世にも奇妙な物語 ブログの特別編

「世にも奇妙な物語 ファンサイトの特別編」管理人のブログです。

'14秋の特別編 感想

今年も無事に放送を終えました「世にも奇妙な物語 '14 秋の特別編」。

 

今回は、かねてからファンの待望だった藤子F先生の異色短編が初の映像化決定&8年ぶりに超短編が復活したほか、スタッフから「テーマは原点回帰」「史上最高傑作」「絶対に予想できないラスト」という前代未聞のコメントが出されるなど、『節目の年でもないのに、この気合の入れようは一体何なんだ』と、公式発表から放送までのあいだ、妙な興奮が収まりませんでした。その一方で、スタッフによる連日の自信満々な宣伝ツイートを見ながら「おぉい、そこまで言い切っちゃって大丈夫か…(;´_`)」とハラハラしたりも。

 

さらに前日には、ファンから人気の高い恐怖エピソードのみを集めた傑作選「真夜中の特別編」が放送され、日活の「死ぬほど好き」や大映テレビの「三人死ぬ」といった、他社が版権を持っているエピソードまで組み込むという徹底っぷり。最近の作品でお茶を濁していたこれまでの傑作選たちとは比べ物にもならない力の入れように、ただただ戸惑うばかりでした。

 

果たしてこれらはただのハッタリだったのか、それとも放送25周年を前に第2世代のスタッフたちが奮起した結果だったのでしょうか。ファンサイト開設以来初めてとなる大きな期待を抱きながら、じっくり1話ずつ鑑賞させてもらいました。

 

では以下、今回の特別編についての感想を。

今回はスタッフが自信満々なので、評価は従来よりかなり厳しめに。★5つが最高となっています。

◆ 第1話 「サプライズ」★★

スタッフによればデヴィッド・フィンチャーの「ゲーム」をイメージして、シナリオ制作に3ヶ月かけた大作とのこと。

演出は、コアなファンの間では2代目ホラー担当として注目されている松木創監督。

Twitterによれば、先日お子さんが誕生されたそうで、おめでとうございます!「おわこんTV」も毎週見てました。

 

さて内容ですが、色々シナリオを練りまくったことだけはよくわかりました!(笑)

お馴染みの暗転ラストも、これまでにないちょっと変わったテイストだったので新鮮な印象。

彼氏以外まで狂っていく原因を省いた起転結なスピード展開も個人的にはあまり気にならず。

こういうアブナイ彼氏は91年の「伝言板」以来ですかねぇ……?(^^;)あれは架空の存在ですけど。

 

ただ、ただですね。演出ですよ。私、どうも松木作品に対しては毎回演出が気になって気になって。

怖いです。ツボも抑えてます。棺桶から出てくるサマも良いです。しっかりホラーしています。

 

じゃ、本作は何が気になったかというと、もう少しメリハリを付けて欲しいなと。

脚本段階ではブラックコメディ風ホラーという意図だったと思うのですが、いくら何でも冒頭からエンジン全開はちょっとどうなのかと。気になった所で言えば……

 

フラッシュモブでサプライズバースデーというハッピーなシーンなのに、天気が尋常じゃなく暗い!(^^;)

彼氏が徐々におかしくなっていくという展開なのに、その最初のキッカケから彼氏の挙動が怪しすぎる!(笑)

女友達との食事シーンでも、今後を匂わせるにしては笑顔が不気味すぎないか!?

 

……などなど、出だしからホラータッチの演出がクドすぎて、笑いを狙ったであろうシーンであっても素直に笑いにくく、全体的にチグハグした印象を受けました。松木監督作品は終始不気味なまま一貫して進む事が多いんですが、ホラーだから全部暗くする、ホラーだから全員無気味な表情にする…というのは怪談話の前から「これめちゃくちゃ怖いよ~超怖いよ~」としつこく言われているようなもので、もう少し恐怖への“前フリ”や“ギャップ”が欲しいなと素人ながら思ってしまいます。監督は前回の「墓友」でいい流れを掴んだと思っているので、こういった王道以外のホラーもじゃんじゃん手がけてもらいたいですね。

 

脚本の狙いが活かせきれない惜しさはあったものの、彼氏へのサプライズ精神に敬意を評して★2つ。

超短編「インターホン」 ★★

一発ネタにもほどがあります!(笑)

◆ 第2話 「走る取的」★★★★

原作は、筒井康隆さんの同名小説。本作で9作目の映像化となり、筒井さんが歴代最多映像化の原作者に。

スタッフによれば本作は番組創世記から実写化する計画があったらしく、今回ようやく悲願の映像化です。

 

さて、内容ですが相撲取りに延々追いかけられるという、映画「激突!」以上に不条理さ全開な設定。

映像化の発表を知った際、下手をしたら最後までギャグ調になってしまうのではないかと不安があったものの、

段々シャレにならない展開になっていく緊張感や疾走感が、原作ファンから見ても十分出ていたと思います。それでも原作が一番怖いですが、これはもう映像化の宿命ですからね。

 

また、奥さんと娘さんの写真は映像化の際に付け加えたネタだそうですが、オチとしては十分許容範囲。

原作はそのまま殺されてエンドなので、こういったオチを持ってくるのかと感心してしまいました。

年に数回は読み返していた小説だけに文句無し!……と言いたい所ですが、もう少しラストは焦らして欲しかったなという思いも。★4つ

 

筒井作品の不条理さは大好きなので、今後もちょくちょく映像化していってもらえると嬉しいですね。

本作の様に厭さ全開の不条理作品で言えば、オチが弱いですが「魚」なんて良いんじゃないかなと。

或いは、放送コードの限界に挑戦する意味で「死にかた」にチャレンジするなんてどうでしょう……(笑)

 

個人的には「母子像」の映像化をず~っと待っているので、今後実現することを密かに祈っています!

星・落合監督のどちらかなら良い映像化になるんじゃないかなと。

超短編シャドーボクシング」 ★★

大体予想通りでしたが、ラストが洒落ているので★2つ。

超短編「クリームソーダ」 ★★

このチープさ加減は、初期のアバンストーリーさ全開で好感を持ちました。

超短編「捨てられない女」 ★

完っ全に予想していた通りの内容でした……(^^;)

キャスティングとしては100点!

◆ 第3話 「未来ドロボウ」★★★

原作は藤子・F・不二雄さんの同名マンガから。番組では初となる藤子原作作品です。

「世にも」ファンには藤子さんの異色短編集が好きな方が多く、私も例に漏れず大好きなんですよね。

いやぁ、この日を待ってました!

 

原作の主人公は高校進学がダメになった中学生の設定でしたが、映像版では就職活動中の大学生ということで現代っぽさが強くなった気がします。中学生のままの方がより説得力が出るとは思いますけどね。

ストーリーや肝心なセリフ、メッセージもほぼ原作に忠実。ただ、ちょっと感動色を押し出しすぎかなという印象も受けました。ラストもちょっと蛇足な気がしたので、原作通りに元に戻った後の疾走シーンで終わっても良かったんじゃないかなと。あのシーンは凄く良かったので。

 

原作が偉大なのでついつい比べてしまいますが、原作の良さを活かした丁寧な映像化でした。★3つ。

 

初登場となる藤子作品ということで、今後は「自分会議」「気楽に殺ろうよ」といったブラック作にも期待したいところですが、個人的には「ある日…」を是非! ホワイトアウトした後、じわ~っと番組ロゴが表示される画面を想像するだけでいくらでもご飯が食べられそうです。

超短編「標識」 ★★★

主演は「ミヤネ屋」「Mr.サンデー」でお馴染みの宮根誠司さん。

こういうドラマにはまず出ない意外な有名人の起用は、昔からの番組の持ち味ですよね。

 

謝った後に、標識の人から声をかけられるというオチかな~と予想していたのですが、鼻血ときましたか(笑)

ラストの、標識の人が鼻血を吹いた後に宮根さんが振り返る一瞬のシーンに何故か心を鷲掴みにされたので★3つ。しかも、演出は植田監督だったということで……さすがです!

◆ 第4話 「冷える」★★★★

プロデューサーによると、アメリカの某短編小説のような作品を目指して制作されたんだとか。

何という短編なのか非常に気になります。

 

(※10/21追記) A・ビアスの「アウルクリーク橋の出来事」だそうです。

オチに囚われず、現代女性の姿を通して死の瞬間を描き、生を見つめるドラマにしたかったとのこと。

 

さて、本作のあらすじとを読み、すぐさま脳裏をよぎったのは「食べ過ぎた男」と「のどが渇く」の2本。

消防士の画像から「けむり男」の路線も一瞬考えましたが、ま、それだとネタバレになりますからね。

要は“これまでの不思議な出来事は主人公が死ぬ間際に見た夢・幻覚でした”というオチになるんだろうと。

恐らく、そこそこの世にもファンであれば、ほぼ9割の方が冒頭で読めていたと思います。

 

で、結局大正解だったわけですが……どんでん返しだけが世にもの魅力では無いんですよね~(T_T)

付随する人間ドラマで良作になるのもあるんですよね。オチが完全に読めても、それ以外の要素で十分楽しめる作品でした。「食べ過ぎた男」といい、主人公の事を考えるとなんとも切ない。若干アナ雪を意識してるのかなと思いきや、妙なパロディの挿入も無く、シンプルに世界観を作り上げていて良かったです。

冷凍庫に閉じ込められた時「いや、もうちょい電話かけ続けてみようよ…」と思わなくもありませんでしたが、そこじゃないんです。そこじゃないんですよ。そういう人なんですよ、頼子さんは…!(?)

 

プロデューサーは最もかつての奇妙らしい作品と豪語していましたが、私はこれこそ初期のテイストを受け継いだ、本来理想とする現在形の姿(作風)ではないかと。これでオチも鮮やかであれば、文句無しの★5つでした。

ラストはロゴで終わった方が個人的には良かったですが、切ない系にはホント弱いです。

うぅっ、頼子さん……!もう少し電話をかけてさえいれば……(T_T)

 

最後に一つだけ苦言を呈するとすれば、ラストの「死んでる」という台詞はあまりにも蛇足すぎるなと。

スタッフはもっと視聴者を信頼していいと思います。

◆ 第5話 「ファナモ」★★★

原作は前田司郎さんの小説「ウンコに代わる次世代排泄物ファナモ」。何度見てもすごいタイトルです。

こういうストーリーを有名女優主演でプライムタイムに放送できるのは、「世にも」ブランドだからこそ成し得る業というか何というか(笑) 最近はこういう問題作をぶっ込む傾向にありますね。

 

そして、まさかこれが最終話にくるとは思いませんでした……!(笑)

 

ラブストーリーでもなく、シュールコメディとも言えず、終始淡々としているというのに、不思議と最後まで飽きずに楽しく見られました。派手などんでん返しも意外な展開もなく、非常にさらっとした落とし方ですが、なぜだか印象は悪くないんですよね~。それもこれもきっと「ファナモ」というネーミングと、ファナモのビジュアルのおかげ……?恐らく、これが「X」とかだったら、相当評価が変わってるはずです。アイディア勝ちですね。

 

というか、ファニスとか、マギナスとか、いろんな意味で大丈夫なんですか、それ!!!(笑)

張り紙の時点でギリギリなネタだと思っていたら、オチに持ってくるなんて……(^^;)

 

ストーリー単体には面白みがあまり無いにも関わらず、それを素直に許せてしまう謎の面白さで★3つ。「FANAMO GINZA」のBGMが好きなので、ぜひ配信して欲しいです(笑)

◆ 総評 ★★★

近年では一番凝った作りであったというストーリーテラーに好感だった他、タイトルに“超短編含む”まで含まれているのかなど、全体的に思う事は色々ありましたが、総評としてはこの一言。

 

「歴代最高傑作」「絶対予想できないラスト」はやっぱり言い過ぎ。しかし、2010年以降の回ではダントツ。

 

勿論、過去の名作と比べると物足りない所はたくさんありますし、個々で見れば別の回の方が優れている作品もあります。超短編も、全てオリジナルというチャレンジは良かったですが、「山田祭り」を超える物が出なかったのはちょっと残念だったり。250本以上の候補から選びぬかれた5本だったそうですが……。

 

が、あれだけ自信満々に言っていただけのことはあり、ラストで「う~ん……」となった本編は一つもありませんでした。低迷期と比べれば、全体的に平均の高い回ではあったなと。昨夜の「真夜中の特別編」に太刀打ちできるはずが無いことはさすがに分かっていましたが、あれだけ世にもファンのツボを全方位に抑えた傑作選に勝てる回なんて歴代で一つも存在しないですからね。しかし、それでも全編楽しめたのはスタッフの尽力のおかげだなと。

 

今回の秋の特別編は放送までの時間が本当に楽しくて、こんなのサイト開設以来初めてでした。後藤PもTwitterでたっぷり宣伝してくれましたし、制作の裏側も垣間見えて非常に濃密な期間だったなと。

 

一方では「真夜中の特別編」といったファン待望の企画も行うなど、20周年の時とは違い、スタッフが真摯に番組に取り組んでいる姿勢が嬉しかったですね~。ここ数日後藤PのTwitterを見てみても、新旧の奇妙ファンを楽しませようという意識が感じられたので、そこもかなり好感度が高いです。

 

いやぁ、もう2010年からの数年間、「あれ、これ本当に酷い事になってるぞ…」と頭を抱えた事もありました。2010年辺りから立ち上げスタッフがほぼ完全に離れ、第2世代中心になった「世にも」ですが、4年目にしてようやく5年前の水準に持ち直した様です!正直、最低でもあと6~7年は必要だと思っていましたからね……。この躍進は脅威です。本当にロゴ乱発期は絶望しか無かったですから(T_T)

 

第2世代のカラーもハッキリしつつ、新旧作家も織り交ぜて、新たな番組の歴史が始まる期待が大きく膨らんだSPだったと思います。

 

この調子で、さらなる良作を期待すべく、評価は伸びしろを考慮しての★3つ。

本当は昨日の傑作選も含めて★5つくらいつけたい所ですが、まだまだ「世にも」は出来るはず!

 

作風としては十分○なので、次回は多くの世にもファンが求める「意外なブラック作」の充実を是非。どんでん返し派のファンの皆様は今回は相当物足りてないと思うので、次回はより頑張って欲しいもの。

 

第2世代の「世にも」も、今後ますます期待大でいかせていただきます!

◆ 25周年企画への願望

さぁ、来年はいよいよ放送25周年という節目の年。制作話数も来年の秋でピッタリ500話に到達してしまいます。

かなり期待していた20周年の時は、全くといっていいほど記念イヤーらしいことが無くて落胆続きでしたが、

今回、後藤Pからは「次回25周年は、もっと凄いことします!」と言うコメントが出ているので、非常に楽しみです。

……なので、最後にここから先、個人的にやって欲しい願望を自己満足でつらつらと。

◆ 真夜中の特別編 第2弾

今回、奇跡の実現となった「真夜中の特別編」。是非この調子で第2弾、第3弾と続けて欲しいですね~。

単なる再放送でしょと思う方もいることでしょうが、この実現がどれだけ奇跡的な物だったかは、“説明には記事がいくつあっても足りない”という説明で何となく察して下さい。

 

今回のラインナップは起承転結、どんでん返しもオチへの流れも、後味の悪さもハッキリした短編のお手本のような作品が多かったので、次は、起承転結が曖昧で、オチも釈然としない、ただただ無気味な「よくわからないけど、何か嫌な物見てしまった…」という作品なんていいかなと。

バリラインナップは不定期バスの客」「影の国」「私は、女優」「急患」「悲鳴」の5つで!

 

あるいは、ズンドコベロンチョ」「行列」「ガード下の出来事」「先生の『あんなこと』」「理想のスキヤキ」という、実に嫌らしいラインナップとか(笑)

 

ほか希望したいのは、肖像権の問題から、CS等の再放送ではカットされるジャニーズ出演作品にも名作が多いので、何とか放送にこぎつけてもらいたいですね。「罰ゲーム」「トイレの落書」「パパラッチ」「銃男」などをまとめて、ドラマレジェンド枠でやっちゃうという手もあるかなとか。

 

まぁ、一番は全国の世にもファンのためにも全国ネットで放送してもらう事ですが……(^^;)

◆ 第4シリーズの制作

最近のフジは良くも悪くもリバイバルブームなので、夜の11時台辺りに第4シリーズをやってみてはどうかと。

 

5年前までは、番組の寿命を縮めるだろうと新シリーズ反対派だったんですが、数年前の暗黒期を目の当たりにして、多くの脚本家や演出家が参加できる機会を増やす事が必要になってきたんじゃないかなと思うようになったんですよね。で、現在は上昇傾向が見えてきているので、ここらでさらに弾みを付けるべく他社や新人を招いて切磋琢磨の場を設けてみても良いのではないかと!

 

毎週のTVシリーズと特番シリーズではキャスティングや、内容にもある程度制限が出てしまうので、実験的な作品や、意外なキャストの起用が容易なので、決して悪い話ではないと思うんですよね。

……勿論、毎週新作を見たいのも本音ではありますが(笑)

◆ 海外作家原作の映像化

海外のSF作家にも優れた作品は多いので、この辺りをもう少し開拓してもらいたいなと。

番組の立ち上げ当初は、リチャード・マシスンやロバート・ブロックなどの作品がスタッフの頭にあったそうなんですが、如何せん海外作家は版権の複雑さが尋常じゃないので、「夢を買う男」と「23分間の奇跡」の2作品で終わってしまっているという現状が……。おかげでこの2作は再放送もされてないんじゃなかったでしたっけね。

 

最近読んだ中では、ディーノ・ブッツァーティの「七階」なんてダークでいいんじゃないかなと思ったり。

既にパブリックドメイン化した作品にも名作がいくつかあるので、実現は難しそうですが出てきて欲しい物です。

◆ 雨の特別編の解禁

1991年の制作から23年経っても未だお蔵入り状態となっている「雨の特別編」。一番はやっぱりこれですね。

先日、後藤PがTwitterにてファンから「来年には雨の特別編の放送をお願いします」といったコメントに「了解しました!」と答えていたので、今一番実現しやすそうな企画といっても良いんじゃないかと! 来年までは何が何でも生き延びねば!(T_T)

 

ただ、最近フジが再放送でよくやっている画面上に妙なテロップや、画面の上下をカットした解像版での放送だけは辞めていただきたいですし、ものすごくワガママを言えば、放送日は雨の日に……(笑) そこがネックでお蔵入りになった訳ですが、名前が名前ですし……ね(^^;)そして勿論全国ネットで!

 

他にも過去作のDVDや、タモリさんの劇中エキストラ出演の復活等、言い出せばキリがありませんが、

20周年の時のトラウマを払拭できる様なファンも楽しめる企画がお目見えする事を期待したいと思います!