世にも奇妙な物語 ブログの特別編

「世にも奇妙な物語 ファンサイトの特別編」管理人のブログです。

ラジオの特集放送が続々

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投票期間は2020年4月19日(※延長しました)まで。アナタの投票をお待ちしておりますm(_ _)m

 

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今年は『世にも奇妙な物語』30周年という記念の年。年内には『記念サウンドトラック盤の発売』も控えており、世にもファンとしては5年ぶりの大きなお祭りを期待したいところです。

 

そんな最中、番組ファンとして注目せざるを得ないのが、Tokyo Star Radioで放送されている「ガラモンソング」の作曲家としても知られる蓜島邦明さんのラジオ番組『蓜島邦明のラッタラッタラ』。

 

番組内では、過去何度かサントラ発売に絡めた特集企画が行われていますが、いよいよ30周年が目前に迫ったこともあり、ここ最近『世にも特集』が続々と行われているんです。

 

そんなわけで、今回もこれまで同様、各回の内容を書き起こしでご紹介していきたいと思います!

かなり長い記事になっているので、目次も用意しておきました。

 

◆ 2019年12月31日放送分より

 

まずは、昨年12月31日に行われた世にも特集第3弾を。(別番組音源の紹介部分は省略)

 

蓜島「そういえばね、今年の発見なんですけど。 来年になって出していただける『世にも』の30周年記念でね、 来年『世にも奇妙な物語』のプロデューサーさんの植田(泰史)さんがこの番組に出ていただけることになりましてね。すごい深い話なんですよぉ~。色々と。

 

その中でね、植田さんが家に来て「蓜島さん、これわかりますか?『世にも』の何だか」って言って、かけていただいた曲がですね、私が歌ってるやつだったんですね。後になって嵐のメンバーに全部歌っていただいて、出来上がった作品の『オレのベッピンガール』って曲なんですけどね。こんなのやってたんですね。

 

ちょっと聞いて……デモなんですけどね。下手なんですよ私、あくまでもデモですから。ちょっと聞いてみちゃおうかね。

 

「オレのベッピンガール (デモVer)」('07春「才能玉」より)

 

蓜島「お宝ですねぇ~。いやぁ、意外と私も頑張って歌ってますね…うん。 後でね、これ嵐さんに歌っていただいてね、番組の中で放映したんですけど。私、その曲の録音持ってないんですよね。欲しいねこれ、どういうあれだったんだろうね。

 

来年ね。『世にも奇妙な物語』30周年記念ということでね、続々と色んなお宝が出てきてますねぇ。特に植田さんが持ってきていただいた中には……まあこれはですね、来年になって1月早々「世にも」特集、30周年特集で、まず プロデューサーの植田さんから始まってですね、色んな仕掛けがございます。

 

面白かったですよ。植田さん考えて来ていただいてね。 "蓜島さん なんとかクイズ"とかやっていただいたんですけど。来年になってお楽しみいただきたいと思いますね」

 

(中略)

 

「ガラモン・ダンス(劇場版ver)」(「映画の特別編」より)

 

蓜島「皆さん、良いお年を……ってまだ終わってないんですよね。 ホントになんか良い年が、越せそうな気がしますね。良い年でしたねまた。来年も良い年だねぇ。

 

映画のエンディングに流れた『世にも奇妙な物語』のテーマのダンスバージョンというかですね。 色んなものが入って、最後オーケストラも入ってくる形で終わるやつなんですけどね。

 

来年30周年記念で「世にも」のね、今まで作った劇伴が見つかりまして色々と。 それをCDで出したいなと思いまして。その中に入れたいと思っている曲なんですね。もちろん(この曲も)入れるんですねぇ」

 

「携帯忠臣蔵(映画の特別編「携帯忠臣蔵」より)

 

蓜島「あけましておめでとうございます! 来年もよろしくおねがいします。

 

え~映画の「携帯忠臣蔵」というの劇伴の中から……これは討ち入りのシーンまでいくのかなぁ? オープニングに近いような気がするんですけどね。冒頭かかってたような気もしますが。「携帯忠臣蔵」……これもね、CDの中に入れたいですねぇ」

 

「ブルギさん」('95冬「ブルギさん」より)

 

蓜島「これも『世にも』で作った「ブルギさん」っていうね、中の劇伴なんですけど。当時ね、結構民族音楽系ってのがすごく好きで。なるたけ民族系の音を入れたいなということで、こういう風なことになってしまう可能性も多かったんですけど。

 

「ブルギさん」ね。この間、まだまだね、色んな出てきてない劇伴がございまして、「世にも」の中で。どこ行っちゃったのかねぇ? こないだ植田さんが持ってきていただいた劇伴って、私が持ってないやつだったんですね。それをちょっとお借りして。その中の楽曲も良かったんです。

 

まだまだ「ブルギさん」の違う楽曲があるんで、これもちゃんとCDの中に収めたいなと思っております」

 

本回の目玉は、何と言っても『才能玉』(2007)の劇中歌『オレのベッピンガール』のデモテープの初出し。いや~実に貴重な物を聞かせていただきました。

 

歌詞が聞き取りやすくなったおかげで、これまで2度『ベッピンガール』を繰り返すと思っていた部分が、実は後半『ゼッピンガール』と歌っていたことを今更知りました…(笑)

◆ 2020年1月14日 放送分より

 

続いて1月14日放送分を。今回はファンにもお馴染みの植田泰史プロデューサーをゲストに迎えての特別版の前編。

なかなかコアな話が続々登場する濃密な25分に。

 

 

「ガラモン・ソング」(「サウンドトラック」より)

 

蓜島「えー今週はね『世にも奇妙な物語』のプロデューサーの植田さん、来ていただきました。喋っちゃおうかね。植田さんお願いします」

 

植田「はい、よろしくお願いします。共同テレビの植田泰史と言います」

 

蓜島「あ、すみません蓜島です。よろしくお願いします。お世話になってますね、すごく」

 

植田「いえ、こちらこそです」

 

蓜島「今まで何本やりましたっけ、植田さんの作品やらせていただいたの」

 

植田「多分……10本ぐらい」

 

蓜島「あ、すごいやってますね。10本かぁ……記憶にないやつがきっと」

 

植田「そうですね。今日はその記憶を辿るような、ちょっとした催しもやりたいなと 思っています」

 

蓜島「いやいやいや……じゃ、盛りだくさんですねすごく。それでね、植田さんの作品で僕が覚えてるのは『JANKEN』って、最近やったやつですよね。あれ何年前でしたっけ。5年くらい経ったんですか?」

 

植田「いやいや、2011年ですから8年前ですね」

 

蓜島「あ、じゃあかなり古いんですね」

 

植田「そうですね、もう」

 

蓜島「なんかね、初めて歌ものを『JANKEN』の中に入れたいって言うんで。あの時3人、マイケルって子とガウちゃん。今ちょうど売れ始めたんですけど。あともうひとりいまして……あ、そうだ。マイケルとガウちゃんの二人で歌ってもらったんですね。結構その中にハマっててね、意外と。かなりすごい設定でしたよね『JANKEN』」

 

植田「『JANKEN』は、そうですね」

 

蓜島「中国拳法っぽいやつ入っていませんでしたっけ」

 

植田「そうですね。ひたすらジャンケンをするという話なんですけど、参考にしたのは『少林サッカー』とかそういう作品なんで。で、後はまあ『バックドラフト』とかですね、映画の。そういう熱い感じみたいな物をテイストとして入れたいなということで」

 

蓜島「いやね、かなりアクションが凄かった気がするんです。何て言うんですかね……壮大な感じもありましたよね、作品自体に。あれすごいよく覚えてるんですよね」

 

植田「そうですね。CGとかもかなり使って。バカバカしいことを大真面目に」

 

蓜島「結構お金かけてましたよね」

 

植田「お金は……当時ある程度かけられたんで」

 

蓜島「そうですね。『世にも』始まった頃はちょうどバブルの辺り、ちょっと落ち初めたぐらいの時かな。だからね、バブリーなんですよ。役者さんもね、かなりすごい人たちが毎回毎回作品の度に出てて。今もね、それなりの人気のある子たちを植田さん選んでいらっしゃって」

 

植田「いやいや」

 

蓜島「最近の役者さん、誰か面白いなと思ったのいますか?」

 

植田「そうですね……皆さん旬の人、もしくはちょっと驚きのあるキャスティングというような、両建てでやってますので」

 

蓜島「凄いねぇ。結構私の番組不真面目なんで(笑) ほんとお酒飲みながらとか色々。今日はわざわざ本当に植田さん、私の自宅まで来ていただいて……ほんとにね。結構かしこまってるね、今日ね。ぶっちゃけるっていう感じなんですけど」

 

植田「いやいや(笑)」

 

蓜島「ここでなんかね、ちょっと植田さんがやった作品の曲をかけてみようかなって」

 

植田「ちょっとリクエストでMDを何枚か持ってきましたので、かけさせてもらいたいなと。自分の家もいまMD聞ける環境じゃないんで、どんな曲が入ってるのか、ちょっと探り探りなんですが……」

 

蓜島「じゃ、ちょっと一曲目聞いてみましょうか」

 

植田「はい。じゃ、MDの方の準備ができましたので、流してみますね。蓜島さんがどのぐらい自分の曲を覚えていらっしゃるかということで……」

 

「追いかけたい」('03春「追いかけたい」より)

 

蓜島「何だったっけな……何だっけ」

 

植田「覚えてないですか?」

 

蓜島「あ、街の中走ってるやつ……でしたっけ?」

 

植田「街の中?」

 

蓜島「違うか。なんだっけな」

 

植田「これはですね……2003年かな」

 

蓜島「2003年?」

 

植田「ええ、ずいぶん前ですね。『追いかけたい』という、京野ことみさん主演の一本なんですけど」

 

蓜島「『追いかけたい』か。ストーリー(の内容)って、大まかに何でしたっけ」

 

植田「これですね、元々原案がですね『全日本ストーカー祭り』というタイトルのお話だったんですけど」

 

蓜島「ストーカーの話?」

 

植田「ストーカーの話なんです」

 

蓜島「なるほどねぇ」

 

植田「京野さんがある男性が好きで……まぁストーカーみたいになってるんですけど。京野さん自身がストーカーに追い回されていて。で、京野さんが好きな男というのも、ある女性を追い回していて。ある女性というのは、実は京野さんのストーカーのストーカーだったという。ストーカーをぐるぐる回っちゃうという話なんですね」

 

蓜島「それで走っている映像が(頭の中に)出てきたのかな、さっき」

 

植田「あーそうですね。"追いかけ回す"というところが。(劇中で)走ってはいないですけど」

 

蓜島「なんかね、記憶があるんですよ。そっか、そういうストーリーだったのか……失礼致しました(笑)」

 

植田「いえいえ(笑) これはだからその、ストーカーがループしていくという話なので。ループ感をすごい大事に作って欲しいという風にお願いしたんです」

 

蓜島「それで同じ形をメッセージでやってるんですね」

 

植田「そうですね」

 

蓜島「なるほどね。でも、アコーディオンだから同じ感じで回ってても飽きないですね」

 

植田「ええ、これは名曲ですね」

 

蓜島「なるほど。いや、僕の所(この曲)持ってないんですよ」

 

植田「あ、そうですか」

 

蓜島「結構多いんですよ。DAT(テープ)が、とりあえずうちで発掘したやつと、あともうひとつ"SPOT"さんにあったやつ。それを集めてやってるんですけど。 来年ね、こういう劇伴のCDを出したいなと思って、いま動いている最中なんですけど。いや、これも……あったんですね」

 

植田「是非、入れていただきたい所ですね」

 

蓜島「いやいや……これMDから録るしかないですよね」

 

植田「ははは(笑) そうですね」

 

蓜島「これ、音効(会社)さん何処でした?」

 

植田「これは"ヴェントゥオノ"の志田(博英)さんなんですね」

 

蓜島「あ、ヴェントゥオノだ。じゃ、ヴェントゥオノに聞いたらあるかもしれないですね、ひょっとして。良いこと聞いた」

 

植田「そうですね、ええ。なんか本当にあの……ちょっと内輪の話になってきちゃいましたが(笑)」

 

蓜島「いや、良いんですよ。編集で切れます」

 

植田「あ、そうですね(笑)……これ(『追いかけたい』BGM)は名曲ですね」

 

蓜島「そうですね、覚えちゃった今」

 

植田「頭(の中)にそれこそループする音楽ですね。当時アシスタントプロデューサーだったうちの同僚がですね、初めてこういう劇伴を聞いてすごくいいなと思って、ダビングさせて欲しいと言ってきましたので」

 

蓜島「なるほどね。いや、それは嬉しいですね。こういうのもやっていたんだ。すごい。今まで何作品やってるんですかね一体。植田さん自体も」

 

植田「僕は20本強作ってるんですけど。ですから、蓜島さんに音楽作っていただいたのが半数弱くらいだと思います」

 

蓜島「そうですか。すみません、お世話になってます」

 

植田「いえいえ(笑)」

 

蓜島「記憶になかったわ……面白い。何か次ありますか」

 

植田「はい。じゃ、次もまた」

 

イマキヨさん BGM1」(15周年の特別編「イマキヨさん」より)

 

蓜島「あ、これはわかった。アベサダ(阿部サダヲ)さんのやつ?」

 

植田「ん? 違います。アベサダさんのは『カウントダウン』という作品で。僕じゃないです、担当が(笑)」

 

蓜島「『カウントダウン』だ。すみません(笑)」

 

植田「あ、でもこのブカブカ言ってる音は『カウントダウン』っぽいですね」

 

蓜島「ですよね。なんか音が似てるなっていう」

 

イマキヨさん BGM2」(15周年の特別編「イマキヨさん」より)

 

蓜島「ん、これは……何だっけ。こういう音何だっけ……このね、リズムはね。よく使うっていうか、たまに出てくるやつなんですよ。メロディーがね、感覚が違う……何だっけこれ。井戸の中に落ちちゃうやつじゃなくて……あ、思い出した。あの……あっ、名前が出てこない。あの"大黒さん"じゃなくて」

 

植田「ん?」

 

蓜島「大黒さんじゃなくて……何でしたっけ」

 

植田「あ。ああ、はい。そうですね」

 

蓜島「ね、ですよね。突っついてくる……何だっけ何だっけ」

 

植田「はい。『イマキヨさん』というタイトルの作品で」

 

蓜島「『イマキヨさん』だ。そうですよ、ちゃんとイマキヨさんって言ってるんですね」

 

植田「そうですね(笑) あのー、わらべ歌みたいな感じのメロディーにして欲しいってお願いして作ってもらいましたね、これは」

 

蓜島「そうだ。いやー『イマキヨさん』だ」

 

植田「名曲です」

 

蓜島「これも(CDに)入れたいですね」

 

植田「もう是非」

 

蓜島「これ無いんですよ、DATで」

 

植田「あ、そうですか」

 

蓜島「ええ……無い。欲しいけど無い」

 

植田「これDATありますよ」

 

蓜島「あ、ほんとに? それお借りしたい」

 

植田「あ、もう、もちろん」

 

蓜島「すごい。いいなぁ、今日ラッキーですわ。色々発掘できて」

 

植田「意外とやっぱり覚えてない感じで(笑)」

 

蓜島「『イマキヨさん』も面白かったですよね。かなり個性的で。どんどん増えていく」

 

イマキヨさん BGM3」(15周年の特別編「イマキヨさん」より)

 

植田「これはイマキヨさんが、あれですね。掟があって、その掟を破るとどんどん一体ずつ増えていくっていうか、倍々になっていくって話なんですよね」

 

蓜島「そうそうそうそう、そうですよね。映像出てきました」

 

植田「音楽的にも、どんどんとこう同じメロディーが増幅してくような音楽を作っていただいたんですね」

 

蓜島「そうですよね。そうだそうだ。……やっぱり『世にも』面白いのやってますねぇ、ほんとに。これはずっとファンがいるわけですよねぇ。まあ、こんだけ長く30年続いているのも、ファンがそんだけ支持してくれてるんですから。世界に無いですよね。30年こんな番組をやってるという」

 

植田「まあ、そうですね……有り難い話ですよね」

 

蓜島「素晴らしい。知力の集まりかもしれないっていう感じがすごくしてきて」

 

植田「(笑)」

 

蓜島「初代の頃から名物監督とかおりましたね、やっぱり」

 

植田「ええ、そうですね」

 

蓜島「また今新しい監督がどんどん生まれてて。でも才能がすごくありますね。また違う、個性的なものがあって」

 

イマキヨさん BGM4」(15周年の特別編「イマキヨさん」より)

 

蓜島「おっ、すごい。これは映像ハマるわ。……男の人が主人公ですよね?」

 

植田「そうですね、嵐の松本潤さんが主役で」

 

蓜島「ですよね。女の人いませんでしたか、相方っていうか」

 

植田「あ、恋人役で高橋真唯さんっていう人がいまして。で、あとイマキヨさん役は酒井敏也さんですね」

 

蓜島「ああ、もう……役者さんだけでも素晴らしいですね。恵まれてますね」

 

植田「まあまあ、ほんとに。色々恵まれてますね」

 

蓜島「素晴らしい。創作の世界がある。やっぱり、ちゃんと(物語の)世界行きますね。その音楽がしてるな、ちゃんと。自分で言うのも何ですけど(笑)」

 

植田「いや、これほんと名曲ですね」

 

蓜島「ほんとにそうだ。素晴らしい」

 

植田「じゃ、次に行かせてもらって……」

 

蓜島「ええ。つい聞いちゃいますね、最後どうなるんだろうかと」

 

植田「ははは(笑) 聞きます?」

 

蓜島「いやいや、大丈夫です。感触だけわかるとすごく嬉しい。初期の頃は僕、カセットであげてました。なんか監督さんに」

 

植田「ああ、そうでしょうね」

 

蓜島「その前は音効さんにオープン(リール)テープですからね。すごい時代の流れを感じるなぁ……」

 

植田「そうですよね、今やもうデータですもんね絶対に。ネットでやり取りですよね」

 

蓜島「そう、全てそっちになってしまって。いちいち持っていったもんね、オープンテープ。そしてカセットに落として、監督さんに分けて……」

 

「オレのベッピンガール (デモVer)」('07春「才能玉」より)

 

蓜島「あ、これ聞き覚えある。何でしたっけ? すごい…これ私歌ってるんですか?」

 

植田「そうですそうです(笑)」

 

蓜島「すごいね、世良公則だな(笑)」

 

植田「(笑)」

 

蓜島「え、なんかすっごい忘れてる。でも、この『ベッピンガール』は覚えてるんです。何だったっけ……いや、凄いの持ってますね植田さん」

 

植田「もう、家宝ですからこれは」

 

蓜島「私も持ってない。初めて聞いたっていうか(笑) えっ、これ流しちゃったんですか、テレビで」

 

植田「これは流してないです、仮歌なんで」

 

蓜島「仮歌ですよね。誰が歌ってたんだろう」

 

植田「これはまたヒントを言うと、さっきの『イマキヨさん』と主演が同じグループの人です」

 

蓜島「あ、嵐が歌ってたんですか?」

 

植田「嵐が歌ってました」

 

蓜島「あっ、当時そうだったんだ」

 

植田「ええ、嵐の櫻井翔くんが」

 

蓜島「歌ってたんですねぇ。いや、これ流すわけないと思っていたんだけど。すごいなぁ」

 

植田「ええ、元バンドマンの面目躍如という感じの曲で」

 

蓜島「なんか野生に戻ってる匂いがすごくあるような気がするんですけど。もうホントに……いやぁ、強力なのお持ちですね」

 

植田「これは『才能玉』という、嵐の櫻井翔くんが主人公をやりましたドラマですね」

 

蓜島「そうだ。植田さんのやつ結構歌モノが付き物ですね。意外と」

 

植田「そうですね、でも……」

 

蓜島「そうでもないかな。でも好きですよね」

 

植田「まあ、わりと好きですね」

 

蓜島「僕も大好きなんですけど、すごく(笑)」

 

植田「(笑)」

 

蓜島「いや、これはビックリしてしまった。すごい。今年の大ヒットですね。すごい。でも、なんか歌い方が古さが出て……(笑)」

 

植田「(笑)」

 

蓜島「すごく、ほんとに……(笑)」

 

植田「これはあの、リクエストで。ちょっと古臭くて良いと。で、音楽の才能を求めている音楽青年なんだけど、なかなかその才能に恵まれなくてっていう話だったので、才能を開花させる3つの飴玉を舐めていくっていう話で、最後まで音楽の才能には恵まれないっていう青年が主人公なんですが」

 

蓜島「これってあれですか、『世にも』のスペシャルとかでやってました? スペシャルじゃなくて? この頃からもう春夏秋……シーズン明けでしたっけ」

 

植田「あっ、あの……もちろんもちろん。そうですね、これが2005年ぐらいだったと思うんですが」

 

蓜島「毎週のやつ?」

 

植田「あ、2007年ですね。12年前」

 

蓜島「11年前」

 

植田「12年前ですね」

 

蓜島「12年前だ。すごい古……古くないか。素晴らしい」

 

植田「そうですね。当時から古い感じの曲をっていう風にやって。微妙にちょっと外した感じとかを、変えてやってもらって」

 

蓜島「でもあれですね、作品自体が弾んでますね。色々と。バラエティに」

 

植田「まあまあ、そうですね。はい」

 

蓜島「最近やっぱり、ある程度落ち着いたっていうか。なんとなくこう色んな方向行ってた部分もあって。つい最近やった『世にも』のやつは非常にあの……『昔の世にもに戻った』っていう人たちが多くて」

 

植田「ああ、有り難い話ですね」

 

蓜島「かなり絶賛してましたよ、すごく」

 

植田「ありがとうございます」

 

蓜島「ネットなんかで『昔みたく良かった』『今回は見る価値があった』とかね、色々多かったですね」

 

植田「そうですね。まあ、温故知新でやりたいなと、いつも思ってるんでですね」

 

蓜島「やっぱり『世にも』の魅力ってそこらへんにあるんですよね」

 

植田「そうですよね。まあ懐古主義ばかりでもダメなんですけど。やっぱりあの、古くて良いものはちゃんと認めて…で、やっぱり新しいことにもチャレンジしてくっていうのが『世にも奇妙な物語』だと思ってやってますね」

 

蓜島「ですね。素晴らしいですよ。どんどんどんどん世代も変わってって、監督さんも変わっていってるんですけど。それをずーっと継続して、スタイルを壊さないでやっていってるって……日本の宝ですね、本当に。音楽的にも。ほんとに」

 

植田「おかげさまですね、本当に」

 

蓜島「他の局にもないし、世界的にもこのくらいの感じは無いと思うんですね。だから中国なんか行ったときに、みんな『世にも』知ってるんですよね」

 

植田「あ、らしいですね」

 

蓜島「みんなYouTubeで見てて。『私こういうの見た』『私こういうの』ってみんな結構言われてしまって。いや、だからすごいその、持ち上げて言うような……やっぱ認められるんですね、本物だと。結局本物が残ってきますもんね実際」

 

植田「まあ、ほんとそうなんですね」

 

蓜島「素晴らしいですね。……しかし、(自分が)歌ってるのはすごかった(笑)」

 

植田「あはは(笑) 僕でも、蓜島さんの歌声初めて聞いたんですけど。『いや、上手いな!』っていう風に当時思った覚えがあります」

 

蓜島「若い。凄いな」

 

植田「ま、ノリノリですね。でもね」

 

蓜島「すみません、ほんとに(笑)……貴重だ。まだ隠し玉あります?」

 

植田「そうですね。こっからはちょっとクイズというよりは、思い出を語らせていただくという感じで次の一枚を」

 

「太古の少年」(NHKドラマ「TAROの塔」より)

 

植田「これ、わかりますよね」

 

蓜島「これ『TAROの塔』ですよね。『太古の少年』ですよね」

 

植田「ええ」

 

蓜島「最初『世にも』かなと思ったんですけど。これは音が違う」

 

植田「これ実は『世にも奇妙』で使わせてもらってんですよ」

 

蓜島「あ、そうなんですか。ありがとうございます。これは秋田の花火大会でも使っていただいて」

 

植田「あ、そうですか」

 

蓜島「1キロの広さの花火をこの曲で打ち上げてたんですよ。それはすごかったです。岡本太郎さんの誕生100周年のドラマで。ちょうどこの時ね、震災あったんですよね。放送の日。だから放送が色々グチャグチャになっちゃって。これは『世にも』の何で使って…?」

 

植田「これはですね。実は『JANKEN』の中に使ってるんですね」

 

蓜島「あ、そうだ。そうだそうだ。ということは『JANKEN』と、これを作った時と大体同年代なんですね」

 

植田「そうですね。『JANKEN』と同時期に近いと思いますね。『JANKEN』も2011年なので。2011年の秋の特別編ですね」

 

蓜島「なるほどね。すごいわ~。すいません、これ使っていただいて」

 

植田「いえいえ(笑)」

 

蓜島「今ちょっと驚いてて。かなり『JANKEN』ってME(ミュージックエフェクト)を苦労されて作ってたような気がするんですけどね」

 

植田「そうですね、ええ」

 

蓜島「なるほどね、素晴らしい。いや~すごいなんか色々出てきますね」

 

ストーリーテラー(「サウンドトラック」より)

 

蓜島「この話は、また来週」

 

◆ 2020年1月21日 放送分より

 

前回の対談の続きとなる1月21日放送分。

 

本回では『JAKEN』の舞台裏だけでなく、番組の根幹にまつわる話から今年の30周年企画についてまで……マニアックな話が続々飛び出した、またもファン必聴の回となりました。

 

 

「ガラモン・ダンス(劇場版ver)」(「映画の特別編」より)

 

蓜島えー『ラッタラッタラ』。今週も『世にも奇妙な物語』特集で、プロデューサー植田さんにお越しいただいております。

 

先週は『世にも』の作品の中で、植田さんが担当された『才能玉』途中までの話、その後半をお聞きいただきたいと思います。植田さん、植田さん、共同テレビ植田です!

 


 

蓜島「いやー、で……ね?(笑) 才能玉」

 

植田「ああ、はい。そうですね、『才能玉』もそうですし、ちょっと前にかけたのは『JANKEN』の中で使わせていただいた曲」

 

蓜島「あと、先程の『TAROの塔』も『JANKEN』の中に入ってたっていう」

 

植田「そうですね、『JANKEN』の一部で使わせてもらって。今日は『JANKEN』の他の曲は持ってきてないんですけど、あれもとても苦労していただいて作ったんですね」

 

蓜島「何でしたっけ」

 

植田「歌入りの曲はひとつ必要であると。曲の方向性として、僕は『バックドラフト』みたいにしたいとお願いしたんです。『バックドラフト』も当時の流行りとして歌入りの曲があったので、それに倣ってそういうものをお願いしたんですけど」

 

蓜島「ええ」

 

植田「で、最後のクライマックスにジャンケン勝負をして、主人公が勝って、人間として成長するというような話だったんですけど。そのジャンケン勝負のシーンがですね、20分の作品の中の半分くらいあるんですよ」

 

蓜島「あ、最後のね」

 

植田「最後のジャンケンバトルが10分近くあって。それをシームレスに曲を流して欲しいっていう風にお願いしたので、10分弱の壮大な曲を作っていただいたっていう。もちろんその中でブロックがあるので……」

 

蓜島「10分弱の壮大なやつって……(僕が)作ったんですか?」

 

植田「作ってもらいましたね。覚えてないですか?(笑)」

 

蓜島「いや、どういうんだったっけな。かなり前ですね?」

 

植田「『JANKEN』が……えっと、自分もちょっと記憶が曖昧なんで。いい加減なことも言えないんで……(書類をめくる音)『JANKEN』が2011年ですね、さっきも言った通り。2011年なんで8年前」

 

蓜島「なるほどね」

 

植田「で、その10分弱の曲を作っていただいて。そこのテーマがですね、"飽きさせない"というテーマがあって。単純にジャンケンをしてるだけなんですけど、映像的にもどんどんとこう、スケールアップしていくような感じで。最初はジャンケン勝負の会場で……」

 

蓜島「あ、思い出した。空飛んじゃったりとか、色々やりますよね。だんだん凄まじくなっていった」

 

植田「そうです。ワイヤーアクションをやったりとか」

 

蓜島「作った。ずーっと音楽だったような気がする」

 

植田「そうなんです、ずっと音楽。で、CGを駆使して最終的には宇宙空間まで行って…っていうような作りにしてましたね」

 

蓜島「そっか、そうですよね」

 

植田「そうなんですよ。10分もジャンケンやってるだけなんで、とにかく映像的にも飽きさせない、音楽的にも飽きさせないっていうようなことがテーマだったので、とても(蓜島さんを)苦労させた覚えがあります」

 

蓜島「なんか、何回も作り直ししたような気がする(笑)」

 

植田「その通りですねぇ(笑) 」

 

蓜島「途中のパートが、もっと力強くなる(ように作ってくれ)とか(笑)」

 

植田「そうですね、もっと力強く、切なくっていうんで」

 

蓜島「色んなあれがあるんですよね、10分間の中にね。ドラマというか……ジャンケンしてるんだけど」

 

植田「ええ、だから最初はちょっと抑え気味にしてもらって。で、最後カタルシスまでガッと持ってかなくちゃならないっていうんで、その構成から色々相談しながら、時には『ちょっと、やり直してください』というお願いしながら作った覚えがありますね」

 

蓜島「ですね、そうだ。……植田監督しか覚えていないものもある」

 

植田「ええ(笑) いや、もうトラウマの扉を開けてしまったんじゃないですか?」

 

蓜島「『JANKEN』と、その戦いもの……何でしたっけ。結構バトルものもありましたよね。『JANKEN』だけではなくて」

 

植田「バトル物は……」

 

蓜島「老師が出てくるのは『JANKEN』か」

 

植田「そうですね、ええ」

 

蓜島「あーそうか。先程のマイケルに歌ってもらったものも?」

 

植田「『JANKEN』ですね」

 

蓜島「『JANKEN』。かなり僕もイメージ強いんですよ『JANKEN』の」

 

植田「そうですね。最初の修行のシーンが、歌の『Life is JANKEN』という曲ですね。あれも名曲だったんですが。で、後半の老師が死んでしまって、一人で修行するというシーンには『TAROの塔』の曲を使わせてもらって。

 

で、ジャンケンのマスターになって、いよいよ最終バトルをすると。そこに10分間の長い長いバトルシーンがあって、それを一曲で包んだという感じですね」

 

蓜島「いやー、さすがやっぱり……覚えてますね」

 

植田「(笑) あれは、僕も実は結構(蓜島さんの自宅がある)八王子通った覚えがあります。あの時、何度か」

 

蓜島「言えてますね。覚えてる、何度かいらっしゃいました。テラス平山城址って、今(の住所)と違う場所だったんですけど、山の中腹にいて。上がってきましたね、みんなあそこまで。よくいらしていただいたわ。みんな熱意が有るんですよね、ほんとに。いらしていただいて、ちゃんと見て納得していただくってこと最近ないですからね」

 

植田「ああ、まあね。もうネットでやり取り済みますからね。でもなんかやっぱり、一緒に同じスピーカーから出てる音を聞きながら、あーでもないこーでもないっていうのも大事な時間なんじゃないかなっていう気がしますね」

 

蓜島「でも、ネットでやり取りするよりも、結局やっぱり作ってるサイド、監督さんとかと会って作ったほうがより深いとことかね、監督さんが持ってるものが伝わりやすいんですよね。その場で変更していって、ちゃんとしたものが出来上がるっていう過程がやっぱり大事ですもんね。だから作品自体も良いものが生まれてたんですよね、『世にも』ね」

 

植田「そうですね」

 

蓜島「みんな昔から、監督さん自身が初期の頃も家に何度か (音源を)取りに来ていただいたとか、色々来ていただいたっていうのが多いですね、最近は無くなりましたね、ほんとに。みんな忙しいんですかね?」

 

植田「まあまあ……そうですね」

 

蓜島「余裕も、下準備からもあったし、その分やっぱ豊かですね」

 

植田「そうですね。今やっぱり聞き直してみても、とても力がある感じがしますよね」

 

蓜島「うん、そうそう」

 

植田「あの、さっき『イマキヨさん』のMDを聞いていただいて、最初の方の何曲かを飛ばしたんですけど……まあ正直言うとですね、全部没になった曲なんですよ(笑)」

 

蓜島「(笑)」

 

植田「2枚目のCDが全部リテイクしたものなんですけど。やっぱこういっちゃ何ですけど……やっぱ神がかってる気がしますね。2回目のほうが。で、今の僕が1回目のMDで貰ったもの、あれもなかなかいい曲だったんで(今なら)OKを出してただろうなっていう気がしていて。当時は『まだイケるだろう』っていうような……」

 

蓜島「あのね、『まだイケるだろう』なんですよ、みんな。ほんとに監督さんがそうなんですよ。まだ出るだろうって。『世にも』のテーマソングを作ったときに、最初10個ぐらい持ってって、これで大丈夫だろうって。ところが『まだイケるだろう』ってな感じで、次持ってって『まだイケるだろう』……3回くらいやったような気がするんですよ。

 

だから曲数が多くて。おかげでそれが劇伴になったり、タモリさんの登場のね『ストーリーテラー』になったりとか色々ね、出来たんですけど。まだイケるだろうっていうのがすごくみんな……熱意ある人が多かったですね。ただ、作品も良い物を撮ってます」

 

植田「そうですね。それがやっぱり何かで覚えてしまうと、やっぱりもう『蓜島さんはこんなもんじゃないだろう』っていう風に思ってしまって、苦しめている所もあると思うんですけど(笑)」

 

蓜島「全然苦しくないです。楽しいですからね、すごく。自分の考え方と違う考え方っていうか、物事は刺激的なんですよね。『あ、そういう所から来るんだ』っていう。そこで考え方を変えてまた作業が出来るんで。思い描いていた世界観がお互い出来上がってくるじゃないですか。作品としてもやっぱり先程の力強さっていうものが出てくると思うんですよね」

 

植田「ええ、そうですね」

 

蓜島「いやー素晴らしいですね、良い時代ですね。最近でも、もうちょっと『世にも』やらしてほしいんですけどなんて言ってたら、ちょっとずつやらしていただいてきて(笑)」

 

植田「そうですね、最近でも、前回の秋の奇妙で名曲をまた作っていただいて」

 

蓜島斉藤由貴さんの歌ったやつとか」

 

植田「そうですね、ええ」

 

蓜島「その前、郷ひろみさんのライダー物になっちゃうやつがあって……ほんとにね、色々やっぱやってると楽しいですね」

 

植田「あのー、前回作っていただいた斉藤由貴さんの曲もですね、あれも斉藤由貴さんのお気に入りで」

 

蓜島「あ、そうなんですか」

 

植田「ライブでも歌われたっていう」

 

蓜島「あ、良かったです。……良かったですじゃないか(笑) あれなんか評判良かったですよね」

 

植田「あれはもうほんとに。撮影中もですね、みんなもう頭に残ると。ずーっと頭の中でループして鳴ってるよっていうようなことを言ってましたし。放送後もやっぱそういう意見多かったですね。あの曲が頭に残って……また怖い話だったんで。ちょっと眠れなくなったみたいな話もあったんですけど(笑)」

 

蓜島「トイレ行けないじゃないかって、どうしてくれるんだっていう(笑)」

 

植田「(笑)」

 

蓜島「久々の感覚だったんじゃないですかね、あの感じ。『世にも』が戻ってきたっていうか。まあ元々怖い話をやる番組だったんですよね。でもホラーではなかったんですよね、あくまでも。やっぱブラックジョークが結構効いてて、それで社会批判もあったじゃないですか、かなり。そういう所もまとまってましたよね。奥が深い番組ですね、やっぱり」

 

植田「ああ、そうですねぇ……」

 

蓜島「こないだちょろっと見て…初期の『世にも奇妙な物語』"四天王監督"っていうのが出てたんですけど、四天王っていうと小椋(久雄)さん?」

 

植田「小椋さん、落合(正幸)さん、鈴木雅之さん、あとは……星さん。星護さんですね」

 

蓜島「ほんとに初期のメンバーですよね」

 

植田「そうですね、ええ」

 

蓜島「強力でしたね、皆さん。個性強くて」

 

植田「まあ個性強いですね」

 

蓜島「すごい強い……星さん個性強すぎ(笑)」

 

植田「(笑)」

 

蓜島「星さん夜中の2時に家に来て、廊下で行進して『この速度!』ってのやったの覚えてますね。夜中だったか10時だったか、大体夜中に近かったですけど。速度をちゃんと確かめていく監督だった」

 

植田「まあね、一番その4人の中でも音楽にこだわりのある人ですからね」

 

蓜島「そうそう、すごいこだわって。ボクシングのシーンがあって、相手を殴るとこなんですけど。普通だとそこにシンバルを入れて、スッというスピード感を出すんですけど、『いや、ちゃんとした音楽にしてくれないと困る!』って言われて。

 

そこでジャジャジャジャジャン!とかいう(曲にして)。そういうとこのこだわりがすごく……細かったんですよね、とても。でも、やっててすごいやりがいがあって、面白かったですけど。落合さんは落合さんで、また違う現代音楽的なものがすごく好きな」

 

植田「ああ、そうですね」

 

蓜島「その割にはすごく"Love"とかね、そういう物も意外と表現したいような。小椋さんも小椋さんで、鈴木さんも……皆さん個性的ですよね、かなり。今でも『世にも』を担当してらっしゃる監督さんってのは何人……?」

 

植田「あのー、そうですね……まあ外部の監督に入ってもらうこともありますし、うちの監督でも色んな人が、それこそ若手からベテランまで色んな人が登用される……うちの会社の大きな財産ですので。なので、専従の監督というのは特に無いという状態ですね」

 

蓜島「うんうん」

 

植田「でも、やっぱりその……番組を始めた4人の監督がそれこそ個性が豊かだったので。そこら辺からの影響でですね、なるべく個性的なものを作っていこうというような所はスピリットとして残っている感じですね」

 

蓜島「あのーやっぱ、個性っていうか、独創的なんですよね。生み出す力も。やっぱり人の真似ではなく自分の物を持っているっていうんですかね、監督自体が。色……色っていうんですかね。それが出ている人たちで作るとすごいものができてきますよね。それなりの個性というか」

 

植田「そうですね、ええ」

 

蓜島「色って出ますよね、個人のね。体験したことが自分の中に入ってて、結局それで演技指導から何からやるわけじゃないですか、美術とか。その中の体験感っていうのが監督のものが出てきて。色が、自分の思ったような創作性がすごく出るのが『世にも』とかやってると、ほんとに。みんな面白がってやってますよね。みんな楽しいっていうか」

 

植田「そうですね。あのー、やっぱり産みの苦しみも当然あるはあるんですけど。他のメディア、媒体に比べると自由度が大きいと言うか。そもそもが個性的で、自分らしさというものを出せというようなお題のある番組というか」

 

蓜島「あれですよね、意外と脚本に対してもハードル高いですよね?」

 

植田「そうですね、20分のものなんですけど。結構時間かけてじっくり作っていますね。脚本に関しては」

 

蓜島「ですよね。すごいハードル高いですよねぇ。某有名な…色んな方がですね、『脚本書いて出しても、いくら有名でもダメ』っていう(笑) そのハードルの高さっていうんですか。動じないというか。ちゃんとしたものを、やっぱり色を出したいっていうね、その辺の個性感が確固たるものがあって」

 

植田「そうですね、そこはフェアですね。たとえ大御所であっても、やっぱり奇妙としての世界観というのが足りてなかったらそりゃ直してもらいますし、直すことができないというのであれば……」

 

蓜島「(採用は)やめようっていう」

 

植田「そうですね。という形で」

 

蓜島「はっきりしてるんですね」

 

植田「そうですね、それはもうほんと」

 

蓜島「ちゃんとしてる。僕の知り合いの方がやって『いやー、ハードル高いよ』って言っていたの覚えてますけど。そんなね、奇妙なんですけど。来年30周年で……何かやられる?」

 

植田「あのー……まあ何かしらは思うんですが、まだ色々とみんなで考えてるというところですね」

 

蓜島「楽しみですね、すごく。どういうものが出来上がるのかね。いやーなかなか……植田さん、いいお話いっぱい聞かせていただいて。すごい喜びますよ『世にも』ファン」

 

植田「だと良いんですけどね」

 

蓜島「僕が知ってる関西の方の監督は『世にも』みんな知ってますからね。何言ってもすぐ話せるっていうぐらいマニアックで。『僕に話させてくれたらずっと話してますよ』っていう人が多い、意外と。やっぱみんなそれなりのね、番組の中で……今週もプロデューサーの植田さん、ありがとうございます。来年がまた楽しみです。2021年、世にも30周年記念」

 

植田「ええ、2021年……ん? 2020年」

 

蓜島「20年だ。さらに行ってしまった(笑)」

 

植田「来年2020年が30周年ですね」(筆者注:対談収録は2019年)

 

蓜島「そうそう(笑)」

 

植田「僕が入社したのが1990年なんですね、共同テレビに入ったのが。で、4月入社で、4月から始まったのが『世にも奇妙な物語』。ゴールデン移ったばっかりだったんですけど」

 

蓜島「ちょうど入社した時」

 

植田「 入社した時に、一番最初に右も左もわからない状態で下っ端の助監督して入ったのが『世にも奇妙な物語』だったんですけど。そんな番組にずっと携われたっていうのがほんとに……有り難い話だなという」

 

蓜島「素晴らしい、素晴らしいです」

 

植田「あの、ちょっと(蓜島さんと)お話したかったことをいくつか……」

 

蓜島「ええ」

 

植田「蓜島さんの音楽の魅力についてちょっとお話したいなっていう風に思っていたんですけど…… 自分の音楽の特異性ってどこにあると思います?」

 

蓜島「音楽の特異性ねぇ……あんまり考えないで作ってるからね、いつも(笑)。まあ得意な分野ってのはあると思うんですよね。でも、意外と最近なんかは歌謡曲系のものをやらせていただいたりとか。

 

あのー『世にも』をやっていたので、結局その後『NIGHT HEAD』とか作ったりしてたじゃないですか。 で、結局イメージが『怖いもの』っていう…サスペンスとかね。そっちの方のイメージが結構ついてて。 未だに怖いもののオーダーが来ることが多いというか。まあ結局"陰界な世界"っていうかな。

 

クーロンズゲート』っていうゲームもそうなんですけど。『クーロンズゲート』も今年22年経って、アナログ盤が出来たんですよ。22年経ったときに。『クローズンゲート』は元々『NIGHT HEAD』を見た人が『絶対これ合う』ってやったんで、結局"陰界"なんですよね。

結局もう特色って言ったら"怖い"。音楽界の稲川淳二っていう(笑)」

 

植田「(笑)」

 

蓜島「こないだ取材に来てさ。うちの部屋で撮影するって言うんで、それで照明入れるって言うから。 『照明出来上がりました』って入ってみたら、うちの部屋青くなってるんですよね(笑) お化け屋敷じゃないんだからさ(笑)

 

やめて欲しいと思ったんだけど『いや、これがやっぱり良いと思う』って言うから。しょうがないから下から顔(に照明)当てられてお岩さんみたくなっちゃって(笑)。でもね、やっぱりそういうイメージが強いんですよ」

 

植田「なるほど」

 

蓜島「うん、それはそれで良い方だなと。おかげさまで怖いところの作り方とか、どういう音が怖いとかね。色んな研究させてもらって。 こないだもラジオで喋ったんですけど、高周波とかってのはちょうど魔界の口が開くような所まで行くんですよね」

 

植田「ほう……」

 

蓜島「最近特にソフトシンセっていうのは、普通のアナログシンセよりももっと高周波が出るんで。 ちょうど『仮面ライダーアマゾンズ』やってたときに、ピーッって高い音の所から笑い声が聞こえ始めたんですよね。『あっ、これヤバイな』って思って。周波数が合っちゃったんですよ、そこの所で。

 

よく周波数が合うとかって言うじゃないですか。みんな電波で動いているもんだから。 下の方は下の方なんですけど、低音部でずーっとチューニングを落としていくんですよね。そうするとね、地獄の釜の蓋が開いたような感覚に陥る。

 

こう、ゴーッとという…とこの周波数があるんですよ。そういう風なこととか、色々研究させていただいて、音作りもね。怖いものはすぐ出来るようになってしまったっていう(笑) これが良いんだか悪いんだかどうなんですかね」

 

植田「そうですね。自分はもちろん怖い音楽というか音というのもお得意であるというのはよく知ってるんですけど。自分なんかブラックコメディとか多くやってて、それにぴったりな音楽も作っていただいてるので。"怖い"という風にはカテゴライズできないなって思うんですけど」

 

蓜島「僕ね、あとやっぱブラックジョーク好きなんですよね。ニーノ・ロータとかね。独特な音楽のニュアンスでやるじゃないですか。ああいうのも取り入れて、ヨーロッパ系とか色んなそういう物が混ざってくると『世にも』なんですよね。

 

ただ『世にも』は『世にも』にしかない音があるんですよ。世界観とか。他の番組にも『世にも』っぽいやつ作っても全然合わない。ニュアンスがちょっと違うんですよね、色んな形で。なので、色々と別け隔てなくやっていくと……やっぱりあれですね。どれが個性なのかと言われても、その作品によりますね」

 

植田まあ、そうですね。僕は一言で言うとですね、ちょっと失礼な言葉を使って言うと"洗練されてない所"が蓜島さんの良い所というか。一番の売りなんじゃないかなっていう……

 

「オレのベッピンガール (デモVer)」('07春「才能玉」より)

 

蓜島「えー、話は続いておりますけれど。来週もこの続き聞きたいよなぁ~。来週は……」

 

 

前回に引き続き、興味深い話が続々登場した後編。なんだかさらに続きそうな感じで終わっていますが、以降3週連続で再放送になっていたので、どうやらこれで完結となっている模様。

あまりに意味深な終わり方だったので、まだ続きがあるんじゃないかとここ1ヶ月ほど振り回されてしまいました…(笑)

 

それにしても、スタッフみんなで考えているという30周年企画には期待しかないですねぇ。

サントラの発売も控えていることですし、ファンにとって何かと楽しみの多い1年になれば良いのですが……!

 

なお、話題の途中に出てきた"青い部屋"の件ですが、気になる方は以下の記事へ。本当に青いです!(笑)

 

ontomo-mag.com