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'19秋の特別編 感想

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◆ '19秋の特別編 感想

今年最後のお祭りこと「'19秋の特別編」の放送が無事終了しました。

前回の「雨の特別編」はハートウォーミングもの中心ということで新鮮味のあった一方、世にもファンからは「物足りない」との声が数多く聞かれました。

 

そんな雨SPから一転、今回はブラック・ホラー系中心という世にもファンにも嬉しいバランスの回に。さらに今回は18年ぶりに原作モノが一切ない完全オリジナル新作回!

 

後は面白ければほぼ完璧といったところですが……なんせ30周年にバトンを渡す大事な局面。そちらの意味でもドキドキしつつ、ラストまでしかと見させていただきました。

 

というわけで、今回も私の個人的な感想を。評価は★5つが最高となっています。

◆ 第1話「鍋蓋」★★ 

ある日、不思議なアイテム(サービス)に出会った主人公が、どんどん対象にのめり込んでいって……という世にもでは王道の一編。

 

本作一番のキーアイテムである『鍋蓋』の使い道ですが、個人的には予想の範囲内だったというか、真っ先に候補から外していた選択肢が実は正解だったというのがやや残念。もう少し『そのためだったのか!』という驚きが欲しかったですね。

 

また内容としても、過去『レンタル・ラブ』『仮婚』『幸せを運ぶ眼鏡』『運命探知機』といった前例が色々あるので、どうしても既視感が拭えず。この手の『実は企業の新サービス・新商品でしたオチ』というのはどうしてもラストの説明が冗長気味になってしまい、本作はその短所が強く出た印象が残ります。このタイプはよほどスマートにやらないと、つじつま合わせ感がどうしてもにじみ出てしまうんですよね。

 

良かったポイントとしては、主演の杉咲花さんの豹変っぷり。あそこでグッと引き込まれました。もう少し後半の展開に新鮮味があれば……★2つ

◆ 第2話「恋の記憶、止まらないで」★★★★★

番組では「絶対イヤ!(1990)」「出られない (1994)」で、そのコメディエンヌっぷりが印象的だった斉藤由貴主演による番組初のホラー作品。

 

とにかくもう……最高でした!

 

ここ10年のホラーではナンバーワンかもしれないなと。いい物を見せてもらいました。期待以上でした。手心一切なしの満点評価です。

 

ここまで絶賛するポイントとしては、『安易なビックリ系に頼らない真摯なホラー演出』『呪いの○○というベタなテーマでありながらただのベタに終わらせない考えられた構成』『主人公の死を直接描かずあそこで終わらせる潔さ』 などが挙げられますが、何と言っても『「恋の記憶、止まらないで」というタイトルの使い方』ですね!

 

最初の発表時は「これまた変なタイトルを付けたもんだなぁ~」と思っていたんですが、2年前の「今は絶対だよ」のような例もあるので、まあ作家さんの感性かな…とそこまで気にしていなかったんですよね。……してやられました。アイディアの勝利!

 

これ、下手にやると「ただのダジャレかよ!」と大いに冷めさせてしまう危険性(中にはそういう人もいたでしょうが)をかなり含んでいるんですが、ここに至るまでの丁寧な構成と演出のおかげで、大半の視聴者を作家の目論見通りにバチッと狙い撃ちできるという、脚本・演出ともに非常に良いお仕事をされているなと思いました。

 

これまで数々の小説やらドラマや映画やらを見てきたわけなんですが、年々『やられた!』と思えることが少なくなってきているんですよね。そんな中で今回、愛する「世にも」で十数年ぶりにこの感覚を味わえるとは……それだけでもう「ご馳走様です!」という心境。名作『プリズナー』のように、ひと手間加えるだけでグッと印象が全然違ってくるんですよね。こういうエッセンスのホラーが見たかったんですよ!

 

他の注目ポイントとしては、あの『トリハダ』でお馴染みの笹野鈴々音さんが番組に初登場というホラードラマファンには衝撃の大事件も印象的。放送日直前まで知らされておらず、文字通りひっくり返りそうになりました。使い所もバッチリ。

 

あとは、番組テーマの作曲家である蓜島邦明さんの手による劇中歌とそのCM。呪いのCMソングというとクリネックスの有名なCM等がありますが、本当に80年代初期にローカルでやっていそう感が素晴らしかったですね。80年代はアート系を意識していたせいか、不気味なCM、不可解なCM色々ありました。

 

……とまぁ、べた褒めしかしていませんが、この十数年のホラー物に対する不満が色々あったので、怖くて驚けて余韻も残る…という本作の登場には心から拍手を贈りたいです! 

 

岩田監督の良作メーカーっぷりに関心すると共に、メジャードラマ初デビューとなる諸橋隼人という作家さんを発見できたのも収穫でした。「世にも」ホラーの今後が非常に楽しみ。文句なしの★5つ。

◆ 第3話「コールドスリープ」★★★

昨年からプロデューサーとしても携わるようになった植田泰史監督の最新作。前回の「大根侍」から一転、今度は直球のハートウォーミングを持ってきました。

 

率直な感想としては、もうちょっと尺が必要だったかなという印象ですね。後半の主人公の心境の変化からラストまでがやや駆け足気味だったかなと。番組初期からの課題である『感動物 時間が足りない問題』は今なお後を引いているようです。

 

とはいえ、さすがオールマイティーな植田監督作なこともあり、妙なツッコミ所もそこまでなく、テンポも良い手堅い作り。世にもの感動モノとしての平均点は十分高めだと思います。が、今回の作品群の中ではどうしても地味な印象になってしまうかなと。しかも「恋の記憶」と「ソロキャンプ」に挟まれているわけですからね~。まあ、今回のラインナップを考えると3話目に入れるしかなかったのもよくわかるんですが。

 

2回見直してみて、実は植田監督ってコメディ作よりも「明日へのワープ」のように、こういう路線をメインにやりたい方なのかな?と思ったりも。あとEDの後日談は視聴者を最後まで引っ張るための苦肉の策なのは重々承知の上、それでも従来の路線にして欲しい人間なので…。そこを考慮して★3つ。

◆ 第4話「ソロキャンプ」★★★

「恋の記憶~」の脚本を努めた諸橋隼人さんの2作目となるサスペンスもの。夜のソロキャンプという題材は目新しかったですね。

 

一体どんな展開になるのか、「開かずの踏切」風な話なのか、それとも「すてきな休日」路線なのか、先が読めない展開にドキドキしていましたが、まさか「地獄のタクシー」的な医師の因果応報話に着地するとは……見始めた時には想像もつきませんでした。

 

初見の際はソロキャンプから医師の話になるのが若干チグハグかな…?と思っていたのですが、改めて見直してみると冒頭からその辺の伏線がチラホラと。「ソロキャンプは自分と向き合える」というセリフも、つまりそういうことだったわけですね。納得。

 

後半のテンポの良さからの印象的なラストカットのインパクトも◎。これまでありそうでなかった新しい切り口のストーリーだったんじゃないでしょうか。ただ、もう少しスマートに出来たんじゃないかなと思う所も。次回作にも期待したいですね。★3つ

◆ 第5話「恵美論」★★

前回の「大根侍」の脚本家による女子高生コメディもの。確実に前後編だろうと予想していましたが、分割されなかったので一安心!(^^;)

 

それにしても、自分自身が学校の教科になるというアイディアは面白いですね。教科書の内容や板書の細かい小ネタに加え、コメディらしいテンポの良い展開で楽しく見ることができました。

 

……が!

 

やっぱりというか何というか、ここ最近の5話構成でありながら1本は実質軽い短編という扱いなのは見ていてモヤモヤとしてしまいます。コメディだからとはいえ、いくらなんでも短すぎるし、オチが弱すぎる! せっかくの面白い題材なんですから、もっと楽しませてもらいたかったですね。

 

軽いテイストの作品は全然ウェルカムですが、番組内での扱いまで軽いのはちょっといただけません。コメディだから…という部分に甘んじているというか、どうもお手軽作品ばかりになっていますし。女子高生×コメディが三回連続で続くという点も、やや食傷気味。

 

今回前後編を取りやめたのは英断だったと思いますが、それでもEDを挟んでしまったのが少しガッカリ。この辺は番組予算や数字的な物に絡んだ大人の事情だと思うんですが……もう少し! もう少し従来のテイストに沿ったやり方でお願いしたいなと。 これらの部分を差し引いて★2つ。

 

ところで、ED後に本当にやるべきだったのは本作ではなく「地酒 琴條」のCMだったと思うんですが、どうでしょう?

◆ 総評 ★★★★

前回の「雨の特別編」と比べると、だいぶ印象の良い回でした!

 

18年ぶりに全話オリジナル脚本で挑戦したのも、ひとまず成功と言えるのでは。これまではオリジナルの不足を原作もので埋めていたイメージがあったので、「大丈夫かな…?」と思っていたんですけどね。及第点は十分取れているのではないでしょうか。

 

そしてやっぱり「恋の記憶~」の出来が本当に良かったですね。劇中歌も未だ脳裏にこびりついていて、どうやら止まらないのは恋の記憶ではなく、この歌の記憶だったようです。

 

ほか、ここ最近ファンの間で散々言われていた前後編の取りやめはもちろんのこと、ラテ欄で行われてきたバラエティ色の強いサブタイトルを排除し、各話の題名だけを羅列する原点回帰など、それなりの改善も見えて一安心。

 

ただ、なんといいますか…5話目の前にEDを挟む方式や、提供バックの告知などの部分が相変わらず残っているのは残念でしたが、ファンからの苦情に対して最大限の配慮をした上でどうしても外せなかったものとしてひとまず静観します。徐々に回復傾向とはいえ、フジテレビの現状が現状ですしね。

 

というわけで、これらを勘案した上での総合評価は、来年30周年への期待を大きく込めて★4つ。

 

ネット上を見てもかなり好評の声が多いようなので、それも嬉しかったですね。私の知る限りでは「AIRドクター」が大ヒットした『'13春』以来じゃないかなと。この調子でどんどん飛躍していきましょう!

 


 

……さあ、というわけで10年代の特別編が無事終了したわけですが……本当にこの10年は濃かったですね!

 

20周年を迎える一発目が今なおファンの間で悪名高い『人気番組競演編』から始まり、そこから私にとっての暗黒期を2年ほど経て、徐々に復活。そうしているうちに登場した後藤庸介プロデューサーによる番組大改革。そのままの勢いで25周年に突入し、数々の特大イベントの投入。その余波での(?)4話構成、視聴率が初のヒトケタといった事件……などなど。

 

この間にも監督四天王の小椋久雄さんが共同テレビを退社したり、若手がどんどん入ってきたりと、番組のスタッフも大きく変わっていきました。後藤Pも昨年共テレを退社してフリーになられましたしね…(T_T)

 

この辺の総括は追々別の記事でまとめたいと思いますが、ひとつだけ言えるのは、『世にも奇妙な物語はどんどん新しい世代に変わっていっている』ということ。

 

番組四天王の方々も滅多に世にもに参加しなくなりましたし、唯一参加されている小椋監督もテラーパートや監修を担当する程度。00年代からほぼ毎回携わり続けている植田泰史監督も昨年からプロデューサーを兼任し始め、新顔も続々とお目見えしています。

 

そんな現状を踏まえての、来年2020年。「世にも奇妙な物語」は30周年を迎えます。

 

果たしてどんな作品が我々を楽しませてくれるのか、どんな驚きの企画が登場するのか、どんな新機軸を打ち出してくるのか。現時点ではさっぱり想像もつきませんが、これまで応援していたファンも、これからファンになる方も楽しめる10年がこれからも続くことを祈るばかりです。

 

 

最後に。ここをご覧になっている「世にも」ファンの皆さんは、今回の「秋の特別編」いかがだったでしょうか。どれも楽しめた方も、どれもイマイチだった方も、今の新作には興味がなくなっている方も、来年の30周年をよりよくするために公式サイトへメッセージを送ってみることをオススメします。

 

www.fujitv.co.jp

 

私の周囲の話では、意外と苦情等もしっかり見てくれているようなので、褒めるべき所は褒めて。文句を言いたいところはしっかり伝えて。要望したいことはしっかり要望すれば……よりいっそう番組を良くしていけるかもしれません。

 

DVDや再放送なども、リクエストの声が一番届きやすいのは公式サイトへのメッセージらしいですしね。SNSやブログでグチグチ言ってるだけではダメなので、私もしっかり送るつもりです!

 

 

スタッフ&キャストの皆さん、今回も本当にありがとうございました。

 

次回の30周年は、25周年時のような多くの世にもファンが楽しめる素敵な年になることを願っています! 間違っても『人気番組競演編』のような悪夢からのスタートにはなりませんように…(笑) よろしくお願いします!