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秋SPを終えて&中国版「世にも」情報 その10

秋の特別編の終了から、早くも半月ほどが経ちました。

 

視聴率も14%台に回復し同時間帯でトップ、録画率(角川調べ)も週間1位と好成績で、ファンとしては一安心。中には「真夜中の特別編」=「秋の特別編」だと勘違いしていた方も多かった様で、ひょっとしたらそれも原因の一つなのかなとも(^^;)

 

今回は「珍しく良作揃い」「昔の世にもっぽい」「10年前くらいの水準になった」という評判を見かけましたが、一方で「オチが弱い」「どんでん返しが無い」という声もかなりありました。また、中国のファンコミュニティで行われている投票では、「未来ドロボウ」と「冷える」がダントツ好評価で、「ファナモ」が半分以下、あとの2作はかなり少なめといった結果でした。

 

各話ごとの評判については、放送後に多くの掲示板・ブログ・SNSなどに目を通していった限り、今回は「ファナモ」の圧勝といった所でしょうか。露骨な下ネタを扱っているため、そこで拒否反応を示す方も多かった様ですが、インパクトの大きさからほぼ話題を独占。

 

私も初見の際は、インパクトの大きさとギリギリなネタを楽しんで見てはいましたが、あれから何度も見返す(淡々としているため何度見て飽きないのが本作の凄さ!)と、ラストに造花が写される事から“効率化や利便性を建前に安易に人間らしさを排除する事への警鐘”というテーマなのかなと。

 

なお、後藤プロデューサーのTwitterによると、

 

 

とのことで、どちらにしても、ただ下ネタを面白おかしく扱っただけの作品では無く、根底にはなかなか深いメッセージが。星もう一個くらい増やしても良かったかもしれません(笑) 劇作家の方が原作脚本演出をまるごと手がけていただけに、完全な映像化だったと思います。こういう試みは今後もどんどんやってくれると嬉しいですね。

 

そんな中、今回、最も賛否両論激しかったのが4話目の「冷える」。

 

「夢オチ的なラスト」や、「過去作品とのネタ被り」がその二大要因で、うちのBBSでもこの辺りかなり評価が分かれてました。オチが分かりやすい展開だったのでそこでしらける人も多かったようです。私はそこを納得した上だったので、ラスト付近は余計切なかったですけどね(T_T)

 

なぜ今こんなベタなラストの作品を持ってきたのか疑問だったんですが、後藤PのTwitterを見てみると、

 

 

とのことで、ストーリー自体の面白さではなく、そこから浮かび上がる人間ドラマを一番見せたかったんだなと疑問が氷解。とはいえ、着想を得た作品を見てみないことにはどうしようもないので、早速「アウルクリーク橋の出来事」が収録されている本を入手し、読了。

 

この「アウルクリーク橋の出来事(アウルクリーク橋の一事件)」は、100年ほど前にアンブローズ・ビアスによって書かれた短編作品で氏の代表作なんだとか。ビアスは、ASの格言シリーズにも使われている「悪魔の辞典」の作者と言えば、世にもファンにもピンと来るかもしれません。

 

この作品は1962年にフランスで「ふくろうの河」として映画化され、カンヌ映画祭の短篇賞を受賞したんですが、実はその2年後、世にもの元祖となった「トワイライト・ゾーン」スタッフの目に止まり、ナレーションやテラーパートを追加して、第5シリーズの一編として放送されたことがあるのです。制作費の高騰による緊急措置だったそうで、そのような経緯から版権の問題で米国以外にはフィルムが配給されず、日本でも未放送となっています。

 

私はトワイライトゾーンも好きなので「ふくろうの河」の事は一応知っていたのですが、当然見たことはなく、まさかこれが原作だったとは……(^^;)Wikipediaを見ても、有名作家からベタ褒め。ヴォネガットが「アメリカの最高の短編小説」とまで言ってるそうじゃないですか。後世へ与えた影響も大きい作品だそうで、言われてみるとあの映画なんかもフォロワーなんでしょうか。いやぁ、まだまだ不勉強です私。

 

それはともかくとして、早速「冷える」を意識しながら読んでみたんですが、より後藤Pが意図していたことが理解できたように思います。

 

ストーリーをすごく簡単に説明すると、南北戦争時代、主人公は絞首刑に処されるのですが、縄が切れて下の川へと落ちてしまいます。そこで自分が生きてる事を悟った彼は、川を泳いで逃亡に成功。改めて生きる歓びを実感しながら家へ帰り、妻を抱きしめようとした瞬間、それは死ぬ間際の幻覚だと発覚し、実際には主人公の刑は予定通り執行されていた…というもの。

 

読み進める中で「冷える」中の明滅する電灯は、小説に登場する火花のフラッシュを意識していたのかという事に気づいたり、だから現場にわざわざ家族を登場させてからラストに持っていったのかなどの類似点をいくつか発見するなど「冷える」が表現したかったことを十分補完できたように思います。

 

ただ、改めて「アウルクリーク橋の出来事」とくらべてみると「冷える」は死を前にした生の輝きという要素がちょっとブレてしまったのかなとも。小説の方は、絞首刑から逃れる事で相対的に生が輝く訳ですが、映像は死よりも冷え性人間に変化した所がストーリーの焦点になっている訳なので……。

 

脚本としても「電話をかけ続ければ助かるのでは」「火を熱く感じなくとも、火災現場では有毒ガスの方が問題では」といった所に引っかかる方も多く、賛否両論なのは、そういった点のおかげでスムーズにオチへ流れる事ができなかったせいもあるのかなとも。同じタイプのオチでも、「食べ過ぎた男」なんかは上手く処理していると思うんですよね。私も好きですし。小説を読むともっと良い物に出来た惜しさはちょっと感じましたが、哀しいお話として私は好きです。

 

「冷える」に好感をもった方もそうでない方も、興味のある方は「アウルクリーク橋の出来事」を読んで、作品理解を深めてみては。一見ベタに見えるストーリーですが、文章で読むとだいぶ印象が違ってくるので……。私はオチを知ってても面白かったです!

 

あと他の作品で気になった所では「サプライズ」の考察が思ったより少なかったかなと。この辺は中国のファンコミュニティの方が盛んだったように思いますね。

 

そのうち、面白かったのが女友達が黒幕という説で、彼女は社長の愛人であり、その権力を使って社の人間を使い、主人公にサプライズを仕掛けていったのではないか…というもの。原文ではこの辺のことをかなり事細かに分析されているのですが、さすがに訳せませんでした(^^;)

 

そう考えると、女友達のあの怪しい態度も納得できる気が……。スタッフはこの辺りの考察で賑わう事を期待していたことと思いますが、作品自体の見せ方の問題のためか、日本ではただの投げっぱなしオチと捉えられがちなのが残念な所でしょうかね。

中国版「世にも」情報 その10

ここからは久々の中国版「世にも」である「不可思議的夏天」についての情報を。

中国では9月にフジテレビで放送という報道もあったのですが、現在はまったく音沙汰なし。今月もいくつかの番組見本市に出展はしていたようですが……放送は来年の夏って事はないですよね(^^;)

 

配信から3ヶ月ほどが経とうとしていますが、古川さんの役柄が「イタズラなKiss」でのドSキャラとイメージと違うとしてファンからも賛否両論だったらしく、現在再生数は5700万回達しているものの、伸びは低空飛行、中国での動きは完全に静かになってしまっています。

 

この辺りは一気に全話を配信したり、直後に古川さんの出演する「イタズラなKiss」の続編が配信された事も影響しているかもしれません。目標の3億に到達するのはいつの日か……。

 

そんな訳で中国での情報は完全にストップしているため、今回は日本での情報をご紹介。

 

まず9月2日には、フジテレビコンテンツの海外販売を担当しているフジクリエイティブコーポレーションにて、「不思議な夏」の番組販売がスタート。そのうち世界中で放送されるようになるんでしょうかね。

……とてもじゃないですが追いつけそうに無い(^^;)

 

【Mysterious Summer】

( http://www.fujicreative.co.jp/for_buyers/more_info/tabid/106/pdid/629/Default.aspx )

 

9月17日には、フジテレビ番組動画にて英語圏向けの宣伝動画が配信。

一回見てすぐにわかりましたが『中国版「世にも奇妙な物語』のテロップがカットされています!(T_T) そりゃぁ、英語圏の人は「世にも」とか言われてもわからないでしょうけど! ちょっとモヤモヤします。

 

【Mysterious Summer (不可思議的夏天) 【Fuji TV Official】 】

( https://www.youtube.com/watch?v=jS0m_pT34jI )

 

最後は10月10日。同じくフジテレビ番組動画にて、古川雄輝さんによる英語のコメント動画が配信されました。リスニングはまったくダメなので訳せませんでしたが、まぁ「見てくださいね」みたいな内容でしょう!…多分(^^;)

 

Yuki Furukawa introduces "Mysterious Summer"(不可思議的夏天) 【Fuji TV Official】 】

( https://www.youtube.com/watch?v=5eolfegglUs )

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【Q】 SFものの短編の話を書いたりしています。それを、提供させていただけるのであるとしたら、どうすればよいのでしょうか?

 

【A】 当サイトは非公式ファンサイトなので、フジテレビ等とは全くの無関係です。

当方が分かる範囲で回答しますと、番組では基本的に視聴者からの作品投稿は受け付けていません。

直接制作会社に作品を売り込む方もいらっしゃるようですが、ある程度の実績(コンクール受賞・プロ活動等)やコネがある方で無いとなかなか難しい様です。