世にも奇妙な物語 ブログの特別編

「世にも奇妙な物語 ファンサイトの特別編」管理人のブログです。

'13春の特別編 感想

今年は例年と比べて遅めの放送となった「世にも奇妙な物語 '13春の特別編」。

 

23年目最初の奇妙な物語。世にもファンの皆さんにはどうだったでしょうか。

今年は待たされた分、ついつい放送前まで「今回は絶対面白い……はず!」と期待を膨らませつつも、その一方で「今回もイマイチなのかもなぁ…」と心の保険も掛けておくという微妙な心理状態の中、全5話をしっかりと鑑賞させていただきました。

 

今回も、以下に私の個人的な感想を。評価は★5つが最高となっています。

◆ 第1話 「呪web」 ★★

呪webがこんなポップなサイトだったなんて……(笑)

 

おおまかな印象としては、1991年の「復讐クラブ」を現代風に作り直すとこういう感じなのかなと。

私同様にこの作品が頭をよぎったファンの方も多いのでは?

 

ストーリーに関しては、良いベタで進みつつも、だいたい予想通りの結末でしたね。

終盤の友人が自分を恨んでいたという場面も、あの辺の描写があっさりしすぎていて、どうせならば「知らない間に誰かが誰かを恨んでいる」所に焦点を絞ったストーリーの方がよりブラックな内容になったんじゃないかなと思ったり。……うーん、でもそれだと余計「復讐クラブ」っぽくなっちゃいますかね。

 

演出に関しては惜しかった前回の「心霊アプリ」より良かったんじゃないかなと思います。

アート系に寄せたという演出も、すんなりハマっていた気がします。

 

ただ、佐々木希さんのおっとりした雰囲気がキャラクターに合っている反面、一部の場面ではそこがかえって違和感を生んでしまう場面もあったかなと。ホラーの演技ってやはり難しいんでしょうね。

 

その他、個人的に良いなと思ったのはラストのロゴの出るタイミング。

さりげないポイントですが、見せすぎず、やりすぎない所は好印象でした。

 

ただ、怖かったかと聞かれると……。やっぱりまだまだ温いですね。

最近のホラーは色々見せすぎ、語らせすぎです。が、ワラニンに免じて(?)★2つ。

◆ 第2話 「石油が出た」 ★

3年前に没となったプロットが、昨今のエネルギー問題の影響で日の目を浴びて完成した作品。

ここまでド下ネタなテーマを扱ったのは番組史上前代未聞なのではないでしょうか…(^^;

この台本でOK出せるのは、ジャニーズ事務所の中でも関ジャニ∞だけでしょうね。

 

内容としては、おしっこという低俗なテーマと大げさな物語とのギャップを楽しむ「JANKEN」みたいなバカ系のコメディ作品ですね。

 

放送前はこれはかなりブッ飛んだ話になるだろうなぁと思っていたのですが、予想に反して割と地味な進行。『人間油田」の辺りからようやくエンジンがかかってきたなと思いきや、そのままあっさり軟着陸してしまいましたね……。

 

植田監督らしい面白演出もあったものの、全体的にパッとせず、突き抜け不足な感。

"おしっこが石油になる"というアイディアの面白さ一本に甘えちゃってた感はありました。

アイディアそのものを見せるだけでなく、さらにそれを活かした展開や意外性を見たかったです!

行くとこまで行けば、これは世にも史に残る前代未聞の怪作に仕上がった気がするんですよ。

 

せっかくの面白いアイディアでありながら、勿体無い仕上がりになってしまった印象。★1つ。

◆ 第3話 「AIRドクター」 ★★★★

原作は「ワタ毛男」の小田扉さんですが、本人によると原案とのことで、原作と大分違うのでしょうか。

「理想のスキヤキ」「耳かき」を手がけた森ハヤシ&鈴木雅之コンビによるシュールコメディ第3弾。

 

次々と畳み掛けるテンポの良さが、ツボにはまってすんごい面白かったです。ダメ押しの湿度計が特に(笑)

「ハイヌーン」にも似た、意味のわからないその場だけの壮大さは大好きです。

 

さすが第1話から番組に携わり続けてきた"世にもをわかっている"鈴木雅之監督だけあって、抜群の面白さ。

王様のレストラン」や「ショムニ」など監督が手がけてきたコメディドラマも大好きだったので、

やはりツボがよ~くわかっているんでしょうね。さすが世にも演出家四天王に名を連ねるだけあります。

 

ほぼ一発ネタですし、オチもあってないような内容ですが、視聴後の印象は非常に良かったです。

例えばこれを文字にしてあらすじだけ追っていくと「なんだこれ」っていう話になると思うんですが、

ツボをわかっている脚本と演出がここまで面白い映像作品に昇華させたのでしょう。

私も似たようなアイディアを考えたことはあるんですが、こう料理するのは絶対無理ですね。さすがです。

 

文句無しと言いたいものの、ラストにもう少し何か欲しかったので★4つ。

◆ 第4話 「不死身の夫」 ★★★

「サブリミナル」「罰ゲーム」「ウイルス」「懲役30日」「和服の少女」など、

ファンから人気の高い傑作を多数手がけてきた脚本家高山直也さんによる6年ぶりの世にも復帰作品。

 

死んだ夫が蘇るというモチーフは95年の「指環」でも使われていますが、こちらは純粋なホラーであったのに対し、本作は同じモチーフをさらにブラックコメディタッチにアレンジした内容に。

 

開始早々、掴みはばっちり。テンポも良く、殺害シーンの連続には爽快感すら感じさせました。ラストの余韻が非常に良いですね。世にもらしくあり、色々と考えさせられる所もありで。

 

ただ、「再生保険」という便利なアイテムを出してしまったのはちょっと残念でした。個人的にはそういう飛び道具は使わないほうが好きですが、あのラストに持っていくには仕方ないのでしょうか。

 

その他、「夫から逃れてクローンとして蘇っても、オリジナルとは別の存在であることは変わりないのに…」なんて所も、見ていて引っかかってしまいました。

 

「オリジナルが死んでも良いから再生を繰り返す夫から逃れたかった」という解釈もできるとは思いますが、ストーリーの内容を見る限り、あの場面は"機転の効いた解決方法でようやく夫から逃れて自由の身に"という、"素晴らしいアイディアで窮地を脱した"的な場面になっているので、その解釈だと少々厳しい気もしますね。

 

面白い作品であったものの、全体的に見ると気になる点も多かったので★3つ。

◆ 第5話 「階段の花子」 ★★★

原作は、辻村深月さんの小説「踊り場の花子」。

こちらも高山直也さんが脚本を担当。同じ作家が二作以上担当するのは2年半ぶりですね。

 

学校を舞台にしたミステリータッチなストーリーは個人的に好きな部類ではあるのですが、

内容が内容なので、ストーリーが全体的に詰め込みすぎ&進行を急ぎすぎな気がしました。

 

原作付きだけあって伏線あり、見せどころあり、ツボも抑えておりと、ストーリー自体の完成度は高いとは思うのですが、20分程度の映像作品として見ると可もなく不可もなく……という印象。

 

世にも奇妙な物語」と「学校の怪談」の中間みたいなストーリーではありますが、

そこまで怖いというわけでもなければ、オチも比較的読めるので大きな驚きはありませんでした。

とはいえ、面白くなかったかと言われれば「面白かった」わけなので、そこはどことなく世にも作品っぽくない作風が自分の中にまだストンと落ちてきてないのが原因かもしれません。いわゆる何度か見直すことで良さがわかってくる「スルメ的」なストーリーな気がしますね。

 

初見の印象はこんなところではありましたが、小説として読めばより面白い気がするので、早速原作本を購入してみようと思います!

◆ 総評 ★★★

基本的に、今回の特番の中で、出来にガッカリした作品はありませんでした。

他のファンの方々の中でも、恐らく好印象が多くを占める回になっていたのではないかなと。

というか今回ハートウォーミング系の話がひとつもないですね! これは09春ぶりでしょうか。

 

私としても、ここ最近では平均点が高めな回だったと思うのですが、もっと面白くなりそうな伸びしろがある作品ばかりで、「もったいない!」と惜しむ気持ちも他方でありました。

「石油が出た」なんて、やりようによっては世にも史上稀に見る問題作になり得たかもしれませんしね。

 

面白かったけれども、ここまでできるならもっと面白くやれるはずというワガママで全体評価は★3つ。

どれもアイディアは良かったので、まだまだ世にもにはポテンシャルはある気がするんですよね。

贅沢な視聴者ではありますが、やはりここは長寿番組の宿命ということで、傲慢に行かせていただきたいなと。

これまでのような「なんかどれもイマイチだった」ではなく、「ここまでできるならまだまだやれるよ!伸びしろたっぷりだよ!」という、過去の感想で最もポジティブな★3つ評価なので、大きな期待込みのこの評価ということで。

 

やっぱり「世にも奇妙な物語とか今は面白くないだろ」とか言われると、「そうだよなぁ…」とは思いつつも、「まだいけるはずだ」と思いたいじゃないですか。

 

ネットとかでもかなり盛り上がっているわけじゃないですか。期待に応えて貰いたいなと思うわけじゃないですか。こんなファンサイトを9年以上も運営し続けてるような奴がいるわけじゃないですか。小説家や映像作家が「世にもが好き」ってよく言ってるじゃないですか。やりたい、出たいって言ってくれる俳優やタレントがいっぱいいるわけじゃないですか。海外サイト巡ってたらとある作家が「日本の『世にも奇妙な物語』ってドラマが好きで」とか言ってて、ビックリしたことだってあるわけですよ。

 

それはやっぱり純粋に面白い物語を作ろうとしてきたスタッフの方々の熱意の連鎖があったからですよ。

まだまだ奇妙な世界の奥の奥まで突き進んで欲しいと! なんか熱く語ってますけど! 願うわけです!

すみません! 暑苦しいと思うので! ここらで辞めておきます! でも!マニアって!少なからず皆こうじゃないですか! わかりますよね! ですよね!

 

……というわけで(?)、以上、私個人としての感想でした。待たされて期待が膨らんだ分、少々厳しめにつけてしまいましたが、他の世にもファンの皆様は今回の春の特別編、いかがだったでしょうか?

 

どれも面白かった、どれも面白くなかった、あの話が一番だった、あの話が嫌いだった……。

色々と感想はあると思いますが、ひとまず、作品を見て"自分が面白いと思った気持ち"は大事にしてくださいね。

人によって感じ方はそれぞれ。何事も楽しんだもの勝ちです。

 

最後に、今回制作に携わったスタッフ、キャスト、その他関係者の皆様、お疲れ様でした。

どの作品も、しっかり自分なりに全身全霊を込めて、楽しませていただきました。

 

次の放送は、恐らく10月。またしばらくは、ファンにとって待ち遠しい日々が続きますが、『'13秋の特別編』では、より奇妙な物語が見られる事を期待して、今の所は春の特別編の余韻にじっくり浸りたいと思います(^^)!