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世にも奇妙な物語の源流と影響 その3「海外ドラマ」編

番組25周年のお祝い企画の一環として“世にも奇妙な物語の源流となった、又は後に影響を与えたであろうオムニバス作品”を紹介して行く不定期シリーズ「世にも奇妙な物語の源流と影響」。第3弾では「世にも」の誕生前に生み出されたオムニバス&アンソロジー系「海外ドラマ」を大特集!

 

さてここをご覧になっている世にもファンの皆様は、書籍やネットなんかで「トワイライトゾーン」や「ヒッチコック劇場」などの番組名を目にしたことはありませんか。もしかしたら「○○のパクリ」など、番組を揶揄する発言でこれらの存在を知った方もいるんじゃないでしょうか。

 

そもそも「世にも」の立ち上げスタッフは子供時代にこれらの番組をリアルタイムで見ていた世代でして、そこから各番組の美味しいところを寄せ集めて大枠を形作ったことはスタッフ自身も認めています。

さらに落合正幸監督によると当時編成の石原隆さんの放った第一声は「トワイライトゾーンみたいな番組作ります!」だったそうで、制作当初から完全にこれらの番組を意識しているのは間違いありません。

 

そこからなんとなく「『世にも』の前にそんな番組があって、それが元祖なんだな」と思ったりしている方もいるかと思いますが、実はそれちょっと違うんです。

 

では、何が違うのかというと、こういった短編ドラマは「トワイライトゾーン」と「ヒッチコック劇場」が元祖ではないということ。

 

一つの完成形に到達したという意味で、この2番組は偉大な番組に違いありませんが、多数の作品がそれぞれ試行錯誤を繰り返し、互いに影響し合いながら、徐々に洗練されていくという流れはこのジャンルでも確かに存在しており、その中で前述の2番組はどちらかというと後発の部類に入るのです。

 

そして、それらの番組は日本という舞台でも、多数が翻訳されてTV放送されていました。

必ずどこかの局でSFやミステリー系のドラマが放送されていた時期が存在しており、これが幼き頃の「世にも」スタッフにも何かしらの影響を与えていたのは間違いないでしょう。「世にも」の誕生までを語る上で、やはり「海外ドラマ」は外すことは出来ません。

 

ということで、ここからはそんな1940~1980年代までに制作されたオムニバス&アンソロジー系番組を一挙ご紹介したいと思っ……たのですが、さすがに数が多すぎてこのジャンルだけで本が一冊書けてしまうので、今回は私の独断と偏見で選んだ11番組の紹介に絞らせていただきました。

 

「世にも」の大先輩の方々は、こ~んなにたくさんいるんです!

(※ 日本版DVDが発売されている物についてはタイトル横に『★』をつけています。)

◆ Lights Out (1949~1952)

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《本国データ》
  • 放送局NBC (アメリカ)
  • 期間:1949年7月19日~1952年9月29日 (全3シリーズ、全156話)
《日本データ》
  • 放送&ソフト化なし

ヒッチコック劇場」の6年前、「トワイライトゾーン」では10年前に放送された、テレビ史上初となるホラーアンソロジードラマがこの「Lights Out」。

 

もともと、1934~1947年にNBCで放送されていた同名のラジオホラードラマシリーズが存在しており、それが1946年にスペシャルドラマとして放送された後、1949年にフランク・ギャロップをホストに迎えてTVシリーズとして制作されました。

 

日本では戦後間もない時期にスタートした番組でありながら、ホストの役どころが早くも存在しています。昔からラジオドラマ等でホスト・ナレーション役を置くのは一般的でしたから、その流れからだと思いますが、約66年も前の時点で既にこういった番組のスタイルは完成されていたようですね。

◆ テイルズ・オブ・トゥモロー (1951~1953) ★

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《本国データ》
  • 原題:Tales of Tomorrow
  • 放送局:ABC (アメリカ)
  • 期間:1951年8月3日~1953年6月12日 (全2シリーズ、全85話)
《日本データ》
  • DVD販売のみ

海外のSF・ミステリーアンソロジードラマの先駆けと呼べるのがこの「テイルズ・オブ・トゥモロー」。

マイナーな番組でありながら、当時としては非常に画期的なコンセプトを打ち出し、後の番組に大きな影響を与えることとなりました。

 

では、いったい「テイルズ・オブ・トゥモロー」の何が画期的だったのか。

それは、この番組が初の大人向けのSFドラマとして制作されていたことだったのです。

《追記:同年放送の「Out There」が初の大人向けSFドラマとする説もあるようです》

 

当時のTV業界はSFブームでありましたが、それらはすべて子供を対象としたもの。そんな中で、タイムスリップや近未来ものなど、「世にも」でも馴染み深いSFネタを、大人の鑑賞に耐えうるレベルまで引き上げて提示するという趣向はアンソロジー番組界に衝撃を与えました。

 

当時のSF作家の作品が多数映像化され、アーサー・C・クラークH・G・ウェルズレイ・ブラッドベリフレデリック・ブラウンなど錚々たる顔ぶれが揃い、全部で2シリーズが制作。1953年にはラジオドラマシリーズも制作されましたが、こちらは残念ながら人気が出ず早期終了してしまった様です。

 

これまで日本では放送されていませんでしたが、制作から57年が経った2008年の廉価版DVD発売を機に日本へ初上陸を果たします。パブリックドメイン化されたことによる発売のようですが、日本でのソフト化は6話分のみに留まっています。

◆ 空想科学劇場 (1955~1957年)

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《本国データ》
  • 原題:Science Fiction Theater
  • 放送局:シンジケーション系放送 (アメリカ)
  • 期間:1955年4月9日~1957年4月16日 (全2シリーズ、全78話)
《日本データ》
  • 放送局NHK
  • 期間:1956年10月2日~1958年10月23日

当時ニュース解説者として人気を博していたトルーマン・ブラッドレイがホスト役を務めるSFドラマシリーズ。

アメリカの科学協会や各大学から集めた豊富な資料に基づいて制作された近未来SFストーリー&宇宙や時間といったものに対する真面目な解説コーナーからなる内容で、どちらかというとお固いタイプの番組だったんだとか。

 

本作は日本で最初に放送された(?)海外アンソロジードラマだそうで、日本のアンソロジー系番組の歴史はまさにここから始まったと言えるでしょう。

ヒッチコック劇場 (1955~1965年) ★

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《本国データ》
《日本データ》
  • 放送局日本テレビ
  • 期間:1957年10月 - 1959年9月 (第1期)、1961年10月~1963年3月 (第2期)

ヒッチコック・サスペンス → 新・ヒッチコックシリーズ】

  • 放送局:フジテレビ
  • 期間:1963年6月 - 1964年3月 → 1965年1月~9月

「鳥」「めまい」等サスペンスの巨匠として知られるアルフレッド・ヒッチコックの原作・プロデュースによるドラマシリーズ。

 

数多くの短編小説を原作として用いていますが、本番組は殺人・犯罪といったあくまで現実に則したミステリー、サスペンス作品を中心に扱っています。大人気番組となり、1962年からは従来の30分から1時間枠に時間を拡大し「The Alfred Hitchcock Hour」に改題。1965年に放送を終えるまで、計10年間の長期放送が行われます。

 

1985年には、既に鬼籍に入っていたヒッチコックパートにCGでカラー彩色を施したリメイク版「新・ヒッチコック劇場」も制作され、こちらもヒットし、4シリーズまでが放送されました。

 

本番組だけでなく、それを生み出したヒッチコック監督が「世にも」に与えた影響は大きく、時にユーモアを交えながら視聴者へ語りかけるストーリーテラーのイメージは、やはりタモリ演じるキャラクターに活かされています。また、最近は行われていませんが、タモリが劇中にカメオ出演するという遊び要素も、監督自身が自分の映画で行っている趣向のオマージュなのは有名ですね。

◆ 世にも不思議な物語 (1959~1961) ★

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──あなたは、今から10秒以内に電話のベルが鳴るんじゃないかと思ったり、街を歩いていて、この先に曲がってはいけない横丁がある……なんて考えた事がありますか。……ある。それが、あなたと未知の世界が接触したひとつの証拠なのです。

《本国データ》
  • 原題:Alcoa Presents: One Step Beyond
  • 放送局:ABC (アメリカ)
  • 期間:1959年1月20日~1961年7月4日 (全3シリーズ、全97話)
《日本データ》

【ワン・ステップ・ビヨンド → 世にも不思議な物語 → これは実話?です】

同番組の原案・演出家でもあるジョン・ニューランドをホスト役に迎え、超常現象やオカルト系の題材を中心としたドラマシリーズ。ジョン・ニューランドは「ヒッチコック劇場」や後述の「スリラー」「四次元の招待」等の番組にも演出家として携わっており、この手のドラマにはうってつけの人物とも言えます。

 

日本では当初「ワン・ステップ・ビヨンド」の名前で放送がスタートしましたが、後に「世にも不思議な物語」「これは実話?です」と何度か改題が行われました。このうち2番目の「世にも不思議な物語」が最も一般的になっており、1979年に制作されたリメイク版が1982年に日本に輸入された際には「新・世にも不思議な物語」として放送されます。

 

さて、お気づきの方も多いように、本作は「世にも奇妙な物語」というタイトルの大元ネタでございます。

しかも、このタイトルを名付けたのはあの松本清張さんだそうで、インパクトのあるタイトルだったためか、「奇妙」が誕生するまでのあいだ、不思議な物語を集めた本や番組のタイトルに「世にも不思議な○○」「世にも○○な物語」などとパロディ的に使用されていくことになります。はい、要は「世にも奇妙な物語」という番組名も、実はそのパロディ(しかも割りとベタな部類)の一種だった訳ですね。

 

現在では逆に「世にも奇妙~」という名前の方が有名になってしまいましたが、これは若い人の間で「家政婦は見た」より「家政婦のミタ」の方が有名になってしまった……というのに近いですかね?

トワイライト・ゾーン (ミステリー・ゾーン) (1959~1964年) ★

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──これは、別世界への旅です。目や耳や心だけの別世界ではなく、想像を絶した素晴らしい世界への旅。あなたは今……ミステリー・ゾーンへ入ろうとしているのです。

《本国データ》
  • 原題:The Twilight Zone
  • 放送局CBS (アメリカ)
  • 期間:1959年10月2日~1964年6月19日 (全5シリーズ、全156話)
《日本データ》

【未知の世界】

  • 放送局日本テレビ
  • 期間:1960年4月10日~1960年12月15日

【ミステリー・ゾーン (一部作品は「ミステリー」名義で放送)】

  • 放送局:TBS
  • 期間:1962年10月4日~1964年10月4日 (中断時期あり)

おまたせしました。「世にも」だけでなく、後のオムニバス&アンソロジー番組に多大な影響を与えた「トワイライト・ゾーン」の登場です。

 

本作のホスト役を務めていたロッド・サーリングは、番組の企画原案・メインライターとしても番組に携わっており、番組を代表する名作を多数手がけたまさに正真正銘のストーリーテラーとも言える人物。1975年に50歳で亡くなってしまいましたが、マニアの間では未だに「ロッド・サーリング亡き後のリメイク版は断固として認めない」という方も多いんだとか。

 

そんな彼が生み出した本作は、これまでの番組がSFのみ、ミステリーのみ、オカルトのみといった特定のジャンルのみを扱う姿勢だったのに対し、SFものを中心としつつも、ミステリー・オカルト・感動・コメディと様々なジャンルを用いています。

 

そして時にその中へ鋭い社会風刺を織り交ぜて、華麗にどんでん返しを見せていくという、ミステリー系アンソロジードラマの完成形とも言える番組になりました。

 

タイトルの“トワイライトゾーン”は、元々『夕日が沈み始めた辺りの昼と夜の中間』を指す言葉で、日本語でいうところの“逢魔が時”と同様に異世界への入り口として海外では捉えられています。そのため、本番組の主人公は皆トワイライトゾーンへ迷い込んだとして扱われており、「世にも」での「主人公=奇妙な世界の住人となった」という表現はそこから影響を受けているのが見て取れますね。

 

海外ではかなり人気の高いシリーズであり、これまでに劇場版の「トワイライト・ゾーン 超次元の体験」(1983)、21年ぶりのリメイク版シリーズである「トワイライト・ゾーン」(1985~1989)、未発表脚本を映像化したSP番組「トワイライト・ゾーン 最終章」(1994)、2度目のリメイク版「トワイライト・ゾーン 2002」などが制作され、東京ディズニーシーの人気アトラクション「タワー・オブ・テラー」も、もともとは本番組をテーマとしたアトラクションなんです。さらに、現在新たに3度目のリメイクシリーズの企画が進行中だとか……。

 

日本では1960年に日本テレビで「未知の世界」の題で第1シリーズが、1961年からはTBSで「ミステリー・ゾーン(ミステリー)」名義で第2シリーズ以降が放送され、人気を博しました。

 

さらに「ウルトラマン」シリーズの源流となった「ウルトラQ」も、実は本番組の日本版を作ろうとして制作されたものであり、この番組がなければ「世にも」だけでなく、大人気キャラクターである「ウルトラマン」も誕生しなかったかもしれません……!

 

現在いくつかの会社からDVDが発売されていますが、どれも不完全なものとなっています。

唯一の例外として、2013年よりアシェットから刊行中の『隔週刊ミステリー・ゾーン DVDコレクション』が日本未放送話を含めた初の全話DVD化を推し進めているので、興味とお金のある方は是非どうぞ。

◆ アウター・リミッツ (1963~1965) ★

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──これは、あなたのテレビの故障ではありません。こちらで送信をコントロールしているのです。

 

ボリュームを上げたければこのように大きく、また、下げたければこのように小さくすることも出来ます。水平線も、垂直線も、ご覧の様に自由に調節出来ますし、映像の歪みも思いのままです。また、焦点をぼかしたければこのように、合わせたければいつでも鮮明に映し出せます。

 

これからの1時間は、ただ静かに映し出される映像だけをご覧ください。あなたは、これから私達と共に素晴らしい体験をなさるのです。

 

それは、未知の世界の神秘とも言うべき宇宙の謎を解く、驚くべき物語です。

《本国データ》
  • 原題:The Outer Limits
  • 放送局:ABC (アメリカ)
  • 期間:1963年9月16日~1965年1月16日 (全2シリーズ、全49話)
《日本データ》
  • 放送局:NET (現:テレビ朝日)
  • 期間:1964年2月8日~9月12日

【ウルトラゾーン】

アメリカでは「ミステリーゾーン」に並ぶ60年代の人気SFアンソロジー番組がこの「アウター・リミッツ」本作は「ミステリーゾーン」と比べ、1時間という長編であり、内容も宇宙人、UFO、超能力といったSF色の強い題材を用いる等の差別化を図っています。

 

さらに顕著なのが、前後にヴィク・ペリンのナレーションとコントロール画面が流されるだけという“ホスト役を置かない”という点です。前述のナレーションを見ていただければお分かりの様に、毎回テレビが謎の存在に乗っ取られてしまい、そこから不思議な物語が映し出されたかと思えば、最後には「来週のこの時間までTVの調節はあなた自身にお任せしましょう」と、無事テレビが我々に解放される……という粋な作りになっているんですね。

 

日本では1964年に第1シリーズが放送され、「ミステリーゾーン」同様に円谷プロの「ウルトラQ」に多大な影響を与えました。1966年からは日本テレビに場を移し、終了後間もない「ウルトラQ」を完全に意識した「ウルトラゾーン」の名前で第2シリーズが放送されます。

 

1995年には「Xファイル」等に端を発したSFブームの流れで新シリーズが制作され大ヒット。初代を超える全7シリーズ、156話という長期の放送となりました。

◆ 真夜中の恐怖 / 世にも不思議(奇妙)な出来事 (1972~1973)

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《本国データ》
  • 原題:Ghost Story → Circle of Fear
  • 放送局NBC (アメリカ)
  • 期間:1972年9月15日~1973年3月30日 (全1シリーズ、全23話)
《日本データ》
  • 放送局: フジテレビ
  • 期間:1975年7月14日~8月18日

ホテル主人役のセバスチャン・キャボットがホストを務めるホラーアンソロジーシリーズ。

 

1972年3月に放送されたパイロット版が好評だったため、同年9月より「Ghost Story」の名前でTVシリーズ化されることになったのですが、1973年1月にタイトルを「Circle of Fear 」に変更し、ホスト役を無くすといったテコ入れ(?)を行うものの、そこから3ヶ月ほどで番組は終了してしまいました。

 

日本ではフジテレビにて「真夜中の恐怖」の題名で放送されますが、僅か5回で放送は終了。その後、再放送時に「世にも不思議な出来事」や「世にも奇妙な出来事」として改題されて放送されました。近年CSで放送される際は、ほぼ「世にも不思議な~」の方がメインとして使われているようですね。

 

何故このマイナーな番組を取り上げたかというと「世にも不思議(奇妙)な出来事」という邦題がその要因です(笑)「世にも」だけでなく「奇妙」や「出来事」まで使われるとは、「奇妙な出来事」も「世にも奇妙な物語」も、この時フジテレビで放送されることが運命として決まっていたんでしょうか……?

ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事 (1979~1988) ★

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《本国データ》
  • 原題:Tales of the Unexpected
  • 放送局ITV (イギリス)
  • 期間:1979年3月24日~1988年5月13日 (全9シリーズ、全112話)
《日本データ》

チャーリーとチョコレート工場」の原作者としても知られるロアルド・ダールが原作兼ホストを務めるドラマシリーズ。

 

ロアルド・ダールは小説界で“奇妙な味”ジャンルを代表する作家の一人であり、彼の作品は「ヒッチコック劇場」で映像化されている他、映画「007は二度死ぬ」「チキ・チキ・バン・バン」等の有名作の脚本も手掛けるなど、幅広く活躍されている作家です。

 

ほか「世にも」の前身番組「奇妙な出来事」の第8話「危険な賭」では、彼の代表作である「南から来た男」からインスパイアされたであろうシーンが含まれていたり、姉妹番組である「大人は判ってくれない」で『THE HITCH-HIKER』が映像化されるなど、「世にも」スタッフもその影響下に置いてしまっている方だったりします。

 

日本では1980年にテレビ東京系で放送され、2004年からは日本語版DVDシリーズが発売されています。

◆ 世にも不思議なアメージング・ストーリー (1985~1987) ★

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《本国データ》
  • 原題:Amazing Stories
  • 放送局NBC (アメリカ)
  • 期間:1985年9月29日~1987年4月10日 (全2シリーズ、全45話)
《日本データ》

ジョーズ」「ET」のスティーブン・スピルバーグが製作総指揮、原案、演出を務めたオムニバスシリーズ。有名な映画監督が多数参加していることもあり、日本では2時間の映画枠での傑作選方式という、かなり異質な放送形態をとっていました。

 

「世にも」開始直後、世間がイメージする「世にも」っぽい番組と言えば、この「世にも不思議なアメージング・ストーリー」を挙げる方も多かったようです。本番組も前述の「世にも不思議な物語」を意識した邦題を付けていたため、「世にも奇妙~」をこれのリメイク版だと勘違いしている方もいたとか。

 

エミー賞に12回ノミネート&5部門受賞となった他、さらに1986年には3話からなる劇場版も公開されるなど評価の高い番組でありましたが、視聴率が一定の水準に達しなかったため、あえなく第2シーズンで打ち切りという非常に残念な結果になってしまいました。さすが、数字に厳しいアメリカのTV業界…(^^;)

 

80年代後半のアメリカでは、本番組に加え、50~60年代のリメイクブームも手伝い「新・世にも不思議な物語」「新・トワイライト・ゾーン」「新・ヒッチコック劇場」等のアンソロジー番組が花盛り。これらの流れが日本にも流入し、後々「世にも奇妙な物語」の誕生に大きく寄与することになったことは言うまでもありません。

◆ ハリウッド・ナイトメア (1989~1996)

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──ショッキングだから、腹をすえて見な。 

《本国データ》
  • 原題:Tales from the Crypt
  • 放送局:HBO (アメリカ)
  • 期間:1989年6月10日~1996年7月19日 (全7シリーズ、全93話)
《日本データ》
  • TV放送なし (VHS・LDのみ)

地下室に住むクリプトキーパーという怪物がホストを務めるオムニバスドラマシリーズ。

 

本作はホラー、特にグロテスクかつショッキングな描写を売りにしている番組なのですが、タイトルに“ハリウッド”と付けられているだけあり、ブラッド・ピットトム・ハンクスマイケル・J・フォックスアーノルド・シュワルツェネッガーといった映画スターが多数出演。さらにスタッフにも「バック・トゥ・ザ・フューチャーの」ロバート・ゼメキスや「エイリアン」のスティーブン・ホプキンスなどの有名監督まで加わっているんです。

 

大人気シリーズとなったことから、ラジオシリーズや作中の3本を映画用にリメイクした『ハリウッド・アドベンチャー』(1992・日本版DVD有)といったスピンオフ作品も制作されました。

 

残酷描写が多いためか日本でのTV放送は行われませんでしたが、1990年のビデオ化で日本初上陸。

ところが、その後ソフト版を発売する会社がコロコロ変わってしまい、バラバラな邦題が多数付けられるというややこしい事態を引き起こした結果、マニアの間では『邦題が多すぎるホラードラマ』として有名になっているんだとか……。

 

ざっと紹介して行くと、

 

1990年12月にビクターから3話分を収録した「スクリーム」名義で発売。

1992年3月に販売会社がワーナーに変わると「ミステリーズ・パーティー」としてVHS化。

同年7月、パイオニアから「ハリウッド・ナイトメア」名義でVHS&LDシリーズが発売。

1993年3月には再びワーナーから「フィアー・ナイト」名義でVHS発売。

同年12月、キングレコードから「新・ハリウッド・ナイトメア」名義でVHS&LDシリーズが発売。

1995年1月にはエイチ・アール・エス・フナイより何故か冒頭に織田無道の特別映像を収録した「ダーク・プロフェシー」「ゴブリン」「ルシファー」「デーモン」の四名義でVHSが発売。

同年2月よりメディアリングによって「テイルズ・フロム・ザ・クリプト」名義のLDシリーズが発売。

1998年に、またもエイチ・アール・エス・フナイより未LD化だった作品を「ヴァンゲリア」名義でVHSリリース

 

……と、ここでソフト化は途絶える訳ですが、いや~ホントにややこしすぎる!(^^;)

◆ その他の関連番組 (★は日本語版DVDあり)

◆ 「恐怖の扉 (1953~1954)

同年のラジオ番組のドラマ化。ホラー&ミステリー系アンソロジー番組。

 

◆ 「ショック! (1957~1959)

フランケンシュタイン」などのユニバーサルのホラー映画を60分に再編集したホラーアンソロジー番組。

 

◆ 「スリラー (1960~1962)

ホラー映画俳優ボリス・カーロフがホストを務めるホラーアンソロジードラマ。

 

◆ 「四次元への招待 (1970~1973) ★ (パイロット版のみ)

トワイライトゾーン」のロッド・サーリングが脚本&ホストを務めるアンソロジー番組。

 

◆ 「オーソン・ウェルズ劇場 (1973~1974)

映画監督オーソン・ウェルズがホストを務めるドラマシリーズ。幅広い作家の短編を映像化。

 

◆ 「悪魔の手ざわり (1973~1974)

アメリカとオーストラリアの共同制作によるサイコスリラー系アンソロジー番組。

 

◆ 「スリラー劇場 (1973~1976)

科学では究明しきれない人間の意識の奥底にある感情をテーマにしたホラーアンソロジー番組。

 

◆ 「恐怖と怪奇の世界 (1977)

「逃亡者」等を手掛けたクイン・ マーティンプロデュースによるホラーアンソロジー番組。

 

◆ 「悪魔の異形 (1980)

古典ホラー映画の制作で有名なハマー・フィルムがTV界初進出を果たしたアンソロジー番組。

 

◆ 「暗闇の影に誰かいる (1983~1986)

イギリス制作のホラーアンソロジー番組。日本国内では傑作選としてのVHSリリースのみ。

 

◆ 「怪奇ゾーンへようこそ (1983~1987)

毎回一人のヒッチハイカーがホストを務めるカナダ制作のアンソロジー番組。

 

◆ 「フロム・ザ・ダークサイド (1984~1988) ★ (劇場版のみ)

「ゾンビ」のジョージ・A・ロメロがプロデュースを務めるホラーアンソロジー番組。90年に劇場版も公開。

 

◆ 「怪奇の館 レイ・ブラッドベリ・シアター (1985~1992)

SF作家レイ・ブラッドベリの短編を映像化したドラマシリーズ。著者本人がホスト役も担当している。

ビデオ版では「レイ・ブラッドベリSF怪奇劇場」「世にも不思議なSFファンタジー」等、邦題が数種存在。

 

◆ 「モンスターズ (1988~1990)

毎回、宇宙人や吸血鬼などのバラエティに富んだモンスターが登場するアンソロジーシリーズ。

 

◆ 「ジム・ヘンソンストーリーテラー (1988~1989)

セサミストリート」のジム・ヘンソン製作によるヨーロッパの民話を映像化したドラマシリーズ。

 

◆ 「フレディの悪夢 (エルム街の悪夢 ザ・シリーズ) (1988~1990)

映画『エルム街の悪夢』の殺人鬼フレディがホストを務める一風変わったホラーオムニバス。

 

◆ 「ミステリー・グースバンプ (1995~1998)

人気ホラーアンソロジーシリーズ『グースバンプス』を原作としたカナダ制作のオムニバスドラマ。

 

◆ 「クロニクル 倒錯科学研究所 (1997)

人気SFコミックを原作に、ハリウッドの豪華スタッフが制作を手掛けたSF系ホラードラマシリーズ。

 

◆ 「ナイトビジョン (2001)

ロックバンド“ロリンズ・バンド”の元ヴォーカル、ヘンリー・ロリンズがホストを務めるオムニバスドラマ。

 

◆ 「ナイトメア・ルーム (2001~2002)

『グースバンプス』のR・L・スタインによる同名のシリーズを映像化した子供向けホラードラマシリーズ。

 

◆ 「マスターズ・オブ・ホラー (2005~2007)

世界各国のホラー監督13名によるホラーアンソロジーシリーズ。日本からは三池崇史、鶴田法男の2名が参加。

 

◆ 「フィアー・イットセルフ (2008)

映画『SAW』シリーズを制作したLIONSGATEの制作によるホラーアンソロジーシリーズ。

◆ 40~90年代の主な未輸入番組 (ホラー・SF・ミステリ・サスペンスのみ)

ここまで日本で放送されたものを中心にご紹介してきましたが、日本未輸入となっている番組もたくさんあります。

最後に、その中から「世にも」系ジャンルに特化した番組の一覧をご紹介して終りましょう。

  • Kraft Television Theatre (1947~1958・米)
  • The Boris Karloff Mystery Playhouse (1949・米)
  • Volume One (1949・米)
  • The Clock (1949~1952・米)
  • Hands of Murder (1949~1951・米)
  • Suspense (1949~1954・米)
  • Trapped (1950・米)
  • Stage 13 (1950・米)
  • Sure as Fate (1950~1951・米)
  • Danger (1950~1955・米)
  • The Web (1950~1957・米)
  • Byline (1951・米)
  • Out There (1951~1952・米)
  • The Unexpected (1952・米)
  • Invitation Playhouse: Mind Over Murder (1952・米)
  • Mr. Arsenic (1952・米)
  • Out of the Fog (1952・米)
  • Dark of Night (1952~1953・米)
  • Rebound (1952~1953・米)
  • Fear and Fancy (1953・米)
  • Eye Witness (1953・米)
  • Philip Morris Playhouse (1953~1954・米)
  • Your Play Time (1953~1955・米)
  • The Best in Mystery (1954・米)
  • I Spy (1955~1956・米)
  • Strange Stories (1956・米)
  • Escape (1957・英)
  • Hour of Mystery (1957・英)
  • George Sanders Mystery Theater (1957・米)
  • Panic! (1957~1958・米)
  • Suspicion (1957~1958・米)
  • The Veil (1958・米)
  • Target (1958・米)
  • Behind Closed Doors (1958~1959・米)
  • The Unforeseen (1958~1960・加)
  • Dow Hour of Great Mysteries (1960・米)
  • The Chevy Mystery Show (1960~1961・米)
  • Armchair Mystery Theatre (1960~1965・米)
  • Edgar Wallace Mysteries (1960~1965・英)
  • Great Ghost Tales (1961・米)
  • Way Out (1961・米)
  • Tales of Mystery (1961~1963・英)
  • Out of This World (1962・英)
  • Espionage (1963~1964・英)
  • Kraft Suspense Theatre (1963~1965・米)
  • Mystery and Imagination (1966~1970・英)
  • Journey to the Unknown (1968~1969・英)
  • Tales of Unease (1970・英)
  • Dead of Night (1972・英)
  • Escape (1973・米)
  • Orson Welles Great Mysteries (1973~1974・英)
  • Armchair Thriller (1978~1981・英)
  • Darkroom (1981・米)
  • Play for Tomorrow (1982・英)
  • Scene of the Crime (1991~1992・米)
  • Murder Most Horrid (1991~1999・英)
  • Fallen Angels (1993-1995・米)
  • Chiller (1995・英)
  • Tales of Mystery & Imagination (1995・米)
  • Gun (1997・米)
  • Ghost Stories (1997・米)
  • Perversions of Science (1997・米)
  • Beyond Belief: Fact or Fiction (1997~2002・米)

特定のジャンルに絞っただけでもこんなにありますから、全部のジャンルに手を広げればその数はさらに膨れ上がります。興味のある方は、是非ご自身で“海外アンソロジードラマという名の深淵”を覗かれてみては……。