世にも奇妙な物語 ブログの特別編

「世にも奇妙な物語 ファンサイトの特別編」管理人のブログです。

'08秋の特別編 感想

2008年最後の世にも奇妙な物語 秋の特別編。

史上初の5作品中4作品が漫画、小説、映画の原作が付いていると言う物でしたが、今回も様々なジャンルの作品を取り揃え、我々を楽しませてくれました。

 

それでは、いつもの様に今回の特別編の感想です。

◆「ボディレンタル」★★★

世にも奇妙な物語一発目は、94年の「心の声が聞こえる」以来14年ぶりに内田有紀さんが出演したこの作品。

 

漫画原作と言うことで、起承転結のハッキリとした非常にテンポの良い作品でした。自殺願望のある女性が主人公と言う事で、最後は立ち直るのだろう、本当にお婆さんが会社の邪魔をしているわけじゃないんだろうな等と予想がつきやすいですが、それでも後味の良いSFチックな一本だったと思います。

◆「どつきどつかれ生きるのさ」★★★

オール大阪ロケで撮影されたこの作品。

 

これは、主人公が奇妙な世界に入り込むのではなく、あらかじめ奇妙な世界を舞台にしている話ですね。あらすじは、男女物だとすれば非常にベタベタな手垢にまみれた展開なのですが、その男女を漫才のボケとツッコミと入れ替え、舞台を日本から独立した大阪国と言う物にすることによって非常に奇妙なおかしさをかもし出しています。

 

オチや展開の奇妙さではなく、純粋に、奇妙なシチュエーションを楽しむ作品でしょう。ただ、ベタなあらすじの上にシチュエーションの面白さを乗せているだけなので設定に慣れてしまえば、面白みが半減してしまうと思われます。もう少し、短くても良いんじゃないでしょうか。

 

所々、不意を突かれて笑ってしまった所がありますが、なんといっても佐藤二朗さん。キャラが立ちすぎて喋るだけで面白いですね(笑)

 

前回の記事にもありました、まさに「ありきたりなネタに新要素を加え、一味違った作品」の典型例でしょう。

◆「死後婚」★★

「恐竜はどこへ行ったのか?」「地獄のタクシー」「壁の小説」などなど、世にも奇妙な物語の名作も多く担当してきた中村樹基さん脚本の今回唯一のオリジナル作品。ウチのサイトの出演してほしい人投票で第1位になっていた深田恭子さんが偶然(?)にも主演を務めました。

 

ホラー作品でしたが、開始直後の死後婚を行う辺りが少々唐突な印象を受けました。その後、幽霊に殺されるかもしれないと言う疑惑、真相、そしてオチと、2度のどんでん返しがあったのですが、予想の範囲内と言いますか、そこまでの驚きもなかったと言いますか、さらに展開も急ぎ足な印象で、悪い意味でテンポ良く進んでいったなと思いました。

 

それに加え、深田さんのふわふわした雰囲気がどうもこの脚本に合ってないのではないかと言う感じも。また、演出もそこまで怖い感じがしませんでした。例を挙げれば絵馬をかける所を阻止し、逮捕されるまでの流れが緊張感がなく、どうも淡々としすぎてシュールな場面に見えてしまいます。落合監督や星監督の演出だとこの辺りはかなり違うのではないでしょうか。

◆「行列のできる刑事」★★★★

03年に「タイヨウのうた」「ガチ☆ボーイ」の小泉徳宏さんが製作した短編映画のセルフリメイク。「美女缶」同様に、今後も、この路線が増えていくのでしょうか。

 

内容は、まさに、反則に近いというか、やったもん勝ちと言うか、いやはや凄い話ですね。「あれ、今、世にも奇妙な物語を見ているのか?」と何度も再確認するほど実に個性的な作品でした。この感覚は「ママ新発売」以来。噛めば噛むほど味が出てきそうです。

 

これは、賛否両論だと思いますね。このゆるい感じにハマれるかハマれないかで評価も大きく変わると思います。私は、当初冷めた感じで見ていましたが徐々にこのゆるい感じがツボにハマってきました。車に容疑者を連れ込むシーンなど、非常に良いですね(笑)。ただ、さすがに所々、冗長な部分もあったと思います。オリジナルは10分らしいですからね。

 

あえて、ドキュメンタリータッチにしているコメディ作品はよくありますが、これを全国ネットでゴールデンに放送すると言うのは何でもありの世にも奇妙な物語だからこそできた事でしょう。そして、元々世にも奇妙な物語として作られた作品ではないからこそ作れた。そんな作品だと思います。かなりの珍作として世にも史上に強烈なインパクトを残す作品になったのは間違いないでしょうね。

 

原作版と見比べてみたいのですが、どうも未ソフト化のようで、今後発売される機会があれば、見てみたいと思います。

◆「推理タクシー」★★★

05年の「ネカマな男」の原作者でもある今邑彩さん2回目の世にも映像化作品。

タクシー内のみで展開する話と言うと91年放送の「バイパスの夜」がありますが、こちらも負けずに限られた空間内で非常に緊張感のあるストーリーが展開されていったと思います。いわゆる安楽椅子ってヤツですね。

 

ミステリー作品で、テンポも良く、伏線もありと、原作付き作品らしく、良くまとまっていて、ラストまであっという間でした。ただ、二人しかいないので谷原さんにも何かあるだろうと予測が付くのは仕方が無いかもしれませんね。

 

個人的には、運転手の方が一枚上手な印象を受けていたのですが、あのまま殺されたのだろうかと思うと少々腑に落ちないものが。運転手が首を絞められるが手品だった→お互い笑い合うみたいなラストを想像してしまいます、……って、それだとその先に○○があれば「バイパスの夜」になっちゃいますね。

◆ 総評

今回は、原作付きが4本、オリジナルが1本と、原作作品を重視している回でしたが、ほのぼの系、コメディ系、ホラー系、シュール系、ミステリー系と、5話全て違うジャンルを取り揃えており、非常にバラエティにとんだ回だったと思います。

 

色々なジャンルが揃っていましたが、何故か満腹感はなかったのと、やはり世にもはオリジナルで勝負してもらいたいと言う事で全体的な評価は★★★。

 

次回は15周年のときのように、全編オリジナルぐらいの勢いで行ってもらいたいですね。やはり世にも奇妙な物語の醍醐味である、恐怖系、ブラック系を中心にした回を是非。

 

次回はどんな作品が出てくるのか、どんな奇妙な世界を繰り広げてくれるのか、春の特別編までまた当分長くなりますが、楽しみに待ちたいと思います。