良かったのではないでしょうかね。

 

視聴率も10.9%と、ここ2年で一番の高視聴率。週間ではドラマ部門第8位、フジ全体では第3位。ほか今年土曜プレミアム枠で放送された30を超える番組中では第4位ということで、ひとまず結果は出せた様子。30周年まではとりあえず安泰そうで何より。

 

そんなわけで平成最後?になるかもしれない「世にも奇妙な物語」。それに相応しい原点回帰も合わせつつなSPだったと思います。次回ひょっとするとギリギリ平成に間に合うかもしれませんが、Youtuberまで出したからにはきっとさらなる企みが用意されるのは間違いないでしょう。

 

スタッフ&キャストの皆さん、今回もお疲れ様でした。

30周年へ向かう新時代の「奇妙」もたっぷり楽しませていただきますよ!