世にも奇妙な物語 ブログの特別編

「世にも奇妙な物語 ファンサイトの特別編」管理人のブログです。

『ゴミ女』&『自販機男』裏話

本日、『'08秋の特別編』のDVDが発売されました。内容・仕様ともに従来と同じなので詳細は省きますが、また棚に並ぶコレクションが増えて非常に満足。やっぱり「行列のできる刑事」は良いですね!

 

さて、ここ最近、誰にも認められないであろう個人的な「世にも奇妙な物語研究」のために雑誌等の資料を買い漁る日々が続いています。

 

そんな中、「世にも奇妙な物語」の特集が組まれている、脚本家養成学校であるシナリオセンターの会員誌『月刊シナリオ教室 2007年12月号』を入手しました。

 

内容は「出身ライターインタビュー 世にも奇妙な物語を書いて」と言うもので、「ゴミ女」の佐藤万里さんと「自販機男」の加藤公平さんのインタビュー&シナリオがそれぞれ掲載されています。

 

当初はシナリオ目当てで購入したのですが、読んでみると意外と面白い裏話が明かされていたので、その一部を抜粋してご紹介。

 

≪「ゴミ女を書いて」佐藤万里≫

 

──「世にも奇妙な物語」の執筆経緯は?

 

「この世界は人間関係が大事だよと言われていますが、ほんとにそうだなと。ありがたいことに人とのつながりでお話がきたんです。

 

(中略)

 

以前「日本テレビシナリオ登竜門」で佳作を戴いたんです。それがきっかけでプロデューサーからご連絡を戴き、何本か企画をかかせていただきました。

 

その方が共同テレビに移られて、『世にも奇妙な物語』のプロットを出してみないかと声をかけていただいたんです。監督や当時のプロデューサーにご紹介いただいたんですが、そのときは残念ながらすべてボツになってしまいました。

 

それから2年ぶりにお電話をいただき「世にも奇妙な物語の企画はありませんか?」と言うお話でした。正直もう『世にも』のお話はないのかなと思っていたのですが。それで大慌てで4,5本ずつ原作とオリジナル取り混ぜで出したんです。

 

結局、その監督は今回撮らないことになったんですが、出した企画はスタッフに読んでもらいますからと。一ヵ月後くらいに『ゴミ女』をやってみたいとプロデューサーから連絡を戴きました」

 

 

──「世にも奇妙な物語」は発想力が問われるので大変人気ある枠なんですね。「世にも~」を書きたいという受講生もたくさんいます。「ゴミ女」は原作つきですよね。

 

「図書館でときどき雑誌をリサイクル本として放出するんですね。たまたま持って帰って読んで、とても面白かったのを思い出して企画書にしたんです。

 

でも、手元に雑誌がなくて最初は記憶を頼りに書いたんですよ(笑) だから企画が決まった時点で、慌てて日比谷図書館に行って雑誌を探しました」

 

 

───原作とそんなに違う感じはしないですね。

 

「大筋は一緒です。ただ、途中のエピソードが変わっています。主人公が何を捨ててきたのか、モノと人生の両面から検討しなおしました。

 

それから万年筆を持って帰るというのも創作した部分です。何度も持って帰ってと言われてるので、じゃあ持って帰らせたらどうだろうという話が打ち合わせで出て。それなら万年筆はどうかと。あと、おばあさんのキャラクター設定ですね。

 

(中略)

 

最初から不思議な感じがあるほうがいいと、どのくらい喋らせるか足したり引いたりの直しを繰り返しました」

 

 

≪「自販機男を書いて」加藤公平≫

 

──自販機男、とても面白かったです。

 

「ありがとうございます。もともとの原案は私の描いたマンガ用の原作で、そっちは喋る自販機だったんです。でも今回ドラマ化の際にプロデューサーさんから条件が付きまして、喋らせないで何とかならないか、と。

 

映像でリアル感を出すには確かに、喋らせないほうがいいだろうと思ったんですけど、『一言も喋らせないで』と言われて、さてどうしようかと。

 

じゃぁ、エピソードを積み重ねていくしかないなと。ビールを買おうとしてもなかなかでなかったり、熱々のホットなビールが出てきたり……そういうことでだんだん納得してもらうようにしたんですね」

 

 

──シナリオの直しは何稿ぐらいで?

 

「プロットの段階で10回やり直したので、シナリオでは2稿目が決定稿になりました」

 

 

雑誌の中には「世にも奇妙な物語を書くのが目標です」「世にも奇妙な物語を書きたいと思っています」なんて受講生の言葉もあり、やっぱり志望者にとって魅力的な枠なんだなぁとしみじみ。

 

私は「今は数名の脚本家を選出して、そこから何本もプロットを出させるのかな」と思っていたのですが、昔通りに何人もの若手に声をかけてプロットを提出させていたんですね~。これは安心。

 

それと、初めて知ったのですが「原作付き」はスタッフが選んで脚本家に書かせるだけでなく、脚本家自身が原作を選んで提出する場合もあるんですね。うろ覚えで書いたプロットが通ったなんて、裏話も面白い。

 

読めば読むほど脚本家の方々の苦労が窺える内容で、改めて尊敬の念を抱かずには入られません。どちらの方も『世にも』を足がかりにして大きく飛躍していただきたいですね!