世にも奇妙な物語 ブログの特別編

「世にも奇妙な物語 ファンサイトの特別編」管理人のブログです。

ラジオの特集放送が続々

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投票期間は2020年4月19日(※延長しました)まで。アナタの投票をお待ちしておりますm(_ _)m

 

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今年は『世にも奇妙な物語』30周年という記念の年。年内には『記念サウンドトラック盤の発売』も控えており、世にもファンとしては5年ぶりの大きなお祭りを期待したいところです。

 

そんな最中、番組ファンとして注目せざるを得ないのが、Tokyo Star Radioで放送されている「ガラモンソング」の作曲家としても知られる蓜島邦明さんのラジオ番組『蓜島邦明のラッタラッタラ』。

 

番組内では、過去何度かサントラ発売に絡めた特集企画が行われていますが、いよいよ30周年が目前に迫ったこともあり、ここ最近『世にも特集』が続々と行われているんです。

 

そんなわけで、今回もこれまで同様、各回の内容を書き起こしでご紹介していきたいと思います!

かなり長い記事になっているので、目次も用意しておきました。

 

◆ 2019年12月31日放送分より

 

まずは、昨年12月31日に行われた世にも特集第3弾を。(別番組音源の紹介部分は省略)

 

蓜島「そういえばね、今年の発見なんですけど。 来年になって出していただける『世にも』の30周年記念でね、 来年『世にも奇妙な物語』のプロデューサーさんの植田(泰史)さんがこの番組に出ていただけることになりましてね。すごい深い話なんですよぉ~。色々と。

 

その中でね、植田さんが家に来て「蓜島さん、これわかりますか?『世にも』の何だか」って言って、かけていただいた曲がですね、私が歌ってるやつだったんですね。後になって嵐のメンバーに全部歌っていただいて、出来上がった作品の『オレのベッピンガール』って曲なんですけどね。こんなのやってたんですね。

 

ちょっと聞いて……デモなんですけどね。下手なんですよ私、あくまでもデモですから。ちょっと聞いてみちゃおうかね。

 

「オレのベッピンガール (デモVer)」('07春「才能玉」より)

 

蓜島「お宝ですねぇ~。いやぁ、意外と私も頑張って歌ってますね…うん。 後でね、これ嵐さんに歌っていただいてね、番組の中で放映したんですけど。私、その曲の録音持ってないんですよね。欲しいねこれ、どういうあれだったんだろうね。

 

来年ね。『世にも奇妙な物語』30周年記念ということでね、続々と色んなお宝が出てきてますねぇ。特に植田さんが持ってきていただいた中には……まあこれはですね、来年になって1月早々「世にも」特集、30周年特集で、まず プロデューサーの植田さんから始まってですね、色んな仕掛けがございます。

 

面白かったですよ。植田さん考えて来ていただいてね。 "蓜島さん なんとかクイズ"とかやっていただいたんですけど。来年になってお楽しみいただきたいと思いますね」

 

(中略)

 

「ガラモン・ダンス(劇場版ver)」(「映画の特別編」より)

 

蓜島「皆さん、良いお年を……ってまだ終わってないんですよね。 ホントになんか良い年が、越せそうな気がしますね。良い年でしたねまた。来年も良い年だねぇ。

 

映画のエンディングに流れた『世にも奇妙な物語』のテーマのダンスバージョンというかですね。 色んなものが入って、最後オーケストラも入ってくる形で終わるやつなんですけどね。

 

来年30周年記念で「世にも」のね、今まで作った劇伴が見つかりまして色々と。 それをCDで出したいなと思いまして。その中に入れたいと思っている曲なんですね。もちろん(この曲も)入れるんですねぇ」

 

「携帯忠臣蔵(映画の特別編「携帯忠臣蔵」より)

 

蓜島「あけましておめでとうございます! 来年もよろしくおねがいします。

 

え~映画の「携帯忠臣蔵」というの劇伴の中から……これは討ち入りのシーンまでいくのかなぁ? オープニングに近いような気がするんですけどね。冒頭かかってたような気もしますが。「携帯忠臣蔵」……これもね、CDの中に入れたいですねぇ」

 

「ブルギさん」('95冬「ブルギさん」より)

 

蓜島「これも『世にも』で作った「ブルギさん」っていうね、中の劇伴なんですけど。当時ね、結構民族音楽系ってのがすごく好きで。なるたけ民族系の音を入れたいなということで、こういう風なことになってしまう可能性も多かったんですけど。

 

「ブルギさん」ね。この間、まだまだね、色んな出てきてない劇伴がございまして、「世にも」の中で。どこ行っちゃったのかねぇ? こないだ植田さんが持ってきていただいた劇伴って、私が持ってないやつだったんですね。それをちょっとお借りして。その中の楽曲も良かったんです。

 

まだまだ「ブルギさん」の違う楽曲があるんで、これもちゃんとCDの中に収めたいなと思っております」

 

本回の目玉は、何と言っても『才能玉』(2007)の劇中歌『オレのベッピンガール』のデモテープの初出し。いや~実に貴重な物を聞かせていただきました。

 

歌詞が聞き取りやすくなったおかげで、これまで2度『ベッピンガール』を繰り返すと思っていた部分が、実は後半『ゼッピンガール』と歌っていたことを今更知りました…(笑)

◆ 2020年1月14日 放送分より

 

続いて1月14日放送分を。今回はファンにもお馴染みの植田泰史プロデューサーをゲストに迎えての特別版の前編。

なかなかコアな話が続々登場する濃密な25分に。

 

 

「ガラモン・ソング」(「サウンドトラック」より)

 

蓜島「えー今週はね『世にも奇妙な物語』のプロデューサーの植田さん、来ていただきました。喋っちゃおうかね。植田さんお願いします」

 

植田「はい、よろしくお願いします。共同テレビの植田泰史と言います」

 

蓜島「あ、すみません蓜島です。よろしくお願いします。お世話になってますね、すごく」

 

植田「いえ、こちらこそです」

 

蓜島「今まで何本やりましたっけ、植田さんの作品やらせていただいたの」

 

植田「多分……10本ぐらい」

 

蓜島「あ、すごいやってますね。10本かぁ……記憶にないやつがきっと」

 

植田「そうですね。今日はその記憶を辿るような、ちょっとした催しもやりたいなと 思っています」

 

蓜島「いやいやいや……じゃ、盛りだくさんですねすごく。それでね、植田さんの作品で僕が覚えてるのは『JANKEN』って、最近やったやつですよね。あれ何年前でしたっけ。5年くらい経ったんですか?」

 

植田「いやいや、2011年ですから8年前ですね」

 

蓜島「あ、じゃあかなり古いんですね」

 

植田「そうですね、もう」

 

蓜島「なんかね、初めて歌ものを『JANKEN』の中に入れたいって言うんで。あの時3人、マイケルって子とガウちゃん。今ちょうど売れ始めたんですけど。あともうひとりいまして……あ、そうだ。マイケルとガウちゃんの二人で歌ってもらったんですね。結構その中にハマっててね、意外と。かなりすごい設定でしたよね『JANKEN』」

 

植田「『JANKEN』は、そうですね」

 

蓜島「中国拳法っぽいやつ入っていませんでしたっけ」

 

植田「そうですね。ひたすらジャンケンをするという話なんですけど、参考にしたのは『少林サッカー』とかそういう作品なんで。で、後はまあ『バックドラフト』とかですね、映画の。そういう熱い感じみたいな物をテイストとして入れたいなということで」

 

蓜島「いやね、かなりアクションが凄かった気がするんです。何て言うんですかね……壮大な感じもありましたよね、作品自体に。あれすごいよく覚えてるんですよね」

 

植田「そうですね。CGとかもかなり使って。バカバカしいことを大真面目に」

 

蓜島「結構お金かけてましたよね」

 

植田「お金は……当時ある程度かけられたんで」

 

蓜島「そうですね。『世にも』始まった頃はちょうどバブルの辺り、ちょっと落ち初めたぐらいの時かな。だからね、バブリーなんですよ。役者さんもね、かなりすごい人たちが毎回毎回作品の度に出てて。今もね、それなりの人気のある子たちを植田さん選んでいらっしゃって」

 

植田「いやいや」

 

蓜島「最近の役者さん、誰か面白いなと思ったのいますか?」

 

植田「そうですね……皆さん旬の人、もしくはちょっと驚きのあるキャスティングというような、両建てでやってますので」

 

蓜島「凄いねぇ。結構私の番組不真面目なんで(笑) ほんとお酒飲みながらとか色々。今日はわざわざ本当に植田さん、私の自宅まで来ていただいて……ほんとにね。結構かしこまってるね、今日ね。ぶっちゃけるっていう感じなんですけど」

 

植田「いやいや(笑)」

 

蓜島「ここでなんかね、ちょっと植田さんがやった作品の曲をかけてみようかなって」

 

植田「ちょっとリクエストでMDを何枚か持ってきましたので、かけさせてもらいたいなと。自分の家もいまMD聞ける環境じゃないんで、どんな曲が入ってるのか、ちょっと探り探りなんですが……」

 

蓜島「じゃ、ちょっと一曲目聞いてみましょうか」

 

植田「はい。じゃ、MDの方の準備ができましたので、流してみますね。蓜島さんがどのぐらい自分の曲を覚えていらっしゃるかということで……」

 

「追いかけたい」('03春「追いかけたい」より)

 

蓜島「何だったっけな……何だっけ」

 

植田「覚えてないですか?」

 

蓜島「あ、街の中走ってるやつ……でしたっけ?」

 

植田「街の中?」

 

蓜島「違うか。なんだっけな」

 

植田「これはですね……2003年かな」

 

蓜島「2003年?」

 

植田「ええ、ずいぶん前ですね。『追いかけたい』という、京野ことみさん主演の一本なんですけど」

 

蓜島「『追いかけたい』か。ストーリー(の内容)って、大まかに何でしたっけ」

 

植田「これですね、元々原案がですね『全日本ストーカー祭り』というタイトルのお話だったんですけど」

 

蓜島「ストーカーの話?」

 

植田「ストーカーの話なんです」

 

蓜島「なるほどねぇ」

 

植田「京野さんがある男性が好きで……まぁストーカーみたいになってるんですけど。京野さん自身がストーカーに追い回されていて。で、京野さんが好きな男というのも、ある女性を追い回していて。ある女性というのは、実は京野さんのストーカーのストーカーだったという。ストーカーをぐるぐる回っちゃうという話なんですね」

 

蓜島「それで走っている映像が(頭の中に)出てきたのかな、さっき」

 

植田「あーそうですね。"追いかけ回す"というところが。(劇中で)走ってはいないですけど」

 

蓜島「なんかね、記憶があるんですよ。そっか、そういうストーリーだったのか……失礼致しました(笑)」

 

植田「いえいえ(笑) これはだからその、ストーカーがループしていくという話なので。ループ感をすごい大事に作って欲しいという風にお願いしたんです」

 

蓜島「それで同じ形をメッセージでやってるんですね」

 

植田「そうですね」

 

蓜島「なるほどね。でも、アコーディオンだから同じ感じで回ってても飽きないですね」

 

植田「ええ、これは名曲ですね」

 

蓜島「なるほど。いや、僕の所(この曲)持ってないんですよ」

 

植田「あ、そうですか」

 

蓜島「結構多いんですよ。DAT(テープ)が、とりあえずうちで発掘したやつと、あともうひとつ"SPOT"さんにあったやつ。それを集めてやってるんですけど。 来年ね、こういう劇伴のCDを出したいなと思って、いま動いている最中なんですけど。いや、これも……あったんですね」

 

植田「是非、入れていただきたい所ですね」

 

蓜島「いやいや……これMDから録るしかないですよね」

 

植田「ははは(笑) そうですね」

 

蓜島「これ、音効(会社)さん何処でした?」

 

植田「これは"ヴェントゥオノ"の志田(博英)さんなんですね」

 

蓜島「あ、ヴェントゥオノだ。じゃ、ヴェントゥオノに聞いたらあるかもしれないですね、ひょっとして。良いこと聞いた」

 

植田「そうですね、ええ。なんか本当にあの……ちょっと内輪の話になってきちゃいましたが(笑)」

 

蓜島「いや、良いんですよ。編集で切れます」

 

植田「あ、そうですね(笑)……これ(『追いかけたい』BGM)は名曲ですね」

 

蓜島「そうですね、覚えちゃった今」

 

植田「頭(の中)にそれこそループする音楽ですね。当時アシスタントプロデューサーだったうちの同僚がですね、初めてこういう劇伴を聞いてすごくいいなと思って、ダビングさせて欲しいと言ってきましたので」

 

蓜島「なるほどね。いや、それは嬉しいですね。こういうのもやっていたんだ。すごい。今まで何作品やってるんですかね一体。植田さん自体も」

 

植田「僕は20本強作ってるんですけど。ですから、蓜島さんに音楽作っていただいたのが半数弱くらいだと思います」

 

蓜島「そうですか。すみません、お世話になってます」

 

植田「いえいえ(笑)」

 

蓜島「記憶になかったわ……面白い。何か次ありますか」

 

植田「はい。じゃ、次もまた」

 

イマキヨさん BGM1」(15周年の特別編「イマキヨさん」より)

 

蓜島「あ、これはわかった。アベサダ(阿部サダヲ)さんのやつ?」

 

植田「ん? 違います。アベサダさんのは『カウントダウン』という作品で。僕じゃないです、担当が(笑)」

 

蓜島「『カウントダウン』だ。すみません(笑)」

 

植田「あ、でもこのブカブカ言ってる音は『カウントダウン』っぽいですね」

 

蓜島「ですよね。なんか音が似てるなっていう」

 

イマキヨさん BGM2」(15周年の特別編「イマキヨさん」より)

 

蓜島「ん、これは……何だっけ。こういう音何だっけ……このね、リズムはね。よく使うっていうか、たまに出てくるやつなんですよ。メロディーがね、感覚が違う……何だっけこれ。井戸の中に落ちちゃうやつじゃなくて……あ、思い出した。あの……あっ、名前が出てこない。あの"大黒さん"じゃなくて」

 

植田「ん?」

 

蓜島「大黒さんじゃなくて……何でしたっけ」

 

植田「あ。ああ、はい。そうですね」

 

蓜島「ね、ですよね。突っついてくる……何だっけ何だっけ」

 

植田「はい。『イマキヨさん』というタイトルの作品で」

 

蓜島「『イマキヨさん』だ。そうですよ、ちゃんとイマキヨさんって言ってるんですね」

 

植田「そうですね(笑) あのー、わらべ歌みたいな感じのメロディーにして欲しいってお願いして作ってもらいましたね、これは」

 

蓜島「そうだ。いやー『イマキヨさん』だ」

 

植田「名曲です」

 

蓜島「これも(CDに)入れたいですね」

 

植田「もう是非」

 

蓜島「これ無いんですよ、DATで」

 

植田「あ、そうですか」

 

蓜島「ええ……無い。欲しいけど無い」

 

植田「これDATありますよ」

 

蓜島「あ、ほんとに? それお借りしたい」

 

植田「あ、もう、もちろん」

 

蓜島「すごい。いいなぁ、今日ラッキーですわ。色々発掘できて」

 

植田「意外とやっぱり覚えてない感じで(笑)」

 

蓜島「『イマキヨさん』も面白かったですよね。かなり個性的で。どんどん増えていく」

 

イマキヨさん BGM3」(15周年の特別編「イマキヨさん」より)

 

植田「これはイマキヨさんが、あれですね。掟があって、その掟を破るとどんどん一体ずつ増えていくっていうか、倍々になっていくって話なんですよね」

 

蓜島「そうそうそうそう、そうですよね。映像出てきました」

 

植田「音楽的にも、どんどんとこう同じメロディーが増幅してくような音楽を作っていただいたんですね」

 

蓜島「そうですよね。そうだそうだ。……やっぱり『世にも』面白いのやってますねぇ、ほんとに。これはずっとファンがいるわけですよねぇ。まあ、こんだけ長く30年続いているのも、ファンがそんだけ支持してくれてるんですから。世界に無いですよね。30年こんな番組をやってるという」

 

植田「まあ、そうですね……有り難い話ですよね」

 

蓜島「素晴らしい。知力の集まりかもしれないっていう感じがすごくしてきて」

 

植田「(笑)」

 

蓜島「初代の頃から名物監督とかおりましたね、やっぱり」

 

植田「ええ、そうですね」

 

蓜島「また今新しい監督がどんどん生まれてて。でも才能がすごくありますね。また違う、個性的なものがあって」

 

イマキヨさん BGM4」(15周年の特別編「イマキヨさん」より)

 

蓜島「おっ、すごい。これは映像ハマるわ。……男の人が主人公ですよね?」

 

植田「そうですね、嵐の松本潤さんが主役で」

 

蓜島「ですよね。女の人いませんでしたか、相方っていうか」

 

植田「あ、恋人役で高橋真唯さんっていう人がいまして。で、あとイマキヨさん役は酒井敏也さんですね」

 

蓜島「ああ、もう……役者さんだけでも素晴らしいですね。恵まれてますね」

 

植田「まあまあ、ほんとに。色々恵まれてますね」

 

蓜島「素晴らしい。創作の世界がある。やっぱり、ちゃんと(物語の)世界行きますね。その音楽がしてるな、ちゃんと。自分で言うのも何ですけど(笑)」

 

植田「いや、これほんと名曲ですね」

 

蓜島「ほんとにそうだ。素晴らしい」

 

植田「じゃ、次に行かせてもらって……」

 

蓜島「ええ。つい聞いちゃいますね、最後どうなるんだろうかと」

 

植田「ははは(笑) 聞きます?」

 

蓜島「いやいや、大丈夫です。感触だけわかるとすごく嬉しい。初期の頃は僕、カセットであげてました。なんか監督さんに」

 

植田「ああ、そうでしょうね」

 

蓜島「その前は音効さんにオープン(リール)テープですからね。すごい時代の流れを感じるなぁ……」

 

植田「そうですよね、今やもうデータですもんね絶対に。ネットでやり取りですよね」

 

蓜島「そう、全てそっちになってしまって。いちいち持っていったもんね、オープンテープ。そしてカセットに落として、監督さんに分けて……」

 

「オレのベッピンガール (デモVer)」('07春「才能玉」より)

 

蓜島「あ、これ聞き覚えある。何でしたっけ? すごい…これ私歌ってるんですか?」

 

植田「そうですそうです(笑)」

 

蓜島「すごいね、世良公則だな(笑)」

 

植田「(笑)」

 

蓜島「え、なんかすっごい忘れてる。でも、この『ベッピンガール』は覚えてるんです。何だったっけ……いや、凄いの持ってますね植田さん」

 

植田「もう、家宝ですからこれは」

 

蓜島「私も持ってない。初めて聞いたっていうか(笑) えっ、これ流しちゃったんですか、テレビで」

 

植田「これは流してないです、仮歌なんで」

 

蓜島「仮歌ですよね。誰が歌ってたんだろう」

 

植田「これはまたヒントを言うと、さっきの『イマキヨさん』と主演が同じグループの人です」

 

蓜島「あ、嵐が歌ってたんですか?」

 

植田「嵐が歌ってました」

 

蓜島「あっ、当時そうだったんだ」

 

植田「ええ、嵐の櫻井翔くんが」

 

蓜島「歌ってたんですねぇ。いや、これ流すわけないと思っていたんだけど。すごいなぁ」

 

植田「ええ、元バンドマンの面目躍如という感じの曲で」

 

蓜島「なんか野生に戻ってる匂いがすごくあるような気がするんですけど。もうホントに……いやぁ、強力なのお持ちですね」

 

植田「これは『才能玉』という、嵐の櫻井翔くんが主人公をやりましたドラマですね」

 

蓜島「そうだ。植田さんのやつ結構歌モノが付き物ですね。意外と」

 

植田「そうですね、でも……」

 

蓜島「そうでもないかな。でも好きですよね」

 

植田「まあ、わりと好きですね」

 

蓜島「僕も大好きなんですけど、すごく(笑)」

 

植田「(笑)」

 

蓜島「いや、これはビックリしてしまった。すごい。今年の大ヒットですね。すごい。でも、なんか歌い方が古さが出て……(笑)」

 

植田「(笑)」

 

蓜島「すごく、ほんとに……(笑)」

 

植田「これはあの、リクエストで。ちょっと古臭くて良いと。で、音楽の才能を求めている音楽青年なんだけど、なかなかその才能に恵まれなくてっていう話だったので、才能を開花させる3つの飴玉を舐めていくっていう話で、最後まで音楽の才能には恵まれないっていう青年が主人公なんですが」

 

蓜島「これってあれですか、『世にも』のスペシャルとかでやってました? スペシャルじゃなくて? この頃からもう春夏秋……シーズン明けでしたっけ」

 

植田「あっ、あの……もちろんもちろん。そうですね、これが2005年ぐらいだったと思うんですが」

 

蓜島「毎週のやつ?」

 

植田「あ、2007年ですね。12年前」

 

蓜島「11年前」

 

植田「12年前ですね」

 

蓜島「12年前だ。すごい古……古くないか。素晴らしい」

 

植田「そうですね。当時から古い感じの曲をっていう風にやって。微妙にちょっと外した感じとかを、変えてやってもらって」

 

蓜島「でもあれですね、作品自体が弾んでますね。色々と。バラエティに」

 

植田「まあまあ、そうですね。はい」

 

蓜島「最近やっぱり、ある程度落ち着いたっていうか。なんとなくこう色んな方向行ってた部分もあって。つい最近やった『世にも』のやつは非常にあの……『昔の世にもに戻った』っていう人たちが多くて」

 

植田「ああ、有り難い話ですね」

 

蓜島「かなり絶賛してましたよ、すごく」

 

植田「ありがとうございます」

 

蓜島「ネットなんかで『昔みたく良かった』『今回は見る価値があった』とかね、色々多かったですね」

 

植田「そうですね。まあ、温故知新でやりたいなと、いつも思ってるんでですね」

 

蓜島「やっぱり『世にも』の魅力ってそこらへんにあるんですよね」

 

植田「そうですよね。まあ懐古主義ばかりでもダメなんですけど。やっぱりあの、古くて良いものはちゃんと認めて…で、やっぱり新しいことにもチャレンジしてくっていうのが『世にも奇妙な物語』だと思ってやってますね」

 

蓜島「ですね。素晴らしいですよ。どんどんどんどん世代も変わってって、監督さんも変わっていってるんですけど。それをずーっと継続して、スタイルを壊さないでやっていってるって……日本の宝ですね、本当に。音楽的にも。ほんとに」

 

植田「おかげさまですね、本当に」

 

蓜島「他の局にもないし、世界的にもこのくらいの感じは無いと思うんですね。だから中国なんか行ったときに、みんな『世にも』知ってるんですよね」

 

植田「あ、らしいですね」

 

蓜島「みんなYouTubeで見てて。『私こういうの見た』『私こういうの』ってみんな結構言われてしまって。いや、だからすごいその、持ち上げて言うような……やっぱ認められるんですね、本物だと。結局本物が残ってきますもんね実際」

 

植田「まあ、ほんとそうなんですね」

 

蓜島「素晴らしいですね。……しかし、(自分が)歌ってるのはすごかった(笑)」

 

植田「あはは(笑) 僕でも、蓜島さんの歌声初めて聞いたんですけど。『いや、上手いな!』っていう風に当時思った覚えがあります」

 

蓜島「若い。凄いな」

 

植田「ま、ノリノリですね。でもね」

 

蓜島「すみません、ほんとに(笑)……貴重だ。まだ隠し玉あります?」

 

植田「そうですね。こっからはちょっとクイズというよりは、思い出を語らせていただくという感じで次の一枚を」

 

「太古の少年」(NHKドラマ「TAROの塔」より)

 

植田「これ、わかりますよね」

 

蓜島「これ『TAROの塔』ですよね。『太古の少年』ですよね」

 

植田「ええ」

 

蓜島「最初『世にも』かなと思ったんですけど。これは音が違う」

 

植田「これ実は『世にも奇妙』で使わせてもらってんですよ」

 

蓜島「あ、そうなんですか。ありがとうございます。これは秋田の花火大会でも使っていただいて」

 

植田「あ、そうですか」

 

蓜島「1キロの広さの花火をこの曲で打ち上げてたんですよ。それはすごかったです。岡本太郎さんの誕生100周年のドラマで。ちょうどこの時ね、震災あったんですよね。放送の日。だから放送が色々グチャグチャになっちゃって。これは『世にも』の何で使って…?」

 

植田「これはですね。実は『JANKEN』の中に使ってるんですね」

 

蓜島「あ、そうだ。そうだそうだ。ということは『JANKEN』と、これを作った時と大体同年代なんですね」

 

植田「そうですね。『JANKEN』と同時期に近いと思いますね。『JANKEN』も2011年なので。2011年の秋の特別編ですね」

 

蓜島「なるほどね。すごいわ~。すいません、これ使っていただいて」

 

植田「いえいえ(笑)」

 

蓜島「今ちょっと驚いてて。かなり『JANKEN』ってME(ミュージックエフェクト)を苦労されて作ってたような気がするんですけどね」

 

植田「そうですね、ええ」

 

蓜島「なるほどね、素晴らしい。いや~すごいなんか色々出てきますね」

 

ストーリーテラー(「サウンドトラック」より)

 

蓜島「この話は、また来週」

 

◆ 2020年1月21日 放送分より

 

前回の対談の続きとなる1月21日放送分。

 

本回では『JAKEN』の舞台裏だけでなく、番組の根幹にまつわる話から今年の30周年企画についてまで……マニアックな話が続々飛び出した、またもファン必聴の回となりました。

 

 

「ガラモン・ダンス(劇場版ver)」(「映画の特別編」より)

 

蓜島えー『ラッタラッタラ』。今週も『世にも奇妙な物語』特集で、プロデューサー植田さんにお越しいただいております。

 

先週は『世にも』の作品の中で、植田さんが担当された『才能玉』途中までの話、その後半をお聞きいただきたいと思います。植田さん、植田さん、共同テレビ植田です!

 


 

蓜島「いやー、で……ね?(笑) 才能玉」

 

植田「ああ、はい。そうですね、『才能玉』もそうですし、ちょっと前にかけたのは『JANKEN』の中で使わせていただいた曲」

 

蓜島「あと、先程の『TAROの塔』も『JANKEN』の中に入ってたっていう」

 

植田「そうですね、『JANKEN』の一部で使わせてもらって。今日は『JANKEN』の他の曲は持ってきてないんですけど、あれもとても苦労していただいて作ったんですね」

 

蓜島「何でしたっけ」

 

植田「歌入りの曲はひとつ必要であると。曲の方向性として、僕は『バックドラフト』みたいにしたいとお願いしたんです。『バックドラフト』も当時の流行りとして歌入りの曲があったので、それに倣ってそういうものをお願いしたんですけど」

 

蓜島「ええ」

 

植田「で、最後のクライマックスにジャンケン勝負をして、主人公が勝って、人間として成長するというような話だったんですけど。そのジャンケン勝負のシーンがですね、20分の作品の中の半分くらいあるんですよ」

 

蓜島「あ、最後のね」

 

植田「最後のジャンケンバトルが10分近くあって。それをシームレスに曲を流して欲しいっていう風にお願いしたので、10分弱の壮大な曲を作っていただいたっていう。もちろんその中でブロックがあるので……」

 

蓜島「10分弱の壮大なやつって……(僕が)作ったんですか?」

 

植田「作ってもらいましたね。覚えてないですか?(笑)」

 

蓜島「いや、どういうんだったっけな。かなり前ですね?」

 

植田「『JANKEN』が……えっと、自分もちょっと記憶が曖昧なんで。いい加減なことも言えないんで……(書類をめくる音)『JANKEN』が2011年ですね、さっきも言った通り。2011年なんで8年前」

 

蓜島「なるほどね」

 

植田「で、その10分弱の曲を作っていただいて。そこのテーマがですね、"飽きさせない"というテーマがあって。単純にジャンケンをしてるだけなんですけど、映像的にもどんどんとこう、スケールアップしていくような感じで。最初はジャンケン勝負の会場で……」

 

蓜島「あ、思い出した。空飛んじゃったりとか、色々やりますよね。だんだん凄まじくなっていった」

 

植田「そうです。ワイヤーアクションをやったりとか」

 

蓜島「作った。ずーっと音楽だったような気がする」

 

植田「そうなんです、ずっと音楽。で、CGを駆使して最終的には宇宙空間まで行って…っていうような作りにしてましたね」

 

蓜島「そっか、そうですよね」

 

植田「そうなんですよ。10分もジャンケンやってるだけなんで、とにかく映像的にも飽きさせない、音楽的にも飽きさせないっていうようなことがテーマだったので、とても(蓜島さんを)苦労させた覚えがあります」

 

蓜島「なんか、何回も作り直ししたような気がする(笑)」

 

植田「その通りですねぇ(笑) 」

 

蓜島「途中のパートが、もっと力強くなる(ように作ってくれ)とか(笑)」

 

植田「そうですね、もっと力強く、切なくっていうんで」

 

蓜島「色んなあれがあるんですよね、10分間の中にね。ドラマというか……ジャンケンしてるんだけど」

 

植田「ええ、だから最初はちょっと抑え気味にしてもらって。で、最後カタルシスまでガッと持ってかなくちゃならないっていうんで、その構成から色々相談しながら、時には『ちょっと、やり直してください』というお願いしながら作った覚えがありますね」

 

蓜島「ですね、そうだ。……植田監督しか覚えていないものもある」

 

植田「ええ(笑) いや、もうトラウマの扉を開けてしまったんじゃないですか?」

 

蓜島「『JANKEN』と、その戦いもの……何でしたっけ。結構バトルものもありましたよね。『JANKEN』だけではなくて」

 

植田「バトル物は……」

 

蓜島「老師が出てくるのは『JANKEN』か」

 

植田「そうですね、ええ」

 

蓜島「あーそうか。先程のマイケルに歌ってもらったものも?」

 

植田「『JANKEN』ですね」

 

蓜島「『JANKEN』。かなり僕もイメージ強いんですよ『JANKEN』の」

 

植田「そうですね。最初の修行のシーンが、歌の『Life is JANKEN』という曲ですね。あれも名曲だったんですが。で、後半の老師が死んでしまって、一人で修行するというシーンには『TAROの塔』の曲を使わせてもらって。

 

で、ジャンケンのマスターになって、いよいよ最終バトルをすると。そこに10分間の長い長いバトルシーンがあって、それを一曲で包んだという感じですね」

 

蓜島「いやー、さすがやっぱり……覚えてますね」

 

植田「(笑) あれは、僕も実は結構(蓜島さんの自宅がある)八王子通った覚えがあります。あの時、何度か」

 

蓜島「言えてますね。覚えてる、何度かいらっしゃいました。テラス平山城址って、今(の住所)と違う場所だったんですけど、山の中腹にいて。上がってきましたね、みんなあそこまで。よくいらしていただいたわ。みんな熱意が有るんですよね、ほんとに。いらしていただいて、ちゃんと見て納得していただくってこと最近ないですからね」

 

植田「ああ、まあね。もうネットでやり取り済みますからね。でもなんかやっぱり、一緒に同じスピーカーから出てる音を聞きながら、あーでもないこーでもないっていうのも大事な時間なんじゃないかなっていう気がしますね」

 

蓜島「でも、ネットでやり取りするよりも、結局やっぱり作ってるサイド、監督さんとかと会って作ったほうがより深いとことかね、監督さんが持ってるものが伝わりやすいんですよね。その場で変更していって、ちゃんとしたものが出来上がるっていう過程がやっぱり大事ですもんね。だから作品自体も良いものが生まれてたんですよね、『世にも』ね」

 

植田「そうですね」

 

蓜島「みんな昔から、監督さん自身が初期の頃も家に何度か (音源を)取りに来ていただいたとか、色々来ていただいたっていうのが多いですね、最近は無くなりましたね、ほんとに。みんな忙しいんですかね?」

 

植田「まあまあ……そうですね」

 

蓜島「余裕も、下準備からもあったし、その分やっぱ豊かですね」

 

植田「そうですね。今やっぱり聞き直してみても、とても力がある感じがしますよね」

 

蓜島「うん、そうそう」

 

植田「あの、さっき『イマキヨさん』のMDを聞いていただいて、最初の方の何曲かを飛ばしたんですけど……まあ正直言うとですね、全部没になった曲なんですよ(笑)」

 

蓜島「(笑)」

 

植田「2枚目のCDが全部リテイクしたものなんですけど。やっぱこういっちゃ何ですけど……やっぱ神がかってる気がしますね。2回目のほうが。で、今の僕が1回目のMDで貰ったもの、あれもなかなかいい曲だったんで(今なら)OKを出してただろうなっていう気がしていて。当時は『まだイケるだろう』っていうような……」

 

蓜島「あのね、『まだイケるだろう』なんですよ、みんな。ほんとに監督さんがそうなんですよ。まだ出るだろうって。『世にも』のテーマソングを作ったときに、最初10個ぐらい持ってって、これで大丈夫だろうって。ところが『まだイケるだろう』ってな感じで、次持ってって『まだイケるだろう』……3回くらいやったような気がするんですよ。

 

だから曲数が多くて。おかげでそれが劇伴になったり、タモリさんの登場のね『ストーリーテラー』になったりとか色々ね、出来たんですけど。まだイケるだろうっていうのがすごくみんな……熱意ある人が多かったですね。ただ、作品も良い物を撮ってます」

 

植田「そうですね。それがやっぱり何かで覚えてしまうと、やっぱりもう『蓜島さんはこんなもんじゃないだろう』っていう風に思ってしまって、苦しめている所もあると思うんですけど(笑)」

 

蓜島「全然苦しくないです。楽しいですからね、すごく。自分の考え方と違う考え方っていうか、物事は刺激的なんですよね。『あ、そういう所から来るんだ』っていう。そこで考え方を変えてまた作業が出来るんで。思い描いていた世界観がお互い出来上がってくるじゃないですか。作品としてもやっぱり先程の力強さっていうものが出てくると思うんですよね」

 

植田「ええ、そうですね」

 

蓜島「いやー素晴らしいですね、良い時代ですね。最近でも、もうちょっと『世にも』やらしてほしいんですけどなんて言ってたら、ちょっとずつやらしていただいてきて(笑)」

 

植田「そうですね、最近でも、前回の秋の奇妙で名曲をまた作っていただいて」

 

蓜島斉藤由貴さんの歌ったやつとか」

 

植田「そうですね、ええ」

 

蓜島「その前、郷ひろみさんのライダー物になっちゃうやつがあって……ほんとにね、色々やっぱやってると楽しいですね」

 

植田「あのー、前回作っていただいた斉藤由貴さんの曲もですね、あれも斉藤由貴さんのお気に入りで」

 

蓜島「あ、そうなんですか」

 

植田「ライブでも歌われたっていう」

 

蓜島「あ、良かったです。……良かったですじゃないか(笑) あれなんか評判良かったですよね」

 

植田「あれはもうほんとに。撮影中もですね、みんなもう頭に残ると。ずーっと頭の中でループして鳴ってるよっていうようなことを言ってましたし。放送後もやっぱそういう意見多かったですね。あの曲が頭に残って……また怖い話だったんで。ちょっと眠れなくなったみたいな話もあったんですけど(笑)」

 

蓜島「トイレ行けないじゃないかって、どうしてくれるんだっていう(笑)」

 

植田「(笑)」

 

蓜島「久々の感覚だったんじゃないですかね、あの感じ。『世にも』が戻ってきたっていうか。まあ元々怖い話をやる番組だったんですよね。でもホラーではなかったんですよね、あくまでも。やっぱブラックジョークが結構効いてて、それで社会批判もあったじゃないですか、かなり。そういう所もまとまってましたよね。奥が深い番組ですね、やっぱり」

 

植田「ああ、そうですねぇ……」

 

蓜島「こないだちょろっと見て…初期の『世にも奇妙な物語』"四天王監督"っていうのが出てたんですけど、四天王っていうと小椋(久雄)さん?」

 

植田「小椋さん、落合(正幸)さん、鈴木雅之さん、あとは……星さん。星護さんですね」

 

蓜島「ほんとに初期のメンバーですよね」

 

植田「そうですね、ええ」

 

蓜島「強力でしたね、皆さん。個性強くて」

 

植田「まあ個性強いですね」

 

蓜島「すごい強い……星さん個性強すぎ(笑)」

 

植田「(笑)」

 

蓜島「星さん夜中の2時に家に来て、廊下で行進して『この速度!』ってのやったの覚えてますね。夜中だったか10時だったか、大体夜中に近かったですけど。速度をちゃんと確かめていく監督だった」

 

植田「まあね、一番その4人の中でも音楽にこだわりのある人ですからね」

 

蓜島「そうそう、すごいこだわって。ボクシングのシーンがあって、相手を殴るとこなんですけど。普通だとそこにシンバルを入れて、スッというスピード感を出すんですけど、『いや、ちゃんとした音楽にしてくれないと困る!』って言われて。

 

そこでジャジャジャジャジャン!とかいう(曲にして)。そういうとこのこだわりがすごく……細かったんですよね、とても。でも、やっててすごいやりがいがあって、面白かったですけど。落合さんは落合さんで、また違う現代音楽的なものがすごく好きな」

 

植田「ああ、そうですね」

 

蓜島「その割にはすごく"Love"とかね、そういう物も意外と表現したいような。小椋さんも小椋さんで、鈴木さんも……皆さん個性的ですよね、かなり。今でも『世にも』を担当してらっしゃる監督さんってのは何人……?」

 

植田「あのー、そうですね……まあ外部の監督に入ってもらうこともありますし、うちの監督でも色んな人が、それこそ若手からベテランまで色んな人が登用される……うちの会社の大きな財産ですので。なので、専従の監督というのは特に無いという状態ですね」

 

蓜島「うんうん」

 

植田「でも、やっぱりその……番組を始めた4人の監督がそれこそ個性が豊かだったので。そこら辺からの影響でですね、なるべく個性的なものを作っていこうというような所はスピリットとして残っている感じですね」

 

蓜島「あのーやっぱ、個性っていうか、独創的なんですよね。生み出す力も。やっぱり人の真似ではなく自分の物を持っているっていうんですかね、監督自体が。色……色っていうんですかね。それが出ている人たちで作るとすごいものができてきますよね。それなりの個性というか」

 

植田「そうですね、ええ」

 

蓜島「色って出ますよね、個人のね。体験したことが自分の中に入ってて、結局それで演技指導から何からやるわけじゃないですか、美術とか。その中の体験感っていうのが監督のものが出てきて。色が、自分の思ったような創作性がすごく出るのが『世にも』とかやってると、ほんとに。みんな面白がってやってますよね。みんな楽しいっていうか」

 

植田「そうですね。あのー、やっぱり産みの苦しみも当然あるはあるんですけど。他のメディア、媒体に比べると自由度が大きいと言うか。そもそもが個性的で、自分らしさというものを出せというようなお題のある番組というか」

 

蓜島「あれですよね、意外と脚本に対してもハードル高いですよね?」

 

植田「そうですね、20分のものなんですけど。結構時間かけてじっくり作っていますね。脚本に関しては」

 

蓜島「ですよね。すごいハードル高いですよねぇ。某有名な…色んな方がですね、『脚本書いて出しても、いくら有名でもダメ』っていう(笑) そのハードルの高さっていうんですか。動じないというか。ちゃんとしたものを、やっぱり色を出したいっていうね、その辺の個性感が確固たるものがあって」

 

植田「そうですね、そこはフェアですね。たとえ大御所であっても、やっぱり奇妙としての世界観というのが足りてなかったらそりゃ直してもらいますし、直すことができないというのであれば……」

 

蓜島「(採用は)やめようっていう」

 

植田「そうですね。という形で」

 

蓜島「はっきりしてるんですね」

 

植田「そうですね、それはもうほんと」

 

蓜島「ちゃんとしてる。僕の知り合いの方がやって『いやー、ハードル高いよ』って言っていたの覚えてますけど。そんなね、奇妙なんですけど。来年30周年で……何かやられる?」

 

植田「あのー……まあ何かしらは思うんですが、まだ色々とみんなで考えてるというところですね」

 

蓜島「楽しみですね、すごく。どういうものが出来上がるのかね。いやーなかなか……植田さん、いいお話いっぱい聞かせていただいて。すごい喜びますよ『世にも』ファン」

 

植田「だと良いんですけどね」

 

蓜島「僕が知ってる関西の方の監督は『世にも』みんな知ってますからね。何言ってもすぐ話せるっていうぐらいマニアックで。『僕に話させてくれたらずっと話してますよ』っていう人が多い、意外と。やっぱみんなそれなりのね、番組の中で……今週もプロデューサーの植田さん、ありがとうございます。来年がまた楽しみです。2021年、世にも30周年記念」

 

植田「ええ、2021年……ん? 2020年」

 

蓜島「20年だ。さらに行ってしまった(笑)」

 

植田「来年2020年が30周年ですね」(筆者注:対談収録は2019年)

 

蓜島「そうそう(笑)」

 

植田「僕が入社したのが1990年なんですね、共同テレビに入ったのが。で、4月入社で、4月から始まったのが『世にも奇妙な物語』。ゴールデン移ったばっかりだったんですけど」

 

蓜島「ちょうど入社した時」

 

植田「 入社した時に、一番最初に右も左もわからない状態で下っ端の助監督して入ったのが『世にも奇妙な物語』だったんですけど。そんな番組にずっと携われたっていうのがほんとに……有り難い話だなという」

 

蓜島「素晴らしい、素晴らしいです」

 

植田「あの、ちょっと(蓜島さんと)お話したかったことをいくつか……」

 

蓜島「ええ」

 

植田「蓜島さんの音楽の魅力についてちょっとお話したいなっていう風に思っていたんですけど…… 自分の音楽の特異性ってどこにあると思います?」

 

蓜島「音楽の特異性ねぇ……あんまり考えないで作ってるからね、いつも(笑)。まあ得意な分野ってのはあると思うんですよね。でも、意外と最近なんかは歌謡曲系のものをやらせていただいたりとか。

 

あのー『世にも』をやっていたので、結局その後『NIGHT HEAD』とか作ったりしてたじゃないですか。 で、結局イメージが『怖いもの』っていう…サスペンスとかね。そっちの方のイメージが結構ついてて。 未だに怖いもののオーダーが来ることが多いというか。まあ結局"陰界な世界"っていうかな。

 

クーロンズゲート』っていうゲームもそうなんですけど。『クーロンズゲート』も今年22年経って、アナログ盤が出来たんですよ。22年経ったときに。『クローズンゲート』は元々『NIGHT HEAD』を見た人が『絶対これ合う』ってやったんで、結局"陰界"なんですよね。

結局もう特色って言ったら"怖い"。音楽界の稲川淳二っていう(笑)」

 

植田「(笑)」

 

蓜島「こないだ取材に来てさ。うちの部屋で撮影するって言うんで、それで照明入れるって言うから。 『照明出来上がりました』って入ってみたら、うちの部屋青くなってるんですよね(笑) お化け屋敷じゃないんだからさ(笑)

 

やめて欲しいと思ったんだけど『いや、これがやっぱり良いと思う』って言うから。しょうがないから下から顔(に照明)当てられてお岩さんみたくなっちゃって(笑)。でもね、やっぱりそういうイメージが強いんですよ」

 

植田「なるほど」

 

蓜島「うん、それはそれで良い方だなと。おかげさまで怖いところの作り方とか、どういう音が怖いとかね。色んな研究させてもらって。 こないだもラジオで喋ったんですけど、高周波とかってのはちょうど魔界の口が開くような所まで行くんですよね」

 

植田「ほう……」

 

蓜島「最近特にソフトシンセっていうのは、普通のアナログシンセよりももっと高周波が出るんで。 ちょうど『仮面ライダーアマゾンズ』やってたときに、ピーッって高い音の所から笑い声が聞こえ始めたんですよね。『あっ、これヤバイな』って思って。周波数が合っちゃったんですよ、そこの所で。

 

よく周波数が合うとかって言うじゃないですか。みんな電波で動いているもんだから。 下の方は下の方なんですけど、低音部でずーっとチューニングを落としていくんですよね。そうするとね、地獄の釜の蓋が開いたような感覚に陥る。

 

こう、ゴーッとという…とこの周波数があるんですよ。そういう風なこととか、色々研究させていただいて、音作りもね。怖いものはすぐ出来るようになってしまったっていう(笑) これが良いんだか悪いんだかどうなんですかね」

 

植田「そうですね。自分はもちろん怖い音楽というか音というのもお得意であるというのはよく知ってるんですけど。自分なんかブラックコメディとか多くやってて、それにぴったりな音楽も作っていただいてるので。"怖い"という風にはカテゴライズできないなって思うんですけど」

 

蓜島「僕ね、あとやっぱブラックジョーク好きなんですよね。ニーノ・ロータとかね。独特な音楽のニュアンスでやるじゃないですか。ああいうのも取り入れて、ヨーロッパ系とか色んなそういう物が混ざってくると『世にも』なんですよね。

 

ただ『世にも』は『世にも』にしかない音があるんですよ。世界観とか。他の番組にも『世にも』っぽいやつ作っても全然合わない。ニュアンスがちょっと違うんですよね、色んな形で。なので、色々と別け隔てなくやっていくと……やっぱりあれですね。どれが個性なのかと言われても、その作品によりますね」

 

植田まあ、そうですね。僕は一言で言うとですね、ちょっと失礼な言葉を使って言うと"洗練されてない所"が蓜島さんの良い所というか。一番の売りなんじゃないかなっていう……

 

「オレのベッピンガール (デモVer)」('07春「才能玉」より)

 

蓜島「えー、話は続いておりますけれど。来週もこの続き聞きたいよなぁ~。来週は……」

 

 

前回に引き続き、興味深い話が続々登場した後編。なんだかさらに続きそうな感じで終わっていますが、以降3週連続で再放送になっていたので、どうやらこれで完結となっている模様。

あまりに意味深な終わり方だったので、まだ続きがあるんじゃないかとここ1ヶ月ほど振り回されてしまいました…(笑)

 

それにしても、スタッフみんなで考えているという30周年企画には期待しかないですねぇ。

サントラの発売も控えていることですし、ファンにとって何かと楽しみの多い1年になれば良いのですが……!

 

なお、話題の途中に出てきた"青い部屋"の件ですが、気になる方は以下の記事へ。本当に青いです!(笑)

 

ontomo-mag.com

10年代"奇妙"総括

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『10年ひと昔』という言葉もあるように、10年というのは短いように見えて物事が移り変わるには十分すぎるほどの期間でもあります。そしてそれは我らが「世にも奇妙な物語」も例外ではありません。

 

先日放送された「'19秋の特別編」をもって、2010年代の「世にも奇妙な物語」も無事に終了を迎えました。「あ~楽しい10年間だった!」で済ませるのも勿論良いですが、非常に濃い10年間だったこの時期をちゃんと振り返ってこその"ファンサイト"。

 

というわけで、この10年代が「世にも奇妙な物語」にとってどのような期間であったのかを振り返りつつ、2020年代の「世にも」についても併せて考えていきたいと思います。

◆ 古参スタッフの離脱が加速

2010年代に入って、地味に大きな出来事となったのは、これまで番組を支え続けてきた古参スタッフ……特に番組の根幹を成すプロデューサー陣が番組から離脱・距離を置くケースが増えてきたことでしょう。

 

まず2010年に入ってすぐ、深夜の立ち上げ時からほぼ毎回メインプロデューサーの一人として携わってきた石原隆さんが、映画事業局への異動を機に番組から離脱。(現職は取締役兼編成担当)

 

さらに、演出家四天王の一人であり、メインプロデューサー・監修としても長年関わって来られた小椋久雄監督が、2015年をもって共同テレビを退社しフリーに。近年はストーリーテラーパートの演出等、名誉顧問的な立場で番組に携わっていますが、メインどころは後進に道を譲った形に。

 

ほか、小椋監督と共に初期から特に90年代~00年代のSPではほぼ毎回プロデュースを担当されてきた岩田祐二さんも、2015年を境に番組への参加が減少しています。

 

世にも奇妙な物語』のプロデューサーといえば、番組にとって重要部である『映像化プロットの選出』『回全体のテーマや狙いを決める』といった業務も担当しているわけで、当然下の世代にもそのスタイルは継承されているとはいえ、これまで培ってきたカラーが若干変わってしまうのは避けられないでしょう。

 

2000年代では落合正幸星護、中村樹基といった映像面のメインスタッフが離脱していった訳ですが、それから10年を経て、遂に番組の根幹を左右する部分にも時間の波が押し寄せてきたんですね。

◆ 新世代の大躍進と原点回帰

 2000年後半から古参スタッフが離れだしたことで、その辺りから現れた次世代がメイン所を張るようになったのもこの時期。

 

演出面では2000年代中期頃から活躍してきた植田泰史(「イマキヨさん」等)、岩田和行(「恋の記憶、止まらないで」等)、都築淳一(「寺島」等)、城宝秀則(「少年」等)ら共同テレビの面々が挙げられるでしょう。

 

中でも植田監督は、2002年から現在まで17年連続参加記録を持つ、世にもフリークの間ではお馴染みのメインディレクターに。そんな監督も2018年からプロデューサー業を兼任するようになり、よりいっそう番組の中核的存在となっていきます。

 

さらに、ホラーをメインに手掛けるようになった松木(「墓友」等)や、助監督を経てようやく演出家デビューを果たした山内大典(「鍋蓋」等)、元々TBSに所属していた後藤庸介(「未来ドロボウ」等)などの新顔も続々と登場。

 

脚本面でも、和田清人(「相席の恋人」等)、ふじきみつ彦(「JANKEN」等)、向田邦彦(「恵美論」等)、ブラジリィー・アン・山田(「永遠のヒーロー」等)といった若手作家の台頭が目立つように。

 

新人が中心になったことにより、内容としてもコラボSPといった派手なアニバーサリー企画が定番化されるようになっていきます。しかしその一方で、黄金時代の色を失わぬようにするためか、『原点回帰』を図るような動きも同時に起こってきます。

 

その顕著な例が、90年代後半~00年代前半のメインライターであった高山直也(「懲役30日」等)をはじめとした、中村樹基(「壁の小説」等)、橋部敦子(「夜汽車の男」等)、演出家では落合正幸(「雪山」等)、星護(「チェス」等)、鈴木雅之(「ニュースおじさん」等)、石井克人(「BLACK ROOM」)、筧昌也(「美女缶」)など、過去の名作を手掛けたスタッフたちの再起用。

 

公式側からも『今回は原点回帰がテーマです』といった発言がなされるようになり、これら新人発掘と原点回帰とをバランス良く織り交ぜていこうとする流れが出来たことが、2010年代の特徴のひとつであると言えるでしょう。

◆ 後藤PショックとPR戦略

 2010年代の「世にも」を語る上で決して外せない人物と言えば、2014年から約3年間メインプロデューサーとして携わっていた後藤庸介氏。

 

2014年秋から翌年2015年にかけて氏を中心として行われた一連の仕掛けは、これまで殿様商売的だった「世にも奇妙な物語」に強烈なショックを与え、2010年代後半以降の番組を良くも悪くもガラリと変えてしまいました。

 

2014年秋の就任早々、史上初の深夜傑作選『深夜の特別編』や『超短編の復活』。ファン向けに『自身のTwitterでの番組実況』や、特番シリーズ化以降初となる『古参プロデューサーの監修を一切排除した完全若手主導スタイルでの制作』など、番組内外に新しい風を巻き起こすことになります。その甲斐もあってか『'14秋』の視聴率は前回から2.3%増の14.5%を記録し、大成功。

 

この成功の翌年に25周年というアニバーサリーイヤーが到来したことも手伝い、後藤Pらスタッフはこの勢いを保ったまま、以下の3つの柱を中心とした番組改革を推し進めていくことになります。

 

まずひとつめは、前出の『深夜の特別編』や『超短編の復活』、2015年の『人気投票&リメイク特番の企画』『お台場での上映企画』『所在不明だった「雨の特別編」マスターテープの発掘』といった『従来ファンへのアピールを核としたPR戦略

 

さらに『YouTubeでの連載企画』『深夜の帯シリーズの放送』『番組とネットの連動企画』といった『新路線の積極的な模索』。

 

そして、『公式Twitterの立ち上げと運営の開始&番組実況の定例化』『長年放置されていた公式サイトリニューアル&全話アーカイブの制作』『放送直前まで話題性を持続させるため、情報解禁時期の細かな変更』といった『ネット時代を踏まえた環境整備とそれに合わせたPR手法の本格導入』。

 

それらの試みが最良の形で実を結んだのが、当時異例のバズりを記録した『ががばば』。

 

Yahoo!JAPANにてこのワードを打ち込むと、ブラウザ上にホラー演出が表示されるという後に多数の企業が真似ることとなったこの企画は、Yahoo!検索ランキングで絶対王者であった『YouTube』を抜いて第1位に輝き、様々なネットメディアでも取り上げられる事態となりました。

それ以降、ネットを中心としたプロモーションは一般的となり、今では『世にもといえば放送前の企画』といったイメージも若年層を中心に根付いてきている模様。

 

こうしたネットを意識したPRは、これまで旧態依然とした制作スタイルであった「世にも」ではまず考えられなかったもの。後藤Pの登場はデジタルネイティブ世代主導による「世にも」の新時代の始まりを告げる、革命的な出来事だったと言えますね。

◆ フジテレビ不況とPR企画の定番化

アニバーサリーイヤーであった2015年が終わってから、『世にも』を取り巻く環境は徐々に悪化の道を辿ることとなりました。

その大きな原因となったのが、2015年後半から始まった『フジテレビの不調』。

 

昨今のテレビ離れに加え、フジテレビ自体の魅力低下により、この年開局以来初となる赤字に転落。数字も下落の一途をたどり『サザエさん以外の全番組がヒトケタ台』なんて週もあったほか、番組中に芸人らが『がんばれフジテレビ!』との発言をして笑いを取るなんて光景も度々見られました。

 

この影響で『世にも』含むフジ番組の制作費も大幅カットされたほか、『'17秋』では初となる視聴率ヒトケタ台を記録。さらに前年の2週連続の予算分を浮かすためか、5回に渡って1話ずつ減らした4話編成での放送となるなど、25周年の賑やかさの反動が一気に押し寄せた時期となってしまいました。

 

その一方、この時期から番組が注力し始めたのが『放送前のPR企画』。

 

2015年の『ががばば』の大ヒットによってネットPRの凄さを学んだためか、2016年秋から『うんこミュージアム』等のPR企画業を取り扱う"面白法人カヤック"と手を組んで、以降放送前には趣向を凝らしたPR企画が続々とお目見えするようになりました。

 

その企画内容は非常に多彩で、『日本マイクロソフト人工知能とコラボし、番組内容とLINEが連動』『世界的に有名な都市伝説"This Man"を渋谷やとくダネに登場させるなどのリアルを巻き込むゲリラプロモーション』『渋谷センター街にオリジナル自販機を設置』『YouTuberとコラボ』などなど、未だに印象深いものばかり。

PR企画発表後にはSNSのトレンドに挙がるのも毎回定番となっているほか、現在ではこっちの企画の方を楽しみにしているファンも多くなっているとか。

 

番組側としては、近年『不定期放送であるため、TV告知で届かない層へのアピール』が大きな課題となっていたわけですが、このPR企画のおかげか土曜プレミアム枠の中では年間上位に食い込む回も出てきており、数字そのものは下がったものの、昨今のTV業界全体で見れば比較的安定傾向に。

 

フジテレビにも番組にとっても苦しい時期であった10年代後半ですが、そんな中でも、今のテレビではできないことをやる『世にも』本来の精神が、新たな面白さを発揮できた時期にもなったのでした。

2020年代の「世にも」の課題

以上、世にもの2010年代をざっと振り返ってみましたが、改めてこの10年の番組史を見ていくと、同時に今後の課題も見えてくるような気がします。

 

例えば今後さらに黄金期スタッフの参加がほぼゼロに近づいていくのが目に見えており、今後番組の色をきちんと継承していける次世代スタッフの育成がより必須となっていくでしょう。

 

また、PR企画が成功しているとはいえ、後々マンネリに陥らないとも限りません。「とりあえずPR企画をやっておけば良い」といった安易なルーチンワーク化する危険性もあります。その際、新たな一手に切り替えることができるか否か。

 

また、昨今の『ネタバレ提供バック』や『バラエティ色強めのコラボ企画』といったケースを見ていると、番宣手法の拡大化や派手さを追い求めすぎる傾向が徐々に出てきていますよね。

 

現在のテレビが概ねそうだから…といえばこれも時代の流れなのかもしれませんが、どこまで『世にも』のカラーを壊さずにその時代に合った作りにしていけるかという部分も、個人的には気になる所です。

 

この間の'19雨のように、フジの若手Pが「"雨の特別編"は奇妙ファンなら知る人ぞ知るタイトルでもあるので、スタッフの反対を押し切ってイチかバチかで付けちゃいました!(笑)」という、地獄のようなノリを参加早々ブチかましてくるケースもあるので……。

 

同じフジ側であればかつての石原隆氏のような、番組のカラーを適度に守って適度に崩せる方がメインを張ってくれるようになるとマニア的には嬉しいですね。

 

その他にも『アニバーサリーイヤーのコラボ縛りから脱却するか新しい路線に行くか』『さらに伸びるであろうNetflixなどの配信サービスとの付き合い方は?』といった辺りも頭に浮かんだりしますが、これらを踏まえてみて改めて思うのは……

 

2020年代の「世にも奇妙な物語」も面白いことになるんじゃないかという期待感!

 

もしかしたら数字低迷で番組が終了してしまうかもしれないし、とんでもない不祥事を引き起こして表舞台から番組の名前が抹消されるかもしれません。

 

そういった不安や心配も数あれど、この30年いつだって時代に寄り添い、新しいこと面白いことを多くの才能が試行錯誤してきた「世にも」だからこそ、先行きの見えない時代の中であっても、未知の奇妙や楽しさを我々に届けてくれるに違いありません。

 

4月19日が来れば『世にも奇妙な物語』は記念すべき30周年目に突入します。

果たしてどんなアニバーサリーイヤーを迎え、その後番組はどのように進化していくのでしょうか。

 

これまでの奇妙な10年を奇妙な世界の住人として過ごしてきた我々だからこそ、これからの10年もじっくりと見守っていきたいですね。

世にも奇妙な服屋&ズンベロリメイク秘話

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◆ 世にも奇妙な服屋 実物紹介

放送から既に1ヶ月以上が経過した『'19秋の特別編』。その放送前に行われたPR企画『世にも奇妙な服屋』を、皆さんはまだ覚えていますでしょうか。

 

yonimokimyounafukuya.stores.jp

 

SP各話をモチーフにした各20着限定のアパレルグッズを、5日間に渡って4着ずつ販売するという斬新な企画だったわけですが……本当にとんでもない企画でしたね。

 

中には、いつ見ても『SOLD OUT』なので、実際には購入できないジョークサイトだと思っていた方も結構いたようですが、それも当然のこと。

 

連日、開始10秒以内に完売していましたからね!

 

初日はカートに入れるなり『商品がなくなりました』という表示が出た瞬間膝から崩れ落ち、その日はずっと腹に鉛を抱えたような気持ちで過ごしました…(T_T)

 

翌日からは、事前のイメージトレーニングや、他の店舗で実際に購入画面の流れをチェックして、7~8秒以内に購入手続きを終えるように練習を重ねてから挑んだものの、またも撃沈。しかし、三日目以降はコツを掴んだのか購入が次々と成功。全種コンプリートとはいきませんでしたが、目ぼしいアイテムはしっかりゲットできたので良しとします。

 

というわけで(?)。「世にも奇妙な物語」のアレコレを多くのファンの方々に紹介・共有するという建前でやっているブログですから、今回その届いた商品に関する詳細を簡単にご紹介しておこうと思います。私が書かないと、恐らく誰もちゃんとしたことを書かないと思うので…(^^;)

 

 

まずは商品の入ったダンボールから。「ただの箱なんかどうでもいいよ」と思うなかれ、なんと箱の表面には『世にも奇妙な服屋』のスタンプが押されているのです。

 

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こんな箱がまとめて届けられたので、配達していたお兄さんはさぞ不審に思ったことでしょう…(^^;) しかし、雰囲気作りとしてはバッチリ。心憎いファンサービスですね。

 

そして、マニア的にはこのスタンプも喉から手が出るほど欲しいです!(笑)

 

 

ちなみに、発送元は毎回世にものPR企画を担当している『面白法人カヤック』さん。伝票にも『世にも奇妙な服屋』としっかり記載されています。

 

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早速開封してみると、中身はこのような感じに。

 

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同封されているのは『世にも奇妙な服屋』のロゴがプリントされたビニール製のオリジナルショッパー。分厚いコーチジャケット以外の商品はこの袋に入ったままの状態になっている様です。

 

なお、ショッパーの裏面はこんな感じ。

 

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ショッパーが付いてくることは事前に一切知らされておらず、何とも嬉しいサプライズ。こちらも商品と同数の限定品であることには変わりはないので、かなり貴重な一品になるのは間違いないでしょう!

 

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コラボ元である『Lonely/論理』のタグもしっかり。Lサイズのみの販売なのでこれ以外にサイズは無しです。

 

 

あとは肝心の商品そのものですが……マニアの性として『未開封』にこだわりを持っているため、紹介はここまでとなります。何卒ご了承くださいm(_ _)m

 

というわけで以上『世にも奇妙な服屋』の商品紹介でした。

 

限定商品というのはマニアが好きな言葉ではありますが……今回は私含めて、周囲のファンの方がただただ疲弊していくだけの企画だったので、今度販売企画があった際は『クイズに答えてオリジナル壁紙をプレゼント』くらいの企画が一番良いですね(^^;)

後藤庸介監督のズンベロ秘話

渋谷クロスFMのラジオ番組『TOKYO add9』11月19日放送分にて、現在フリーとして活動している後藤庸介監督がゲスト出演。

 

 

公式のアーカイブ動画をご覧いただければわかるように、『世にも奇妙な物語』 にまつわるトークを中心とした、世にもファン必聴の内容に。

 

今回は、その中でも非常に興味深かった2015年の『ズンドコベロンチョ』リメイク版にまつわる部分を書き起こしでご紹介。

 

MC:diue(以下MC)「元祖もリメイクされるにあたってこだわった部分でしたり、その思い入れを是非教えていただきたいです」

 

後藤「そもそも4年前に25周年ということで傑作をリメイクしようっていう企画をしてしまったんですけど……まあ辛かったですよね。傑作なんで。リメイクって……ねぇ? なかなか難しい。同じようにやりゃ面白いんでしょうけど、まあリメイクじゃないし」

 

MC「すごい別物でした」

 

後藤ズンドコベロンチョさんはタイトルのキャッチーさもあって、何かと一番取り沙汰される作品のひとつだったので非常にやりづらいなと。北川悦吏子さんにやりたいなって言ったら、まあ打ち合わせしましょうって言って打ち合わせして。

 

でもその……何でも知っている主人公が、なぜかこのワードだけ知らないっていう設定の話なので、時代が重要だったりするんですよね。だから、草刈さんが1991年にやった時は多分商社マンかなんか……あ、代理店だ。広告代理店のね、だったんですけど。今ちょっと時代違うから。

 

でまあ、デジタルの世界の人、何でも知ってる横文字大好きって感じの人にしたんですけど。こだわったのはやっぱ、結局変えなきゃいけない。設定変えるから話も変わる。けどちゃんとズンドコベロンチョじゃなくちゃいけないっていう、話の骨格と言いますか……は変えたくないじゃないですか。

 

でもすっごい難しいのは、今何でも調べられちゃうっていう……調べられないことないじゃん、これどうする?となって」

 

MC「でもそこのシーンが凄かったんですよね(笑) 私もそれ見て。調べたらどうなるんだろうって、ずっとヒヤヒヤしながら見てたんですけど」

 

後藤「まあ調べちゃいますよね」

 

MC「調べたじゃないですか。えーっ!みたいなって(笑)」

 

後藤「そこが上手くいったのかもしれないですね」

 

MC「そうです、一番好きな瞬間かもしれないです」

 

後藤「あはは(笑) ちょっと一歩先を行ってましたよね。それが今の時代の何でもわかる、何でも知ることができる時代の……意外と盲点。何かそれらしきことはたくさん書いてあるんだけど、肝心なことはネットの中ではよくわからないっていう」

 

MC「画像検索しても、何か全部みんなバラバラで統一性がなかったりして。そこすっごい好きです。その部分」

 

後藤「最初はただ単にビビってどうしようって考えてただけなのに、意外とやっていくうちに別のテーマが立ち上がったというか。そういう感じはありましたね」

 

MC「なるほど。Siriでズンドコベロンチョを色んなイントネーションで言いながら調べるシーンとかも私好きで」

 

後藤「いいっすよねぇ」

 

MC「でも何か、あのシーンってすごい笑えるんだけど、iPhone片手にイライラしてるとか、すぐカチンと来る感じってすごい今っぽいなって思って。あ、私たちってちょっと短気になっちゃってるのかなって思ったりもしました」

 

後藤「ちゃんと調べようとしてないですよね、僕らも。インスタントに情報が入るからそれを信じちゃうし、信じちゃいますよね。これ嘘かもしんないって思うけど、すぐ便利に手に入る情報だから信じちゃうじゃないですか。それをすぐ運用したいから。全然疑わないじゃないですか。例えば(ゲスト紹介の時に情報元にした)Wikipediaとかね」

 

MC「何でそこずっと言う(笑) ちゃんと隅々まで(ご本人に)確認したんです!(笑)。でも、本当にそうですね」

 

後藤「僕らちゃんと調べないから。実際嘘も多かったりとかね。人によって見え方によって全然違う情報だったりするっていう。意外と怖いですよね」

 

MC「この作品見た方、多分『ズンドコベロンチョって何なんだろう?』ってみんなモヤモヤしてると思うんですけど。後藤さんはどんな風に?」

 

後藤「でもなんか、ドラマの中でちょっと出てきたじゃないですか。一瞬」

 

MCゆるキャラみたいな?」

 

後藤「一瞬見切れてましたよね。あれじゃないですか?(笑)」

 

MC「あれですか?(笑) 尻尾みたいな? カラフルな?」

 

後藤「あれだと思いますけどね。あれがズンドコベロンチョだと思いますよ多分。そうだと思って演出しましたけど(笑)」

 

(中略)

 

MC「『ズンドコベロンチョ』DVD……元祖の方はなってないですよね」

 

後藤「う~ん、なってないかな」

 

MC「なってないですか。これからなる?」

 

後藤「う~ん……ん? う~ん(苦笑)」

 

MC「これからじゃ、お願いします」

 

後藤「なってるかな? ごめんなさい、ちょっと定かでないです。初期の方はなってるかもしれないです」(※ 筆者注:なっていません)

 

MC「初期はなってるかもしれないですが、藤木直人さんのリメイク版はまだこれからという」

 

後藤「これから(笑) そうですね」

 

MC「これからということで。『ズンドコベロンチョ』是非みなさんチェックしていただきたいなと思うんですが(笑)」

ここからはMCの方と後藤監督がそれぞれ歴代作品のベスト3を紹介するというコーナーに。

 

詳しくは動画の方で見ていただくとして、後半には現在フリーになった身だからこそ言える爆弾発言が…(笑)

 

MC「そんな感じで『世にも奇妙な物語』について語っていただきましたけど」

 

後藤「はい、見てくださいみなさん」

 

MC「みなさん是非、DVDになっているものもたくさんありますので」

 

後藤「……まあ思い切って言っちゃいますけどYouTubeにね、動画もありますから」

 

MC「それいいんですか!?(笑)」

 

後藤「見られないよりは見られた方がいいので」

 

MC「そうですね。この(ベスト3にあげた作品)辺りは大体……」

 

後藤「(DVDに)なってます」

 

MC「なってる。あの、YouTubeにもあがってるので」

 

後藤YouTubeで見ていただいても大丈夫です」

 

いや~すごい発言が飛び出してしまいました。ここまで言い切ってくれると逆に清々しいですね。

 

……とは言っても、これらはあくまでいちクリエーターとしての発言であり、番組側としての意見では無いでしょうから、「世にも」ファンの皆さんはくれぐれも公式DVDや公式配信をお忘れなきよう!(^^;)

'19秋の特別編 感想

◆ お知らせ

当サイトでは現在2010年代後半作品の人気投票企画を実施中です。

投票期間は2020年4月10日まで。アナタの投票をお待ちしておりますm(_ _)m

 

docs.google.com


※ 当サイト主催の非公式企画のため、フジテレビ等とは一切関係ありません。

◆ '19秋の特別編 感想

今年最後のお祭りこと「'19秋の特別編」の放送が無事終了しました。

前回の「雨の特別編」はハートウォーミングもの中心ということで新鮮味のあった一方、世にもファンからは「物足りない」との声が数多く聞かれました。

 

そんな雨SPから一転、今回はブラック・ホラー系中心という世にもファンにも嬉しいバランスの回に。さらに今回は18年ぶりに原作モノが一切ない完全オリジナル新作回!

 

後は面白ければほぼ完璧といったところですが……なんせ30周年にバトンを渡す大事な局面。そちらの意味でもドキドキしつつ、ラストまでしかと見させていただきました。

 

というわけで、今回も私の個人的な感想を。評価は★5つが最高となっています。

◆ 第1話「鍋蓋」★★ 

ある日、不思議なアイテム(サービス)に出会った主人公が、どんどん対象にのめり込んでいって……という世にもでは王道の一編。

 

本作一番のキーアイテムである『鍋蓋』の使い道ですが、個人的には予想の範囲内だったというか、真っ先に候補から外していた選択肢が実は正解だったというのがやや残念。もう少し『そのためだったのか!』という驚きが欲しかったですね。

 

また内容としても、過去『レンタル・ラブ』『仮婚』『幸せを運ぶ眼鏡』『運命探知機』といった前例が色々あるので、どうしても既視感が拭えず。この手の『実は企業の新サービス・新商品でしたオチ』というのはどうしてもラストの説明が冗長気味になってしまい、本作はその短所が強く出た印象が残ります。このタイプはよほどスマートにやらないと、つじつま合わせ感がどうしてもにじみ出てしまうんですよね。

 

良かったポイントとしては、主演の杉咲花さんの豹変っぷり。あそこでグッと引き込まれました。もう少し後半の展開に新鮮味があれば……★2つ

◆ 第2話「恋の記憶、止まらないで」★★★★★

番組では「絶対イヤ!(1990)」「出られない (1994)」で、そのコメディエンヌっぷりが印象的だった斉藤由貴主演による番組初のホラー作品。

 

とにかくもう……最高でした!

 

ここ10年のホラーではナンバーワンかもしれないなと。いい物を見せてもらいました。期待以上でした。手心一切なしの満点評価です。

 

ここまで絶賛するポイントとしては、『安易なビックリ系に頼らない真摯なホラー演出』『呪いの○○というベタなテーマでありながらただのベタに終わらせない考えられた構成』『主人公の死を直接描かずあそこで終わらせる潔さ』 などが挙げられますが、何と言っても『「恋の記憶、止まらないで」というタイトルの使い方』ですね!

 

最初の発表時は「これまた変なタイトルを付けたもんだなぁ~」と思っていたんですが、2年前の「今は絶対だよ」のような例もあるので、まあ作家さんの感性かな…とそこまで気にしていなかったんですよね。……してやられました。アイディアの勝利!

 

これ、下手にやると「ただのダジャレかよ!」と大いに冷めさせてしまう危険性(中にはそういう人もいたでしょうが)をかなり含んでいるんですが、ここに至るまでの丁寧な構成と演出のおかげで、大半の視聴者を作家の目論見通りにバチッと狙い撃ちできるという、脚本・演出ともに非常に良いお仕事をされているなと思いました。

 

これまで数々の小説やらドラマや映画やらを見てきたわけなんですが、年々『やられた!』と思えることが少なくなってきているんですよね。そんな中で今回、愛する「世にも」で十数年ぶりにこの感覚を味わえるとは……それだけでもう「ご馳走様です!」という心境。名作『プリズナー』のように、ひと手間加えるだけでグッと印象が全然違ってくるんですよね。こういうエッセンスのホラーが見たかったんですよ!

 

他の注目ポイントとしては、あの『トリハダ』でお馴染みの笹野鈴々音さんが番組に初登場というホラードラマファンには衝撃の大事件も印象的。放送日直前まで知らされておらず、文字通りひっくり返りそうになりました。使い所もバッチリ。

 

あとは、番組テーマの作曲家である蓜島邦明さんの手による劇中歌とそのCM。呪いのCMソングというとクリネックスの有名なCM等がありますが、本当に80年代初期にローカルでやっていそう感が素晴らしかったですね。80年代はアート系を意識していたせいか、不気味なCM、不可解なCM色々ありました。

 

……とまぁ、べた褒めしかしていませんが、この十数年のホラー物に対する不満が色々あったので、怖くて驚けて余韻も残る…という本作の登場には心から拍手を贈りたいです! 

 

岩田監督の良作メーカーっぷりに関心すると共に、メジャードラマ初デビューとなる諸橋隼人という作家さんを発見できたのも収穫でした。「世にも」ホラーの今後が非常に楽しみ。文句なしの★5つ。

◆ 第3話「コールドスリープ」★★★

昨年からプロデューサーとしても携わるようになった植田泰史監督の最新作。前回の「大根侍」から一転、今度は直球のハートウォーミングを持ってきました。

 

率直な感想としては、もうちょっと尺が必要だったかなという印象ですね。後半の主人公の心境の変化からラストまでがやや駆け足気味だったかなと。番組初期からの課題である『感動物 時間が足りない問題』は今なお後を引いているようです。

 

とはいえ、さすがオールマイティーな植田監督作なこともあり、妙なツッコミ所もそこまでなく、テンポも良い手堅い作り。世にもの感動モノとしての平均点は十分高めだと思います。が、今回の作品群の中ではどうしても地味な印象になってしまうかなと。しかも「恋の記憶」と「ソロキャンプ」に挟まれているわけですからね~。まあ、今回のラインナップを考えると3話目に入れるしかなかったのもよくわかるんですが。

 

2回見直してみて、実は植田監督ってコメディ作よりも「明日へのワープ」のように、こういう路線をメインにやりたい方なのかな?と思ったりも。あとEDの後日談は視聴者を最後まで引っ張るための苦肉の策なのは重々承知の上、それでも従来の路線にして欲しい人間なので…。そこを考慮して★3つ。

◆ 第4話「ソロキャンプ」★★★

「恋の記憶~」の脚本を努めた諸橋隼人さんの2作目となるサスペンスもの。夜のソロキャンプという題材は目新しかったですね。

 

一体どんな展開になるのか、「開かずの踏切」風な話なのか、それとも「すてきな休日」路線なのか、先が読めない展開にドキドキしていましたが、まさか「地獄のタクシー」的な医師の因果応報話に着地するとは……見始めた時には想像もつきませんでした。

 

初見の際はソロキャンプから医師の話になるのが若干チグハグかな…?と思っていたのですが、改めて見直してみると冒頭からその辺の伏線がチラホラと。「ソロキャンプは自分と向き合える」というセリフも、つまりそういうことだったわけですね。納得。

 

後半のテンポの良さからの印象的なラストカットのインパクトも◎。これまでありそうでなかった新しい切り口のストーリーだったんじゃないでしょうか。ただ、もう少しスマートに出来たんじゃないかなと思う所も。次回作にも期待したいですね。★3つ

◆ 第5話「恵美論」★★

前回の「大根侍」の脚本家による女子高生コメディもの。確実に前後編だろうと予想していましたが、分割されなかったので一安心!(^^;)

 

それにしても、自分自身が学校の教科になるというアイディアは面白いですね。教科書の内容や板書の細かい小ネタに加え、コメディらしいテンポの良い展開で楽しく見ることができました。

 

……が!

 

やっぱりというか何というか、ここ最近の5話構成でありながら1本は実質軽い短編という扱いなのは見ていてモヤモヤとしてしまいます。コメディだからとはいえ、いくらなんでも短すぎるし、オチが弱すぎる! せっかくの面白い題材なんですから、もっと楽しませてもらいたかったですね。

 

軽いテイストの作品は全然ウェルカムですが、番組内での扱いまで軽いのはちょっといただけません。コメディだから…という部分に甘んじているというか、どうもお手軽作品ばかりになっていますし。女子高生×コメディが三回連続で続くという点も、やや食傷気味。

 

今回前後編を取りやめたのは英断だったと思いますが、それでもEDを挟んでしまったのが少しガッカリ。この辺は番組予算や数字的な物に絡んだ大人の事情だと思うんですが……もう少し! もう少し従来のテイストに沿ったやり方でお願いしたいなと。 これらの部分を差し引いて★2つ。

 

ところで、ED後に本当にやるべきだったのは本作ではなく「地酒 琴條」のCMだったと思うんですが、どうでしょう?

◆ 総評 ★★★★

前回の「雨の特別編」と比べると、だいぶ印象の良い回でした!

 

18年ぶりに全話オリジナル脚本で挑戦したのも、ひとまず成功と言えるのでは。これまではオリジナルの不足を原作もので埋めていたイメージがあったので、「大丈夫かな…?」と思っていたんですけどね。及第点は十分取れているのではないでしょうか。

 

そしてやっぱり「恋の記憶~」の出来が本当に良かったですね。劇中歌も未だ脳裏にこびりついていて、どうやら止まらないのは恋の記憶ではなく、この歌の記憶だったようです。

 

ほか、ここ最近ファンの間で散々言われていた前後編の取りやめはもちろんのこと、ラテ欄で行われてきたバラエティ色の強いサブタイトルを排除し、各話の題名だけを羅列する原点回帰など、それなりの改善も見えて一安心。

 

ただ、なんといいますか…5話目の前にEDを挟む方式や、提供バックの告知などの部分が相変わらず残っているのは残念でしたが、ファンからの苦情に対して最大限の配慮をした上でどうしても外せなかったものとしてひとまず静観します。徐々に回復傾向とはいえ、フジテレビの現状が現状ですしね。

 

というわけで、これらを勘案した上での総合評価は、来年30周年への期待を大きく込めて★4つ。

 

ネット上を見てもかなり好評の声が多いようなので、それも嬉しかったですね。私の知る限りでは「AIRドクター」が大ヒットした『'13春』以来じゃないかなと。この調子でどんどん飛躍していきましょう!

 


 

……さあ、というわけで10年代の特別編が無事終了したわけですが……本当にこの10年は濃かったですね!

 

20周年を迎える一発目が今なおファンの間で悪名高い『人気番組競演編』から始まり、そこから私にとっての暗黒期を2年ほど経て、徐々に復活。そうしているうちに登場した後藤庸介プロデューサーによる番組大改革。そのままの勢いで25周年に突入し、数々の特大イベントの投入。その余波での(?)4話構成、視聴率が初のヒトケタといった事件……などなど。

 

この間にも監督四天王の小椋久雄さんが共同テレビを退社したり、若手がどんどん入ってきたりと、番組のスタッフも大きく変わっていきました。後藤Pも昨年共テレを退社してフリーになられましたしね…(T_T)

 

この辺の総括は追々別の記事でまとめたいと思いますが、ひとつだけ言えるのは、『世にも奇妙な物語はどんどん新しい世代に変わっていっている』ということ。

 

番組四天王の方々も滅多に世にもに参加しなくなりましたし、唯一参加されている小椋監督もテラーパートや監修を担当する程度。00年代からほぼ毎回携わり続けている植田泰史監督も昨年からプロデューサーを兼任し始め、新顔も続々とお目見えしています。

 

そんな現状を踏まえての、来年2020年。「世にも奇妙な物語」は30周年を迎えます。

 

果たしてどんな作品が我々を楽しませてくれるのか、どんな驚きの企画が登場するのか、どんな新機軸を打ち出してくるのか。現時点ではさっぱり想像もつきませんが、これまで応援していたファンも、これからファンになる方も楽しめる10年がこれからも続くことを祈るばかりです。

 

 

最後に。ここをご覧になっている「世にも」ファンの皆さんは、今回の「秋の特別編」いかがだったでしょうか。どれも楽しめた方も、どれもイマイチだった方も、今の新作には興味がなくなっている方も、来年の30周年をよりよくするために公式サイトへメッセージを送ってみることをオススメします。

 

www.fujitv.co.jp

 

私の周囲の話では、意外と苦情等もしっかり見てくれているようなので、褒めるべき所は褒めて。文句を言いたいところはしっかり伝えて。要望したいことはしっかり要望すれば……よりいっそう番組を良くしていけるかもしれません。

 

DVDや再放送なども、リクエストの声が一番届きやすいのは公式サイトへのメッセージらしいですしね。SNSやブログでグチグチ言ってるだけではダメなので、私もしっかり送るつもりです!

 

 

スタッフ&キャストの皆さん、今回も本当にありがとうございました。

 

次回の30周年は、25周年時のような多くの世にもファンが楽しめる素敵な年になることを願っています! 間違っても『人気番組競演編』のような悪夢からのスタートにはなりませんように…(笑) よろしくお願いします!

'19秋の特別編 みどころ紹介

令和2回目となる新作「秋の特別編」が、今年もやってきます。

前回が6月にずれ込んだので、久々の『冬の特別編』を内心期待していたんですが…その分早く新作が見られるので良しとしましょう!

 

今回は遂に2010年代の最後を締めくくることになる特別編というわけで、例年以上に面白さを期待したい所。というわけで、今回も放送前の個人的な見所とスタッフ情報を簡単にご紹介。

 

※ 11/1 時点で判明している情報に基づいており、実際の放送では放送順等が変更される場合があります。

◆ 第1話「コールドスリープ

【 スタッフ & キャスト 】(名前横は番組参加回数)

原案:山崎翔《 初 》

 

脚本:山岡潤平《 4 》

【主な代表作】マジすか学園』『家政夫のミタゾノ』『仮面同窓会』など

【主な奇妙作】『さっきよりもいい人(2008)』『冷える(2014)』『脱出不可(2018)』

 

演出:植田泰史《 24 》※プロデューサー兼任

【主な代表作】『アンフェア』『遅咲きのヒマワリ』『人生が楽しくなる幸せの法則』など

【主な奇妙作】ネカマな男(2005)』『イマキヨさん(2006)』『JANKEN(2011)』『大根侍(2019)』など

 

主演:ムロツヨシ《 3 》

【主な代表作】『勇者ヨシヒコ シリーズ』『今日から俺は!!』『Iターン』など

【主な奇妙作】『7歳になったら(2012)』『×(2015)』

【 注目ポイント 】

★ 人気俳優ムロツヨシ 初の世にも主演作品

過去2回出演してきたムロツヨシが3度目にして遂に主役に起用。

 

★ 植田泰史演出・プロデュースによるSF作!

ファンから定評のある植田監督が今回1年ぶりにプロデューサーを兼任。

 ◆ 第2話「恋の記憶、止まらないで」

【 スタッフ & キャスト 】(名前横は番組参加回数)

脚本:諸橋隼人《 初 》

【主な代表作】『パフェちっく!』など

 

演出:岩田和行《 14 》

【主な代表作】絶対零度』『福家警部補の挨拶』『ベイビーステップ』など

【主な奇妙作】『リプレイ(2006)』『真夜中の殺人者(2009)』『ベビートークA錠(2011)』『クリスマスの怪物(2018)』など

 

主演:斉藤由貴《 3 》

【主な代表作】スケバン刑事』『はいすくーる落書』『同窓会』など

【主な奇妙作】『絶対イヤ!(1990)』『出られない(1994)』

【 注目ポイント 】

斉藤由貴が25年ぶりに世にもに出演!

世にもではコミカル作品でお馴染みだった斉藤由貴が初ホラーに挑戦。

 

★ 劇中歌はテーマ作曲家 蓜島邦明氏の書き下ろし!

斉藤由貴が唄う劇中歌を蓜島邦明氏が書き下ろし。どんな名曲(?)になるのか要注目。

◆ 第3話「ソロキャンプ」

【 スタッフ & キャスト 】(名前横は番組参加回数)

脚本:諸橋隼人《 2 》

 

演出: 横尾初喜《 初 》

【主な代表作】『ぼくは麻理のなか』『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』など

 

主演:板尾創路《 2 》

【主な代表作】『グッド・ドクター』『監察医 朝顔』など

【主な奇妙作】『蟲たちの家(2015)』

【 注目ポイント 】

★ 初主演となる板尾創路の奇妙なキャンプもの!

板尾さんによると「『世にも奇妙な物語』の基本とも言える怖い話で、王道だなと」とのこと。

 

★ MV界でも活躍する横尾初喜が世にもに初参加!

サザンオールスターズ堂島孝平のMVのほか、ショートフィルムやCMなど幅広く活躍中の方だそうです。

◆ 第4話「鍋蓋」

【 スタッフ & キャスト 】(名前横は番組参加回数)

脚本:赤松新《 2 》

【主な奇妙作】『幽霊社員(2018)』

 

演出:山内大典《 3 》

【主な代表作】海月姫』『ストロベリーナイト・サーガ』など

【主な奇妙作】『ラスト・シネマ(2014)』『フォロワー(2018)』

 

主演:杉咲花《 初 》

【主な代表作】とと姉ちゃん』『メアリと魔女の花』『ハケン占い師アタル』など

【 注目ポイント 】

杉咲花初主演によるダークなシンデレラストーリー!

定番の不思議なアイテムもの。タイトルが示す『鍋蓋』の使いみちに注目……?

◆ 第5話「恵美論」

【 スタッフ & キャスト 】(名前横は番組参加回数)

原案:伊達さん《 本編は初 》

【主な代表作】ゲゲゲの鬼太郎』など

【主な奇妙作】『'17深夜の特別編「SON-TAKU」(2017)』

 

脚本:向田邦彦《 3 》

【主な代表作】みいつけた!』『わしも』など

【主な奇妙作】『空想少女(2014)』『大根侍(2019)』

 

演出:山内大典《 4 》

 

主演:白石聖《 初 》

【主な代表作】『PRINCE OF LEGEND』『I"s』『だから私は推しました』など

【 注目ポイント 】

★ 原案はコントユニット「大人のカフェ」の伊達さん!

過去には、あの世にも奇妙な自販機が誕生した2017年深夜の『SON-TAKU』の脚本を担当。

 

★ 注目の若手女優 白石聖世にも奇妙な物語初主演!

ご本人によると「青春の爽やかさとクリーピーな要素が交わった、とてもユニークなお話になっています」とのこと。

 ◆ 雑感

今回の中で私が特に注目しているのは…… 

斉藤由貴×岩田演出の相乗効果が気になるホラー作「恋の記憶、止まらないで」

・ありそうでなかったワンシチュエーションホラー?な「ソロキャンプ」

以上2作品。

 

前回が明るめなテイスト中心だったせいか、今回は打って変わってホラー・ブラック中心の回になりました。前回初めて番組を見て「世にも奇妙な物語ってそんな怖い番組じゃないんだ~」と安心したあなた……真の奇妙な世界をどうぞご堪能ください!(?)

 

 

……さて、ざっとスタッフデータとあらすじを見た感じから私が受けた印象ですが、

 

今回、いつもより面白そうじゃないですか? 

 

はい、「お前、毎回それ言ってるだろ」とツッコまれるのは承知の上です。前回はファンタジックでハートウォーミングな作品が多かったせいで若干自分の中で不完全燃焼の感があったんですよね。今回はブラック系中心ということで、ようやくその辺りのモヤモヤが払拭できそうです。

 

ほか、マニア的な注目ポイントを挙げてみれば、若手中心で構成されているフレッシュな顔ぶれである所。そして、「'01秋の特別編」以来18年ぶりとなるオリジナル脚本のみで構成された回である所でしょう!

 

2010年代最後の締めくくりを、若手中心によるオリジナル作品のみで勝負…という構図は世にもマニア的にはなかなかアツいものを感じてしまいます。番組史上とにかく波乱の年だったこの10年間の集大成という狙いがあるのでしょうか…!?

 

まあ……「恵美論」は前後編に分割されそうな匂いがプンプンしますが!(笑)

 

来年は番組30周年が控えていますし、そんなアニバーサリーイヤーへスムーズにバトンを渡せられるような良回であることを祈ります。今年最後のお祭りを思う存分楽しみましょう。

 

'19秋の特別編は、2019年11月9日 夜9時より放送です。お見逃しなく!

テラーパート消失の謎&BGM特集第2弾

レギュラー回の再放送に異変が起こっています。

 

事の始まりは8月4~25日にCSホームドラマチャンネルで行われた、TVでは4年ぶりとなるレギュラー回の再放送企画。

PDS大映テレビ制作回から選ばれた4回分の放送という、なんの変哲もない再放送企画だったのですが……

 

なんとストーリーテラーパートが全カット

 

さらにPDS回では、『ストーリーテラータモリ』の表示も消すために、ED冒頭を静止画処理&新たに誤字だらけのエンドロールを制作し、途中から無理やり繋げるという荒業を。大映テレビ回に至ってもEDをまるごとカットという強引な作りに。(カメオ出演の場面は無編集)

 

私は当初「タモさんの版権料をケチったかな? まぁでも面白いバージョンだからこれはこれで貴重か」と呑気に思っていたんですが……それが間違っていたことが明らかとなるのが8月23日に東海テレビで行われた『忘れられたメス』回(日活制作)の再放送。

 

東海地方在住の方からの情報で、何とここでもストーリーテラーパートが全てカットされていたことが発覚。(EDはそのまま流れた模様) 。さらに28日に北海道テレビで行われた『死体くさい』回の再放送では、ホームドラマチャンネルと全く同じバージョンで放送されたことが判明します。

 

そういった流れの中、9月初旬にBSフジでPDS回の再放送が発表されるわけですが、「BS局とはいえ、大元中の大元のフジテレビなんだからさすがに大丈夫だろう…」と思っていたんです。

 

……ホームドラマチャンネルと同じでした。

 

まさか、すべての再放送でテラーパートが消されるとは…。正直かなり動揺しました。

 

ということはですよ。今までの編集は放送局が独自に行ったものではなく、大元である制作会社がテラーパートを予めカットした状態で各局に渡しているということであり、さらに各制作会社が一律にこんなことをしているとなれば、テラーパートの放送に関して何らかのお達しがあった可能性が出てくるわけですよ。

 

これまでレギュラー回は(ほぼ)ノーカットで放送されていたのに……!? なぜ29年目にして突然こんなことになるのか。さっぱりわかりません。

 

2015年にフジテレビTWOで行われた大量放送の際に、これまでの映像使用について何かしらの問題が明らかになったのか、それともタモさんの所属事務所が版権に関する姿勢を硬化させたのかは定かではありませんが、現状こうなってしまった以上、今後地方局やCSなどの再放送では、テラーパートなし、ED再編集orカットといった残念なバージョンでの放送が一般的になっていくのかもしれません

 

さすがに今後の新作でタモさんがいなくなるということまでは無いでしょうが、来年30周年を控えて2015年時のような再放送企画を期待しているだけに、この方針変更には戸惑うばかり。ノーカットでの再放送のハードルすら高くなってしまったら、世にもファンは一体どうすればいいのでしょう。

 

こんなことをするなら、せめてちゃんとしたDVDを出してください……(T_T)

◆ 蓜島さんの番組で世にも特集第2弾が!

 

9月24日、蓜島さんのラジオ番組『蓜島邦明のラッタラッタラ』で、世にも特集 第2弾が放送されました。

 

前回以降、続々と発掘された 133作品(!)のBGMの中から選りすぐられた9曲が流され、みんな大好き「夜汽車の男」のBGMや、聞き覚えのない未公開(?)BGMなど充実の内容に。

 

しかし、またしても聞き逃してしまったファンの方も多いのでは。……そんな方々のために今回も番組の書き起こしをしてみましたので、以下に掲載。

 

SMAPの特別編 大プロローグ」(「SMAPの特別編」より)

SMAPの特別編 大エピローグ」(「SMAPの特別編」より)

 

蓜島「『世にも奇妙な物語』30周年記念。来年で30周年なんだね。世にもできた時に生まれた人たちって30歳って……すごい人生観を経て、いろんな局面を経て、30年間やってきましたねぇ。

 

あのねぇ、その中から来年発売しようとしてますCDのね、劇伴。 いままで30年間録り溜めたやつというか、作らさしていただいたやつがあるのでね。これはCDにしたいなと思いまして、来年発売することになりまして。今回その一部をね、ちょっと皆様にご披露してしまおうかなと。いうようなね、ことなんですけど。

 

オープニングの曲はね、『世にも奇妙な物語』の特別編っていうやつなんですけどね。まあバブリーでしたねぇ、『世にも奇妙な物語』ができた辺りの時代背景っていうのは。とてもやっぱお金があったんですね。かなりの予算で作っておりましたね。『世にも奇妙な物語』毎回5作ありますからね。

 

その中からね、一曲目ね。大プロローグでね、奇妙な物語特別編の大プロローグでね。これ星護さんが撮ったのかな? いやーなんかね……あ、これもね、私好きなんですよ」

 

「夜汽車の男」('02春「夜汽車の男」より)

 

蓜島え~……かなりシュールな感じですね。 でもこれが許されたんですよね、世にもは。『夜汽車の男』っていう題のお話でしたね。 もう色んな、5人の監督がいるので、色んなパターンを毎回やらせていただきましたね。例えばね……

 

「太平洋は燃えているか?」('01春「太平洋は燃えているか?」より)

 

蓜島世にも奇妙な物語』の劇伴の中から『太平洋は燃えているか?』というね、タイトルのドラマでした。これも星さんが撮っていたんですね。なんかお父さんに見せてたとかというようなお話を聞いてですね、太平洋戦争中の想いがかなり込められたドラマだったと思います

 

「ガラモン・ダンス(劇場版ver)」(「映画の特別編」より)

 

蓜島「『世にも奇妙な物語』の映画のラストにかかるEDの曲ですね。当時、鈴木監督から「思い切ったことやるね」って言われましたね、これ。 (時代が)早かったのかねぇ……でも、結構完成度が高いですね」

 

「望みの夢」('97秋「望みの夢」より)

 

蓜島いやーなんか、名曲ですねこれ。『望みの夢』というね、タイトルのドラマだったんですけど。アコーディオンを多く使ってやった記憶がしますね

 

ストーリーテラー (アレンジVer)」(不明)

「中華風BGM」(不明)

「ガラモンソング (クリスマスVer)」(不明)

 後半3曲はアナウンスがないため私なりに調べてみましたが、使用されている箇所を突き止められず……もしかしたら未使用楽曲なのかもしれません。(判明次第修正します)

 

他にも発掘された楽曲があるようですし、CD発売までにまだまだ特集企画が続きそうな予感。今後もCD共々特集情報を追いかけていきます!

※ 9/29 追記

 

というわけで、第2弾の再放送が10月1、2日に決定。前回聞き逃してしまった方はこの機会をお聴き逃しなく!

新サントラCD発売決定!

まもなく夏も終わろうとしている最中の8月21日。

番組テーマを作曲した蓜島邦明さんのFacebookで衝撃の発表が行われました。

 

 

世にも奇妙な物語 CD 来年発売”!!!

 

……いやーもう、ホント痺れました。

それこそ10年以上前から新しいサントラが欲しい!欲しい!と言い続けてきた人間なもので、まさか放送30周年を機に実現するとは思わず。

 

久々に嬉しいニュースが来ましたよ!(T_T)

 

なんせ、30年の間に多数の楽曲が制作されていながら、これまで20曲程度しかCD化されていないわけですからね。映画版のサントラ含め、むしろよくここまで全然出さなかったなといった感じです。

 

そんな不遇続きの期間を経てきてのサントラ発売。蓜島さんの言では各会社に散逸しているマスターテープを収集中とのことで、貴重な作品が続々と発掘されていくことを祈ります。

 

個人的には1999年まで使用されていた初期verを含む、『ガラモン・ソング』の各種バージョン収録を期待したいですね。……あ、あと「GINZA ファナモ」のテーマソングも(笑)

 

どれくらいの収録数になるかは不明ですし、恐らく蓜島さん作曲のBGMのみの収録になる(別な方の作曲である「チェス」や「Be Silent」などのファン人気の高い楽曲は見送られるでしょうね…)と思いますが、30年ぶりの新サントラCDとなるわけですから、ファン感涙もののサウンドトラックになればいいなと!

◆ 蓜島さんの番組で世にも特集が!

上記FacebookでのサントラCD発売と同時に発表されたのが、去る8月27日に八王子FMで放送された蓜島邦明さんのラジオ番組『蓜島邦明のラッタラッタラ』での世にも特集。

 

サントラ発売に先駆け『テレビでは使われなかった劇判、30年ぶりに世紀の大発見。その驚くべき劇判を放送』とのこと……これは世にもファンとして聞かない訳にはいきません。

 

実際の放送では、レアな音源あり、蓜島さんの口から驚きのコメントありと、短いながらもなかなか貴重な内容となっていてサントラCDの発売がますます楽しみに。しかし、残念ながらこの番組を聞き逃してしまったというファンの方も多々いらっしゃることでしょう。

 

そこで今回、惜しくも番組を聞くことができなかった世にもファンの皆様のため、番組の書き起こしをしてみました。

 

「ガラモン・ソング(アレンジ版)」(「サウンドトラック」より)


「セリフ劇場 (噂のマキオ~楊貴妃の双六~悪魔のゲームソフト)」(「サウンドトラック」より)

 

蓜島えー『ラッタラッタラ』…世にも奇妙な物語ね、30周年になるんでね。来年CDを出したいなということで、30周年記念の。今まで作った劇伴ですね。色々洗いざらいしておりましてですね。あのー、すごい発見が色々出てきましたね。

 

私、色んなものを作っていたんですが、どういう曲作ったか全然記憶がないんでね。30年ぶりに発掘というかですね、そういう音源もありまして。ちょっとこういう形のやつが出てきたってんで、聞いてみましょうかね」

 

「Life with JANKEN」('11秋「JANKEN」より)

 

蓜島『JANKEN』という世にも奇妙な物語の中で放映したもので、歌ものを作ったんですね。植田さんが監督ですね。この時は、GeneZというね…マイケルと…恐らくガウさんが歌ってますね、後ろで。うーん、いや、いい感じと言うか、声を作っ(て入れ)たのがびっくりしてしまってですね……もう一個聞いてみよっか

 

「にょにょりん(?)」(未使用楽曲?)

 

蓜島えー、にょにょ…『にょにょりん』っていうね、曲らしい。…らしいというか、番組(の中にそんな作品が)あったんですかね。どうなの…?

 

「追っかけ」('96冬「追っかけ」より)

 

蓜島「『追っかけ』というね、題の劇伴なんですけど。かなり実験的な感じをやらせていただいておりまして…面白いねぇ」

 

「ガラモンダンス (映画EDバージョン)」(「映画の特別編」より)

 

蓜島世にも奇妙な物語の映画のですね、エンディングで使われた曲というか。この時ですね、ダンスバージョンがやりたいなと思ってまして。世にも奇妙な物語をちょっとこうね、リズムでやりたいという。そしたらみんな、それだけ作ったらオーケストラが好きな監督が多くてですね。最後にオケがどうしても欲しいということで。後からですね、この上にオケを頼んで作った記憶ございますね。エンディングテーマで使われましたね

 

蓜島えーとね…10年ぶりに世にも奇妙な物語のCDが復刻になった時がありまして、コロムビアさんから復刻版が。世にも奇妙な物語のCDの復刻版をね、出していただいて。その時書いた自分のコメントがありましてね

 

世にも奇妙な物語」の放送が始まってからはや10年の月日が流れ、私のおなかも10倍に膨れ上がり、毎朝ヨニ、ヨニ、となぜております。


世にも奇妙な物語」では、色々な楽曲を必要としたため、あらゆる場面で曲作りのアイディアを与えてもらう色々な人々ととの出会いもあり、まさに世にも大明神といったところでございます。


10年前に録音したこのサントラをあらためて聞き直すと私の遠方の精神面の変化が伺え、新鮮な思いとともに忘れていた心(魂)を思い出させてくれました。


とくに15曲目の「ありがと」は、このサントラが出せたという思いと、このすばらしい作品を与えてくれた人々に感謝の意味をこめ、「ありがと」と涙をすこし出しながら歌った記憶が甦ってきました。


まさに私にとって神さまから与えていただいたプレゼントだったのです。

あ・り・が・と。

 

蓜島邦明

 

蓜島…うーん、ちょっとスカしてんな。ま、そういうコメントもございましてですね。今回ね、30周年にあたりね。色々な作品を、外に散らばっていたマスターテープをですね。集めて、来年出るCDに備えておりますが…えー、その中から色んなものが出てきまして

 

先程の映画ですね。今ね、実は映画で『携帯忠臣蔵』と『雪山』かな。そのね、音源がふたつ…無いんですよね。捜索願をどこに出そうかということで今探しておりますが。あ、『携帯』はね。私DAT(テープ)でコピーを持っていてですね。それはあったんですが、落合さんの作品の…『雪山』だ。『雪山』が無いんだよねぇ…

 

「ありがと」(「サウンドトラック」より)


「インナカバデレラ」(「サウンドトラック」より)

 終始、独特な雰囲気で行われたこの世にも特集。

 

「にょにょりん」なる謎の曲も気になる所ですが、それよりも「映画の特別編」の『雪山』の楽曲マスターが行方不明という話がなかなか衝撃的。よく考えれば、映画版の制作から20年(!?)近く経ってますからね…。

 

知らない間にマスターが破棄されてしまって、収録不可能になってしまっている楽曲なんかもあるのかな…とあれこれ考えてビクビクしたりもしますが、ひとまずは行方不明の楽曲群が無事すべて発見され、記念すべきサントラCDに収録されることを祈ります!

 

30周年がますます楽しみになる今回のニュース。来年は、25周年に負けず劣らずのアニバーサリーイヤーに…なる!?

※ 9/15 追記

9月9日には、蓜島さんがマスターテープの画像を公開。

コメント欄ではご本人による『来年出る 世にものCDに入れる劇版DATからの入れ替え作業、発見に次ぐ発見』との書き込みも。

 

 

画像内のラベルから、読み取れるものだけをざっと挙げてみると……

「ミッドナイトDJ」「怪我」「完全治療法」「扉の先」「女は死んでいない」「望みの夢」「ダジャレ禁止令」「さとるの化物」「エキストラ」「13番目の客」「仇討ちショー」「おかしなまち」「トカゲのしっぽ」「採用試験」「連載小説」「'03春の特別編」「鍵」「遠すぎた男」「影が重なる時」「殺し屋ですのよ」「倦怠期特効薬」「越境」「イマキヨさん」「さっきよりもいい人」「これ……見て……」「AIRドクター」

 

う~ん、どれも聞いてみたい!!

 

2000年以降の作品はほぼノータッチで、他の番組や映画の既存曲の流用ばかりだと勝手に思っていたんですが、意外と蓜島さんの手によるBGMは現在に至るまで連綿と作り続けられてきていたようで、その事実にも興奮してしまいますね。

 

そして、画像内のラインナップを見るだけでも、90年代~10年代までの楽曲が満遍なく収録されそうで、今度のサントラはかなり豪華なものになりそう。2枚組くらいだと嬉しいんですけどね。(何故かTBSで放送された2004年の「日本のこわい夜」の「予感」(落合正幸監督作)のテープも紛れ込んでいるのが少し気になりますが)

 

発売は30周年特番の前くらい……来年の3~4月頃かなと勝手に思っていますが、果たしてどうなることやら。引き続き、注視していきます!